愛国と防衛2017年04月24日 08時14分39秒

先日、「ダグラス・ハーディングの会」のために岐阜市を訪れた。岐阜県に降り立つのは何度目かだが、岐阜市に来たのは初めてだ。岐阜市在住の方に車であちこち案内してもらい、ちょうど桜が満開の岐阜市内とその周辺地域を散策した。岐阜県の魅力や歴史についても色々と教えていただき、日本再発見という感じである。

ついでに養老郡まで行って、荒川修作さんの有名な作品である、養老公園にある「養老天命反転地」も訪れ、何とか転ばずに歩くことはできたのもものの、彼がこの公園にこめた意図―「死ぬという宿命を反転する」――は、残念ながら私には理解できなかった。

日本の町を歩くといつも思うのだ――ああ、なんて日本はいい国なんだ、地上の天国だなあと――風景は美しい、町は清潔、食べ物はおいしい、人は親切、汽車は遅れない――日本のよいところを数え上げるときりがない――愛国同盟の一員になったみたいな気分だ(笑)。もちろん私は、海外へ行けばその国のよいところを認め、その国を愛する者になるけど。
 
大学生の頃、私はよく日本国内を旅行したが、その時代は気分が暗かったので、旅の風景もそれを反映して、何となく暗い印象が思い出に残っている。若い頃は自分のことで精一杯で、自分が見ている風景・環境、あるいは住んでいる日本という国に思いをはせる余裕がなかったのだ。ようやくのんびり平和に風景を眺めることができる愛国者になれて、うれしい気分である。

「愛国」という言葉は、政治的な意味合いで使われることが多い気がするが、「自分を愛する」ことが自然なことで、政治的なことではないように、「自国を愛する」ことも、どこの国民にとっても自然なものだ。

ただし、他者を貶めて、その比較による自己愛が本当の自己愛ではないように、他国を貶めて語る愛国も本物ではないと私は思っている。

そして、愛は、自己に対するものにしろ、国家に対するものにしろ、親に対するものにしろ、「愛すべき」として強制すべきものではないし、道徳的なものでもない。それは自然に生まれるときにしか、本物ではない。

私の考えでは、その国に今いった意味での愛国者が多いほど、国家は安定し、強いものだ。そして、世界に日本の友人が多いほど、つまり、世界で日本や日本文化(日本語)を愛し、関心をもつ外国人が多ければ多いほど、日本はより強くなるのだ。 「関心=愛=パワー」である

話は少しそれるが、最近、youtube で非常に上手な日本語を話す外国の若い世代の人たちの動画を見たことがある。彼らは日本のアニメや漫画から日本語を学んだという。彼らは非常に日本びいきで、ありがたいことに日本と日本文化に純粋な関心をもっている。

アメリカにこびて、防衛費を増やすくらいなら、世界で日本語や日本文化を学んでいる人たちのためにそのお金を使って、日本語と日本文化の普及に努め、世界中に日本のファンというか応援団を作るほうが、これから数十年の日本という国のパワーアップと防衛に、はるかに役立つはずだと、私は思っている。

そんなふうに最近時々、愛国と防衛について考えて楽しい気分になっていたら、地上の動物園(政界)では、日本の防衛のリーダーである安倍首相と稲田防衛大臣は、愛国同盟の同志に裏切られて、崖っぷちではないか!  自分すらまともに防衛〈弁護〉できない人たちが、朝鮮半島に戦争機運が高まっている状況で、日本のリーダーとして他国とタフな交渉ができるのかどうか、心もとない感じではあるが……

しかし、私のモットー、「在るものを受容し、ないものを嘆かない」に従って、安倍首相と稲田防衛大臣の存在を受容し、辛口の応援をすることにしよう。

「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」という動物園のルールをよく理解して、 日本国の領土に爆弾やミサイルが落とされないように、倒れるまで頑張ってください!


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創造(構造)と破壊(混乱) (2)2017年02月22日 09時29分45秒

 熱力学という学問の発展の歴史を読んでみると、なかなか興味深いものがある。それは蒸気機関の効率を向上させるために18世紀に始まった学問ながら、現在はあらゆる現象にその考え方を応用することができるとされ、この世の様々な事象はなぜ起こるのかに対する科学的な答えを提供している。

その深遠で平凡な答えとは、一言でまとめると、

エントロピー(無秩序の度合い)が常に増大する方向へ物事は変化する」というものである。

たとえば、私たちの日常でよく見られる現象を挙げれば、
(外から熱を加えなりかぎり)50度のお湯は自然に冷めて、周囲に熱をばらまいてエントロピーを増大させる。熱は自然の状態では温度の高いほうから低いほうへ流れる。なぜなら、これがエントロピーが増大する方向だからだ。

そして、奇妙なことに、熱力学の深遠な第二法則(エントロピーの法則)によって、宇宙は常にエントロピー(無秩序の度合い)が増大する方向が自然でありながら、私たちのまわりには仕事をするたくさんの構造体(人類を含む生物、乗り物、惑星、国家など)が出現しているということである。確かに現象的には私たちのまわりの物質世界は構造体だらけで、(災害等でなければ)混乱を見るほうが少ない。

これはなぜかと言えば、常にエントロピー(無秩序の度合い)が増大するという熱力学の法則に実際は反しているわけではなく、仕事をして構造体を作る過程で、よりたくさんの混乱が生まれ、総量としてはエントロピー(無秩序の度合い)が増大するからだ。逆に言えば、エントロピー(無秩序の度合い)が増大するゆえに、仕事が為されるということである。

たとえば、車などの乗り物は、ガソリンを消費して仕事(動力)を生み出すが、その過程で必ず廃熱を生み出し、排気を必要とする。廃熱を生み出すことで、最初より環境のエントロピー(無秩序の度合い)を増大させる。
 
人類の活動(仕事)はたくさんの廃熱を生み出し、それが現在の地球温暖化の問題となっている。廃熱を出さずに、つまり、環境のエントロピーを増大させることなく、人類は活動することはできない。これは人類がかかえるジレンマなのである。

私が今こうして、皆さんに読んでもらうために秩序ある文書を書こうと奮闘している最中にも、私の心身を通過するエネルギーの一部は廃熱になり、環境のエントロピー(無秩序の度合い)を増加させ、地球温暖化に加担しているはずだ(笑)。

さらにエントロピーの法則から、こういったメンタルな活動を考えてみれば、一部の人たち(文章を書くことを仕事にしている人たち)が、文章という秩序だった構造体(作品と言われるもの)を頑張ってたくさん作るゆえに、それ以外の多数の人たちの思考領域に混乱が生まれる、とも言えるのだ(苦笑)。

