〇〇ガチャの「受容」2021年12月03日 09時04分03秒

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最近、「〇〇ガチャ」という言葉をネット上でよく見ることがある。ネット民だけの間で使われる言葉かと思っていたら、先日は、大新聞の投稿にさえ、「隣ガチャ」というタイトルがついた文章があった。

ネット上でよく見るのは、「親ガチャ」という言葉である。この言葉の意味がよくわからなかったので、先日若い世代の人に教えてもらった――だいたいの意味は、「自分がどの親の元に生まれるかは、ゲームセンターでガチャガチャやって出てくる玉のようなもので、自分で選択できない」。そしてさらに、「どの親の元に生まれるかによって、すでに自分の運命が初めから決まってしまい、それを変えられない」というネガティブな意味あいもあるようだ。

生まれたときから運命はすでに決まっている――これは先日も紹介したラメッシ・バルセカールの考えと、言葉だけ読むとまったく同じように聞こえるが、彼が伝えようとしたことは、そこに「自由がある」ということであり、一方「親ガチャ」という言葉には、そこに「不自由と束縛」があるという感じで、真逆な印象がある。

ラメッシが言っていることが、「親ガチャ」という言葉が使われるようなネガティブな解釈にならないように、その違いをもう少し詳しく説明すると:

1自分がどういう環境に生まれ落ちるかを決める運命の筋書きを書いたのは、親とか特定の人ではなく、神である。

2神とは「私の本質」であるので、実際にその筋書きを書いているのは、「私」である。

3したがって、私たちにできることはその運命を受容することだけで、そこに「自由」がある。

4私たちが何をしてもしなくても、何を選択してもしなくても、すべては運命の筋書きによっている。したがって、私たちは自由に自分の好きなことをしてもかまわないし(=見かけの自由意志を行使してもかまわない)、それそのものがその人(肉体・精神機構)のプログラミングによって、決まっている。自分が好きなことをしたその結果は、あるときは、よい結果で、あるときは、悪い結果で、あるときは、普通の結果で、誰もこれを受容することしかできない。

ラメッシは「すべては神の意志」という考え方を生まれたときからもっていたそうで、彼はその考え方で人生を子供時代から青年時代、そして老年まで生きた人だった。先日読んでいたラメッシの本の中で、彼が若い頃の自分の銀行員時代のエピソードを語った話がある。

彼は自分が銀行で出世するかどうかは、すでに運命によって決まっていることなので、仕事上のことでは、上司に対して遠慮せずに、何でも正直に自分の意見を言ったという。つまり、日本でいう上司への一切の「忖度」をしなかったという。でも結果的には、彼の忖度なしの率直な意見は、上層部に気に入られ、彼は自分では望むこともなく、出世した(最後には頭取になった)、という結末になった。

キリスト教系の賢者、ジョエル・ゴールドスミスは今年出版された『スピリチュアル・ヒーリングの本質』という本の中で、生まれ落ちた環境や親について、次のように述べている。

「ですから、あなたの血統は白人でも黒人でも黄色人種でもなく、東洋でも西洋でもありません。あらゆる人が同じ親をもっていて、その親とは聖なる父であり、一なるスピリチュアルな創造的原理です」(p191)

「私たちが高貴な生まれであろうが、貧しい生まれであろうが、教育があろうがそうでなかろうが、私たちが白人であろうが、黒人であろうが、黄色人種であろうが。スピリチュアルなパワーは私たち自身の意識の活動によって決定されるのです」(p267)


つまり、ラメッシ・バルセカールとジョエル・ゴールドスミスの考えを融合すれば、「私達の見かけの親や生まれ落ちた環境を受容し、同時に、私たちの本当の親は血縁の親ではなく、神なる父であり、それはすべての人、すべての人種、どんな生まれの人にも共通していることを理解し、それに目覚めることに私たちの自由がある」というくらいの意味だ。

このように、すべての宗教の賢者は、運命や状況の「受容」を教えるが、一方で、これが知識人や政治的な人たち、社会改革派の人たちに、宗教やスピリチュアルが嫌われる理由でもある。「悪(人)に抗うな」と教えたイエス・キリストの言葉は、「人を弱者にする」教えだと思われ、2千年間理解されないままである。

しかし、「受容」は弱者への道ではない。それは自分の意志と神の意志を統合するパワーアップの道であることを、すべての賢者は教えている。「受容」を生き続けた賢者たちは、弱者だろうか? ラメッシ・バルセカールやダグラス・ハーディング、ニサルガダッタ・マハラジなどいわゆる賢者は弱者だろうか? もちろんそうではない。彼らは老年になっても、病気の時でさえ、パワーにあふれ、けっして弱者ではなかった。

さて、〇〇ガチャということで言えば、親ガチャより国ガチャのほうがもっと大変である。私たちが(今のところ)世界で一番豊富な品がそろっている(と、私はそう思っている)スーパーに日々買い物に行ける国に住み、(今のところ)国を捨てて他国で難民にならずにすんでいる国に生きていること自体が、世界の中ではものすごく恵まれている。しかもそれに加え、私たちはスピリチュアルな探求をする縁にも恵まれている。そして、さらに自分自身のことを言えば、母親の最晩年を介護するという「受容の修行」にも恵まれ(母の現状を受容することに時々失敗し、失敗しては一瞬落ち込む自分を受容する修行)、そのことをただただありがたく思う毎日である。



