The thunder of Silence (1)2022年05月01日 07時25分20秒

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次回出版予定の本、ジョエル・ゴールドスミスの、The thunder of Silence(静寂の雷鳴)には、国家の戦争についてのいくつかの言及がある。

彼の『スピリチュアル・ヒーリングの本質』(ナチュラルスピリット発行)の本のところでも紹介したように、ジョエル・ゴールドスミス(Joel S.Goldsimth1892-1964)は、20世紀の二つの世界大戦の時代を生きた人なので、国家の戦争についても非常にたくさん考えたにちがいない。

The thunder of Silence(静寂の雷鳴)から、国家の戦争に関するジョエル・ゴールドスミスの考えを要約すれば:

*人間と同じように、国家(政府)にもカルマがある。

*国民は、政府の行為に責任がある。

*国家が(モーセの)十戒に反することをした場合、心の中でそれを否認しなければならない。さもなければ、その影響が自分の個人的人生にも及ぶだろう。

*だからといって、表立った反政府活動をする必要はない。

*しかし、徴兵などの国民の義務は果たさなければならない。なぜなら、もし自分がそれを引き受けないなら、他の人にそれを押し付けることになり、それもまたカルマの法則を作動させることになるからである。

彼はまた、私たちが世界で見る「悪」、現在見ているような戦争の悪を見るときに、どう考えるべきかについても言及している。

*悪人とされる人々は(あるいは善人とされる人も)、舞台の上の俳優のようなもので、本質的には悪とか善はなく、すべてが神の子である。

*しかしときには、私たちは投票その他によって、政治の悪や不正・腐敗に反論したり、それらを正さなければならないが、見かけの世界を本気に受け取ってはいけない。


だから、現在世界の中で、「悪人」として集中的に非難を浴びているプーチン・ロシア大統領でさえ、演劇の舞台上で、その役(独裁的政治家)を演じているだけということになる。

今回のThe thunder of Silence(静寂の雷鳴)では、特にイエス・キリストの有名な「山上の垂訓」(マタイ伝5章)の解説と解釈に多くのページがさかれている。「山上の垂訓」とは一言で言えば、「目には目を歯には歯を」(古代ハムラビ法典の言葉)という「復讐的」考え方を捨て、敵を許し、愛する道を勧めるものである。


「昔の人々に「殺すな。殺す者は裁判を受けねばならない」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、だれでも裁判を受けねばならない」(マタイ5 章21-22)

「目には目を、歯には歯を」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである」(マタイ5 章38)

しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。(マタイ5 章39)

あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい」(マタイ5 章40)

(今回のブログとはまったく無関係な話ではあるが、私がもっている新約聖書のこの部分の英語は、「if any one would sue you and take your coat, let him have your cloak as well」となっているのに、どうして、 coatが聖書の日本語訳で「下着」、cloakが「上着」なのだろうか?といつも疑問に思ってきた。coat は「上着」、cloakは「外套」と訳したほうがいいのではないだろうか……なぜなら、「下着」を取られることを想像すると、この教え、絶対に実践無理(笑)という印象を与えるし、そもそも「取られる」順番も、普通上から、「外套」→「上着」→「下着」の順ではないかと思うけど……)

「隣り人を愛し、敵を憎め」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ」(マタイ5 章)


しかし、当時これらの言葉を聞いた弟子や帰依者たちでさえ、これらの言葉を「厳しい言葉」と呼んだそうで、実際、過去2千年の間、ほとんどのキリスト教徒たちはこの「山上の垂訓」の教えを実践することができない。

ジョエル・ゴールドスミスも、これらの教えを「人」として実践することはできないと断言する。つまり、私たちがどれほど頑張って、善い人間になろうと努力しても、一人の人間としては、この教えを実践することはほとんど不可能だということである。

なぜなら、私たちもよく知るように、二元的思考の人間マインドには、「目には目を歯には歯を」、つまり、「やられたら、やり返せ」という考えのほうが、はるかに快適で、しっくりくるからである。ただ、私たちが自分の中の神に目覚める(=神霊が活動する)ときだけ、私たちはマインドを超え、「目には目を歯には歯を」を超え、「山上の垂訓」の教えを理解する可能性が生まれるのである。

ジョエル・ゴールドスミスの言葉を紹介すれば:

「山上の垂訓と四つのすべての福音書の中でのマスター(イエス・キリスト)の偉大の教えは、弱さ、ご都合主義、妥協の教えではありません。それはまた、盲目的に従順に世界が私たちにしたいことを勝手にさせる教えでも、世界が私たちに与えたがっている無情な扱いを受動的に受け取る教えでもないのです。むしろそれは、内なる父が私たちの利益の世話をしてくれるという理解の中で、私たちが悪に抵抗しないという教えです」(The thunder of Silence(静寂の雷鳴)11章より)

「山上の垂訓の中で、私たちは自分が今まで生きてきたような人間的生き方を示されました。しかしまた、存在する中で一番実用的で達成可能な生き方であるスピリチュアルな生活の一瞥も、私たちには与えられました。なぜそれが一番実用的生き方であるのかと言えば、それがスピリチュアルな原理によって生きられる人生だからです――無限で永遠で、普遍的で遍在し、全知全能」(The thunder of Silence(静寂の雷鳴)11章より)


