ニサルガダッタ・マハラジの教え(2)Prior to Consciousness2017年09月10日 13時50分43秒

 それぞれの賢者、伝道者には独特の用語や表現というものがある。前にも書いたことであるが、それが読者や探求者のマインドを混乱させる大きな原因となりうるものだ。「この点に関してはあの賢者はこう言っていたけど、この賢者は別のことを言っている」  みたいな。

マハラジの本の中では、本の中でさえも言葉上では矛盾が見つかる。それをPrior to Consciousness(意識以前―仮称)の原書編集者も前書きで指摘していて、それはマハラジがいつもそのときの相手にふさわしい言葉を使っているからだ。本書の内容は、大勢の人に向けて一般的に講演したものではなく、あくまでも自分の目の前にいる人に対して、その人にとって必要な言葉が、(マハラジの頭の中で作りあげたものではなく)自然に出てきたものだ。マハラジは「物事は自然に出てくる」という表現をよく使う。
 
マハラジがPrior to Consciousnessの中で、「私を皆さんを最高のレベルへ導こうとしている」と何度も強調しているが、では彼が語るレベル(つまり、探求者がいま現在どの理解にいるかというレベル)とはどんなものか、簡単に紹介しよう。

1「私は1個の肉体・マインド である」
2「私は存在である」(I Am=私は在る=意識の状態)
3「私は非存在(非現象)である」(絶対の状態)
 
本書で、マハラジは1のレベルの話は一切せず、「自分の話は『私は在る』に充分安定した探求者たち向けのものだ」の何度も言っている。

原書編集者が「死ぬ2年前くらいから、肉体・マインドに関する一切の質問を受け付けなくなった」と書いているところから想像すると、それでもそれ以前は肉体・マインドに関する質問にも答えていたようだ。

また彼は「以前の私の話は、ある程度人々は理解したが、自分の現在の話をほとんどの人は理解しない」とも言っているところを見ると、最晩年になるにつれて話のレベルをしだいに上げていった様子もうかがえる。

本書を読むさいに注意すべきことは、本書の中では「意識(Consciousness)」は最終状態を指す言葉ではなく、「絶対が現象として顕現した状態」を指し示す言葉として使われ、「意識の状態」は絶対へと超越されるべきものとして語られている。

そして、ここが肝心なところだが、その絶対の状態とは達成されるべきものはなく、永遠にあらゆる人の背後にある土台であり、今述べた2の意識状態と3の絶対状態は分離しているわけではなく、二つで一つ、コインの表裏のようなものだ。  あらゆる賢者が言っているように、現象と非現象、色と空(くう)は一つである。
なので、「超越」という言葉が使われてはいるが、実際は「何かをしてどこかへ超越する」というより、意識と絶対は一つであることを直観することに他ならない。

さもないと、「どうやって私は絶対の状態へ行くのでしょうか?」などという誤解された質問が出てくるわけだ。

実際、すでにそこにいるゆえに、「そこに行く」とか「そこに到達する」という問題はないわけで、「どうやって?」という質問に対して、マハラジは、「『私は在る』の状態にただ留まっていないさい。そうすれば自然に理解は起こるだろう」と言う。

マハラジの方法論は、「ただ在る」、「ただあらゆることを観照する」ということに尽きる。そして、もし「ただ在る」、「ただあらゆることを観照する」ことができない人、あるいは知的にも彼の話を理解できない人は、まだ充分にそれ以前の修行(瞑想やバジャン)、彼の言葉で言えば、「宿題」が終わっていない状態であり、もし自分の話がわからなければ、ここに来るべきではないとも彼は言う。

マハラジも含めて、あらゆる賢者たちが言っていることは、「現実とは何か」「私とは何か」「世界はどのように存在するようになったのか」についての科学であり、信じるべき信仰ではない。ダグラス・ハーディング同様に、マハラジの言っていることはきわめてシンプルで科学的であり、彼自身「科学的態度をもつべき」ことを強調している。

実際、マハラジはダグラス・ハーディングのことを知っていて、イギリスから来た探求者には本国へ戻ったら、ダグラス・ハーディングに会いに行くように勧めていたという。またダグラス・ハーディングもマハラジを高く評価していた。彼の「顔があるもの 顔がないもの」(マホロバアート発行――現在絶版)の五章「存在が自ら生じる神秘」の章で、「自分の中心の顔のなさを見る」ことをマハラジの教えと絡めて語っていて、マハラジの言わんとしていることをより立体的に表現している。本書をおもちの方は、この部分を再読されると、マハラジの話もより理解しやすいのではないかと思う。


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ニサルガダッタ・マハラジの教え(3)Prior to Consciousness2017年09月22日 14時40分35秒

 *「私が在る」ときだけ、世界はある。
*非現象である絶対が、「私は在る」という気づき(意識)が起こったとたんに、形として顕現する。
 
今回は、マハラジのこれらの主要な観念について書いてみよう。
 
たとえば、「見る」という単純な行為を例にとってみよう。

常識では、普通次のように想定されている。

「私」(主体=1個の物体)  が、「別の物」(対象物=1個の物体)を、「見る」。

しかし、「果たして、このような分離した三つ組が本当に存在しているのだろうか? むしろ、何かを見るという行為(何かに気づくこと)が起こる瞬間に、物が存在するのではないだろうか?見ている主体は1個の物だろうか?見ている主体とは何か?」というのがマハラジをはじめ、非二元系の賢者の問いだ。