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「縁の力」2021年11月21日 08時52分26秒

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起こることはすべてあらかじめ決まっている――最近ますます感じることだ。これはインドの賢者ラメッシ・バルセカールの教えの基本の一つで、彼自身の言葉で言えば、「起こることになっていることは、誰が何をしても、それが起こらないようにすることはできない。反対に、起こらないようになっていることは、誰が何をしてもそれを起こすことはできない」

物事が「起こる・起こらない」を究極的に支配しているのは、ラメッシの言葉で言えば、「神の意志」であり、一般的なスピリチュアル系のなじみの言葉で言えば、「カルマ」であり、私はそれらの言葉よりはどちらかといえば、「縁の力」という言葉を好む。

「縁の力」をさらに説明すれば、それは仏教でいう「縁起」(「一切の物事は、様々な原因や条件付けが寄り集まって成立している」くらいの意味)の定義に近い。

すべては「縁の力」によって決まっている。そう理解できれば、あらゆることに関して気が楽である――少なくとも他人のことや世の中のことを放っておくことができ、自分が今やっていることに集中できる。

最近の時事に関して、「縁の力」を特に強く感じたのは、皇室家の長女の方の結婚である。「親や世間がどれだけ反対しても、自分が決めたこの人と絶対に結婚する」という決意は、彼女の立場を考えれば、何か強力な意志(縁の力)が彼女に乗り移ってそう思わせていると、私には感じられた。

あらゆる人間関係の中で、親子関係が何よりも重要である日本社会においては、10代、20代の人間にとって、親の力はかなり絶大である。だから、自分の進路や恋愛・結婚を親に反対されて、親子間の軋轢、対立、不和が、日本全国どこでも起こっている。

「親の力」も広義に定義すれば、もちろん「縁の力」に入るが、細かく言うなら、「親の力」は「血縁的縁の力」ともいうべきもので、恋愛・結婚はそれ以外の「人間関係的縁の力」で、スピリチュアルに関することであれば、「スピリチュアル的縁の力」と呼ぶべきものかもしれない。

進路や恋愛・結婚に関する親子の対立も、現代に限ったことではなく、私が若い頃でさえも同じ状況であった。私の家も含めて、親が子供の進路や恋愛・結婚に反対することはあまりにありふれた定番の出来事だったので、しだいにそれは一種の通過儀礼(大人になるために通過しなければいけない障害くらいの意味)なのかもしれないとさえ、私は考えるようになった。

子供の立場に関して言えば、もし親が反対したくらいで、自分がやりたいと思うことをやめることができるなら、たぶん、それはやめたほうがいいものだろう。親の反対という障害を乗り越えられないとしたら、自分の進む道(職業選択であれ、恋愛・結婚であれ)に待ち受けている様々な障害を乗り越えることはできないだろうからである。

では、親の立場の人たちは、成人した子供の進路・恋愛・結婚に関してどう考えればいいのだろうか? 以前親の立場の方に、「子供がすることに反対してはいけませんか?」と尋ねられたことがある。もちろん、反対してもまったくOKである。むしろ正直に誠実に、「〇〇の理由で、私は反対です」と、自分が反対する理由を子供に伝えたほうがいい。ただし、重要なポイントは、「正直に誠実に感情的にならずに」、自分の考えを伝えることである。

親の意見・考えを聞いても、子供が親からの財政的精神的援助が一切なくても、自分が進みたい道を進むと決意するなら、もうそれを誰の力でも止めることはできないと覚悟したほうがいい。

反対に、親が反対する理由を聞いて、子供が親からの財政的精神的援助がなければ、自分にはこの道は無理だと判断すれば、子供はあっさりとあきらめることも多い。

私の家の場合は、親に大大大反対された私の姉妹の一人の結婚は今日まで無事続き、スピリチュアルな道を親(特に母親に――母は、スピリチュアルとはいかがわしいものであり、そんな道に関わったらまともに生活できない人間になってしまうと考えていた)に反対された私も、この年齢まで普通に生きて(生かされてき)たので、まあまあ「縁の力」はよかった結果になったとは思う。


下記のサイトに、前にも紹介した鴻上尚史さんの悩み事相談で、「俳優になりたい大学生の子供に反対する親の悩み」が掲載されている。彼の回答は、演劇業界を生き抜いてきた彼自身の経験にもとづくもので、とても的確である。もしこういう問題で悩んでいる親の立場の方や子供の立場の方がいれば、参考になるかもしれない。




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世界全体は改善できないが……2021年10月15日 16時07分41秒

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先日、ブラジルの異色経営者であるリカルド・セムラーの講演動画をご紹介した。この動画を主催しているTEDというサイトでは、あらゆる分野で、現在地球上で最先端の人たち、英語でよく使われる表現、cutting edgeの人たちの講演動画が多くアップロードされている。(くだけた表現でいうと、「意識高い系」の人たちの動画である)

私もたまに時間があるとき、視聴している。

昨日は、「障害者を感動ポルノにするな」というテーマで話した外国の障害者の人の講演を視聴し、皮肉とユーモアの効いたパンチのある話で、楽しかった。

(日本語字幕付き)

このTEDに登場して講演する皆さんは、たいてい下記のような資質をもっている。

1困難があっても、くじけない不屈の精神とユーモア。
2他者に対する共感と思いやり。
3自分に対しても世界に対しても非常に肯定的。
4自分が貢献することで、世界を生きるのによりよい場所にしたいという情熱。

