カルマ(2)2019年02月13日 09時48分39秒

1.身業(しんごう)…体で色々やること。
2.口業(くごう)…口で色々しゃべること。
3.意業(いごう)…心で色々思うこと。

前回、 上記のような仏教の教えによるカルマの分類をご紹介した。  その仏教でいう2.口業(くごう)と3.意業(いごう)に関して、私が昔から「なるほど」と思っていることがある。

それは、自分の想いを心の中に留めておくことができず、他人の悪口だろうと、自分の意見だろうと、言いたいことだろうとズケズケ言う人たち、いわゆる「気の強いおしゃべりな人たち」のほうが、案外意業をためず、そのためその影響も受けにくいようだ、ということである。

反対に、物静かで、決して自分の意見をいわず、他人の悪口も人前では言わず、他人の言うことに決して反論しないような人たち(として通っている人たち)のほうが、発散しない分だけ、心の中で蓄積される意業が重くなるようである。

そして不思議なことに、口業(くごう)を一番ためてそうな政治家はほとんどその影響を自分自身には受けないように見える。(政治家のまわりでは影響を受けている人はたくさんいるかもしれないが)

彼らの他者(他国)への批判や悪口は非常に軽く、つまり、心からのものではなく、「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」の世界を生き抜く戦略であり、ほとんど誰もまともに受け取らない。しかも、鈍感力の人種なので、自分の言動に罪悪感をいだくことも、人に嫌われ、憎まれることも平気な人たちである。

だから、トランプ大統領もプーチン大統領も習近平国家主席も金正恩委員長も、そして安倍首相もみんな元気である。安倍さんは最初に首相になったときは、ひ弱かったが、スキャンダルを生き延びた余裕からか、すっかり政治家らしい厚顔も身についてきた。

トランプ大統領は昨年末、議会で自分の意見が通らないとゴネて、政府機関の一部を閉鎖し、百万人の職員を無給の自宅待機(アメリカの国家公務員は自宅待機のときは無給らしい)にさせた。しかし、そのせいで生活が困窮した百万の人たちから飛んで来ただろう憎しみの矢など、全然感じていないようで、相変わらず元気いっぱいである。彼の場合は、言葉は炎上商法の武器であり、そうやって世界から自分への関心をかき集めることに彼の情熱がある(Me First=自分一番主義の典型的な人である)。

日本では麻生(失言)大臣が、昔から女性への蔑視発言を繰り返しているが、彼も批判など一切気にせずを貫いて、いつもお元気そうである。
 
政治家から見習うべきはをあの鈍感力(笑)だなと、気が小さい私は常々思うのだ。

さて、その一方で、心から信じる信念ゆえに言葉が重く、そのせいで口業と意業をためやすいのが、宗教系の人たちである。瞑想・黙想などの修行し、戒律(道徳)を守り、沈黙を知るようになると、人の想い(念)はある種パワフルになる。政治家の人たちとは違って、利益で結びついたり、離れたりするわけではなく、純粋な信仰で結びつく人たちは、よくも悪くも人間関係に対して激しく、嫌悪や憎しみも徹底している。

ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記」(発売時期と正式タイトルまだ未定です)にダグラス・ハーディングが両親の宗教を脱会するときの様子が描かれている。人生を宗教的信仰に捧げてきた父親が、溺愛していた息子に裏切られた苦痛と憎しみから、息子であるダグラスに「お前がこの宗教を脱会するくらいなら、殺人でも犯してくれたほうがまだましだ」というようなことを言い放つのである。普通いくらなんでも、自分の息子に言う言葉かと思うけど、それが宗教的な人特有の激しさなのだと思う。

この間読んでいた「親鸞(完結編下)」(五木寛之著)でも、自分の教えを逸脱して教えているという理由で、激怒した親鸞が息子を勘当する場面がある。 親鸞もまた非常に激しい人だったようだ。

人を愛し、許すことを教える宗教が、反転すると激しい怒りや憎悪となるのは、奇妙な矛盾であるが、宗教やスピリチュアルな場ではこの手の話は山ほどある。

 では、政治系でも宗教系でもない(政治系と宗教系の方々はこのブログを読んでいないと想定している)私たち普通系小心者が口業と意業の悪しき影響をできるだけ少なくするために(影響をゼロにはできないが)、できることは何だろうか? 

