秋の神輿祭り2025年10月03日 10時29分34秒

[ハム様へのご質問の回答]
ラメッシ・バルセカールの本の翻訳は、いちおう予定はありますが、出版が実現するかどうかは現時点ではまだ未定です。期待しないで待っていただければありがたく思います。(シンプル堂)

[新刊案内]

*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。




*『自己覚醒へのマスター・キー』シュリー・シッダラメシュヴァール・マハラジ 著、

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


〔Youtube]

U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』(22)


昔は、政治のことを政(まつりごと)と呼んでいた時代があった。そして、政(まつりごと)は祭り事でもあったのだ。その「祭り事」の意味は、現代私たちが普通に使っている「祭り」という言葉とは、意味が異なるが、しかし、国政の政治家とは祭りの神輿の一番上に乗る人たちと考えるとわかりやすい。

では神輿を担ぐのは誰かと言えば、仲間の政治家であったり、マスコミであったり、一般国民であったりする。だから、神輿の上にいる政治家の皆さんは、「私は〇〇をやります」、「私は〇〇を達成します」と勇ましく叫ぶけれど、彼らの言葉はまず実現しない。なぜなら、実際神輿を動かしている人たちは別の人たちであり、そもそも根本的に日本という国を動かしているのは、政治家の言動ではなく、国民の思考と労働力である。国民が考え、働かないかぎり、国家はまわっていかない。

さて先日、真山仁さんという作家の方のインタヴュー記事をネットでたまたま読んだ。彼の最新作『アラート』(新潮社)についてのインタヴューで、本書は日本を守るために防衛費の増額が絶対必要という信念の(女性)政治家が主人公(←ただし、「私は奈良の女です」の、あの女性政治家がモデルではないとのこと)の小説だそうだ。そして、たまたま今自民党総裁選のさなかということで、総裁候補についても話題が及んだ(私は真山仁さんの本は何冊か読んだことがあるが、この『アラート』は未読)。

今回自民党総裁選に立候補している5人の中で一番人気の候補について、真山さんは、「彼は神輿が軽いから、誰でも担ぎたがる」と評していたが、言い得て妙である。

「軽い」ので、党内でも党外でも、老人も中年も若者も、「誰でも担ぎたがる」。つまり、人気がある。比較して言えば、たった一年で首相の座を引きずり降ろされた石破さんは、「神輿が重すぎて、誰も担ぎたがらない」。特に党内での不人気(嫌われぶり)は致命的で、まあ、今までずっと本ばかり読んで考えてきた人の弊害で、人間関係をうまく築くことができなかったのだろうと思う。

老人人口が30%も占める体力のない老人大国では、担ぐ神輿は軽いほうが好まれ、いいのかもしれない。でも担いでいる人たちは信念も体力もなく適当に担いでいるので、軽い神輿であっても、あっちへふらふら、こっちへふらふら迷走し、あげく神輿に乗っている人が落っこちるなんて事故も起きる可能性も。そして、アイドルを追いかけるように、その迷走神輿を追いかけているマスコミは何かが起きるたびに大騒ぎし、「お祭り」状態になる。

そんなつまらない想像をする程度しか私は政(まぐりごと)には関心がないけれど、それより今年も大好きなリンゴ(シナノドルチェ、シナノスイーツ、名月、秋映など)の季節(私にとってはリンゴ祭りの状況)が来て、スーパーにリンゴが豊富に手頃な値段で並んでいるのを見てほっとし、感謝している今日この頃である。

[一昨年出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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「悪意」について2025年10月17日 10時45分35秒

[イベント]
イベントの詳細・予約は下記へ


◎リアルの会「私とは本当に何かを見る実験の会」(東京都新宿区)

2025年11月30日(日曜日)午後1時20分より午後4時半頃まで

◎オンライン「私とは本当は何かを見る実験の会」

2025年11月9日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2025年11月20日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

◎オンライン「非二元の探究──実験と瞑想の会」

2025年11月13日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで
2025年11月23日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


[新刊案内]

*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。




*『自己覚醒へのマスター・キー』シュリー・シッダラメシュヴァール・マハラジ 著、

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


〔Youtube]
U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』(23)



もうすぐダグラス・ハーディング著『On Having No Head(頭がないことについてー仮称)』 (1994年に図書出版社から『心眼を得る』のタイトルで出版された本の再版)が出版予定なので、次回よりこの20世紀のスピリチャルな古典ともいうべき本書を紹介する予定である。

その前に今回は、ハーディングが『On Having No Head(頭がないことについてー仮称)』で描く「天の王国」とは正反対の人間世界の「悪意」について書いてみたい。

先日ある人から、「この世界には途方もない『悪意』がありませんか?」と尋ねられ、この世界にある「悪意」について少し話し合ったことがあった。この世界には途方もない「悪意」がある――そのことを私は否定しないし、驚かない。なぜなら、私は20代の頃からずっと人の心の中に潜む「悪意」を研究(笑)してきたし、普段「悪意」満載の本(ミステリーや小説)を山ほど読んでいるからだ。

