結婚は、「仕事」、あるいは、「冒険」2013年09月28日 09時07分26秒

前回のついでに、今回も結婚についての話題です。

以前に読んだ投稿サイトの投稿で、二十代後半くらいの若い女性が結婚について書いた悩みが、印象に残っている。

要約すると、だいたい以下の内容である。

「私は今、恋人と同棲しています。彼のことが大好きで、いずれ結婚したいと思っています。『あなたとずっと一緒にいたいから結婚したいし、あなたのことがこんなに好きなんだから、結婚してもきっとうまくいくと思う』と彼に言っても、彼はなかなか結婚しようと言ってくれません。彼は、『君のことは好きだけど……でも君は結婚のことを何もわかってない』と言います。『結婚が何もわかっていない』とは、どういうことでしょうか?」

もし私が20代の頃にこういった文章を読めば、この女性にきっと共感しただろうけど、今なら、男性の気持ちのほうがよくわかる。 人生には、「好きだけど、縁が終わらざるをえないこと」(人間関係にかぎらず、あらゆるものとの縁)が、たくさんあるのだ。

私自身は運命の都合で、一度も結婚したことがないが、自分の両親をはじめ、結婚している人たちを子供の頃から観察してきたことと、特に生物進化論、人類学等から、「結婚の現実」を学んだ。その結論から言えば、ロマンのない話にはなってしまうが、結婚とは「仕事」である。特に若い年代の人たち、そして、特に女性は、結婚をロマンチックに考える傾向にあるが、結婚は「仕事」とほぼ同義であり、結婚したい人はそう思って結婚に向かうほうが、現実的である。

私が若い頃、女性たちは、結婚を「永久就職」と多少揶揄して語ることがよくあったし、今では、就職活動のように、まさに「婚活」という言葉が一般的に定着している。永久かどうかは別として、「就職」という言葉は、けっこう当てはまっているかもしれない。もちろん、女性にとってだけでなく、男性にとっても、結婚は「仕事」である。

おそらく、先の投稿者の恋人が本当に言いたかったことは、「君のことは好きだけど、でも君は『僕との結婚という仕事』には向かない」ということではないかと、推測する。

生物進化論&人類学の研究によれば、男女の恋愛感情の賞味期限は3~4年ということであり、これには生物学的な根拠がある――詳しく知りたい方は 「愛はなぜ終わるのか?」 (ヘレン・フィッシャー著 草思社 ) 「結婚の起源」 (ヘレン・フィッシャー著 どうぶつ社) などの本がお勧めである。

だから、どんな大恋愛で結婚したとしても、数年たてば、その恋愛感情は色あせるのが普通ということである。結婚生活がうまくいくかどうかは、恋愛感情が終わったあとにも、結婚生活を支えるだけの共通の目的があって、そのために夫婦が努力できるかどうかということにかかっている。たいていは、「子供を無事に育てあげる」が共通の最重要の目的である―そもそもそのために、「結婚制度」は始まったのだ。 

もちろん、子供以外に、夫(妻)の仕事を支えるとか、共通の趣味(思想)を楽しむとか、一緒に商売や何かの活動をするとか、伝統的な家業を継承するとか、その他色々な目的があるが、結婚が続いているカップルは、「結婚生活において、何が重要か」という価値観が絶対に一致している。そして、「結婚における幸福」とは、お互いの協力でその目的がうまく実現していると思えるときで、そのとき相手に対して愛情と感謝を感じ、相手を大切にしようという気持ちが自然にわく。

表面的にはそれほど仲よさそうに見えない夫婦でも、「結婚生活において、何が重要か」の価値観だけは共通しているものである。たとえ、どれほど自分ではそう思えなくても、結婚している人たちはすべて、自分にピッタリな相手を得ている――そもそも、「あらゆる人は自分にピッタリの人間関係を得ている」(仏陀の言葉らしい)、のである。昔、私の母親が自分の夫(つまり、私の父親)について、ぐちぐちと不満を言ったとき、私は言った。「お父さんは、お母さんにピッタリな人でしょう」。そのとき母親が、その言葉にどれほど抵抗したことか(笑)。私の母親にかぎらず、なぜか、「あなたの夫(妻)はあなたにピッタリの相手」という言葉に抵抗する人たちは多い(特に妻たち)。

結婚は仕事であり、就職である。「会社で、自分は同僚や上司に大切にされていない」という悩みは、本質的な悩みではない。仕事では、「仕事の目的を果たすために、相手とどううまく付き合えばいいのか?」が、問題である。

 では、結婚は「仕事」という考え方が、あまりにロマンがなさすぎると思う方のためには、「結婚は神聖な冒険」という考え方もあり、それのほうがスピリチュアル系の人たちには合うかもしれない。それを言ったのは、私が好きな神話学者、ジョージ・キャンベルで、 「ジョージ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である」(築地書館)の本の中で、結婚生活が神聖な冒険とはどういうことか、彼の考えを述べている。

結婚が「仕事」にしろ、「冒険」にしろ、あるいは、スピリチュアル系の人たちがよく言う「修行」にしろ、 結婚されている皆さんはよくご存じのように、「結婚生活における重要なこと」のために、夫婦は他の多くのことを犠牲というか我慢しなければならない。人間界での喜びは苦労に比例する。結婚式で、本人たち以上に親が感涙にむせぶのは、自分たちの長年の努力がやっと花開いた―自分たちの「作品」が、皆様に見ていただけるように、立派に完成いたしました!―と、感じるからなのであろうか……
  
その他お勧めの本

「100万人が癒やされた愛と結婚のカタチ」 (ハーヴィル・ヘンドリックス著 アーティストハウス)
アメリカの著名な結婚セラピストが、うまくいかない結婚生活を解明し、「結婚生活を成功させる方法」を伝授する。


 [お知らせ]


201310月26日(土曜日午後)
「人をめぐる冒険ワークショップ」(広島市)

  http://www.simple-dou.com/CCP037.html

2013年10月27日(日曜日午後)
「私とは本当に何かを見るワークショップ」(広島市)

   http://www.simple-dou.com/CCP037.html                                            

2013年11月23日(土曜日午後)
「楽しいお金」ワークショップ(大阪市)

2013年11月24日(日曜日午後)
「私とは本当に何かを見る」ワークショップ(大阪市)

http://www.simple-dou.com/CCP040.html

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