エントロピーについて学ぶと何が興味深いかというと、それは人間を含む生物も、エンジンで動く乗り物も、地球や惑星、太陽などの天体も、そして国家などの社会組織も、熱力学の観点から見ると、すべて「エネルギーを消費して仕事をする構造体」と見なすことができ、同じように考えることができるという点である。

人間そのもの、そして地球そのものが太陽エネルギーを消費して、仕事(創造活動)している機械なのだ。創造活動というと聞こえがいいが、その結果エントロピーを増大させ、つまり破壊や混乱を作り出し、その混乱によって事象が変化しつづけている(これがいわゆる「進化」と呼ばれるものの実態である)。
そのことを冷めて語るのか、あるいは熱く語るかは、科学者の間でも多少態度が異なるものだ。前回紹介した2人の専門家の言葉をまた紹介すると、

「世の中は、放っておけば自然に「でたらめ」になっていきます。これは大原則であり、『エントロピー増大の法則』 は決して侵されません。しかし、ある程度のエネルギーが環境から与えられると、ある局所的な部分において、あたかも『エントロピー増大の法則』に反するような現象が生じます。この現象は、『エントロピー増大の法則』の大原則から見ると、大きな流れの中にたまゆらにできた渦のようなものです。(中略)この△H環境は、『エントロピー増大の法則』の大原則に逆行する奇跡を地球上で成し遂げて来ました。(中略)

多くの原始宗教が太陽を神としましたが、これは非常に理にかなっていることです。太陽からのエネルギーの最も重要な効果は、秩序の形成です。つまり、宇宙原理である『』エントロピー増大の法則』の大原則に逆行するには、エネルギーの供給が絶対に必須であるということです。先に述べたように、極めて大きなエネルギーを与えてくれる太陽があってこそ、私たち人類は誕生することができました」
 (「熱力学で理解する化学反応のしくみ」 (平山令明著 講談社) 

一方で、非常に冷めて語るのは、アトキンスで「エントロピーと秩序」(日経サイエンス社)の本を下記の文章で締めくくっている。
 
 「私たちはカオスの子供である。何かが変化するとき、その奥底では腐敗が起きている。根底にはただ、崩壊があるのみで、カオスがくい止めようのない波となって、押し寄せてきている。カオスになることは何も目的ではなく、あるのは、カオス状態に向かう方向だけである。宇宙の内部を奥深く冷静に見ると、このようななんとももの寂しい真理が見えてくるが、これこそ私たちが受け入れなければならない現実なのである。

とはいっても、まわりを見まわして、そこにある美しいものをながめるとき、あるいは意識の中をのぞきこんだり意識を自覚するとき、そして人生の楽しみをいくぶんもつようになるとき、宇宙の中がまえよりずっと豊かなものに思えてくる。しかし、これは人間の心情であって、頭ではこのように考えるべきではない。科学と蒸気エンジンのほうがずっと崇高である。科学と蒸気エンジンが手を組んで、複雑さの中に潜んでいる壮大な単純さを明かりにさらすからである」

冷めて現象を見るにせよ、不思議に思って見るにせよ、世界は混乱(カオス)によって進むという事は、熱力学という学問が発見した科学的な事実である。

エントロピーの法則から私たち素人が学ぶべきこととは、創造の裏には破壊があり、構造(秩序)の裏には混乱(カオス)があるということである。だから、前回も書いたように、創造(構造)→破壊(混乱)→創造(構造)は自然のサイクルであり、もし創造(構造)を喜ぶべきだとしたら、破壊(混乱)も喜ぶべきだということである。
 
ただし、創造しすぎると、つまり、無理に仕事をしすぎること=無理に構造や秩序を作りするぎると、破壊や混乱も早急に起こりやすくなる(起こる確率が高くなる)ことも理解するべきことである。最近、よく話題になる過労死や過労自殺の問題も、エントロピーの法則から考えれば(常識的に考えてもそう言えるが)、仕事をしすぎるので、大規模な破壊(極端な場合は人間構造体の死)も起こらざるをえないということである。

そして政治の世界にもエントロピーの考え方は応用できる。アメリカの新大統領トランプさんのように、極度に自分勝手な秩序を早急に築こうとする指導者は、いっそうの混乱(カオス)を国の内外に生み出し、まさにアトキンスが言うように、「カオスがくい止めようのない波となって、押し寄せてきている」……
 
もし次に、自分の世界の中の何かの構造体が突然壊れることがあったら、たぶんどこかで頑張りすぎたか、無理をしているか、無理をさせすぎているか、物事をコントロールしようとしすぎたか(コントロール願望=自分にとって都合のいい秩序を作りたいという願望)、だと思って振り返ってみるといいかもしれない(私も今年は新年早々、まわりの小さな構造体の一部が突然数個ほど壊れ、慌ただしい一年の始まりとなった)。


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創造(構造)と破壊(混乱=カオス) (1)2017年01月23日 07時45分23秒

 皆様、あけましておめでとうございます。

 今年も、適当にゆるくブログを書いていく予定ですので、お暇なときにお付き合いください。

今年は、久しぶりに科学の話から書こうと思い立った。
 
昨年、何度か東京の街(新宿や渋谷)へ行って感じたことは、2020年の東京オリンピック開催の影響なのか、建築工事(オフィスビル、ホテルの建築、道路工事など)が非常に多いということだ。そして、私が住んでいる首都圏の街でも、ここ5年くらい新築マンションの建築が続いている。

素人の素朴な感覚から言うと、「人口が減っていく時代に、おいおい、そんなに新しい箱物をどんどん造って大丈夫なのか?」  という感じである。

箱物(コンクリート製の建物)  の建築現場を見かけるときに、よく思い出す文章が、イギリスの著名な化学者であるピーター・アトキンスの本、「 エントロピーと秩序 」(日経サイエンス社)の中の次の文章だ。

エンジンは、レンガ、ブロック、鉄骨などからビルをつくりだすことができる。しかし、これは『破壊』の結果としてできあがったのである。」  ( 115P「5章カオスの力」より)

構造の一様性は、ほかのどこかがその犠牲として乱雑な状態になって、はじめて現れる。世の中のある部分に構造ができて一様性が現れるのは、それと同時に、ほかのところが大きな規模で乱雑状態へ崩壊していく場合である」(274p9章「カオスがつくりだす模様」)
 