一言で言うと、皆さんとても魅力的で情熱的な人たちで、こういった人たちがこれからの地球社会の本当のリーダーであることは間違いないことだ。

一方、非二元系の賢者たち、ロバート・アダムスとかニサルガダッタ・マハラジとか、ダグラス・ハーディングなども非常に魅力的な人達であるが、たぶん、TEDの講演者たちと一番違うところは、上記の3に関して言えば、肯定的になるべき「自己や世界」がなく(なぜなら、個人的自己も世界も究極的な意味では存在しないから)、そして4に関して言えば、「世界は善と悪の二元性からできているので、世界を改善しようとしても無駄であるという理解と認識」をもっていることだろう。

この「世界は善と悪の二元性からできているので、世界を改善しようとしても無駄であるという理解と認識」が、世界を改善したいと望む各分野のリーダーたちに、そして、理想的平和な社会(あるいは、惑星)がどこかにあるはずだと夢想する一部のスピリチュアルの人達に、非二元系の教えが一番受けないところだと思う。彼らのマインドには、「世界を改善しようとしても無駄」とか「理想的平和な社会はありえない」が、とてもネガティブに聞こえるに違いない。

ロバート・アダムスも『ハートの静寂』で、「世界は改善しえず」、世界は永遠に、常に善と悪、美と卑劣さが同時進行するところであることを繰り返し強調している。歴史を長いスパンで眺めてみれば、非二元の賢者たちの言うことが悲観的に聞こえても、正しいことがわかる。

では、非二元の賢者たちは、世界に背を向けて、自分の人生や社会に関して、厭世的になることを勧めているのだろうか?

もし非二元の教えをそう受け取る人がいれば、それは誤解である。彼らが概ね言っていることは、

「世界のことは放っておき、自分とは何かの本質に目覚めて、それに従って生きなさい。そうすれば、自分の人生を変えようと意図することなく、自然に物事はうまくいくだろう」ということだ。
そのことは、今回の『ハートの静寂』の中でもしばしば言及されていることである。

私が今、長年非二元の探究をした経験からも言えることは、世界全体は改善しえず、数十年後も数千年後もたぶんたくさんの問題を抱えているだろうが、自分の本質に目覚めることは、「私の現象世界」を相対的には平和で豊かにしてくれ、しかも、私は毎瞬、毎日、目の前に現れている「私の現象世界」だけに気を配ればそれでOKということだ。おかげで、私は世界全体、社会全体の問題や未来、自分の人生の未来を深刻に心配しなくてもすんでいる。

とはいえ、私は様々な「社会映画」を眺め見るのも嫌いではないし、もちろん、TEDに登場するような人たちも世界には非常に必要だとは思っている。結局のところ、世界にはいつの時代も、動物園の住民から神の王国の住民まで様々な人たちが存在して、彼らの絡み合いがドラマを生み出し、善と悪、美と卑劣さが同時進行している映画が常に上映されていて、誰もそれを止めることはできない……



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「リカルド・セムラー」2021年10月01日 11時15分30秒

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2021年10月24日(日曜日)午前9時から午前11時頃まで

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Silence of the Heart は、『ハートの静寂』(ナチュラルスピリット発行)というタイトルで10月末に発売予定となりました。

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先日、久しぶりにリカルド・セムラーというブラジルの著名な企業家の方の講演をYoutubeで見た。

(日本語字幕付き)

昔、経営哲学の本を色々読んでいた頃、その中で最も感銘を受けたのがこの人の考え方だった。でも、あまりに素晴らしすぎて、日本で実践するのは、ほとんど不可能とも感じたものだ。日本でも90年代に紹介され、数冊翻訳本が出ているが、日本の会社でこの人の考えを取り入れている会社が実際あるのかどうか……

『奇跡の経営』(総合法令出版)
『セムラーイズム』(新潮社)

彼の考え方を一言で要約すると、「すべてを社員に決定させる」というものだ。いつ働くのか、いくらの給料にするのかなど。社員全員に会社の全データを公開して、社員一人一人に考えさせる。
もちろん、こういうシステムがうまく作動するためには、長年の時間がかかり、彼も社内で嫌われながら、少しずつ改革を進めたようだ。彼は世界の中でも異色中の異色の企業家であり、「異星人の経営者」と言われていたという話をどこかで読んだこともある。

もし、「自分の会社は、社員が好きなときに、自分がしたいこと(たとえば、釣りとか山登りとか映画に行くとか)ができる会社にしたいと思っている」という社長の話を聞いたなら、ほとんどの人は、選べるならこういう会社で働きたいと思うのではないだろうか?

社長が自由に遊んでいる会社というのは、日本でもたまに聞くことがある。しかし彼が言ったことは、「経営者だけでなく、すべての社員にその自由を与える」というものだった。しかも彼の会社は、中小企業ではなく、社員が5千人もいるブラジル屈指の大企業で、離職率の少ない非常に人気のある会社だそうである。

リカルド・セムラーの「セムラーイズム」を完全に社会が取り入れるのは、無理としても、彼の言うことには、人が楽しく充実した人生を生きるヒント、そして組織が楽しく創造的になるヒントがたくさんある。

この話を書き出したとき、私が昔会社に勤めていたときのある日の出来事を思い出した。同僚の男性が、自分の趣味に関するイベントを何ヶ月も前からチケットを買って楽しみにしていた。ところが、その数週間ほど前に、会社のイベントが急遽その日に開かれることが決まり、彼はそのイベントのスタッフの一人なので、会社のイベントの欠席は許されない雰囲気だった。

