小沢さんがかかえる絶対矛盾 ― 2007年11月09日 10時20分25秒
政界で、トップの人たちの奇妙な行動が続いている。9月に安倍さんが、唐突に政権を放り出したかと思えば、今度は民主党の小沢さんも、連立構想、突然の辞任表明、そして辞任撤回とは、さあ、これから第二ラウンド政治スポーツ決選を見たい国民にとっては、「いきなり、自民と民主の連立、そりゃないだろう」という感じである。
が、小沢さんという政治家の精神構造を考えてみると、今回の一連のドタバタは、政治の問題というより、小沢さんの心がかかえるトラウマ、そして絶対矛盾のせいだと見るほうがわかりやすい。
その風貌ともあいまって、豪腕、強面、強権のイメージがある小沢さんだが、彼は、実は、小心で、純情な人であり、非常に「情」に弱い。つまり、誰かが礼と情を尽くして頼むことに対して、「NO」をなかなか言えない人なのである。
しかし、「NO」が言えない性格は、その弱さを人に利用される危険性があり、政治家としてはマイナスでもある。だから、その自分の弱さを隠すために、彼は表面的には、豪腕、強面、強権のイメージを振りまかざるを得ないのである。
それゆえ、本当は、すごくいい人で、情に厚いのに、たくさんの人に嫌われてしまうという矛盾を抱えてしまう。そして、嫌われてしまうと、何だか萎縮して、やる気がなえて、すべてを投げ出したくなる性格でもある。権力を人一倍渇望しながら、でも、権力にかぎりなく近くなると、嫌われるトラウマがまたうずき、自分で、自分の夢をぶっ壊してしまう行動に出る――それが、小沢さんが、かかえる絶対矛盾なのである。
あるいは、こんなふうにも言えるかもしれない――小沢さんという人は、能力的には、人前にでる党首よりも、幹事長とか選挙対策委員長のような裏方に向いている。が、彼の性格としては、他人に従わねばならないNo2とかNo3の地位がつとまらない。これも彼がかかえる絶対矛盾である。
そこで、今回の小沢・福田密室会談を大まかに想像すれば、(おそらく小沢さんの性格を熟知していただろう)老獪な福田さんは、かなりの平身低頭で、テロ特別法案への協力を頼んだはずである。
その平身低頭と自分への敬意に、小沢さんは、「自分より年上の首相が、ここまで頭を下げて、頼むなら、協力してもいいいかなあ」と「情」がかなり動いたにちがいないのである。もともと彼も、親米であるし、アメリカの機嫌を損ねてはいけないという危機感は、自民党と共有している。ただ野党の大義名分として、自民のテロ特別法案に反対しているだけで、別に本当は、賛成しても、彼としては、問題はないのである。本音では、彼もアメリカには嫌われたくはない。
それに前回の参院選で、精力を使い果たした小沢さんは、なんとなく次回の衆院選を頑張る気力がわかない。そこで、唐突に、「ええい、もうこのさい、自民との連立でもいいか」みたいになってしまったのだろうと、私は想像する。
ところが、自分の部下のような人たちに、自分の案に「NO」を突きつけられ、いつものごとく、また嫌われるトラウマがうずき、「そんなにみんなオレが嫌いなら、やめればいいんだろう」とやけっぱちの辞意(嫌われるトラウマを持っている人は、自分の考えへの「NO」を、自分の存在への「NO」だと誤解する)。
でもまた、みんなが情と礼を尽くして頼むと、「情」が動き、恥も外聞もなくあっさり辞意撤回。まあ、カワイイというか、甘えているというか――彼の心には、自分の身近な人に対して、「説明なんかしなくても、俺の心くらい、わかれよ」という子供じみた甘えがある。(蛇足ながら言えば、日本全国の中高年の男性には、この小沢さんタイプの人が多く、言葉が足らないゆえに、妻や子供や部下に嫌われる人が多い)
今回のドタバタが民主党のイメージを下げるかどうかは、小沢さんご自身が自分のことを言っている、「不器用で口べた」というイメージ、そしてストレスで疲れているオジサンが精一杯頑張るイメージを、国民に共感してもらえる形で、「売れる」かどうかにかかっていると思う。民主党の皆さんには、スポーツの喜びを失わずに、そしてピンチをチャンスに変えて、これからも頑張っていただきたいものだ。