以上の有名な熱力学の法則(一般的な言葉では「エントロピーの法則」と呼ばれるが)をもう少しわかりやすく言えば、

何かの構造物を造るためには、破壊(混乱=カオス)が必要である、ということである。つまり、じゃんじゃん箱物を建築するためには、それ以外のどこか他の場所でじゃんじゃん破壊(混乱)が必要ということである。

もちろん、創造(構造建築)と破壊(混乱)のバランスが取れていれば、別に問題はないわけで、創造(構造)→破壊(混乱)→創造(構造)というサイクルは自然のサイクルでもある。

しかし、日本の建築構造物に話を限れば、日本全国で使われていない非常に多くの老朽化したビル、人が住んでいない家屋が何もされずに放置されている現状を見ると、建築構造物の創造と破壊のバランスが取れているとは言えない感じである。

本当は、人が使っていない老朽化した建物・家屋をまず壊すか、リノベーション(全部を壊さず、必要なところだけ新しくすること)するほうが順番が先で、それから必要な新しい建物を造るべきなんだと思う。しかし、新築の箱物を造ることはお金が儲かるので、すぐに事が進行するが、老朽家屋の破壊やリノベーションは時間がかかり、お金も儲からないので遅々として進んでいないようである。

この日本の建築構造物の創造と破壊のアンバランスから予想されうることは、人間が創造と破壊の適切なバランスを造らないとしたら、自然がそれを無理やりやる可能性が高くなるということだ。つまり、災害(自然災害、人為災害)等による破壊がより起こりやすくなるということである。
 
 科学者は人間活動のアンバランスについて、熱力学の法則の観点から次のように警告する。

自然界では、温度が上がろうとすると、上がりすぎないように、コントロールが働きます。ある生物が増えすぎると、集団自殺なでも含め、その数をコントロールする力が働きます。自然界はいつでもアクセルとブレーキを操っています。
 人間が本当に賢ければ、この自然界の法則の意味を理解した上での、アクセル操作とブレーキ操作ができるはずですが、人間もどうやら自然の法則に埋没しているようで、自分達のやり過ぎを自然によってきつく制御(叱責)されるまでは、気づくことがないのかも知れません。」  (「熱力学で理解する化学反応のしくみ」182p平山令明著 講談社発行)

この創造と破壊のバランスとアンバランスという観点は、非常に多くのことに応用できる考え方である。

たとえば、「動物園から神の王国へ」の2部でも書いた話であるが、日本も含めて先進国では、高齢化が進んでいる。それは、医学、福祉の発達のおかげで、人が簡単に死ななくなって(死ねなくなって)いるからである。そのため、破壊(死)が不足するために、よって生(誕生)も不足に陥っている。少子化(子供が生まれない)という日本の現実は、子供をもつかもたないか、生むか生まないかという個人の意志には本当は関係なく(見かけはそう見えるかもしれないが)、人間構造物の単純なエントロピーの問題、そして日本という国の領域におけるお金・時間の資源配分の問題なのだと私は思っている。

おそらくあと10年くらいして、日本の少子高齢化の問題がもっともっと深刻になるとき、この国は財政的な理由から、安楽死や胃瘻の是非を問わざるを得ないときがくるだろうと思う。

そんな現状で、日本のような老人国が運動会(東京オリンピック)をやる体力的財政的余裕があるとも思えないし、東京オリンピックの開催をめぐってはトラブル続きで、先行きの暗雲がしばしば暗示されてきた。しかし、もう後戻りもできず、現在日本はオリンピックという名の構造物をかなり無理して造ることに邁進している。

その結果は、いっそうの混乱(カオス)……老いた日本には、過激な運動後の体の疲労、痛みのように感じられるだろうが、大規模な混乱からまた新しい時代に合ったシステムや構造が生まれるなら、それもそれでよいのかもしれない。
 
人間は、 「自分達のやり過ぎを自然によってきつく制御(叱責)されるまでは、気づくこと」ができない生き物……いつも痛感させられる事実だ。


 
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IT 時代の憂鬱2014年07月15日 09時02分07秒

先日、はじめてタブレット・パソコンを購入した。十五年ほど前、最初にノート・パソコンを買ったときに比べて、五分の一以下の値段で、しかも高性能。値段と性能は反比例するというIT業界の法則を思い出した。
 
買ってまず最初にやったことは、タブレットにたくさん入っているショッピング・サイトの広告を削除することだ。新しいOSになってから、やたらショッピングサイトの広告がパソコンやタブレットにたくさん入っている。うっとうしいけれど、こうやってパソコン・メーカーは広告費を稼いで、機械本体の安さを補うんだなあと理解した。

私が今回驚愕したことは、ネットに最初に接続したときのこと――真新しいタブレットだというのに、なぜか私の別のパソコンの「お気に入り」情報が「すでに」タブレットに入っている。わけがわからず、しばらく考えてそのからくりを推測した。

頼んだ覚えもないのに(いや、私はどこかで知らずに同意ボタンをクリックしてしまったのだろうか?)M社のどこかに保存されていたらしい私の別のパソコンの「お気に入り」情報が、タブレットに自動的にダウンロードされてきたということらしい。手作業でやる仕事をやってくれたという意味では、M社からしてみれば、親切なのだろうけど、個人のパソコン内の情報を勝手に集められるのは気分のいいことではない。IT機器をネットにつないだとたん、機械と機械内の情報はもはや個人が管理するものではなく、IT産業の管理化に置かれる時代となりつつある。

現代では、巨大IT企業の個人情報収集への意欲というか情熱は、もはや「強欲」と呼べるレベルに達していると感じることがよくある。彼らがそこまで個人情報を欲望するのは、彼らが個人一人一人に関心があるからではなく、「ビッグデータ」と呼ばれている、人々の好み、関心、消費傾向などの個人情報の大量の蓄積が、お金になることをよく知っているからだ。それに加えて、これからの時代は情報を集め分析するパワーが、世界を支配するパワーであることもよく知っている。私が感じるに、最近のIT機器の仕様自体が、いかにそういった特定の巨大IT企業に「個人情報を献上する」かという観点と意志で造られているようである。
 
アメリカの刑事ドラマを見ていると、警察が関係者の個人情報に簡単にアクセスできることがわかる。顔写真、家族関係、就職履歴、クレジット情報、ローン情報、そして銀行でのお金の出し入れ、送金先、入金先など。個人情報保護など全く無関係で、(アメリカの)権力の側の人たちは国民を情報的に丸裸にできることがわかる。少し前に、そのアメリカの国家権力の情報収集の実態が暴露されて、ネット上で話題になったけれど、高度の監視社会という点では、アメリカと北朝鮮はソウルメイト同士である――違いは、監視の方法がアメリカはハイテクで洗練されていて、北朝鮮はローテクで古くさいというだけである。