それでもあきらめきれない彼は、上司にその日だけは仕事を休ませてほしいと直訴したのだが、上司はまったく取り合わなかった。そのやりとりは、課の全員が聞こえるところでおこなわれていたので、私は今でも上司の叱責の言葉をはっきりと覚えている。

「〇〇君。君は仕事と趣味とどっちが大事なんだ? たかが趣味のために、会社の重要なイベントを休めるわけがないだろう!」。

もちろん同僚氏は無言だったが、彼は心の中では「趣味のほうが大事です!」と叫んだにちがいなく、「たかが趣味」と言われたことに相当怒っていた。この話は今からもう40年近く前の昭和時代の話であるが、たぶん、今だって日本の社会は、会社(仕事)を、趣味や娯楽で休むことにはまだまだ罪悪感があるように感じる。

人生においては、仕事も趣味も、そして、愛とか死、あるいは自分の本質といった形而上学の追究も同じくらい重要というリカルド・セムラーのようなメッセージは、たぶん、いまだ社会にはほとんど浸透してない――おそらく日本だけでなく、当のブラジルでさえも。

自分らしいライフスタイルをどう実現するのか、それは一人ひとりが考えるべきことであり、他人、特に昭和OS(オペレーティング・システム)ぽい人たち(仕事とお金が、人生で一番重要みたいな価値観を持っている人たち)に、自分の楽しみや喜びを邪魔されないように、特に若い世代の人たちにはずる賢く頑張っていただきたいものだと思う――同僚氏の事件を見て、休みたいときに会社を休むには、普段からずる賢くないといけないことを、私は会社員時代に悟ったものだ(笑)。




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暑中・梅雨お見舞い申し上げます2021年07月01日 06時13分13秒

暑中・梅雨お見舞い申し上げます。

今年も半分が終わり、このへんで少し休憩したいと思います。ブログを2ヵ月ほどお休みします。
ロバート・アダムスのSilence of the Heartの続きは、出版時期が近づきましたら、また書きます。皆様も楽しい夏をお過ごしください。

[シタテルヒコ様へ]
ジョエル・ゴールドスミスのThe art of meditation の邦訳本『神を識る瞑想の法』(教文館)の情報をありがとうございました。機会がありましたら、著者紹介を訂正したいと思います。






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「動物園」の住民との付き合い方(笑)2021年06月04日 10時09分04秒

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2021年6月13日(日曜日)午前9時から午前11時頃まで
2021年6月20日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2021年6月24日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで




前回、「動物園」の住民について話題にしたので、もう一回、「動物園」を話題にしてみよう(次回から、「神の王国」の住民であるロバート・アダムスの、Silence of the Heartについて紹介する予定です)。

「動物園」の住民――遠くで眺めている分には充分に楽しいのだが、それが自分の世界に出没して、関わらなければならないときは、けっこう厄介である。

「動物園」の住民は、IOC(国際オリンピック委員会)のような権力者たちばかりではない。どこの町にも近所にも職場にも、そしてどこの学校(子供の世界)にもたいていは生息している。家族の中にいる場合もある。

前回は、「他人のNOを受容できない」動物園の住民の話を書いたが、もう一つよく見かけるタイプは、「やるべき義務を拒否する=やるべき義務にNOを言う」タイプ、「怠慢タイプ」である。典型的な人たちが、借金の返済を拒否(放置)する人たち(クレジット、家賃、マンションの管理費などを滞納し続ける人たちなど)だ。

最近読んだ本で、そんな人たち(ここではクレジット関係の借金をしている人たち)との交渉を仕事にしている「督促OL修行日記」(榎本まみ著 文藝春秋社)という本は、動物園の住民の生態を知る上でなかなか興味深かった。タイトルに「修行」という言葉があるように、こういう職場で働くことはおそらく、瞑想の場で瞑想修行するのと同じくらい、あるいはそれ以上に、「過酷な修行」であり、もしそれをやり抜けば、人生を生きる知恵がつくだろうと思った。

借金の取り立てではないが、以前住んでいたマンションで、「やるべき義務を拒否する=やるべき義務にNOを言う」タイプの動物園の住民と個人的に関わった思い出深い話がある。

それは私が住んでいた部屋が施工会社の工事不良が原因で修理が必要だったとき、その担当の社員がサルだったのだ。私が何度その人に電話して、「契約の規定にありますから、早く修理の手配をしてください」とていねいに頼んでも、「はい、会社に伝えておきます」と言うだけで、まったく何もする気配がない。最初に頼んでから、1年半近くたったとき、これではダメだと思い至り、策を考えてみた。

動物園の住民は、自分より権力(権威)のある人の言うことは素直に聞くだろうと思い、その人の直属の上司宛に事情を説明した超礼儀正しい(笑)手紙を書いたのだ。もしその上司も手紙を無視するようであれば、会社の役員宛てに再度手紙を書こうと思い、それでだめなら、サル会社と縁を作ったということであきらめることにした。

手紙を出してから、すぐにその担当の社員から、「工事を手配しました」という連絡があり、なんとわかりやすい奴かと、苦笑した。動物園との交渉がいつもこんなふうにうまくいくわけでもないが、たまたま成功した例だった。

