ダグラス・ハーディングへの最後の質問――「父と子と聖霊」(1) ― 2018年09月13日 16時16分39秒
長らく諸事情で作業が中断していた「ダグラス・ハーディングのグラフィック伝記」(正式なタイトルは未定)の編集作業が先日再開された。この本については、来月から書くことにして、 今回はダグラス・ハーディングに関連して以前いただいたご質問、「私が最後にダグラス・ハーディングに質問したこと」 について書いてみよう。
それはダグラスが亡くなる半年前の2006年の初夏のことで、ちょうど私が「ダグラス・ハーディングへのインタヴィユー」DVDの日本語版を作っていた頃だった。インタヴューの中の英語に関して不明箇所がたくさんあったので、これを制作したリチャード・ラングに質問するためにロンドンへ行く必要があり、そのついでにダグラスとキャサリンにも会いに行こうと思いついた。
この当時、ダグラスはすでに車椅子生活で、人間的記憶をかなり失っていたので、キャサリンとほんの数人の親しい友人以外は、誰のことももうわからなかったし、ほとんどしゃべらなかった。彼は寝ている時間以外は車椅子に座って、読書(キリスト教神学の本)をしているか、昼寝をしているか、食事をするか、居間から遠くの風景を眺めているかして、 一日を過ごしていた。
私はその質問をイギリスへ行く前から考えていたのだが、実際に彼に会って、ほとんどしゃべらない状態だったので、最初は「もう質問も無理だなあ」と感じた。でもキャサリンが、「人間的な会話はできないけれど、このワークに関することや形而上学的なことなら、話し合うことはできると思うわ」と言ったので、思い切って質問することにした。
その質問とはキリスト教の教義における神と聖霊の関係というか、そもそも「『聖霊』とは何か?」という質問だった。聖霊は英語ではHoly Spirit といい、神(God)とは違うもののようにキリスト教系の本の中では語られている。
私はキリスト教の教義のいわゆる「父と子と聖霊」という三位一体の概念がわかるようでわからないという感じで、いつも自分をすり抜けてしまうことが長い間、気にかかっていた。私の中では三つではなく、二つ(父と子)だけでは不十分(笑)なのだろうかという、奇妙な疑問があった。
話は少し横にそれるが、スピリチュアル系の英語の本の中で、spiritという単語は適切な日本語訳をつけるのが非常に困難で、たいていの場合、「スピリット」で逃げる(笑)のがほとんど定番の訳になっている。この春出版されたマハラジの「意識に先立って」の本にも、1箇所だけ唐突にspiritという単語が出てくるところがあり、あれこれ考えたけど、結局は「スピリット」という訳以上によい言葉を思いつかなかった。
spiritという単語が出てくるたびに、この本の中のspirit とまた別の本のspiritは同じことを言っているのだろうかということがいつも私を悩ませる。もし大文字でHoly Spiritとあれば、それは「聖霊」という訳にすればいいけど、では、Holy Spiritとspiritの違いとは何かという疑問が残る。
そんなわけで、私はいつかダグラスにspirit について質問しようと思っていた。彼は子供の頃から純粋で真正なキリスト教徒である。彼は世界の様々な宗教を幅広く学び、研究したけど、また最晩年は子供の頃に戻って、著作にもキリスト教徒という面がかなり出てきたように私は感じていた。だからこそ、彼にこの有名なキリスト教の教義について尋ねてみたいと思ったのだ。
彼に私の質問を理解してもらうために、私は非常に短い質問を二つだけした。「人間的記憶は飛んでいるのに、形而上学の話は理解できるってすごい !」と思いながら質問すると、彼は昔と同じようにすぐに私の質問の意味を理解して、答えてくれた。
私がした質問は正確には下記の二つだ。
1「神と聖霊は同じものですか?」
2「聖霊とは具体的に何ですか?」
2「聖霊とは具体的に何ですか?」
1の質問に関しては、彼は短く、「同じではない」 と答え、2の質問に対しては、テーブルの上にあった紙にわざわざイラストを描いて答えてくれた。正直なところ、その説明を聞いても、結局まだわかったようなわからないようなという感じが残った。
でもそのあと、もしこの三位一体の教義が単なる人々が好む観念や道徳ではなく、真理にもとづくものなら、それは仏教にもアドヴァイタにも似たような概念があるはずだと思い、もう一度初めから考えてみることにした。
そして、ようやくやっとこのキリスト教の三位一体を自分なりに納得し、理解した。それについては次回に続きを書こうと思う。
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