IT(情報技術)は確かに便利である。が、便利さの裏側にはいつも多くのリスクと憂鬱がある。最先端IT技術によって個人情報を大量に収集する社会のリスクと憂鬱とは、それは必然的に、高度の管理&監視社会になる可能性が高いということである。おそらくそれは今読んでいるSF小説「ハーモニー」(伊藤計劃著 早川書房)に描かれる近未来のようになるだろうと予想される。

その社会では、生府(この社会は「政府」ではなく、「生府」と呼ばれている)のサーバーとつながっているWatchMe(私を監視して)というソフトを全員が体内に入れることで、病気がほとんどなく、肥満の問題もなく、人々はほぼ全員健康的な体をしている。人々はお互いに親切で人を気遣い前向きで、社会は優しさに満ちている。体はもはや個人のものではなく、生府が完全に管理し、タバコ、お酒など体に有害なものはすべて禁じられている超健康志向でハーモニー(調和)な社会。物語は、そんな社会に反逆して、自分の体への権利とそれを傷つけたり、殺したりする権利を主張する少女たちが主人公である。「ハーモニー」はなかなか予言的な小説である。(著者は日本SF界に彗星のごとく出現し、わずかな作品 を残して、三十代で病気で亡くなられたそうである)。

これから普及が予想される眼鏡型や時計型のIT端末の出現は、まさに個人体内情報をIT企業と政府が管理する社会の始まりであろう。まあ私は、本質的には「個人」はいないという教えの信者だし、「好むと好まざるとにかかわらず、あらゆる人、あらゆるものがこの波動する虚空からできている。読者の思考プロセスはひろがってすべての創造物に作用する。そこではプライバシーなどというものはないし、この時点でもう不平を鳴らしてもおそすぎる」(イツアク・ベントフ著「超意識界探訪」日本教文社)ということらしいので、最終的には個人情報もどうでもいいけど、それでも、IT利用の便利さとその裏側のリスクと憂鬱のバランスはいつも考えさせられることである。
 
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*2014年7月21日(月曜日─祝日)午後「私とは本当に何かを見る会」(東京)
*2014年7月27日(日曜日)午後「私とは本当に何かを見る会」(東京) 




「きっと、うまくいく」2014年06月22日 08時31分12秒

きっと、うまくいく」――ある方に、「とても面白い映画です」と熱心に勧められて、先日、見たインド映画のタイトルだ。 見る前は、3時間を超えるインド映画と聞いて、あの歌って踊りまくるボリウッド映画を3時間も見る体力・気力が自分にあるかどうか自信がなかったけれど、見始めたら、これがまた楽しい。あっという間に3時間が終わり、音楽もすごく気に入ったので、翌日にもう一度見たくらいだ。

日本でもヒットしたそうなので、ご存じの方も多いかもしれないが、インドの超難関工科大学の男子学生寮を舞台にそこに学ぶ三バカ(映画の原題は、3 idiots= 三バカ)学生が起こす騒動と彼らの10年後を描いた作品だ。
 
三バカの一人はランチョーという名前の実はハチャメチャな天才で、彼は仲間から「ランチョー導師(グル)」と呼ばれ、知恵とユーモアでいつも難局を切り抜けていく。彼はことあるごとに、「自分の好きなことをすればいい」とAal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)  と仲間に説くが、なかなか理解されない。周囲に理解されないばかりか、彼を嫌う保守的な学長に三人一緒に目のかたきにされ、あわや退学寸前まで追い込まれてしまう。

 この映画を見て、若い頃、両親と激しく喧嘩した日々を思い出した。「自分の好きなことをすればいい」VS「子供は親の期待通りに生きるべきだ」の対立は、インドにかぎらず、日本に限らず、今という時代に限らず、あらゆる時代のあらゆる国の若者が抱える普遍的葛藤である。この作品には、大学生の自殺というインドの社会問題も織り交ぜてあるが、日本でも就活がうまくいかなくて自殺する大学生がいるという話をどこかで読んだことがある。どれだけの若者が親や周囲の期待に応えられずに、苦しんでいることだろうか……

私もランチョー導師同様に、今も昔も自分にも他の人にも、「自分の好きなことをすればいい」と気楽に言うが、ただ  「自分の好きなことをすれば」Aal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)なのかどうかは、保証のかぎりではない。好きなことをしていても、見た目うまくいかないこともたくさんあるし、お金がまわらない時期もあるし、精神的に苦痛な時期もある。だから、実は、「自分の好きなことをすればいい」は、ものすごくハードルが高いメッセージであることも理解している。

それでもやっぱり「自分の好きなことをすればいい」とあえて言うのは、映画の中で学生の一人が似たようなことを言っていたように、「他人の言うとおりにして失敗すれば、あとで人を憎むけど、自分の好きなことをすれば、人を憎まずにすむ」からだ。 

死に際の「人生の後悔」についての調査によれば、後悔のNo1は、「自分らしく生きなかったこと」で、「何かをやって後悔している」人よりも、「何かをやらずに後悔している」人のほうが、はるかに多いそうである。だから、「自分の好きなことをすれば」、人生への後悔が減り、(人には憎まれるかもしれないが)人を憎まなくてすむという意味では、確かにAal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)である。

さて、ラメッシが亡くなってからインドへの思いと熱もすっかり冷めてしまったが、「きっと、うまくいく」を見てヒンズー語の音楽を聴いていたら、インドへの郷愁にひどく駆られてしまった。そして、インドに滞在していたときに「中毒」していたマサラドーサを突然に思い出し、どこかへ食べに行こうと思いたった。インドまで行くのは無理そうだけど……。

[イベント]

*2014年7月21日(月曜日─祝日)午後 「私とは本当に何かを見る会」(東京)
*2014年7月27日(日曜日)午後 「私とは本当に何かを見る会」(東京) 
http://www.simple-dou.com/CCP006.html




広島訪問―平和について2013年04月06日 07時59分28秒

先日、ワークショップのために、広島市を訪れた。広島の街を歩くのは初めてなので、ワークショップのついでに、グルメと観光も楽しんできた。

宿泊ホテルの近くに平和記念公園があり、朝、広大な敷地の中を散歩して、心地よかった。平和記念資料館にも立ち寄り、広島市と原爆投下の歴史もざっと知った。昭和20年とは違って、現代では狂気の沙汰と思えるほどの数の核兵器が、地球上に埋っている。万一どこかの気が狂った政治家かテロリストが、一回でも核兵器のボタンを押せば、それは使った国でさえ滅びる全地球の終りを意味している。ある意味では、核兵器とは、「実際は使えない子供のオモチャ」のようなもので、幼稚なマインドだけが、それを保持していることを誇るんだなあと、記念館をまわりながら、そんな印象をもった。

