変えるべき「人」も「社会」もない2019年12月22日 16時05分13秒


(紙の本はシンプル堂で販売しています)
私が「楽しいお金」のキンドル版の前書きに、「これを最初に書いた頃と今は、多少考えが変わったことがある」と書いたことに対して、「どう変わったのですか?」というご質問を前にいただいた。

今日はそれに対してお答えしながら、非二元の教えにおいては、「変えるべき人も考え方も社会もない」という概念を説明してみたいと思う。

私が90年の初頭に出版社を作った頃、私の中にまだ、「自分自身や人生について、あるいはお金や人間関係について多くの人たちが考え方や生き方を変えれば、社会はよりよくなりうるはずだ」というかすかな希望のようなものがあった。それが無謀をかえりみず、私が出版社を作った(自分の中での)動機だった。

私は、「考え方を変える」のは、洋服を着たり脱いだりするようなもので、誰でも簡単に自由に変えることができるだろうと思っていたのだ。大人になってからの私は、若い頃から「自分の自由意志」という信仰の信者だった。

だから、今読み返してみると、90年代初頭に書いた「楽しいお金」には特に、「自分の自由意志」とそれに伴う「自己責任」という信仰の影響が強く残っている(それでもお金についての基本的考え方は変わっていないので、キンドル版の内容も当時のままで変更はしていない)。

それから、私は非二元系の教えに出会い、私は非二元系の賢者の先生たちが言っていることの正しさを確信するようになった。前にも書いた話だが、特にラメッシの「意識は語る」の本を最初に読んだとき、「すべては神の意志であり、神の意志がなければ何事も起こらない」という彼の言葉に衝撃を受け、ショックで1週間も寝込んでしまったほどだ。もしすべてが「神の意志」なら、人が考え方を変えるのも変えないのも、どんな考えをもっているにしろ、本人の自由意志でも責任でもありえないではないか!と。そもそも生き方を自由に選ぶことができる「個人」が存在しないのだ、ということを理解した。

しばらく、非二元の教えと「自分の自由意志」の信仰の間で葛藤したが、そのうち私が「自分の自由意志」を信仰するようにプログラムされたのは神の意志で、それを特に無理して変える必要もないし、私が何を信じても、それもそれで神の意志なのだと納得した。だから、今でも、シンプル堂と呼ばれている「人」は、見かけの自由意志と自己責任をゆるく信仰したままである。

社会に関しては、人類の歴史を多少学んで、「社会は変わり続けるが、誰の努力によっても決してよりよくはならず、永遠に問題を抱え続ける」ということを理解した。

ラメッシ、マハラジも含めて、インドの非二元系の教えでは、「社会(現象世界)は幻想である」というのが定番の考え方で、「ニサルガダッタ・マハラジの教え」(仮称)の本の中でも、マハラジがそれを軽快に論理的に説明している。

非二元の観点から見れば、「社会もその中の人間も意識の中のイメージ・物語にすぎない」のであり、映画の世界と同じように実体がない。「実体がないものを変えたり、救ったりすることはできない」というのが、「ニサルガダッタ・マハラジの教え」(仮称)の中で、マハラジが日々繰り返している話である。(ただし、私自身はダグラス・ハーディング同様に、「幻想」という表現をあまり好まないし、正しく理解しなければ、「現象世界は幻想である」はかえって人生に悪影響を及ぼす可能性もあると思っている)

そして、その物語社会の風景(イメージ)は変わり続けるが、その中にいる人間(人類)の行動パターンも思考パターンも、数千年間(ブッダやキリストの時代も、時代劇の中の江戸時代も、現在の日本と地球社会も、SFなどで描かれる数千年後の未来宇宙も)、驚くほどほとんど変わっていない。

権力者たちはいつの時代も腐敗し、庶民(国民、平民)から吸い上げたお金(つまり、税金)を、庶民には何の役にもたたないプロジェクトや私利私欲のために湯水のように浪費し、我が世の権勢を誇って祝杯をあげ、あらゆるところで動物園の住民たちは権力闘争に明け暮れ、そして愚かしい理由で、戦争が起こり続けている。

安倍首相が税金で大勢の「自分の」支援者を集めて、彼らに囲まれながら桜を眺めてご満悦な様子も、大昔から変わらない、そして数千年先の未来でも変わらない権力者の滑稽でかつ普通の姿なのだ。別に安倍首相が特別に「ひどい」政治家ということではなく、映画の中の権力者という役割の俳優はみな同じように思考・行動する。