「悪(人)に抵抗するな」が、ジョエル・ゴールドスミスが言うように、実用的教えかどうか、真実かどうか実証するのは、こういった教えを探求する一人一人にかかっている。

ただし、こういったキリスト(教)の過激な教えは、読むのは簡単であるが、「誰かが右の頬を打つなら、ほかの頬をも向ける」レベルをいきなり実践するとなると非常にハードルが高い。無理して従えば、「左の頬をぶたれた」あげく、後悔することにもなりかねない――初級レベルでは、「右の頬を打たれること」は許しても、「左の頬を打たれる前に逃げる」ぐらいではないだろうか……私なら(体力が残っていれば)左の頬をぶたれる前に逃げる(笑)、と思う。

だから、私たちが日々無理なく実践できることは、日常の小さい物事からお互いをゆるし合い、人や出来事を憎まず、できるときは、親切を心がけることくらいだ。私にとっては、「許し」に関しては、ラメッシの教え、「すべては神の意志=個人的行為者は誰もいない」が非常に役立っている。


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運命の出会い2022年05月17日 15時25分01秒

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*ジョエル・ゴールドスミスのThe thunder of Silence(静寂の雷鳴)の本の紹介は、後日続きを書きます。


先月、母の家でテレビの料理番組を見ていたときのことだ。その日の講師であるレストランのシェフの方はその料理(イタリア料理のアクアパッツァ)の作り方を紹介しながら、「この料理との出会いいは、運命の出会いだった」と言った(正確な言葉じゃないかもしれないが、だいたいそんなような主旨)。

その料理はとてもおいしそうで、使っている材料も少なく、今度作ってみたいとは思った。しかし、見た目、人を変えるほどの力があるように見えないシンプルな料理が、人に衝撃を与える可能性の不思議について考えさせられた。

俗に言う、「運命の出会い」。それは料理に限らず、実に無限に多様なものが「運命の出会い」となりうる。

数年前に見たテレビ番組も印象深かった。パチンコが趣味の中年男性が、あるとき著名なピアニスト、フジコヘミングさんが弾いた有名なピアノ曲、「リストのラ・カンパネラ(鐘)」を聞き衝撃を受け、突然、自分もこの曲をピアノで弾けるようになりたい、そしていつかフジコヘミングさんの前で、その曲を弾きたいという、とんでもない野望をいだいたのだ。

今まで一度もピアノを弾いたことがない人間が、難曲の「リストのラ・カンパネラ(鐘)」を弾く! 周囲からも「それは無理!」と言われたにもかかわらず、(奥様は音楽関係の人で、自宅にピアノがあった)、一からピアノを始め、7,8年かけて、ついにその曲をマスター。そして、念願かなって、フジコヘミングさんの前でその曲を弾くことができた、という内容のドキュメンタリーだった。

他にも様々な運命の出会いについて読んだことがある。自殺しようとしていた人が、たまたまラジオから流れてくる歌謡曲を聞いて自殺を思いとどまったとか、暗い家庭環境で生きていた子供時代のある日、テレビで見たタレントのパフォーマンスに感激して、自分もあのように人を笑わせるタレントになりたいと思い、実際にタレントになった人とか。高校時代に、微分積分に衝撃を受け、数学の道を目指すようになった人とか。

「運命の出会い」――歌、パフォーマンス、スポーツ、マンガ、音楽、絵画、映画、本、数学や物理などの学問、車などの機械類、そして様々な人との出会い。運命の出会いには、人の努力や意志とは無関係に、人生の行路を変えてしまうパワーがある。今までとはまったく異質な何かが自分の人生に流入して、自分をどこかへ導いてくれるような、そんな感じである。それはたぶん、スピリチュアルな人たちが好きな言葉で言えば、「恩寵」のようなものだ。恩寵でなければ、「パチンコ三昧の日々」から「ピアノの難曲」への方向転換は難しいだろう。

人が何に衝撃を受けるかは、人によって非常に様々なゆえに、だから、この世界にはこれだけ無数の文化、発明、学問があるのだと思うし、今は個人が自分の「文化」を表現できる様々な手段(インターネット)があるので、その多様性は益々広がっていると言えるだろう。

私の場合は、「運命の出会い」は、25歳のときにスピリチュアルな本に最初に出会って以来、ほぼ本、特にスピリチュアルな本に限定されてきた。もちろん、他の様々な文化も料理も楽しんできたが、「衝撃を受ける」という意味では、ほとんど本、しかもスピリチュアルな本、しかもなぜか全部が外国の本に限定されている。なぜそうなのか? という問いには自分でも答えられない。そういう運命になっていたと言うしかない。

さて、先日スーパーへ行ったら、「アクアパッツァ」の詳細なレシピが置いてあった。私が作っても「衝撃的な出会い」とはならないと思うけど、そろそろ作ってみようかな(ワインに合いそうなレシピ)。



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ラメッシ・バルセカール     『誰がかまうもんか?!』

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トニー・パーソンズ  『何でもないものがあらゆるものである』

「人をめぐる冒険」


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*定価:本体価格2,500円+税 *版型:B5版(フラカラー)183ページ*発行:ナチュラルスピリット 
*目次詳細 

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