広島では外国人観光客も非常に目につく。原爆ドーム、宮島などで、各国の観光ツアーや個人で旅行している外国の人たちをたくさん見かけた。「ヒロシマ」は平和国家日本のブランドであり、そのブランドを見ようと、大勢の人たちが訪れるのだ。

広島にかぎらず、日本の地方の街はどこも観光と旅にピッタリである――街は清潔、インフラは整備されている、何を食べてもおいしい、人は親切、そして、安全・平和である――世界の中でも観光と旅にこれほどピッタリの国はないと、私はいつも日本を称賛している。そういう意味において、私も安倍首相と同じくらい愛国的だ。日本政府がお金を出して、世界中の有能な若者たちを大量に日本に留学・遊学させ、日本の素晴らしさを体感してもらえば、防衛力強化よりも、日本の平和にはるかに貢献するのではないかと思っている。

さて、先日のワークショップで、ある方が、「平和というと、何か、事なかれ主義のようなイメージがあって、あまりその言葉にいい印象をもっていないのですが、平和とは本当はどういう意味ですか?」という趣旨のご質問をされた。

平和を、事なかれ主義や何事にも受け身で関わらないと解釈するのは、まったくの誤解だ。現象的な意味で言えば、平和とは、必要なことに関わりながら、起こることに対して、できるかぎり平静でいることである。

それから本質的な意味で言えば、太古の昔から、「刀もそれを切ることができず、火もそれを燃やすことができず、水もそれを沈めることができないもの」(現代なら、原爆やピストルもそれを破壊することができない、と付け加えるべきだろう)と言われてきた、私たちの本質の絶対的平和である。

「平和」という言葉は、しばしば、「平和への願い」「平和への祈り」という形で使われ、広島でも時々それを目にした。もちろん、この言葉がこの地で使われる意味合いを私は理解しているが、しかし本当は、平和とは、願ったり、祈ったり、あるいは守ったりするものではなく、一人ひとりがそれを今ここに発見して、生きて・実践するものだ。

賢者の方々が世界(の平和)への貢献について、共通して言うことがある。それは、「自分とは何かを発見すれば、自分は世界であることがわかり、それが世界(の平和)への最大の貢献である」というものである。

私はこの言葉をいつも胸に刻んでいる。

[伝言]
ニサルガダッタ・マハラジのPrior to Consciousness(意識以前)は、出版時期は未定ですが、ナチュラルスピリット社より刊行予定です。Robert Adamsの情報については、下記の公式サイトに出ています。http://www.robertadamsinfinityinstitute.org/

[お知らせ]
*2013年4月28日(日曜日)「私とは本当に何かを見る会」(東京)
http://www.ne.jp/asahi/headless/joy/99_blank014.html




お金を使う能力2013年03月03日 08時59分46秒

お金に関する基本的三つの能力、

*お金を稼ぐ能力
*お金を貯める能力
*お金を使う能力

以上の中で、一番重要な能力は、「お金を使う能力」であると、私はそう思っている。特に現在のようなデフレの時代、別の言い方をすれば、金回りの悪い時代には、いっそうその能力が必要とされている。しかし、世の中ではほとんどの人たちが、「お金を稼ぐ能力」が一番大事だと信じているようであり、またお金を使うには能力は必要なく、お金さえあれば、誰でも簡単にお金を使うことができると思っている。

その誤解がどこからくるかといえば、多くの人が「お金を使う」とは、単に「お金を支払う」ことだと思っていることによる。「お金を使う」とは、本当の意味は、「お金を払ったものの価値を理解し、払った金額の対価を受け取る」ということである。だからお金を単に支払っただけでは、本当は、「お金を使った」ことにはなっていない。

たとえば、お金と時間があれば、誰でも値段の高いクラッシックのコンサートに行ったり、高級レストランで食事をしたりすることはできる。しかし、もしその人に十分なクラッシック音楽の鑑賞能力とかグルメ力がなければ、払った金額の半分も対価を受け取れないかもしれない。

反対に、2千円の本を買って、その本を何回も読めば、あるいは百円ショップで買った百円の品が非常に役立てば、それは支払った金額に対して対価をたくさん受け取ったということで、ビジネスの世界では、こういうことを「対費用効果が高い」という言い方をする。

お金を支払ったのに、対価を受け取れなかったものを、私は「不良債権」と呼んでいて、現在はどこの家庭にも不良債権があふれている――食べずに捨てた食品、買ったけど、ほとんど着ていない洋服、使わない食器、読まない本、聞かないCD、高い割りには使えないパソコンソフト等々。あるいは、自分にヒットしなかった映画、コンサート、セミナー、ワークショップ、途中で挫折した講座や学校など。

もちろん、誰の生活においても、以上のような不良債権をゼロにはできないものだし、お金を使うことに関して失敗してみないと、「お金を使う」能力は向上しないので、ある程度の不良債権はいたしかたないものである。

なぜ、私がお金を稼ぐ能力よりも、お金を使う能力のほうが大事かという結論に至ったかといえば、お金をたくさん稼いでも、お金を使う能力がないせいで、貧しい感じの人たちがいたり、反対にお金をたくさん稼がなくても、豊かに暮らしている人たちがいたりすることを、長年の間にたくさん見聞したからだ。世界中には極端な話、お金を稼がず使わず、豊かに暮らしている人さえいる―そういう生活を実験した記録、「ぼくはお金を使わずに生きることにした」マーク・ボイル著 紀伊國屋書店)という本が、数年前に日本でも翻訳出版されている――この本を読んで思ったことは、お金を稼がず使わない生活は、お金を稼ぎ・使う生活よりも、はるかに大変な能力(と体力)がいる、ということである。

それから、お金を稼ぐ・貯める・使うに関して思うことは、稼ぐことは一番個人の自由がない。つまり、それは非常に多くの要素――時代の景気と変化、(会社の)業績、天気、災害、自分の運、縁、そして神様の気まぐれ(笑)などなど――が複雑に絡み合って、必ずしも自分の能力だけでどうにかなるものではない。しかも、現在、日本銀行券をたくさん手に入れている人でも、未来にわたってそれが保障されているわけではない。それに比べれば、お金を使うほうは、今もっている範囲のお金を使うということであれば、どう使うのか、何に使うのかは、かなり個人の自由があり、自分にとって楽しいものに使えば、その瞬間に喜ぶことができる――おいしいものを買って食べるなど。

