「動物園」・「人間クラブ」・「神の王国」(3)2016年05月10日 15時09分38秒

「神の王国」

伝統的宗教であるキリスト教、仏教 が言うところの「神の王国」、「涅槃」、あるいは非二元系、インドのアドバイタ系の教えが言うところの「悟り」、それが何であるにせよ、ここ数十年でまわっている賢者の方々の教えによれば、「私たちは今ここですでにそこにいる、ないしそれである」というのが定説である。

であるとしたら、私たちが問うべきことや学ぶべきことは、「どうやってそこに到達するのか?」とか「どうやってそれを獲得するのか?」ではなく、むしろ、「どうやってそこから転落する(した)のか?」、 「いつそこから転落する(した)のか?」  ということであろう。

子供の頃、私たちはみなその王国(対立がなく、あらゆる人が必要なものに恵まれている王国)に住んでいたとされている。それが大人になる過程で、王国から転落して、生存競争が激しい人間クラブや、さらに運が悪い場合は「動物園」へすら落ちてしまうのである。

私の理解によれば、転落の主なプロセスと理由は次のようなものである。

1成長する過程で、私たちは全体から自分を切り離し、自分を個体化する。

2個体化する過程で、私たちは孤独になり、他の個体との競争世界、生存競争に投げ込まれてしまう。

3マインドが発達し、社会が教える善悪を学ばされる。

4私たちはしだいにマインドの支配化におかれるようになる。

5以上の結果、私たちはマインドの「get and achieve(獲得と達成)」に駆り立てられ、いつも自分には何かが不足していて、自分の現実はいつも何か欠陥があるという観念に取り憑かれてしまうのである。

以上のプロセスが間違っているとかそういうことではなく、それは子供を社会化し、社会にとって役立つ人間に育てあげるという意味で、必要なことでもある。問題は、ダグラス・ハーディングも言うように、進化というか成長がそこで止まっているということだ。--「『私』は個人的意志をもった一人の人間である」という観念のところで、止まっていることである。

恩寵か何かによって、私たちがさらに霊的進化(成長)をする、あるいはさせられるとき、次のことを理解・認識することで、「涅槃」、「神の王国」、「悟り」が今ここにあり、そこでは必要なものは何も欠けていないことを確信するというだけのことである。だから、それは仰々しくも華々しくも神秘的でもなく、ただ興奮を欠いた平和というのが一番近い表現である。

1「本当の私」は一人の人間(個体)という見かけではない。

2「本当の私」はすべての人の本質でもある。

3「本当の私」とは「神」のことである。(「神」という言葉が嫌いな人は、「意識」でもその他、何でもお好きな
言葉を使ってください)

4私たちが現実と呼ぶものを創造しているのは、神である。よってすべては神(本当の私)の意志である。

5そして、マインドは以上の1から4を理解する能力がない。

6私たちにできることは、現実(それがどんな現実であれ、目の前で展開していることを)神の意志として受け入れることだけである。

なぜマインドは以上のことを理解できないかというと、

1)マインドは常に過去志向か、未来志向であり、そのため、自分や現実を否定し、その不完全さを批判すれば、今よりよい自分や現実が生まれると信じている。

(2)マインドは常に善悪(好き嫌い)の二元的判断に中毒している。

(3)マインドは、当然のことながら、あらゆることを人間の基準・判断で考えるので、「神の王国」、「涅槃」、「悟り」の中では、悪や苦痛はまったくなく、それは人間的喜びや快楽が拡大した世界か、美しく荘厳な心象風景に違いないと想像するが、それがマインドの根本的誤解である。

「神の王国」、「涅槃」、「悟り」の中に、人間がいわゆる「悪いこと」と呼んでいることが起きないわけではなく、それを「悪」とは見ず、ただ「あるがまま」と見るだけである。あるいは涅槃の境地を描いた有名な般若心経を引用すれば、「色即是空 空即是色」(世俗は涅槃である、涅槃は世俗である)である。あるいはキリスト教系、アドバイタ系なら、「すべては神から来ている」となる。私が愛読している20世紀前半に活躍したキリスト教神秘主義者で偉大なヒーラーでもあったJoelS.Goldsmithはこう言っている。

The next time someting that we call evil comes into our expereiece, let us remember our principle and say:" That too,is from God". (practicing the presence より)
「もし次回、私たちが悪と呼んでいる何かが自分の経験の中に入って来たら、私たちの原理を思い出し、『あれも神から来ている』と言うようにしましょう」

そして、人間クラブを卒業して、「神の王国」で生活できるのかどうかの不安がある人たちのために、キリストの言葉も紹介しよう。「まず神の王国を求めなさい。そうすればこれらすべての物があなたに付け加えられるだろう」。(新約聖書マタイ伝より)。またダグラス・ハーディングは同じことを少し違う表現で述べている。「まず本当の自分自身でありなさい。そうすれば(私たちの望む物事ではなく)、必要な物事が与えられるだろう

さて今、私は特筆すべきこともない平凡な部屋な中でこれを書いているし、このブログを読んでいる皆様もたぶん平凡な風景な中で平和にこれを読まれていることと思う。私たちのマインドが何を主張しようが、その平凡さ、その平和さが神の王国です--今夜は(お酒が好きな方は)お酒で、お祝いしてもいいくらいです。

以上のような「神の王国」と神の話は、この夏発売予定の「To Be and not to be、that is the answer(存在し、そして存在しない、それが答えだ)」 の中で、私が書いたような味気ない文章ではなく、ダグラス・ハーディングが重厚に文学的に語っているので、ぜひ読んでいただければと思っている。
 

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 詳細・予約は下記へ
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