最近読んだ本2026年02月13日 06時05分18秒

『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




[イベント]
イベントの詳細・予約は下記へ


◎オンライン「私とは本当は何かを見る実験の会」

2026年2月15日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年2月26日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

◎オンライン「非二元の探究──主体と対象に関する非対称の原理」

2026年2月19日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年3月1日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


〔Youtube]
U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』(33)


最近は、本を読むより、動画を見ている時間のほうがはるかに長い。年々本を読む気力が少しずつ衰えている気がする(悲)。本日は、ここ半年くらいに読んで面白かった本を紹介しようと思うが、今回はAI秘書さん(笑)にも解説を手伝ってもらった。

『ゲームの王国(上・下)』小川哲著(早川書房)

最近読んだ小説で一番面白かった小説が本書だ。20世紀後半のカンボジアという国を背景に、二人の天才的子供が出会い、別れ、最後には敵としてまた出会う。カンボジアの現代史なんてほとんど知らなかったけど、本書を読んだおかげで、ざっくりと理解できた(ただ、頻繁に出てくるコンピュータ・ゲームの話は、私にはほとんど理解できなかった)。

カンボジアでも、短い年月の間に異端とそれを迫害する権力者がめまぐるしく移り変わり、権力者(それが反共産政権であれ、共産主義政権であれ)は、必ず異端を迫害するという法則を証明している。共産主義政権だったポル・ポト政権は、国民の四分の一(約180万人)を虐殺したとされている。

庶民は誰が権力者であれ、その権力者が押し付けた理不尽なルールで生きることを強制される。理性と知性を持ち合わせた登場人物の一人は言う。

「まるでゲームだ、アドゥはそう思った。革命の中のもとに、オンカー(注:ポル・ポト政権時代、国民生活すべてを支配する少数のエリート集団)は複雑怪奇のルールを認定した。ひとつでも違反すると殺される。まさに命を賭けたゲームだ。生き残るためにはすべてのゲームで勝つことが必要だった。アドゥは多くの者がゲームに敗れて死んでいくのを見てきた」(『ゲームの王国(下)』250pより)

2人の天才的子供のうち、ポル・ポトの隠し子である女の子は、大人になってから自分の娘にこう語る。

「私はNPOの仕事で、カンボジア中を回ったわ。外国にもたくさん行った。どこも同じ。ルールを守らない人間が成功し、貧しい人々は搾取されている。成功した人間は、貧困の原因を努力の問題にするけれど、貧しい人たちは努力の仕方もわからずにいる。私は世界中から、それらすべてをなくしたいの。(中略)正義と公正が永久に続くような社会を作りたい」『ゲームの王国(下)』99pより)と彼女は決意し、政治権力の階段をトップまで登るが、でも結局、彼女も過去の権力者と同じく、自分に敵対する者たちを粛清していく人になっていく。


『沈まぬ太陽』山崎豊子著(新潮社)

山崎豊子さんの小説は、大昔、『白い巨塔』を読んで以来だ。今頃読む小説ではないけど、なぜか図書館で目についた。日本の実在の航空会社をモデルにした小説で、あの航空機事故の前と後の会社の権力闘争を描いた話だ。日本の名だたる大企業の上層部の人たちが、飛行機の安全とか顧客のことではなく、自分の出世と欲のことばかり考えていることが驚きというか……主人公の男性(小説の中のヒーローなので、多少カッコよすぎる感もあるが)はそんな会社の状況を正そうと一人孤軍奮闘するが、当然「異端」なので粛清されて、海外の僻地へ飛ばされ続ける。タイトルの「沈まぬ太陽」とは、主人公が、組織の不正や腐敗に屈せず、どれほど理不尽な左遷や迫害を受けても、信念を曲げない彼の生き方、「どれほど闇が深くても、沈まない太陽のように光を失わない」という意味だそうだ(青線の部分は、AIによる解説)


『BUTTER』柚木麻子著(新潮社)

この小説には3人の女性が主に登場する。一人は、料理の腕とセックスで寂しい中年・初老の男性を惹きつけ、お金を巻き上げ、あげく殺した容疑で刑務所に収監されている女性。そして、彼女に関心をもち取材するジャーナリスト、そして、その彼女の大学時代からの友人で今は専業主婦をやっている女性。「フェミニズムとマーガリンが大嫌い」、「女の友人は不要」と豪語する梶井真奈子(刑務所にいる女性)はその自信たっぷりな生き方が多くの女性に支持されて、アイドル並みの人気を誇る。彼女を取材するジャーナリストの女性とその親友の女性は、梶井真奈子と接するうちに、自分の生き方にだんだん自信がなくなり、自分の子供時代のトラウマが疼き、メンタルが崩壊する危機に瀕する。

女の人生の幸福と充実はどこにあるのか? 男性からお金を貢いでもらって、優雅に暮らすことか? それとも、キャリアを積んで自力で仕事で出世することか? それとも家族のために尽くす生活か? 3人の女たちの本音が炸裂し、時には読者(とくに女性読者)のマインドに「女の存在の痛さ」が突き刺さる。本書は世界で100万部以上売れたというから、本書で描かれている女たちの話には先進国に住む女性たちの琴線に触れる何かがあるのだろう。ちなみに、タイトルのBUTTERは、梶井真奈子が愛する食品、「バター」のことで、本書の中ではバターを使った料理の話がたびたび出てくる。


『すばらしい新世界』オルダス・ハクスレー(1894~1963)著(光文社)