だから、私がお金を使うときに、いつも問いかけることは、「私はこれを買って(これに支払って)、楽しむことができるだろうか?」「長期的に使えるだろうか?」「対価を受け取ることができるだろうか?」ということである。そう問いかけていくと、私の経験では、不良債権はしだいに少なくなって、使ったお金が有効に生きているという実感がしてくる。

あるいは、漠然と「お金をもっと欲しい」と思うときがあれば、「私はそのお金を使う能力があるだろうか?」「私はそのお金を使う具体的用途をもっているだろうか?」と問いかけてみれば、たいてい、その「欲しい」は、「不安」から出てきていることに気づくかもしれない。

私と同じく金持ちでも貧乏でもない、ごく普通の経済状態の方々のために、誰でも実践できるデフレ時代の楽しいお金との付き合い方をまとめれば、

*自分が使うお金の対費用効果を高めるようにする。また持っている物はなるべく使うようにし、不要なものは、断捨離し、家と心の風通しをよくする。

*家庭内の不良債権を減らす。
*(節約・倹約だけだと、エネルギーが収縮して、ストレスがたまるので)、ときには、自分が本当に好きな物(事)や新しい経験のためにお金を散財して、楽しむ。
*余裕があれば、無償経済にも参加する。
*お金に関しては、迅速、正確、明確を心がける。

最後の「お金に関して迅速、正確、明確」は、父から教わったことで、これを実践していれば、人生において金銭トラブルをほとんど免れることができることを理解した。他のことは、父の言うことをほとんど聞かなったにもかかわらず、「金はさっさと払うもの、時間はきちんと守るもの」という父の教えだけはなんとか守るように努力できたのは、遺伝の力であり、父に非常に感謝している。

ビジネスの世界、スピリチャル系の団体や個人でさえ、お金に関して必ずしも「迅速、正確、明確」ではないことを、20年間の出版ビジネスの間によく経験し、ここでもまた驚くことが多くあった。今でも、90年代の初期に取引したあるスピリチュアル系の会社とのやり取りを思い出すことがある。その会社は本をたくさん買ってくれて、それはありがたかったのだが、支払い期日を数カ月すぎても、お金を一円も払ってくれない。いつ督促の電話をしても、「本日、経理はいません」「本日、社長はいません」の対応である。半年が過ぎたとき、さすがに私もブチ切れて、会社に乗り込んで、「お金を払いなさい」と、無理やりお金を出させて、借金を回収したのである。そのときは非常に不愉快な経験であったが、いざとなったら、自分は借金取りの役(笑)もできると、奇妙な自信がついた。

その会社の社長さん(お金をたくさん稼ぐ能力があるのに、お金を使う能力がなく、貧しい印象を与える典型的な人だった)、金銭トラブルとかでその後も週刊誌やネット上で、何度かお名前を見かけたので、何年たっても、まったく体質が変わっていないんだと思ったものだ。

[お知らせ]
*2013年3月23日(土曜日)「楽しいお金ワークショップ」(広島市)
詳細は下記へ
http://www.simple-dou.com/CCP037.html
 
*2013年3月24日(日曜日)「私とは本当に何かを見るワークショップ」(広島市)
詳細は下記へ
http://www.simple-dou.com/CCP038.html
 
 
*「バーソロミュー―大いなる叡智が語る愛と覚醒のメッセージ」が、ナチュラルスピリットより再刊されました。目次等の詳細は下記へ。
http://www.simple-dou.com/CCP039.html
ナチュラルスピリット
http://www.naturalspirit.co.jp/
*「1994年バーソロミュー・ワークショップ・試聴版MP3ファイル(東京会場)(京都会場)」が、下記のサイトより無料ダウンロードできます(1ファイル140MB録音時間約76分―ダウンロード時間はパソコンの性能にもよりますが、数分くらいです)
http://www.simple-dou.com/CCP010.html






デフレ―成功の代償2013年02月19日 11時24分01秒

今回の自民党政権は、前回病気で首相の座をおりた安倍首相と前回リーマン・ショックのあとの貧乏くじを引いた麻生財務大臣が中心になっているせいか、お二人とも前回の汚名挽回とばかり、特に経済に非常に気合が入っていらっしゃるようだ――「危機突破内閣」などという勇ましい名前までついている。

安倍さんは、まるで「デフレ」が敵であるかのように、「デフレ克服」を経済政策の第一目標にしている。しかし、私はよく思うことがある。そもそもデフレがそんなに悪いことか?と。確かに今はデフレ(つまり、物・サーヴィスの量がたくさん出まわっているので、価格が安い)であることが実感できる日々であり、ありとあらゆる物がかなり安い値段で手に入り、それにはよい面もたくさんあるはずだ。私自身は、無料でソフトや情報を使えたり、物にたくさんのお金を使わずにすんでいることを、いつもありがたく思っている。

それから、お金を上からばら撒けば(こういうお金を「ヘリコプター・マネー」と言うそうである)、それが景気回復に効果があるという考え方にも、疑問をいつも感じている。実際、90年代以後、歴代の政権は大なり小なり、デフレ対策をやってきた。つまり、世の中にお金をばら撒いてきたにもかかわらず、それはほとんど効果がなかったのである。麻生さんだって、前回首相のとき、国民給付金だったかで、国民に「ヘリコプター・マネー」をばら撒いたけど、デフレ克服には何の効果もなかったことは、明らかである。政府が、デフレ克服、景気回復のために(ほとんどが無駄に)ばら撒いたお金が、積り積って膨大な国家の借金となっているわけである。

日本のデフレ状況は、一つの原因だけでなく、1990年代以後の様々な日本社会の複合的状況の結果と必然的潮流であり、デフレの主だった原因を、列挙してみれば、

1生産年齢人口の減少(つまり、日本社会の老化)によって、日本人の物・サーヴィス消費能力(消費体力)が落ちている。

2技術革新によって、物を大量に安く生産することが可能になり、またアジア各国からの安い製品が大量に輸入されている。

3インターネットの普及による無料経済の拡大

4消費能力(体力)のない世代が、一番資産をもっている。

1の話は、以前に紹介した、「デフレの正体」(藻谷浩介著 角川新書)に詳しいが、これが日本社会のデフレの第一原因であることは、経済学者でなくても、誰にでも簡単にわかる話だ。要するに、国家・国民の老化によって、国家・国民全体の消費能力(消費体力)が落ちている。一般に、働いている人たち(若者・中年世代)は、引退した老人たちよりたくさん飲食することができ、物と経験への欲望に満ち、老人たちよりはるかに消費能力(消費体力)をもっている。国家も、発展途上のときは、より豊かな生活をめざして、物を買う意欲と体力に満ち(日本でいえば、1960年代、70年代、80年代の頃)ている。だから、若者が多い発展途上の国々は消費能力(消費体力)が高いといえるわけである。実体経済=国民の消費能力(消費体力)なのである。

