「輪廻転生」再考(2)2020年10月12日 10時36分22秒

前回に引き続いて、「輪廻転生」の話である。

前回も紹介したが、私は以前から、

あなたが過去世でおこなった何かよいことのおかげだ」(「意識に先立って」)とか、「あなた方は何度も生まれ変わってようやく、自己問いかけができるようになります」という非二元系の賢者たちの発言を読むたびに、この場合の、「あなた(You)」って、正確には何を指しているのか、ということが気になっていた。

マハラジが言うように、論理的に考えてみても、そしてハーディングの実験でも確認できるように、「あなた(You)」の本質は変化しえない。そして、サットサンに参加している個々の肉体は前世の肉体ではありえないし、肉体は死ぬときに、毎回完全に消滅するというか、限りなく小さい要素に分解されて大地に帰る。

すると、本質と肉体の中間の何かが、「転生」しているということになるが、「意識に先立って」の中のマハラジの「もし死ぬときに意識が非常に力強い概念を楽しめば、意識はその特別な概念を創造することができる」という発言を参考にすれば、人が死際にいだく、強い概念(思考・感情)がまた新たなる肉体に転入するというか転生すると考えることができるだろう。

だから、長年霊的修行をしたあげく、「自分はどこにも行き着かなった」と思った人が死に際に、もし「次に生まれるとき、私は絶対に悟りたい」という強い思考・感情をいだけば、それが別の時代の別の肉体に憑依し、その人は「私は悟りたい」という思いに突き動かされて、あちこちへ霊的探求に出かけ、最後はマハラジのような賢者のところへ来て、「悟りなどというものはない」と聞かされて、驚愕することになる(笑)

私の感じでは、人の肉体が生まれるとき、すでに何かの強い概念に憑依されて生まれる、つまり、別の言葉で言えば、特定の人生を生きるようにプログラミングされているということだ。だから、人は子供時代から皆、一人ひとり全然違う個性と性格をもっている。非二元系のサットサンに参加しているような人たちは、霊的な探求をするように生まれたときからプログラミングされていて、そのプログラミングはそれより以前の過去からの影響によっている。

ただし、そういったことすべてが個人的なものではなく、非個人的な意識によるもので、だから、マハラジや他の賢者が「あなた方(You)」と話かけているものは、個々の肉体ではなく、「私は悟りたい」とか、「私は真理を知りたい」、「私は霊的修行をたくさんやった」といった思考に憑依されている集合的意識に対してなのだ、と私は思っている。実際マハラジはしばしば、「私は意識として、意識に話かけている」と言っていた。

だから、もしどうしても何かが「転生する」と考えるなら、それは観念・感情・思考(イメージ)が転生するというふうに考えるのが一番無理がない。あらゆる観念・思考・感情は、霊的なものも、世俗的なものも、復讐や罪悪感、劣等感・優越感なども含めて、すべての観念・感情・思考は、そういう観念が生まれた時以来、長きにわたって、人類という種の間でずっとリサイクルされている。

数千年間、科学文明は発達したにもかかわらず、地球上の人類の思考や感情はほとんど変化していないのは、同じ観念・思考が使いまわされているからだと、私は思っている。

前世とかそんなことをもち出さなくても、人の意識に憑依している強い思考や感情は、その現実を引き寄せるというか、創造する傾向は、自分の人生を長い期間観察すれば、誰でもある程度は納得するものだろう。

今、思い出せば、高校生2年と3年の二年間、私は毎朝目が覚めるたびに、目覚める瞬間、「このまま好きなだけ寝て、あとは一日中、誰にも邪魔されずに好きな本でも読んでいたいものだ」と、本当に本気で強く思ったものだ。その通りに、シンプル堂と呼ばれている物体の人生はおおむね昼寝と読書を中心に展開してきた。高校生の頃は、それを「人生の夢」だという自覚もなかったが、中年になってようやく、人生であれ以上に他に強く本気で望んだことはなかったことに気づいた。高校生の頃のあの想いが自分の人生の最大の夢だったとは、なんというロマンのない夢(笑)だったかと、思い出し、一人で大笑いした。

そして、ニサルガダッタ・マハラジの絶対の観点から言えば、私が今言及した、観念・感情・思考(イメージ)のリサイクル、そして、シンプル堂の高校時代の思い出、その他シンプル堂が記憶する全ストーリ―(自分の前世かも、と信じたイメージも含めて)、そして過去から現在、未来へと時間がずっと続いている感じそのものが、「意識の幻想」の領域に入るのだ。

しかし……言葉を使った瞬間、それが賢者であれ、普通の人であれ、私たちは時間と空間という意識の幻想領域に入って、そこでの幻想の役割をプログラミングにしたがって演じ、それに合わせた言葉を語るしかないわけである。

(幻想の)家族や知人と会ったとき、記憶がまだ作動して、その幻想領域の機能がちゃんと働いている(人の名前が出てくる、以前会ったときの記憶が出てくるなど)ことを確認して(笑)、ほっとする日々である。


輪廻転生について以前書いたブログ
「アジャシャンティ」(3)輪廻転生 2012年4月8日
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