「悪意」とは何か? 悪意の元とは、「人間の利己心」である。そして、人間の利己心とは自分(自分たち)が快適に生き延びたい、さらに言えば、自分たちが快適に自己拡大したいという願望である。そして人間のその利己心は、自分たちの肉体的精神的物質的喜びや快楽のためなら、他人をどれほど利用(犠牲に)しても、心が痛まない。そう定義してみれば、私たちのほとんどすべての人の心に「悪意」というものがある。あとはその「悪意」の種類と程度と、自分が自分の「悪意」にどれほど自分で気づくかどうかの問題である。


戦争は「お前たちなんか死ねばいい」という極端な「「悪意」と「悪意」の衝突であり、犯罪は片方が一方的に相手の何かを奪うために悪意を相手に仕掛ける行為である。特定の誰かを貶める言動(いわゆるヘイトスピーチ)、セクハラ・パワハラは自分の精神的肉体的快楽のための「悪意」である。こういった「悪意」はわかりやすい。しかし、私たちの日常生活では、「悪意」は「悪意」の顔をしてやってくるのではなく、むしろ「善意」の仮面をかぶってやって来るからややこしい。

毎日のように私のところへ送られてくる有名企業の名前を騙った詐欺メールは、「親切なお知らせ」という仮面をかぶってやって来る。自分がそのサービスを利用している場合、念のため調べることにはしているが、こういったことに時間がとられることが非常に煩わしい。まあ、私が日常生活で出会う「悪意」はそのくらいで、私はほとんどいつも親切で平和な世界に生きている。

しかし、今年は一度、「悪意」の実害にあった。それは引っ越しのときの話で、引っ越し業者の「善意を装った悪意」にひっかかった。今の時代、誰でもやるように、私はネットで準大手くらいの引っ越し業者に見積もりを出してもらって、それがかなり安かった(=善意の見せかけ)ので、実際に営業の人に来てもらうことにした。

当日、30歳前後のやり手営業マンといった感じの男性と今年の新卒の営業見習いの男性が二人でやって来た。やり手営業マンの男性がすべての部屋の荷物をチェックしたあと、彼はネットの見積もりの約5倍(!)の金額を私に告げた。そのときまで、私は疲労気味でぼんやりとしていたが、その金額を聞いたとたん突然アドレナリンが噴出し戦闘モード(笑)になり、「どうして金額がネットの見積もりの5倍なんかになるんですか!? 私はほとんど正確に自分の荷物を数えてチェックして、ネット上の見積もりに記入したはずです。実際の見積もりが多少高くなるのはわかります。でも5倍の金額なんてありえないでしょう?」と彼に詰め寄った。

すると彼は、「まあ、ネットの見積もりって、あんまり当てにならないのですよ」といけしゃあしゃあと言うではないか! 金額の説明も素人が聞いてもよく理解できない説明を繰り返すので、こんな誠意のない会社はやめようと、私はもう帰ってもらおうと思いかけた。すると向こうが、「だったら、お客様のご希望の金額はいくらですか?」と尋ねたので、私はネットの見積もりの金額の約2倍を提案した。すると彼は、「それだと搬出は夕方で、しかも小さいトラックしかご用意できず、当日荷物の積み残しもありえますが、それでもよろしいでしょうか?」とやんわり脅してくる。

私が何か言うたびに、その営業マンは電話で上司と相談し、「上司からの提案はこうです」と新たな金額を告げて来る。結局、他の引っ越し業者にまた見積もりを頼んでも同じことになる可能性は高いだろうと判断し(ネットの見積もりはどこの会社も同じように安かった)、何よりもまだ他にも山ほどやることがあるので、できればその日に引っ越し業者を決めたかった。そして、その営業マンもなんとしてもこの契約を勝ち取りたい意図が見えた。という両者の利害が一致して、なんとか当初のネットの金額の約3倍で折り合った(それでもまだ高い感じ)。

彼らの責任ではないけど、私は最後に二人に言った。「会社に戻ったら、ネットの金額と実際の見積もりがあまりに違いすぎると、あなた方の会社の信頼に傷づくし、お客をバカにしていると、お客がすごく怒っていたと、上司に伝えなさい」。ただし、その会社の現場の名誉のために言えば、搬出搬入の当日来てくれたスタッフは皆さん感じのよい有能な人たちで、短時間でプロの仕事をやってくれ、それで私の怒りもだいぶ収まった。今回の私の経験は、安い金額で客を釣り、あとで高額を請求する例だ。先日読んだ新聞の記事によれば、私が経験したようなネットの金額と実際の請求金額があまりに違いすぎるという苦情は、消費者センターに非常に多く寄せられているという――水道の水漏れ工事、葬式の代金などの苦情が多いそうだ。

今の世の中、知識・理解・気力が劣るものから、お金その他をむしり取ろうとする圧力はものすごく増加している感じがある。その圧力は国内だけでなく、全世界からやって来ている。それはたぶん、どこの国でも経済的格差、その他の格差の広がりから、お金を普通に稼ぐこと、平和に普通に暮らすことができない人たちが増えているからだろうと思う。そして、それが他者への「悪意」となって、様々な犯罪や意地悪な行為として現れている。