さて、こういった人の心がかかえる「絶対矛盾」――Aのことを強く望みながら、同時に自分でAを無意識に否定する行為をすること――それは、ほとんどの人の心にあるものなのである。おそらく、今この文章を書いている私自身の中にも、読んでいる人の中にも。
が、小沢さんという政治家の精神構造を考えてみると、今回の一連のドタバタは、政治の問題というより、小沢さんの心がかかえるトラウマ、そして絶対矛盾のせいだと見るほうがわかりやすい。
その風貌ともあいまって、豪腕、強面、強権のイメージがある小沢さんだが、彼は、実は、小心で、純情な人であり、非常に「情」に弱い。つまり、誰かが礼と情を尽くして頼むことに対して、「NO」をなかなか言えない人なのである。
しかし、「NO」が言えない性格は、その弱さを人に利用される危険性があり、政治家としてはマイナスでもある。だから、その自分の弱さを隠すために、彼は表面的には、豪腕、強面、強権のイメージを振りまかざるを得ないのである。
それゆえ、本当は、すごくいい人で、情に厚いのに、たくさんの人に嫌われてしまうという矛盾を抱えてしまう。そして、嫌われてしまうと、何だか萎縮して、やる気がなえて、すべてを投げ出したくなる性格でもある。権力を人一倍渇望しながら、でも、権力にかぎりなく近くなると、嫌われるトラウマがまたうずき、自分で、自分の夢をぶっ壊してしまう行動に出る――それが、小沢さんが、かかえる絶対矛盾なのである。
あるいは、こんなふうにも言えるかもしれない――小沢さんという人は、能力的には、人前にでる党首よりも、幹事長とか選挙対策委員長のような裏方に向いている。が、彼の性格としては、他人に従わねばならないNo2とかNo3の地位がつとまらない。これも彼がかかえる絶対矛盾である。
そこで、今回の小沢・福田密室会談を大まかに想像すれば、(おそらく小沢さんの性格を熟知していただろう)老獪な福田さんは、かなりの平身低頭で、テロ特別法案への協力を頼んだはずである。
その平身低頭と自分への敬意に、小沢さんは、「自分より年上の首相が、ここまで頭を下げて、頼むなら、協力してもいいいかなあ」と「情」がかなり動いたにちがいないのである。もともと彼も、親米であるし、アメリカの機嫌を損ねてはいけないという危機感は、自民党と共有している。ただ野党の大義名分として、自民のテロ特別法案に反対しているだけで、別に本当は、賛成しても、彼としては、問題はないのである。本音では、彼もアメリカには嫌われたくはない。
それに前回の参院選で、精力を使い果たした小沢さんは、なんとなく次回の衆院選を頑張る気力がわかない。そこで、唐突に、「ええい、もうこのさい、自民との連立でもいいか」みたいになってしまったのだろうと、私は想像する。
ところが、自分の部下のような人たちに、自分の案に「NO」を突きつけられ、いつものごとく、また嫌われるトラウマがうずき、「そんなにみんなオレが嫌いなら、やめればいいんだろう」とやけっぱちの辞意(嫌われるトラウマを持っている人は、自分の考えへの「NO」を、自分の存在への「NO」だと誤解する)。
でもまた、みんなが情と礼を尽くして頼むと、「情」が動き、恥も外聞もなくあっさり辞意撤回。まあ、カワイイというか、甘えているというか――彼の心には、自分の身近な人に対して、「説明なんかしなくても、俺の心くらい、わかれよ」という子供じみた甘えがある。(蛇足ながら言えば、日本全国の中高年の男性には、この小沢さんタイプの人が多く、言葉が足らないゆえに、妻や子供や部下に嫌われる人が多い)
今回のドタバタが民主党のイメージを下げるかどうかは、小沢さんご自身が自分のことを言っている、「不器用で口べた」というイメージ、そしてストレスで疲れているオジサンが精一杯頑張るイメージを、国民に共感してもらえる形で、「売れる」かどうかにかかっていると思う。民主党の皆さんには、スポーツの喜びを失わずに、そしてピンチをチャンスに変えて、これからも頑張っていただきたいものだ。
さて、こういった人の心がかかえる「絶対矛盾」――Aのことを強く望みながら、同時に自分でAを無意識に否定する行為をすること――それは、ほとんどの人の心にあるものなのである。おそらく、今この文章を書いている私自身の中にも、読んでいる人の中にも。
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