だから、90年代の頃と、それ以後私の考えの何が一番変わったかというと、「人が自分の意志で考え方や生き方を変えることができる」や「社会がよりよく変わる」という考えを捨て、「理想の社会」とか、「平等で平和な社会」というシナリオがありえないのだと、理解したことだと思う。

「社会がよりよく変わる」、「人が自分の意志で考え方や生き方を変えることができる」という考えは捨てたが、それにもかかわらず、私が今でも本に関する仕事をして、非二元の教えを伝えているのは、つまり、非二元の教えの宣伝員のようなことをやっているのは、「人」も「社会」も架空にもかかわらず、主体である「私」(意識している存在)が、恩寵(神の意志)によって、「私とは本当に何か?」に目覚めれば、そのおかげで、意識が一つの肉体精神機構を通じて、日々顕現する世界が少しだけ親切で平和で美しい世界になる可能性を信じているからであり、それが私の経験でもあったからだ。

まあ、それさえ、本当のところは、私がそう考えている(=シンプル堂という物体にそういう「思考」が起こり続けている)だけで、実際は、現象はどんな人の関与も理由もなく、ただただそう起こり続けているだけ……という非二元特有の「身も蓋もない」いつものつまらない結論(笑)となってしまうのであります。

〔お礼〕
本年もシンプル堂の活動に多大なご支援をいただき、ありがとうございました。また本をご購入くださった皆様、直接お会いした皆様、ご縁に感謝します。それでは皆様、楽しく平和な夢年末・年始をお過ごしください。来年は1月中旬からブログを再開する予定です。


[イベント]




[お知らせ]
[新刊発売]

「頭がない男-ダグラス・ハーディングの人生と哲学」
*定価:本体価格2,500円+税 *版型:B5版(フラカラー)183ページ*発行:ナチュラルスピリット
*目次詳細 

*アマゾン社の広告
https://www.amazon.co.jp/dp/4864512981

[シンプル堂電子書籍・音声ファイルの販売につきまして]

シンプル堂の電子書籍と音声ファイルの販売を委託していましたDlmarket が
営業を終了し
ました当面、下記電子書籍、音声ファイルの販売はシンプル堂で行います。
ご希望の方は下記シンプル堂までご連絡ください。


現在販売中の商品

動物園から神の王国へPDFダウンロード縦書き版」(本体価格 1500円)(453ページ)
  
試読版無料ダウンロード
 https://1drv.ms/b/s!Ai3TZmJC9gNJhGHyMMb0_abLPm5o

動物園から神の王国へPDFダウンロード横書き版」(本体価格 1500円) (367ページ)
試読版無料ダウンロード

「楽しいお金」PDFダウンロード版(本体価格 1,000円)
試読版無料ダウンロード
https://1drv.ms/b/s!Ai3TZmJC9gNJhGME_pCKQUY5J-3j

「 楽しいお金3」PDFダウンロード版(本体価格 1,000円)
試読版無料ダウンロード
https://1drv.ms/b/s!Ai3TZmJC9gNJhGQOyvyjpR4C9wkD

 「人をめぐる冒険 」PDFダウンロード版(本体価格 1,000円)
試読版無料ダウンロード
https://1drv.ms/b/s!Ai3TZmJC9gNJhGXevb9snCq6Ds7L

「1994年バーソロミュー・ワークショップ東京会場1日目」MP3ダウンロード版(本体価格 2,000円)

「1994年バーソロミュー・ワークショップ東京会場2日目」MP3ダウンロード版(本体価格 2,000円)

「1994年バーソロミュー・ワークショップ京都会場1日目」MP3ダウンロード版(本体価格  2,000円)

「1994年バーソロミュー・ワークショップ京都会場2日目」MP3ダウンロード版(本体価格 2,000円)
東京会場試聴版無料ダウンロード

京都会場試聴版無料ダウンロード

 
[お知らせ]

ラメッシ・バルセカール     『誰がかまうもんか?!』電子書籍版が発売されました。




*フランク・キンズロー『瞬間ヒーリングの秘密』 電子書籍版


*トニー・パーソンズ  『何でもないものがあらゆるものである』電子書籍版

ダグラス・ハーディング「存在し、存在しない、それが答えだ」(ナチュラルスピリット発行 本体価格 2300円)好評発売中。

目次は下記のサイトに掲載してあります。
http://www.simple-dou.com/CCP041.html








コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
日本の首都はどこですか?

コメント:

トラックバック