そう書くと、「悪意」だらけの世の中で生きるのもイヤになるほど絶望したくなるが、私の長年の「悪意」研究から言えば、二元性の世界では、「悪意」だけだったら、社会やコミュニティ、家庭は崩壊する、ということだ。社会やコミュニティ、家庭が崩壊しないで保っているのは、「悪意」と同じくらい「本当の善意」もあるからだ。

自分の経験を語れば、長い人生の間、家族の中で日本国内で外国で、私はそういった「本当の善意」にたくさん出会ってきた。私を助ける義務も必要もない人たちからどれほど親切にしてもらったことだろうか。

だから、私は世の中の「悪意」についてはそんなには絶望していない。二元世界では、「悪意」があれば、善意もある。悪人がいれば、善人もいる。ときには、善が悪になり、悪が善になり、善人が悪人になり、悪人が善人になることさえある。それが人間の世界、人生というものだ。そして、万一予期せず自分自身の身に「悪意」がふりかかったときは、カルマ(神の意志)としてあきらめ、最低の被害で収まるようになんとか頑張る(笑)……しかない。


[一昨年出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

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On Having No Head (1)2025年10月26日 10時04分46秒

[イベント]
イベントの詳細・予約は下記へ


◎2025年11月29日(土)と12月1日(月)出張シンプル道コンサルティング(東京)

◎リアルの会「私とは本当に何かを見る実験の会」(東京都新宿区)

2025年11月30日(日曜日)午後1時20分より午後4時半頃まで

◎オンライン「私とは本当は何かを見る実験の会」

2025年11月9日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2025年11月20日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

◎オンライン「非二元の探究──実験と瞑想の会」

2025年11月13日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで
2025年11月23日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで

〔Youtube]
U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』(24)


今回からもうすぐ出版が予定されているダグラス・ハーディング(1909~2007)著、On Having No Head ―Zen and the Rediscovery of the Obvious「頭がないことについて――禅と明白なるものの再発見」(仮称)(1994年に『心眼を得る』というタイトルで出版された本の再版)を紹介したい。

今まであちこちでハーディングの教えや彼について書いてきたので、重複する話が多くなるが、本ブログの読者の皆さんのために下記の三つに重点をおいて書く予定である。

1On Having No Headが書かれた経緯
2On Having No Headとの出会い
3On Having No Headに書かれている内容について

1On Having No Headが書かれた経緯

ダグラス・ハーディングは第二次世界大戦後、建築の仕事を休んで、大著『The Hierarchy of Heaven and Earth ―A New Diagram of Man in the Universe (天と地の階層――宇宙における人間の新しい図解)を書きあげた。出版界に縁のなかった彼であるが、その原稿を読んだ当時のイギリス文学界の重鎮C.S.ルイス(イギリスの作家。1898~1963)がその内容を絶賛し、彼の後押しで1952年にそれは出版された。それから、大衆的雑誌、『サタデー・イブニング・ポスト』から原稿の依頼がきて、その依頼に応じて書いた2つの原稿の一つがOn Having No Headだった。

二つのうち一つの原稿は雑誌に掲載されたが、On Having No Headの元となった原稿は、友人たちが「『私には頭がない』なんていう書き出しで始まる文章は一般雑誌にはふさわしくない」と警告したので、当時会員だった仏教協会に頼んで出版してもらった。これは1960年代の話である。

初期の頃の版には下記の3つの文章が掲載されていた。

第1章  真に見ること  
第2章  「見ること」を理解する  
第3章  禅を発見する 

それから、1980年代に第4章「話を現代化する」を付け加え、この章では彼が30代の初めに自分には「頭がないこと」を発見してから40年以上、「頭がないことを」を自ら実践し、それを他の人たちとも分かち合ってきた経験の詳細が語られている。具体的には、単純なヴィジョンの背後にある奥深い神秘、キリスト教、仏教、インドのアドヴァイタなどの教えと深く共通する点、そして、日常生活への影響、他の人たちに伝えることの困難、そして「頭がないこと」を実践する人たちに降りかかる障害について、幅広く様々な角度から書いている。

ハーディングは本書のあとも様々なことをテーマにたくさんの本を書いたが、On Having No Headには、それらすべての本の内容が要約されていると言っても過言ではない。短い本(約100ページ)の中に非常にコンパクトに内容がまとめられ、そして、一般雑誌向け原稿だったということもあり、彼の文章にしては比較的平易な文体で書かれている(と思う)。(←比較すれば、『The Hierarchy of Heaven and Earth』の本などは、最初読んだとき、宇宙人が書いた英語かと思ったくらい、ハーディングの英語は私には難解に感じられたし、今でも難解である)

On Having No Headでハーディングは、中国、日本の著名な禅僧たちの言葉にも言及しているので、欧米では禅を学ぶ人たちの間でも広く読まれ、現在まで彼の本の中では一番売れているロングセラーとなっている。


[今年出版された本]

*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



*『自己覚醒へのマスター・キー』シュリー・シッダラメシュヴァール・マハラジ 著、

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


[一昨年出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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