日常で実践するべきことは、中庸の道、つまり、必要なことは言い、必要じゃないことは黙り、何かや誰かのへの嫌悪や憎しみを蓄積せず、自分の言動に罪悪感をもたず、自分でどうにもできないことは潔くあきらめる(笑)くらいだ。でも何もしゃべらないでいるのもストレスがたまる(特に女性の場合)ので、もし可能なら、自分の愚痴をたまに聞いてくれる人(友人や親族、カウンセラーなど)をもつのもよいことであろう。

しかし、実は自分のマインドの奥深くに隠れている何かや誰かへの嫌悪や憎しみに気づくのは案外難しいことだし、さらにその背後にある観念に気づくことはもっと難しい。「自分がこれ(この人)を嫌って(憎んで)当然」という強固な観念があるとき、その嫌悪や憎しみを手放すことは難しい。自分の世界に誰かや何かが出現して、それが表面に引っ張りだされるとき、初めて自分の中にある根深い嫌悪に気づいて、驚くことがある。

こういう話をすると、なかには、「何かや誰かを嫌ってはいけませんか?」と尋ねる人がいる。もちろん、その答えは、「嫌ってもかまわない」(笑)、である。 前回も書いたように、そもそも私たちのマインドは好き・嫌いの運動を免れない。人による違いは、その一瞬わき起こったものを掴んで振りまわすかどうか、どれだけ長く振りまわすかだけである。もし嫌悪や憎しみ、あるいは罪悪感の感情に長々浸るのが好きなら、それも自由だし、実際、誰かや何かを嫌うことを喜びとする人たちも世の中には多くいる。

これはとても面白い実験だから興味がある人はやってみるといいと思うけど、「ああ、これ(この人)はイヤだイヤだ」と毎日何かや誰かに対して強く思い続けていたら、イヤな出来事は減るのか増えるのか、イヤな人はイヤな人でなくなるのか、あるいはもっとイヤな人になるのか、あるいはもっとイヤな人や出来事に遭遇するのかどうか…… 


[イベント]
2019年3月9日(土曜日午後)「私とは本当に何かを見る会」(大阪府茨木市)
http://www.ne.jp/asahi/headless/joy/99_blank064.html

2019年3月10日(日曜日午後)「非二元の教えを生きる会」」(大阪府茨木市)



2019年2月24(日曜日午後)「非二元の教えを生きる会」(東京) 予約受付終了しました



[お知らせ]


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コメント

_ シロ ― 2019年02月15日 02時11分46秒

釈迦の高弟であったモッガラーナ尊者は異教徒に殴り殺されてお亡くなりになりました。釈迦の弟子中で神通力並ぶ者無しと言われた人がなんでそうなるの?と仏教徒に訊いてみれば、たとえ神通力があってもカルマからは逃れられないとおっしゃる。

確かアラハンの悟りを得ると全てのカルマは断滅するって設定じゃないの?と訊けば、今生のカルマは断滅するが前世前々世のカルマは断滅しないのだとおっしゃる。

………そんな無理矢理の屁理屈こねまわすなら、いっそカルマなんて嘘でした!さーせんしたぁ!と言っちゃった方が楽になれるのに。

カルマなんて、要するにこの世で理不尽や不条理な目に遭った時に自分を慰めるための言い訳ですよ。さらに悪質なのは全てをカルマに還元することで実社会の理不尽や不条理を正当化する装置に使えるという点で権力者や支配階級にとっては大変都合がよろしいのです。賎民差別やカースト制度の残酷さを背後から支えてるのはカルマの概念でしょう。どんな悲惨な状況に置かれても「おまえのカルマが悪いのだ」と言われりゃ抗う術もないですわ。率直に言ってカルマがどうのこうの口にすることほど、深刻な口業を積むことって無いんじゃないですかw

ブログ主さんも「中庸が一番」とか腰の引けた半煮えスピみたいなこと言ってないで、潔く「カルマなんて無い!」と断言するべきです。あなたの精神衛生上も、あなたの話を真に受ける善男子善女人のためにも。そして不幸な偶然に巡り遭ったら、カルマなどに逃げ込まず、あるがままに受け止め、現実的な対応策を考えましょう。

大丈夫。カルマなんぞ無いと私が断言します。これは形而上学的な一見解ではなく、論理的にあり得ないということです。全知全能の神でも四角い丸は作れない、それと同じです。今夜からカルマなど気にせずに安らかにお眠り下さい。

麻生氏がカルマの報いを受けないのは心のパワーが少ないからではなく、お金のパワーが大きいから、ただそれだけのことです。

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