今までも書いてきたように、動物マインドはほとんどの人たちの中に多かれ少なかれ残っているもので、もう少しわかりやすく言えば、「自分の肉体とマインドが快適に生き残ることだけ」に関心をもっているマインド状態である。一人一人の違いは、それにどの程度支配されているかどうかという、程度の問題である。もちろん、次回ご紹介するロバート・アダムスとか、ラマナ・マハルシのように、生まれついたときから、動物マインドが限りなくゼロに近い状態という人たちもいるが、スピリチュアルな世界であっても、彼らは非常にまれである。

このブログを書いているシンプル堂、そして読まれている皆さんも、多かれ少なかれ動物マインドをもっているはずであり、だから、私たちは自分の中の動物マインドの活動についても注意深くあるべきである――どういうときに、自分は怒るのか、どういうときに恐れるのかなど。そうすれば、動物マインドに支配されている人が自分の人生に出没したときに、彼らの思考パターン、行動パターンを理解することができ、彼らとのコミュニケーションにも役立つはずだと思う。

現在、唯一私の周辺で出没する動物園系の人は、NHKへの加入をうながす調査員だ。「このマンションでNHKに加入していないのは、お宅だけみたいなんですけど、テレビ、もっていないんですか?」みたいに、まるで「テレビをもっていないことが法律違反」であるかのように、警察の尋問のごとくしつこく聞かれる。前回などは、携帯電話まで調べられた(テレビが映る機種かどうかのチェック)。

でも私はいつも、「彼らもノルマのある仕事をさせられて、仕方ないのだろう」と理解し、「テレビを購入したら、こちらから申し出ますから、もう来ないでいただけますか?」と丁寧な対応を心がけてはいる。でも、「NOを受容できないマインド」の人たちのようなので、また来るとは思うけど、いつも叫びたくなる――「NHKが映る機械をもっているというだけで、課金するシステムは動物園のやり方で、これからはうまくいきませんよ。そもそも、テレビの時代はもう終わっています!」



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他人の「NO」を受容できないマインド2021年05月22日 11時23分05秒

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人生で時々(特に若い頃)、他人の「NO」を受容できないマインド状態の人たちに出会ったことがある。それは、私が、「それはやめてほしい」とか、「それは迷惑です」と、明確に何度も言っているにもかかわらず、その行為をやめない人たちのことだ。その人たちの中には、私の母親も含まれていた(笑)。母親の場合は、ほとんどの場合、親切の押し付けであり、迷惑といっても、本当はありがたいこと(こっちで買うからいらないと言っているのに、自分で作った布団とかを送りつけてくるなど)だったのだけど。

20代の頃、最初にそういう人に出会ったとき、衝撃的だった。この人には「人間の言葉」が通じないのだと。それまでの私の常識では、人が「それはやめてほしい」とか、「それは迷惑です」と、はっきりと何度も言えば、やめるのが普通と、そう思って生きてきたからだ。

それからもたまにこういう種類の人に出会い、しだいに私はそういうマインドの状態に関心をもつようになった。人間の言葉が通じない理性がぶっとんだ状態――そういう状態のとき、その人は「理性が機能する人間」ではない――そこから、私は「動物状態」の知性という概念を思いついた。

なぜそういう人たちは、他人の「NO」を受容できないのかと言えば、彼らのマインドが「恐れと怒り」にほぼ100%支配されているからだ。その「怒り」とは、「自分がやりたいと思うことに、NO(拒否)を突き付けられた怒り」、あるいは、「自分に逆らうやつは許せないという怒り」であり、「恐れ」とは、「このまま相手のNOを受け入れたら、自分の権威と権力が失墜するかもしれない」とか、「相手から得ている何か利益を、今後もう得られなくなる」というようなものである。

知性が人間段階まで進化した人なら、「NO」と言われることを不快に感じても、他人のNOを受容するはずであり、それが常識である。

幸い現在、私のまわりには「動物園」の住民はいないので、他人の「NO」を受容できない動物マインド状態を見る実際の機会は皆無であるが、ネットには山ほど記事が出ている。

最近一番目につく「人間の言葉が通じない理性がぶっとんだ状態」の人たちといえば、IOC(国際オリンピック委員会)だろうと思う。日本国民の7、8割の人が「この夏のオリンピック・パラリンピックをやめてほしい」、そして世界の大半の世論も「オリンピック・パラリンピックをやめたほうがいい」と、多くの専門家や知識人も「やらないほうがいい」とNOを言っているのに、それを一切聞けない状態。

IOCがやっていることは、病人の世話でくたびれ果てている家庭に、同じ病気を発症する可能性のある人たちを大人数送り込み、「オ・モ・テ・ナ・シ、よろしくね」というようなことだ。一般的にいって日本人はたしかに、「オ・モ・テ・ナ・シ」が嫌いではないが、それも元気のときだけである。家族に病人がいて、その看病でくたびれているときに、やって来る大勢の他人を心からもてなすことができる家庭があるだろうか? そもそも、「真夏の東京で、大運動会をやる」という企画が、動物園特有の非現実的なものであるのだけど。

彼らがそこまで東京オリンピック・パラリンピック開催に執着する理由を、彼らの立場にたって考えてみた。彼らは何を恐れているのか、何を怒っているのかと。彼らが最大に恐れていることは、万一今回中止にしたら、今後世界の中に、「もうオリンピック・パラリンピックなんて、不要だ」という流れが出てきて、自分たちの「ぼったくりビジネス」をこれからも継続できなくなることであろう。そして、彼らが何に怒っているかといえば、「オリンピック(パラリンピック)という権威」にたてついている日本の世論、国際世論諸々だ。「私たちの権威にたてつくとは、許せん。もう絶対に何が何でもオリンピック・パラリンピック開催だ!」もし彼らが北朝鮮の政治家なら、オリンピックに反対意見を述べる奴は全員公開処刑したい(笑)くらいだろう。

