「輪廻転生」再考(1)2020年09月26日 09時10分13秒

皆様、お元気でお過ごしのことと思います。

暑い夏も終わり、涼しい秋がまたやって来た。この夏は、突然2冊の本の仕事が重なるという珍しいことが起こって、予定に反して、仕事三昧だった。一日5時間以上、週7日、机に座って、仕事のためにパソコン作業をやるなどということは、私の人生でめったにあることではない。

それでも、コロナのおかげでと言うべきか、遠出はできず、母の介護の手伝いにも行けず、コンサルティングの依頼など他の用事もほとんどなかったので、時間がたくさんあるときでよかった。

その2冊の本、ジョエル・ゴールド・スミスのThe art of spiritual healing(霊的ヒーリングの技術) とロバート・アダムスのSilence of the Heart (ハートの静寂)については、後日、改めて詳細を紹介したい。Silence of the Heart (ハートの静寂)が出るのは、数年後かと思っていたけど、予想外に早くなって喜んでいる。その2冊の仕事もようやく一段落し、ブログを書く余裕が出てきました。

ブログ再開の今回は、ニサルガダッタ・マハラジの教えに関して、以前、何人かの人から尋ねられた、「マハラジは輪廻転生を否定していますが、どう思いますか?」という質問に関して、改めて、私が今の時点で考えていることについて書いてみたい。

今年出た「ニサルガダッタ・マハラジが指し示したもの」にも、ラメッシはわざわざ「輪廻転生はありえない」という一章をさいて、輪廻転生に関するマハラジの見解を紹介している。本章を読めば、輪廻転生の観念をマハラジが「滑稽なもの」として明確に退けていることがわかる。

「輪廻転生」はヒンドゥー教、仏教など東洋のほとんどの宗教の基盤なので、それを否定したら、宗教の基盤そのものがあやうくなるものだ。だから、マハラジが生きていた頃、ヒンドゥー教文化のインドで彼の教えがほとんど理解されなかったのも当然である。

しかし、マハラジにしても、「ニサルガダッタ・マハラジが指し示したもの」の中では、「輪廻転生はありえない」と明確であるものの、他の本の中では、「輪廻転生」を暗示するようなコメントもある。

たとえば、「意識に先立って」の中で:

「もし死ぬときに意識が非常に力強い概念を楽しめば、意識はその特別な概念を創造することができる。死ぬとき、その人が別の場所での人生を想像するとしたら、意識は似たような状況を創造することだろう。しかし、意識領域は永遠ではない。意識は偽物だ。こういったすべてのことは意識の領域の幻想だ」(219‐220ぺージ)

「あなたが過去世でおこなった何かよいことのおかげだ。もしあなたが宿題をやっていなかったら、この場所を訪問することはなかったことだろう」(262ページ)

「あなた方外国人には利点がある。なぜなら、このことに興味があるあなた方はみな前世で偉大なる化身ラーマの軍隊であり、ラーマの弟子だったからだ。だから、あなた方はその当時すでに祝福されていた。そして、それ以後の転生であなた方は東洋へ移動して来た。そのため、あなた方はインド人よりもこの場所でくつろぐことができるのだ」(295ページ)

今、作っているロバート・アダムスのSilence of the Heart (ハートの静寂)でも、この矛盾はもっとはなはだしい。あるページで、「輪廻転生はない」と否定し、他のページで、「あなた方は何度も生まれ変わってようやく、自己問いかけができるようになります」みたいな主旨の言葉が続く。

こういった賢者たちの言葉の矛盾は山ほどあるし、まあ、非二元の教えとはそういうものではあるのだけれど、それでも多くの人たちのマインドには疑問が残るものだ。「輪廻転生は真実なのか、どうか?」と。

非二元の教えの観点から物事を考える場合、輪廻転生に関してだけでなく、あらゆることについて、役に立つ考え方とは、私たちの本質である絶対と見かけである相対世界という二つの観点があり、それは真逆であるということだ。

絶対――不死、不動、永遠、時間と空間なし、一なるもの。

相対――死と誕生、変化、一時的、時間と空間、多数の個人的存在。

絶対の観点から語れば、「ニサルガダッタ・マハラジが指し示したもの」で、マハラジが問いかけているように、「転生すべき、何がありますか?」ということになる。

別にスピリチュアルなことを学んでいなくても、論理的に考えれば、納得できることだ。それは、こういう問いでもあるだろう。「永遠に不動で一つであるものが、どうして変化したり、移動したりしますか?」「映画のスクリーンやホワイトボードは、どんなイメージや文字がその上に描かれても、それ自身は変化しますか?」あるいは、ダグラス・ハーディング流に問えば、「あらゆる変化を見ている主体は、変化しますか?」

輪廻転生を語るとすれば、明らかに時間と空間の中で変化し、移動する「何か」について語ることになるわけで、非二元の究極から言えば、それは「幻想」ということになる。上記の「意識に先立って」の引用の中でマハラジが言っているように、「しかし、意識領域は永遠ではない。意識は偽物だ。こういったすべてのことは意識の領域の幻想だ」ということになる。

それでも……何かがずっと大昔からつながっているというか続いているという感覚、それがマハラジの言うように「偽物、幻想」だとしても、その感覚が湧き起こることがある。それは何なのか?(という問いを、追求せずにはいられないおバカなシンプル堂であります)。次回に続きます。


新着お知らせ







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