「世界は幻想である」 とは?(2) ― 2018年02月04日 08時45分39秒
前回、非二元系の教えにおける「世界は幻想」の定義を説明した。インド系の賢者はこの観念を多用するが、しかし、私の経験によれば、「世界は幻想である」 という観念は非常に誤解と迷妄を与えやすく、生半可に受け取ると多くの場合役に立たないどころか、人生に悪影響を及ぼすことすらある。
ダグラス・ハーディングは「幻想」という言葉を嫌い、彼は自分の著作やワークショップでまずこの言葉を使ったことがない。ダグラス・ハーディングからすれば、世界は幻想どころか「神の顕現である」。それは驚嘆して丁重に扱うべきものであって、軽蔑したり、拒否したりすべきものではない。
私はこの点に関しては、インド系の賢者よりも、ダグラスの表現のほうが好きだし、自分の目の前の世界(神の顕現)に展開すること(よいことも悪いことも)に毎瞬明け渡すことが、いつでもどこでもできる霊的な練習(修行)だと思っている。
言葉で書けば、「幻想」と「現実」と二つの状態があるように思われるが、実際はそれは硬貨の両側のように二つで一つであり、そのことはマハラジもダグラスも強調している。有名な般若心経 の句、「色即是空」「空即是色」も、「涅槃と世俗は一つである」という意味だ。
私が思うに、「幻想」ということでいえば、「世界は幻想である」という観念より、むしろ、「私と世界は分離している」「私は1個の肉体・マインドである」という観念のほうがはるかに幻想であり、それを徹底的に調べるほうがはるかに霊的探求においては役立つ。
「自分とは本当に何か?」がわかれば、「世界は幻想かどうか」という議論はほとんど意味もないし、そして重要なことは、私たちが「世界は幻想だ」 と考えても、「世界は現実だ」 と考えても、その他世界をどう考えても、人生の苦しみがなくなるわけではないということだ。肉体が他の物にぶつかれば、それはどんな考えをもっている人にとっても「痛い」し、病気がふりかかれば、やはり「苦痛」だし、仕事、家庭生活、その他において、辛いこと(苦しみ)は誰にでも平等にある。
ただ「自分とは本当に何か?」がわかれば、すべてのことをそれほど深刻に受け取らないだけのことだ。
マハラジは、自分の癌の苦痛を個人的に受け取らず、「私という存在性の表現」みたいな言い方をし、さらに彼は、世界には一定量の苦しみがあり、一人ひとり(というより一つ一つの心身組織)にはその苦しみの配分が与えられていると言う。 つまり、マハラジが言っていることは、人生における一定量の苦しみを誰も避けることはできないという意味だ。
話を「幻想」に戻すと、昔、私が「般若心経」の言葉の意味がどうしても理解できず、格闘していた頃、ある日やっと気づいたことがあった。 それは「幻想」と「現実」の定義が、人間の日常的感覚(二元的世界の感覚)と般若心経では真逆であるということである。
般若心経は「五感で感じられたり見られたりするものは実体がない=幻想である」と言うが、私たち人間の感覚からすれば、「現実とは五感で感じ、認識できるもの」で、幻想とは「五感で感じ・認識できないもの」ということになる。
般若心経の観点と論理から言えば、もし私が自分の手をテーブルにぶつけて、痛みを感じれば、「痛みを感じるゆえに、痛みは現実ではない」ということになる。
このことに気づいて、ようやく人間的マインドと論理の枠組みでは般若心経をどうしても理解できないことを理解したというわけだ。
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2部 サルの壁 人の壁
3部 人生は、ド・アホでいこう!
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