しかし、現在の日本はどうかといえば、物や経験を買う消費能力(体力)のない老人たちが増え、しかもその老人世代が一番たくさん資産をもっている。そして、物質的には、ほとんどの国民がすでに豊かに物をもっているし、物は家々の中であふれかえって、その処分に困っているのが実情である。

以上の1、2、3は日本社会の止められない流れであり、4の問題もお金を使うことに対する個人の考え方の問題なので、節約・倹約世代にお金を使わせることは至難である。総合的にいえば、日本のデフレとは、戦後日本の経済と技術と医学が「あまりに成功しすぎた」代償ということであり、だから、自分たちの成功を認め・喜び、その代償を受け入れるしかないのでは、と思うのである。政府が何かをやればやるほど、「泥沼」、そんな感じである。

そんな日本の状況の中で、安倍さんは歴代の政権がやって失敗したことを、もっと制限なくやろうとしているわけである。(安倍さんが提言している政策は、安倍=アベとeconomics=経済学をかけた「アベノミックス」と呼ばれている)。

「アベノミックス」とは何をすることかといえば、世の中に出まわる通貨(円)の量を増やして、通貨(円)の価値を下げ、インフレ(アベノミックスでは2%の物価高が目標)を起こすことである。そして、どうやって通貨の量を増やすかといえば、日本銀行に日本銀行券を印刷させて、それで国債を買わせ、政府は公共事業などを通じて、国民と企業に金をばら撒くという方法である。

「贋金」を作って(安倍さんがやろうとしていることは、いわば、そういうことである)ばら撒き、円の価値を薄めて、偽景気回復をやろうとすることは、体力がない老人を薬でかろうじて元気にするようなもので、その薬の効果が切れたときの反動が恐ろしい。

たぶん、短期的には、「アベノミックス」のおかげで、円安、株高にはなるだろうし、公共事業関係は潤うだろうから、そういう世界に関わっている一部の頭のいい人たちはお金を儲けることができるだろう。しかし、大多数の国民にとっては、円安と消費税増税による物価高と実質所得の減少で、景気の悪化をもっと実感する時代が予想される。危機突破どころか、さらなる危機突入の可能性も大である――とはいえ、前回紹介した坂口さんのいう「革命」(ゼロ円革命)にとっては、さらにふさわしい時代となるだろうけれど。

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「バーソロミュー―大いなる叡智が語る愛と覚醒のメッセージ」が、ナチュラルスピリットより再刊されました。目次等の詳細は下記へ。
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人間は「貨幣」という考え方2013年02月05日 09時35分35秒

(2013年は最初何回か、経済から話題を拾っていく予定です)

先月の新聞に、今非常に先鋭的な活動をしている建築家、坂口恭平さんへのインタヴュー記事が掲載されていて、それを興味深く読んだ。(朝日新聞1月10日号記事――才能の交易こそ新しい経済 総理大臣としてゼロ円革命)

彼は、熊本に「新政府」を作って首相になり、そこに東日本大震災の被災者の人たちを無料で泊めたり、自分の携帯電話番号を公開し、「死にたくなったら『いのちの電話』へ」という活動をやったりしているそうである。

「無償の活動って、大変でしょう?」と言う人たちに対して、彼は、「これは金稼ぎだから、金がチャリチャリ自分のところに来ると思えば、うれしいし、無償の贈与って、豊さの象徴でしょう。だから、自分がやっていることは相互扶助とか社会貢献とか善意ではなく、ただ自分が楽しいからやっている創造行為です」という主旨の返答をしている。

彼の主張は、「人間は貨幣であり、次の経済は、人が円に代わり、人集めとお互いの才能の交易こそが、経済の主流になる」というものだ。

彼の主張、「人間は貨幣」は、突飛に聞こえるが、実はテレビ業界、広告業界では大昔から使われている考え方であり、現代ではネット広告・検索企業も大々的に使っている手法である。つまり、テレビ業界・広告業界、ネット広告・検索企業は、たくさんの人の気(エネルギー)を集めることで成り立っている商売である。「人間は貨幣」はまた、私が「楽しいお金」の中で述べた「お金の本質は人間のエネルギー」を、言い換えた表現でもある。

私たちがテレビを見ているとき、たとえ無料のテレビ番組でも、私たちはテレビという「集金機」を通じて、自分のエネルギーをテレビに出演している人たち、広告を出している企業、広告産業に差し上げている。テレビ業界の人たちが視聴率に一喜一憂するのは、たくさんの人が番組を見れば見るほど、人の気(エネルギー)が「集金機」を通じて集まる、つまり、金が儲かるからだ。(ついでに言えば、こういった無料のブログも同じことである――読んでいただいている皆さんには、「関心」というマネーを払っていただいて、感謝である)

だから、坂口さんの主張は昔から一部の業界で使われている考え方を、新たな発想で提出しているというわけである。どこが新しいかというと、今までの社会は、才能がたいしてない(と思っている)大多数の人たちが、才能のある(と思われている)ほんの一部の人たちを賞賛する(=「関心」という名のマネーを過剰に支払う)という一方的アイドル化が行われてきたが、これからの社会では、あらゆる人が自分のもっている才能をお互いに交易しましょう、というものである。彼の呼びかけは、「そこにいる死にたい気分のやつよ、死にたくなったら、まず俺のところへ電話して。そして少し元気になったら、お前も何かできることをやれよ。お前にだって、何か一つくらい好きなことややりたいことがあるだろう」という感じだ。

彼は自分の活動を「ゼロ円革命」と名づけ、日本銀行券という種類のお金に支配され、マインド・コントールされてきた今までの枠組みからの脱出を過激に呼びかける。しかし、坂口さんも別に日本銀行券を否定しているわけではなく、日本銀行券という目に見えるお金は、お金の形態のone of them でしかなく、その日本銀行券をたくさん集める(つまり、金儲けがうまい)のも才能の一つであるが、その才能もone of them でしかないということを言いたいわけである。one of themでしかないのに、お金を稼げるかどうかで、社会のヒエラルキー(階級)を作ることを否定しているのだ。