大昔から名前だけは知っていた小説をようやく読んだ。私は『すばらしい新世界』を昔の冒険小悦か何かと勘違いしていたが、今から約500年後の地球社会を描いたディストピア小説だった。

この社会は 遺伝子操作と人工的な教育(条件づけ)によって、あらかじめ階級が決められたカースト制 (指導者層から単純労働者層まで5つの階級)を採用し、

*生まれる前から遺伝子操作で階級が決まる
*幼児期の睡眠学習(条件づけ)で階級に満足するように教育される
*階級間の移動は不可能
*階級ごとに「幸福」が設計されているため、反抗心が生まれにくい
(青線の部分は、AIによる解説)

まあ、そういう社会だ。この社会では、快楽(セックスとドラッグ)はやりたい放題で、「結婚」とか「母親から生まれた」という概念はほとんど古語か猥褻語である。厳格な階級性にもかかわらず、人々は不幸を感じないように、自分の階級に満足するようにプログラミングされている。しかし、すべてが良さそうに見えるこの社会でも、異端(たまたまの偶然で普通に母親から生まれた人)が出てきて、社会のありように疑問を呈する。

20世紀に書かれたもう1冊の有名なディストピア小説、ジョージ・オーウェルの『1984年』は恐怖と力によって抑圧された超監視社会(←北朝鮮のような社会)を描いているが、ハクスレーは快楽、気晴らし、道徳的退廃を通して人間が支配され、自由がなく、支配されていることにも不満を感じない社会を描いている。

ディストピア小説を読んだあとは、まだ『1984年』にも、『すばらしい新世界』にもなっていない(でもひょっとしたら将来なるかもしれない)、私たちが今生きている現在の社会――私たちが政治、経済、社会、自分自身の状況にあれこれ不満を言い合っている社会が、「非常にありがたい理想の社会」(笑)に思えてくるから不思議だ。


『西洋の敗北 』エマニュエル・トッド著(文藝春秋)

ウクライナにロシアが侵攻したとき、全世界のほとんどが反ロシアになり、ロシア経済は長くはもたないだろうという感じの予想と印象が多くあった。しかし、予想に反してロシアはしぶとく持ちこたえている。本書によれば、ロシアの製造業は少なくともアメリカの製造業よりもはるかに優れているという。その理由は、ロシアでは、優秀な人材が製造業に集まっているのに対して、アメリカでは優秀な人材はほとんどが金融、ITに集まり、製造業には人材が集まらず、製造業が衰退したからだ。トランプ大統領が、「アメリカの製造業に投資をしろ」と各国に強制しても、そもそもアメリカの製造業に人材がいず、しかも、衰退した製造業を再び育てるには長い時間がかかる。

本書はそれ以外にも様々なデータから(出生率、乳児死亡率、識字率、自殺率、製造業の様々なデータなど)から、アメリカを含む『西洋の敗北』を予言する。長年、適格なデータ分析で世界情勢を予言してきた学者の言葉には説得力がある。そして、その敗北が予想されている国に、日本はこれから80兆円の投資(親分への上納金のようなもの)をするらしい……

著者のエマニュエル・トッドはフランスの人口統計学者、歴史学者で、本国ではその歯に衣着せぬ発言でバッシングを受けたり、英語圏では翻訳が少なくあまり知られていないらしいが、なぜか日本の出版界、知識人の間では非常に人気で、よく名前を見かける。


『世界はシンプルなほど正しい』ジョンジョー・マクファデン著(光文社)

「オッカムの剃刀」という有名な言葉がある。それは14世紀のイングランドの哲学者・神学者ウィリアム(オッカム村のウィリアム) に由来するとされ、複雑な宇宙に剃刀を当て、「不要な仮定を切り捨て」、「単純なものを複雑にしない」という考え方のことだ。

本書は、その「オッカムの剃刀」という有名な考え方が過去500年間の西洋の科学の中でどんなふうに役立ってきたのか、物理学、化学、生物学などの豊富な例を挙げて解説した本。最後に書かれているある有名な科学者の言葉に私は非常に共感した。「あらゆる物事の裏には間違いなく、単純で美しい考え方が潜んでいて、10年か100年かけてそれが理解できたときには、きっと誰もがこう言い合うだろう。それ以外の考え方なんてできるだろうかと」。


『地政学』社會部部長著(サンマーク出版)

地政学とは、地理的な条件に基づいて、国家間の関係性や国家戦略、政治・軍事・経済への影響などを分析・考察する学問分野(以上AIの説明)で、最近は本も多く出版され、地政学は国際的な事柄に関わる人たちには必須の学問となりつつある。本書は、Youtubeで人気になった動画の書籍化で、何の予備知識もない素人が読んでも非常にわかりやすい。

本書に書かれている、「地形的に見ると、アメリカもロシアも中国も弱い。だから、戦争をやめられない」の話は非常に明確で、なぜ中国が台湾にあれほど執着するのかも本書を読んで非常に納得した。

(国家が戦争に巻き込まれないために)、本書では最後に地政学の観点から下記の提言がされている。

*「国は地理の囚人。地形的制約に揉まれながら、自らの生存する道を見出すべき」
*「潜在敵国を絶対的悪者と見なさないこと」
*「理想と現実を踏まえた上で行なうべきことは、話し合い」

高市首相にもあらゆる国に対して、「潜在敵国を絶対的悪者と見なさず」、「理想と現実を踏まえた上での話し合い」をお願いしたいものだ。


[昨年出版された本]

*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

販売サイト


*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

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