そこで、見られている対象物から、見ている主体に注意を移す(ダグラス・ハーディングの指さし実験を参照)と、そこにいる主体は物体ではなく、単純なる「私は在る」という気づきである。

その「私は在る」の気づきは見られている物と分離しているわけではなく、気づき(意識)=目の前の物質世界である。

マハラジがPrior to Consciousness(意識以前-仮称)の中で強調していることは、「『私が在る』から、世界が在る」、「『私が在る』から、月や太陽が存在する」ということだ。

人間の「私」と違って、『私が在る』の「私」は崇高なのだ。

しかし、Prior to Consciousness(意識以前――仮称)の中では、マハラジの主要なテーマは『私が在る』ではなく、意識が起こる以前の話(だから、原書のタイトルが「意識以前」)で、マハラジは「私は皆さんを絶対へ導こうとしている」と強調している。

マハラジが「私の以前の話はある程度、人々は理解した」と言うとき、たぶんその話とは「私は在る」についての話のことだ。「在る」という話は、理解しやすいし、ある意味で安心感さえ与える。「私は1個の肉体・マインドではなく、意識である」という認識はある種の喜びと平和を与えるものだ。しかし、マハラジは探求者たちが楽しんでいるこの観念さえ、破壊しようとしている。

「私が在る」が起こる前、あなたは何だったのか?これがマハラジの問いである。

ダグラス・ハーディングはマハラジと同じことをもっと文学的に表現豊かに語る。(「顔があるもの顔がないもの」(マホロバアート発行――現在絶版)の五章「存在が自ら生じる神秘」の章を参照のこと)

ダグラス・ハーディングがこの章で格調高く語っていることを、ものすごくくだけて書けば、こんな感じだ。

(自分とは何かに気づいていなかった)「私」が突然に目覚めて、「ああ、私って存在しているじゃん!私は何にもないものでかつすべてなんだ。すごい!」と気づき、自ら驚き喜んでいる、という感じ。

ダグラス・ハーディングは「『在る』ことが変則で、本当は何もないことが常態であるのに、その変則が毎瞬起こっていることが奇跡だ」としばしば語った。彼は存在していることを不思議がっていて、いつも驚いていた。しかし、彼の実験に長年親しんでいる彼の多くの友人たちでさえ、この不思議感と驚きはなかなか共有できないものなのである。

今でも思い出すことがある。パリでダグラスのワークショップがあったときのこと、ワークショップが終わったあと、ダグラスとキャサリンと十数人の人たちが近くのカフェに行き、フランス人の友人たちとキャサリンは久しぶりに再会した喜びで、色々な話で盛り上がっていた。私とダグラスだけがフランス語の会話に参加できないので(ダグラスはフランス語をある程度上手に話すが、どうしても必要な時以外は話さなかった)、片隅に静かに座っていた。そのとき私の目の前に座っていたダグラスが私に気を遣って、突然私に話し始めた。

存在しているということは本当に不思議なことだ。本当は何もあるべきじゃないのに、世界がこうして毎瞬、存在している。本当に本当に不思議で神秘だ。そう思わないかい?」と平凡なカフェの風景を眺めながら、彼はこう切り出した。

彼が存在の不思議さをよく話題にすることは知っていたが、私の中には不思議感というのがまだなかったので、私は肯定も否定もしないで、ただ黙って聞いていた。それからさらに彼は、「君の国の日本で、存在の不思議さについて書いたり、しゃべったりしている人が誰かいるかな?」と私に質問し、そのときはとっさに誰のことも思いつかなかったので、「いいえ、誰もいないと思います」と答えた。あとになってふと、早世された哲学系の文筆家、池田晶子さんの名前が思い浮かび、確か彼女が似たようなことを書いていたかもしれないと思い出した。

ダグラスは、「存在することの不思議感や神秘感」についてよく話題にしたが、しかし、そういう感覚が湧き起こっても起こらなくても、「私とは本当に何かを見る」こと自体にはまったく影響しないし、それは憧れて、目指すべきようなものではないとも言う。彼は子供の頃からそう感じてきたそうで、彼に関してはそれは天性のものだと思う。

私の場合は、長い時間かかってようやく「在ることの不思議さを時々思う」程度にはなったが、普段は特別に不思議感に満たされるというわけでもない。

では、最後に、Prior to Consciousnessで、マハラジが推奨するサーダナ(修行)を紹介してみょう。

*ただ静かに座り、物事の流れを観照する。
*熟睡から目覚めの間にあるものに注目する。
*熟睡→(非個人的)「私は在る」の目覚め→世界の出現→活動の始まり、を注意深く観察する。

熟睡と目覚めた状態の間にあるもの、それは何だろうか? それは言葉がない「私は在る」であり、のちに言葉が流れ始めて」(「意識以前―仮称」より)

*目覚めているときに、自分の注意の向きを逆転させて、思考・マインドから意識へ、意識から絶対へ退却する。マインド・思考→「私は在るという意識」→絶対

あなたが目を閉じたときに見える暗闇、それがグルの恩寵の影だ。それを忘れないように、いつも心に留めておきなさい。グルの恩寵の木陰で休みなさい。あなたがグルの言葉を思い出すたびに、あなたはグルの恩寵の木陰の中にいることになる」(「意識以前―仮称」より)


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