念のために言えば、私自身も日本銀行券は嫌いではないし、その魅力と魔力を十分に知っている――私は、買い物するとき、あんな20円の紙切れ一枚(一万円札の製造コストは20円くらいだそうである)で、山ほどの物が買えるのを見るとき、その日本銀行券を眺めて驚くことがある―いやいや、これはマジックだなと。

お金(貨幣)とは、元来は、人々が自分の労働で生み出したものを、お互いに交換するための媒体として創造されたものである。だから、本当は、お金よりも、人間の労働とその労働が生み出したもののほうが、お金(貨幣)よりはるかに価値があるのだ。それを忘れて、媒体のほうが、人間よりも偉くなり、人間はその奴隷のようになっていることが、現代世界がかかえるみじめさの一つである。

そのみじめさから抜け出せるかどうかが、坂口さんのいう「革命」でもあると思う。日本銀行券にひれ伏さず、同時に日本銀行券とは現実的につき合い、日本銀行券をたくさんもっている人は、楽しく自分と他人のために使い、日本銀行券をたくさんもっていない人でも、自分の才能・能力や労働を提供することができる。仮に無職で無一文だとしても、その人にはまだ一番貴重なもの、「意識」と「呼吸」が与えられている。彼の言う「革命」は、決してハードルは低くはないが、実行できないほど困難ではない。

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石原さんのトラウマ2012年12月18日 13時56分55秒

いつだったか日本維新の会代表の石原さん(前東京都知事)が外国人記者クラブかどこかでインタヴューを受けている映像を見たことがある。そのとき彼は、「日本が、国際的な発言力をもっていないのは、核兵器をもっていないからだ」と自分の持論というか本音を述べていた。

石原さんを見ると、父を思い出すことがある。父が生きていたころ、世の中の事件や国際政治について、父が言うコメントや意見は、ほとんどいつも石原さんとそっくりだったからだ。生き方も人生も人格もまったく違う二人のコメントが似ていることに気づいて、その思考ルーツがどこにあるのか興味をもったことがある。そして、なぜ父が、自分の故郷を空爆で焼け野原にし、広島・長崎に原爆を落としたアメリカを嫌ったり、憎んだりしないのか、それがずっと不思議で、あるとき父にそのことを尋ねたことがあった。

すると父は、単純にこう答えた。

「日本がアメリカに負けたのは、日本が弱かったから仕方なかったのだ」

愛国青年だった父が青春をかけて戦った戦争が無に帰した昭和20年の敗戦は、生涯消えることのないトラウマを父の心に残し、父はそれ以後世の中の現象、特に政治的事柄を「アメリカは強い・中国(と韓国とその他共産国家すべて)は悪い」「強いことはよい・弱いことは悪い」という思考パターンを通してしか見ることができなくなった。非常に読書家で物知りであったにもかかわらず、物事には別の見方もあることを断固受け入れなかった。

石原さんは私の父より8歳くらい年下なので、戦争には行かなかったはずであるが、それでもかなりの愛国少年であっただろうことは想像できる。彼のコメントのはしばしにあらわれる「中国(と韓国とその他共産国家すべて)が嫌い」「強いことがよい」のニュアンスから察するに、彼もまた昭和20年の敗戦のトラウマを引きずって生きてきた人のように感じられる。

それから、先月読んだどこかの新聞に、石原さんの人生の最後の夢というか野心について書かれてあった。それは、「自分が生きている間に石原家から総理大臣を出すこと」なのだそうである。息子が自民党総裁レースで負けて、息子にその夢を託す可能性がなくなったと見るやいなや、都知事の職を放棄してでも、「夢をもう一度」で、国政に打って出たというのがホンネのホンネらしい。石原さんにとっては、個人的野心や夢をもつことは長生きするためにはいいことだろうけど、原則脱原発の橋下さんと、核兵器・原発大好きな石原さんが組んだ先にあるものは、今の民主党の姿、つまり、いずれ分裂か崩壊であろう。

さて、今年読んだ数少ない本の中で、「NYPDNo1ネゴシエータ最強の交渉術」(ドミニック・J・ミシーノ著 フォレスト出版)という本がある。NYPDとはニューヨーク市警のことで、著者はここで長年人質事件のプロフェショナルとして活躍した人だ。アメリカの人質交渉人の世界というとハリウッド映画のように派手なドンパチの世界というイメージがあるが、しかし、超一流の交渉人の世界はまったく別なのである。つまり、超一流の交渉人とは、武器をできるだけ使わずに、言葉で犯人を説得して、しかも死人やけが人をできるだけ出さないで事件を解決する人のことなのだ。

数々の難事件を解決してきた著者は、その極意を本書の中で語っていて、それをいくつか紹介すると、

*言葉こそ銃にまさる最高の武器
*(犯人に対する)誠実さと共感―礼儀と敬意が重要
*自尊心に囚われると失敗する

という、普通の人たちが考えるものとはまったく異なるもので、決して石原さん流の「そこの悪いやつ、こっちは大量・強力の武器をもっているから、さっさと降参しろ。さもないと攻撃するぞ」ではないのである。これをやるのは三流動物交渉人で、その結果はたいてい、(ハリウッド映画のように)たくさんの死体が転がることとなる。

日本を三流動物交渉人国家にしようと、80歳を超えて、トラウマに駆り立てられ暴走している石原さんは少々痛ましい。自らを日本国と一体化している石原さんはまた、誰よりも日本の老いと弱体化を自らの老いとリンクさせて感じていらっしゃるのだろうが、しかし、誰が叫ぼうがわめこうが、政権が変わろうが、自衛隊を国防軍にしようが、憲法を変えようが、(人口比に対する老人の割合が増え続けるかぎり)、国家の老いから来る弱体化は誰にも止められない。

で、「わけのわからない多くの党から選ぶのが面倒」「不安定がイヤ」で、「安定している自民党にイヤイヤながら回帰」した今回の選挙は、日本国の選挙民の高齢化がすすんでいることを物語っている。

[お知らせ]

「瞬間ヒーリングの秘密-QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し」(フランク・キンズロー著 ナチュラルスピリット発行)が、発行されました。目次等は下記サイトをご参照ください。

http://www.simple-dou.com/CCP036.html

☆「1994年バーソロミュー・ワークショップ・試聴版MP3ファイル(東京会場)(京都会場)」が、
下記のサイトより無料ダウンロードできます(1ファイル140MB録音時間約76分―ダウンロード時間はパソコンの性能にもよりますが、数分くらいです)

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