人が「怖れと怒り」に支配され、駆られているときに特徴的なことは:

*反対されれば反対されるほど、その行為をもう止められない状態になる。
*自分たちのメンツ・保身・利益と比較すれば、他人の苦痛などまったく価値がない。
*彼らの宣言する美辞麗句「安心・安全」などは、たいていその正反対が実現すると予想できる。
*彼らがやることの結末はたいてい、「恐れと怒り」×無謀=最悪の結果。

その怒りと恐れを偽の笑顔で隠し、「日本人は忍耐強い国民」とか言って日本人をバカにし、日本というおいしいカモをなんとか逃すまいと、IOCも必死だ。それにしっぽをふる日本の政治家の姿も情けないが、この程度の政治家しか生んでこなかったのは国民の責任でもあろう――日本の政治家がどれほど戦略がないかといえば、本気で今年オリンピック・パラリンピックをやる気だったら、昨年Go to トラベルなんてやっていないで、ワクチンをもっと早く獲得し接種することに全精力を尽くすべきだったのだろうが、日本の政治家がオリンピック・パラリンピックにかける情熱もその程度ということである――IOCに逆らえないので、仕方なくやるという感じ。

オリンピック・パラリンピックなんて別にどうでもいいと思いながら、ネットを見ると、関連ニュースがたくさん出ているので、私もだんだん東京オリンピック・パラリンピックの行く末と結末が楽しみになってきました(笑)

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心身温かくして、年末年始をお過ごしください2020年12月01日 07時50分08秒



Stay home(家にいなさい)から、いきなり今度は、Go to(外に出かけなさい)って、日本だけではないが、何をやっても、ちぐはぐな国の政策……だけど、100年に一回のパンデミックに賢く対処できる政治家や官僚がいたら、それこそ「奇跡」だろうから、仕方がないとあきらめている(今後パンデミックは、50年に一回とか、20年に一回とか、起こる頻度が上がるかもしれないが)。

世界は本当に大変な時期を通過している。それでも私は、コロナの収束などを「祈らない(願わない)」ほうがいいと思っている。その理由とは?……それは、来年出版予定のジョエル・ゴールドスミスの本(ご質問の方へーー発売時期は現在まだ未定ですを買って読んでください(笑)。彼がキリスト(キリスト教の、ではない)の本当の祈りとは何かを詳しく説明している。

さて、最近時々気分が重い日が続き(たぶん、世の中の空気に多少は感染しているのかも)、久しぶりに音楽に耽溺している。タブレットに好きな歌(ほとんどが20代、30代の時に聞いた歌)を全部詰め込んで、それを聞いて感傷に浸ったり、一緒に歌ったりしている。音楽は、感情のヒーリングにはよく効くものだ。

それでは皆様、心身温かくして、年末年始をお過ごしください。来年は、たぶん、2月頃からブログを再開する予定です。ジョエル・ゴールドスミスのthe art of spiritual healing の続きは、本の発売が決まりましたら、また書きます。

今はこんなに悲しくて、♪♪♪
涙も枯れ果てて、♪♪♪
もう二度と笑顔にはなれそうにないけど♪♪♪

そんな時代もあったねと、いつか話せる日が来るわ♪♪♪
そんな時代もあったねと、きっと笑って話せるわ♪♪♪
だから、今日はクヨクヨしないで、今日の風に吹かれましょう。♪♪♪
「時代」(中島みゆき)


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トランプさんに見る「アメリカ社会の成功ルール」2020年11月08日 09時36分43秒

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(横書き版PDFから1部と2部を収録)

(横書き版PDFから3部を収録)

 
★★「人をめぐる冒険」「楽しいお金3」プレゼント

2020年6月に引き続き、ご希望の方(前回申し込まれた方以外)に、「人をめぐる冒険」「楽しいお金3」(紙の本です─電子書籍版はアマゾンで購入できます)をプレゼントします。(送料も含めて無料です。締め切り2020年11月30日まで。または先着70人で締め切りです)
ご希望の方は、下記のサイトからお申込みください。


この4年間、時々ネットに出ているトランプさんの言動を眺めて、彼はまさに「アメリカ社会における成功ルール」の王道の極端な、そして露骨なタイプなのだと、いつもある種、感心していた。

「アメリカ社会における成功ルール」に初めて気づいたのは、20代の1年ほどアメリカに滞在していたときのことだ。

日本では、沈黙は美徳であり、自分の意見をはっきり言う人間はたいてい嫌われる。しかし、アメリカでは、沈黙していたり、自分の意見をはっきりと言わないと、欲しいものは手に入らず、お金を払って頼んだことさえ、あとまわしにされたり、放っておかれるということを時々経験したものだ。自分の意見をはっきりと主張できない人は、「そこに存在しない」か無価値と、見なされる感じだ。

声高に自分の意見と正しさを主張する――自分の意見や考えが間違っているか、正しいかが重要ではなく、自分の意見や考えを相手に受け入れさせる(時には無理やりでも、違法な方法を使っても)、話術というか押しの強さ、それが「アメリカ社会における成功のもっとも重要なルールの一つ」(他には、お金、家柄とか人脈も重要)だと知った。

