最近読んだ本2011年04月23日 08時59分58秒

「デフレの正体」藻谷浩介著 (角川書店)

本書は、2010年度でもっとも売れた経済関係の本の1冊だと聞く。なぜ日本経済は、デフレなのか――ずばり言えば、「生産年齢人口」の減少である。生産年齢人口とは、まあ勤労人口(働いている人口)とほぼ同義に捉えてもいい。働く人たちは生産し、同時に消費もするが、その人口が減って、一方、働かず消費もたいしてしない人口(つまり、一般的には老年人口のことである)が増えていることが、日本経済のデフレの本当の正体だと、著者は洞察する。別の言い方をすれば、日本という国は老いたのである。ほとんどの官僚、学者、政治家たち、そし国民自身がその老いた日本の現状を無視して、単なるGDPの数字や景気向上やモノ作り(重い産業)に執着しているから、老年の日本にふさわしいライフスタイルが見えてこないのである。著者は、日本の現実を踏まえて、これからの日本がとるべき道について、素晴らしい提案をしているが、賢い意見は採用されないのが、世の常である。したがって、大竹愼一氏も次の本で、指摘しているように、日本は経済的焼け野原になって、ようやく目覚めることになるのであろう。

「投資は頭だ」大竹愼一著(李白社)

日本経済の見通しについて、超超超辛口の本で、本書の帯には日経平均4000円、一ドル60円の時代がもうすぐ来ると書かれている。著者が自分の本の中でたびたび取り上げる「コンドラチェフの波」(20世紀の前半に、コンドラチェフという旧ソビエトの学者が発見した景気の波)という言葉と内容は知っておいて損はない言葉だ。「コンドラチェフの波」の理論によれば、日本経済の本当の底は2015年、そして、本当の再興はそれからということである。地震、原発事故も、下降への加速ギア、ということになるのかもしれない。

「生かされて」イマキュリー・イリバギザ著 (PHP)

1994年にアフリカ、ルワンダで起きた民族を二分する大虐殺について書かれた本は多く出版されているらしいが、本書はその中でも異色の本だ。本書はその虐殺の最中に神を発見し、神を発見することでその大虐殺時代を生き延びた一人の女性(当時は少女)の自伝的記録である。愛する両親と兄弟にかこまれ、平和で幸福な生活を送っていた一人の少女が、ただ部族が違うというだけの理由で、かつての友人や同級生に憎まれ、殺そうとされ、追われる身となる。圧倒的憎悪に取り囲まれて、彼女(はカトリック信者である)が祈る最中に、神や悪魔やイエス・キリストとかわした対話が奥深い。

「イザヤ・エフェクト」グレッグ・ブレイデン著(ナチュラルスピリット)

チベットなど、世界中の秘境をめぐって、祈りを研究している著者が、古代から現代にいたる様々な文化と宗教に伝わる祈りとその効果について、量子力学などの最新の科学的研究も織り交ぜて広く深くリポートしている。「雨が降ることを祈れば、雨は決して降らない」「お金がもっと入りますようにと、祈ることは効果がない」、「平和を祈れば、平和でない状況が強化される」など、研究から浮かび上がる興味深い事実が色々と書かれている。ということで、「地震や原子力発電の問題が早く終わりますように」と祈ることはたぶんムダ……

[お知らせ]

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「すべてを受け入れて、平和になる」

講師:髙木悠鼓
参加資格:ガンに関心にある方
主催:ほあーがんサポートネットワーク
詳細・予約は下記サイトへ
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