動物園のセクハラ2018年05月01日 10時57分00秒

昔、知人が、「ありがとうを唱える」教えで有名な小林正観さん(何年か前に亡くなられたそうである)の本の一部をコピーして送ってくれたことがある。

私は「ありがとうを唱える」教えのほうは実践したことはないが、そのコピーの内容には啓発されるところがかなりあった。テーマは「男はとても弱い生き物なので、女性の皆さん、そのことを理解し、くれぐれも男性をいじめないでください」というほとんど嘆願とも読める内容である。
 
その内容を下記に一部引用すると、

「人間の体には、約4000ccの血液があります。男性はそのうち1000cc を失った段階で出血多量で死にます。男性はいくら偉そうにしていても、もともと生命力が弱い。女性は、4000cc のうちなんと3000ccを失ってもまだ生きています。
 
1000cc失うと死んでしまう男は、弱いということを悟られたくないがために、2000cc失っても死なない風に見せようと威張ってみせてきました。弱いものほど威張りたがるということ。(中略)
 
どれだけ男が弱い存在であるかということを、女性のみなさんにぜひわかっていただきたい。そのことを知ったら、くれぐれも弱いものいじめをやめてあげてください。女と同等かそれ以上の強さが男にあると錯覚しているから、どんなことにも男がちゃんと耐えていけると誤解するのでしょうが、男はものすごくかわいそうでいたいけな存在なのです。まともにわたりあうのはやめましょう。(中略)

ちゃんとしている女性からみると、全部正しいことを言っていればそれが男性にも伝わるはず、と思っているのではないでしょうか。理解しているのにやらないのだと思って頭にきていたのでしょうが、完全に誤解です。『理解できない』のですから。理解した上でやらないのではなく、理解する力が無いのです。(中略)

男は、理屈や理論や正論で動く動物ではないのです。男は理性的で女性は感情的だと思われていますが、まったく逆です。男は好きか嫌いかでしか動かない。女は正義や正論を信じることができて、そっちのほうが感情より優先します。正しいと思ったら、やり方を変える。正しくないと思ったら即座にやめることができる」(得する男女関係  「究極の損得勘定」小林正観著


このコピーを読んで、それまでの人生経験や生物学から学んだことからぼんやりと感じていたことを再確認し、「これからは男性にもっとやさしくしよう」(笑)と思ったものだ。特にその当時まだ生きていた父親にそれまでかなり冷たかったことを反省し、これからは父親にできるかぎりやさしくしようと心に誓った。

さらにこのコピーの他の箇所では、男性が何よりも必要としているものとして、「女性からの称賛」ということも非常に強調されている。男性は弱いゆえに、女性からの称賛、支援、つまり愛情を非常に必要としているという内容である。

そこで、「生物学的弱者としての男」という観点から、お偉い男性方の最近のセクハラ騒動や援助交際騒動を考えてみると、彼らが地位や名誉、家庭を失う危険性をかえりみず、それでも女性たちからの称賛や支援を求めざるをえない切ない習性を理解できる(その習性は生物学的用語では、「交尾のための求愛行動」と呼ばれている)。

女性記者にセクハラをしたとされる高級官僚はセクハラを否定しているそうであるが、人間的理性の働かない動物脳状態では、彼の言っていることはもっともなことである。彼はセクハラしているつもりはまったくなく、高級官僚というブランドを精一杯バタバタさせて、「どうだ、おれはこんなにすごいオスなんだぞ。交尾させろ!」と必死に女性に求愛しているのである。頭のいい知的な記者をくどくにしては、求愛の言葉にまったくセンスがないのが笑えるところだけど。

セクハラしたと女性から訴えられる多くの男性は、今述べたように彼らの動物脳の中では、セクハラという認識ではなく、むしろ自分は女性によいことをしていると勘違いしている人が非常に多い--自分は女性の魅力や能力をほめている、あるいは女性を励ましていると思い込んでいる。

ここで動物脳状態と人間脳状態の違いを述べておくことは役立つと思う。

人間脳状態とは、理性が働いている状態で、自分の言動がもたらす結果を予測し、状況に言動を合わせることができる状態である。職場の女性に言ったりやったりすれば、セクハラになる言動も、妻や恋人に対してやれば、それは愛情表現になりうる場合もある。状況に合わせて相手の立場に立って言動を使うことができたら、理性の働く人間脳まで進化したということである。

それから動物脳に特有なことは、対等や平等という観念を理解できず、目の前にいる人は、自分の言うことを聞くべき目下の者から、自分が言うことを聞くべき目上の者かのどちらかである。だから、平気で女性を自分のヒーリング・グッズのような物として扱うことができるのだ。

以上のことをまとめれば、(男性による)セクハラの悲劇とは、私の考えでは下記の理由が複雑にからまって起こるのだろうと思う。

1男性が非常に弱い生き物で、女性の愛情(支援)を非常に必要としている。

2脳が動物状態なので、自分の目の前の人を尊重して対応することができない。


3人間関係の距離や状況を読み解くコミュニケーション能力の不足。

では、セクハラの悲劇を防止するにはどうすればいいかといえば、一人ひとりが人間関係について学び、特に男と女の一般的違いについて、本や日々の経験から学び、そして特に他人の立場に立つ練習をすることだと思う--少なくとも私たちが動物園の住民ではないならば。あらゆる組織の中にゴリラやチンパンジーのような人たちがたくさんいる「サルの惑星」状態の地球上で、セクハラやパワハラから逃れるためには、人は本当に賢く(時にはずる賢く)なる必要がある。

私にとっては生物学や進化論の本が非常に役立ったので、生物学や進化論の知見を広め、男女間のコミュニケーション・ギャップをうめるためにも、普通の人向けに「動物園から神の王国へ」(PDF版販売中です)を書いたのだ。    

さて、以上のような「男は生物学的にも精神的にも弱い生き物」  という論に、「男(私)はそんなに弱くない」という反論(特に男性の皆さんからの)もあるかと思う。もし本当にそう言い切れる男性がいるなら、それは大変素晴らしいことだと思う。

強さの一つの証拠は、「自分には○○が必要」という観念がないことであり、もし男性が女性の称賛や愛情をまったく必要としないならば(=依存しないならば)、その男性は強い存在であるということである。

話は飛ぶが、ニサルガダッタ・マハラジのような賢者がなぜ「強い人」なのかといえば、「私はこの世の中の何も必要としていない」と彼が本当に言い切れるからだ。マハラジは何も必要としていないが(彼は信者や弟子、帰依者さえ必要とはしていなかった)、必要なものは自然に集まるそういう神の王国に住んでいたのだ。

彼が「私は勇気と自信を皆さんに与えている」と言うとき、それは「強い人」になるためのレシピを彼は与えているという意味でもある。それは小林正観さんが書いたような、女性たちへの嘆願を(あるいは誰への嘆願も)必要としない境地である。

最終的には非二元の教えの探求者たちが目指す(「目指す」という言葉は本当は適切ではないが)境地は、マハラジのように「強く」なることだが、その強さとは、自分の弱さや動物的欲望、肉体感覚を抑圧したり、強いふりをしたりすることによって達成できるわけではない。自分はスピリチュアルな探求をしているから、動物的欲望から解放されていると思い込むのは危険なことである。むしろ、自分の弱さや動物性をどこまでも正直に誠実に見て、それを受容していくしかないのだと思う。
 
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[ゆか様への質問への答え]
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