声高に自分の意見と正しさを主張する人たちは「強い人」だと思われ、「人気」(人の気)とお金と人脈を集めることができ、それが彼らをますます社会の階級の上へと押し上げる力となる。トランプさんはそうやって社会の階級を駆け上り、大統領にまでなったのだ。

私の印象では、トランプさんは(非白人、マイノリティ、女性などへの)純粋な思想的差別主義者ではなく、純粋な思想的アメリカ第一主義でもなく、彼は単純に「自分第一主義」の人だ。つまり、自分が人生で勝ち続けるために、自分の勝利へ貢献する人たち、自分の言うことを聞く人たち、自分に資金を提供する人たちなら、どんな人種の人とも国とも、どんな主義主張の人とでも手を組むだろうということである。彼の根はずる賢いビジネスマンなのである。自分に対する何千もの訴訟があるにもかかわらず、お金と人脈、ずる賢さで、いまだ刑務所を免れている(笑)とは、ものすごいビジネス能力である。

彼が差別的発言を繰り返し、外国に強硬な言動をするのは、そうすれば、(非白人、マイノリティ、女性などへの)純粋な思想的差別主義者たちや思想的アメリカ第一主義者たちの広告棟として君臨でき、彼らから多大な資金提供を受けることができるからだ。またアメリカ人の感情的大衆(理性よりも感情で動く人たちが)が感情的に喜び、彼にたくさんの「人の気」をプレゼントしてくれるからだ。彼は昔はテレビに出るタレントでもあったので、「人の気」がどれほど「おいしい」ものか、よく熟知している。

負けを認めるのが大嫌いなトランプさんは選挙集計の不正を訴えているが――仮に集計の不正があったとしても、今までトランプさんがやってきたことのカルマ、というところだろう。最後の最後まで、思い切り社会を引っかきまわして、「人の気」を集めるだけ集める――どこまでもしたたかなトランプちゃん、である。

トランプさんが大統領であったこの4年間、アメリカ社会の分断、二極化がますます明らかになっていった。それは彼が分断させたわけでなく、彼の「おかげで」、人々の目にはっきりとアメリカ社会にずっと蓄積してきた分断が、明らかになったというだけであろう。アメリカは「内戦」中、というのがかなり前からの私の認識である。

それは何の分断なのだろうか? それは民主党対共和党でもなければ、保守対革新でもなければ、白人対非白人でもなく、一言で言えば、アメリカ社会における成功のルールとツール(お金、家柄、人脈、強い性格、ずる賢さなど)をもっている者たちと、そういったものをもっていない者たちとの分断なのだと思う。

最近時々読んでいる現代のアメリカ社会を背景にしたミステリーに、あらゆる権力業界(大金持ち、警察、司法、政界、宗教組織など)の中にいるトランプさん的権力者たちが自分たちの私利私欲のために、自分たちの罪を隠蔽し、取引をし、いかなる手段を使っても、「自分の欲しいものを手に入れよう」とする姿がよく描かれている――「もっている」者たちが、「もっていない」者たちを利用したあげく、罪に陥れるゲーム。娯楽本だから、描写は多少の誇張もあると思うけれど、アメリカ社会ではミニ・トランプさん的人たちが、あらゆるところで暗躍していることがよくわかる。

さて、次回から紹介する来年出版予定の本の二人の賢者――ジョエル・ゴールドスミス(Joel S.Goldsimth1892-1964)とロバート・アダムス(Robert Adams1928-1997)――は、たまたま二人ともアメリカ人であるが、彼らの人格と教えは、「声高に自分の意見と正しさを主張する」アメリカ文化とはまったく無縁である。今まで紹介したスピリチュアルな賢者同様に、彼らのメッセージもまた、いつの時代にもある、愚かしくも、そして(トランプさんのような人たちには)楽しい分断のゲームからいかに抜け出て、「神の王国」に入るか=神(私の本質)こそ、すべての成功のルールとツールという真理に目覚めるか、ということである。


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ため息セラピー2020年05月31日 10時22分43秒

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5月の初め頃だったか、民放のバラエティー番組(「世界で一番受けたい授業」?)で作家の五木寛之さんのインタビューを見た。その日の朝、新聞のテレビ欄で、「五木寛之」という名前を見つけ、「わお!五木さん、バラエティ番組に出るんだ」となつかしくなったからだ。

なぜなつかしいかと言うと、高校生の頃の私にとって、五木寛之さんはアイドルで、退屈な学校生活と勉強の合間の唯一の息抜きが彼の本を読むことだったからだ。当時彼は30代後半(私の肉体年齢よりも約二十歳くらい年上)で、ハンサムで陰のあるクールな風貌と彼の文章が高校生の私を惹きつけてやまなかった。私は彼の本によって、「デラシネ」(根無し草)という言葉を覚え、根が地下100メートルも生えているような家庭(笑)に生まれ育った私は、「デラシネ」という言葉に象徴される自由な生活にとてもあこがれたものだ。今から約半世紀前の話である。

大学へ行ってからは、彼の本への熱狂も冷め、それからの長年ほとんど忘れていたが、彼が「大河の一滴」(幻冬舎)を書いたあとから、また少し読み始め、彼が仏教や正当医学によらない健康法(野口整体など)に傾倒していることを知った。一番最近読んだ本は、「親鸞」(講談社)である――「大河の一滴」は彼の自伝的エッセイで、その中で、彼が家族とともに終戦のときに、朝鮮半島から日本へ戻って来たときに見た地獄の風景が綴られている)

そのテレビ番組は彼のインタビューと彼の著書、「大河の一滴」からの引用で構成されていた。冒頭、彼は「自分は性格が暗いので、テンションが高いバラエティ番組には向かないので、今までは、出演の依頼をお断りしてきた」と話し始め、今回はコロナ感染拡大で、苦境にある人たちへ自分なりのメッセージを伝えたいという感じでインタビューは進行していった。

今回の番組の中でいくつか記憶に残っている話は、極限的状況(強制収容所や自然環境が過酷な場所)のときに、どんなことが、人が生き延びるのに役立つかという話で、一つは「ユーモア」、それから、「洗顔や歯磨きや挨拶をきちんとする規則正しい生活」(笑)が重要という話だった。基本的に彼の話は仏教的で、「人生は苦であり」、それをため息をつきながら、受容するというよう
な主旨だ。

それから、本やインタビューの中で五木さんの言葉に強く感じることは、「人が生き延びるということは、他者の犠牲を伴う」という人生観である。これはどういうことかといえば、色々例を挙げてみれば:

*人類という種が生きるために、他の生き物の命をもらっている。
*日本などの先進国の国民が安あがりで快適な生活をするために、より貧しい国の貧しい人々が犠牲になっている。
*強くたくましい人たちは、弱くて心優しい人たちを踏み台にして生きていく。
*一人の成功者の陰に、成功できない大勢の人たちがいる。

というようなことである。

こういった現実は誰もどうすることもできない。だから、自分がどちらの側(強い側、成功した側、あるいは弱い側、失敗した側にいても)、それを眺めることは「悲」であり、その「悲」は仏教の「慈悲」にも通じるものだ。「大河の一滴」以後の五木さんの文章には、特にその「悲」と深いため息を感じる。

彼がどれだけ作家として成功しても(彼は作家としては戦後の日本で、本が売れたという意味で、最も成功した一人であろう)、その成功にそれほどの幸福を感じていないように見えるのは、彼が生きてきた人生の中で、「強くたくましい人たちが、弱くて心優しい人たちを踏み台にして生きていく」風景を見てきたからであり、そして彼は自分もその「強くたくましい側の人間」であることを自覚しているからだと思う。

五木さんが、「大河の一滴」で、そしてバラエティ番組にまで出演して、自分の辛い過去を赤裸々に語るのは、人がどれほど成功していても(あるいは、幸せそうに見えても)、あらゆる人には他の人には理解できないその人特有の苦や不幸というものがあり、「苦しんでいるのはあなただけでありませんよ。みんなが苦を背負って生きていて、それが人生なんですよ」ということを、今、不幸や苦痛の中にいる大勢の人たちに伝えたいからだ、と私は感じている。

しかし、どれだけ自分の苦を言葉で語っても、あるいは共感してくれる人が周囲にいたとしても、本当のところ誰も自分の苦を言葉では語り尽くせるものではない。だから、辛いときは、「仕方ない」(私が好きな日本語の一つです)と、ため息をつきながら生きるしかないのである。そして、ため息をつくことで、苦をちょっとだけ吐き出して、活力を得て、日々少しの喜びを感じて生きる――それがほとんどの人の日常であろう――賢者ニサルガダッタ・マハラジでさえ、自分の教えが理解されない「苦」で、ため息の日々であったことが、「ニサルガダッタ・マハラジが指し示したもの」の本からうかがえる。

番組の最後のほうで、五木さんがよく引用する20世紀前半に活躍したロシアの文豪、ゴーリキーの言葉が紹介されていた。

「人生ってのは本当にひどいもんだ。でも だからといって自分でそれを投げ捨てるほどひどくはない」(という言葉を残したゴーリキーであるが、ウキペディアの情報によれば、政治的からみで暗殺(!)によって死んだらしい)

そんなこんな、半世紀前のアイドルをまじまじ見て、たぶん独自の健康法の効果のせいか、90歳近い年齢(1932年生まれ)で五木さんはとてもお元気そうで、うれしかった。お互いに半世紀、生き延びましたねって、感じで。

さて、最近、姉妹の一人が中国語の勉強を始めて、その音調の一つが日本語のため息、「あぁーあー」に似ているんだそうで、4月5月は何かにつけて、中国語音調風ため息をつきながら、バカバカしいことを言って笑うことが多かった。

あぁーあー、毎日毎日コロナの話ばっかり!
あぁーあー、今日もまたアベチャンのあのだらだら会見!(私たち姉妹は「安倍首相」のことを親しみをこめて、「アベチャン」と呼ぶ)
あぁーあー、アベノマスクなんて、税金の無駄遣いの極み!(まだ届いていないけど)
あぁーあー、今日も生きているか(生かされているか)!
あぁーあー、今日のランチ、何食べる?

もしアベチャンをおちょくる程度では、笑えない方には、井上陽水さんの「からたちの花」風ため息はどうだろうか?

あぁーあー あんたとあたい、頭も悪いし、からだも弱いし、顔も悪いし、運も悪いし、仲も悪い……(人生の)血がにじむ ♪♪


「からたちの花」歌動画
https://www.uta-net.com/movie/41109/

皆さんも、辛いときには、ため息セラピー試してみてください。


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