「頭がない男」―ダグラス・ハーディングの人生と哲学2019年03月03日 08時40分42秒

大変長い間お待たせしていましたが、ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記――「頭がない男―ダグラス・ハーディングの人生と哲学」がようやく発売間近になりました。書店等に出まわるのは、3月中旬からの予定です。
 
*正式タイトル:「頭がない男」-ダグラス・ハーディングの人生と哲学

*著者:脚本―リチャード・ラング  挿画―ビクター・ラン・ロックライフ

*定価:本体価格2,500円+税

*版型:B5版(フラカラー)183ページ

*発行:ナチュラルスピリット


*目次詳細  (原書には目次がないですが、読みやすくするために、日本語版にはつけてあります)


*アマゾン社の広告
https://www.amazon.co.jp/dp/4864512981



昨年、本書については、おおかた説明したので、今日は、家庭人としてのダグラス・ハーディングについて少しふれてみよう。

伝記を読むと、彼は最初の結婚生活では、夫と父親としての義務は果たすが、仕事と自分の本、そして「私とは何か?」の研究に没頭して、家族とあまり感情的に関わらなかったという印象がある。

ダグラスは、おじいちゃんとか友人としては楽しい人だけど、夫や父親としてはけっこう気難しく、偏屈だった感じがあり、彼が最初の妻と子供たちにあまり好かれなかったのも、なんとなくは理解できる。一日中、ほとんど書斎に閉じこもって、自分の関心だけに熱中している夫や父親なんて、確かに子供や妻の立場からすれば、「なんだ、この夫(父親)」(笑)ということになってしまうことだろう。

それでも最初の妻は、彼の哲学に理解も共感もしなかったが、彼が何かに取り憑かれていることは理解し、経済的には自分も働いて、彼を支えた。彼は「天と地の階層」の本を最初の妻に捧げている。

それに対して、キャサリンとの結婚生活は、彼女が彼の哲学と情熱をよく理解し共感するという土台があったため、彼女の存在は、彼の人間としての生活に潤いと喜びを与えた。私はキャサリンと出会う前のダグラスを知らないが、彼を長年よく知る人たちはみな「ダグラスは、キャサリンと結婚して変わった」という話をしていた。それはたぶん、いい意味で、感情的になったということだと思う。

彼がワークショップのとき、My wife, Catherine (私の妻、キャサリン)と言うたびに、その言葉にものすごい愛情と喜びが込められているのを私はいつも感じたものだ。「ああ、彼は彼女と出会ったことを本当に喜んで、感謝しているんだ」と、私もうれしい気持ちになった。

ただ、あらゆる結婚生活が幸福なだけではないように、彼らの結婚生活も大変な面は多々あっただろうとは想像できる。「老いらくの恋」といえば、美しく聞こえるが、イギリス人とフランス人はけっこう気質も文化も違い、しかも20歳の年齢差、しかも、お互いに自分の確立したライフスタイルと価値観をもっている人たちである。

私が何度か、彼らの自宅を訪れたとき感じたことは、二人がこの結婚生活をとても大切に思い、そのためにあらゆる努力をしているということだ。

彼が車椅子生活になってから、印象に残っている思い出がある。彼が94歳くらいのときのことで、その頃、キャサリンはダグラスが再び歩くという希望をまだもっていて、そのため、ダグラスに毎日歩く練習をさせていた。私も、彼らの家に滞在していた間毎日、一緒に公園まで車で行って、少しお手伝いをしたものだ。

ダグラスは、子供が歩く練習をするように、キャサリンに言われるままに、一生懸命取り組んでいた。「俺はもうこんな練習はしたくない」とか、「もうリハビリなんてしてもムダ」とか、内心では思っていたかもしれないが、彼はキャサリンの前では絶対にそういった愚痴は言わず、いつも全力で歩く練習をしていた。

いつも、今ここの、目の前のことに全身全霊を捧げる――最後までこの点は彼は変わらなかったし、加えて、キャサリンの夫として、キャサリンを失望させてはいけないという自覚もあったと思う。

彼のお葬式に、キャサリンが読み上げた詩がある(下記に一部引用)。


 あなたは、気高く、聡明で、自分の霊的経験を分かち合うという「使命」に、ユーモアと比類ない誠意をもって、心から献身しました。

でもたぶん、私があなたを何よりも賞賛するのは、その天才的才能にもかかわらず、あなたは決して他人に対して力をふるおうとはせず、また自分のことを、他人よりも上だとかすぐれているとは、決して思わないことでした。

あなたの人間としての人生の最後の週の間、あなたの私へのメッセージは、「信頼すること!信頼すること!信頼すること!」でした。

あなたが、私と他のみんなに書き残してくれたメッセージが、壁の上で輝いています。
「もしあなたの目が単一なら、あなたの体全部が光で満ち、暗い場所はなくなるだろう」
「自ら与える愛が、世界の背後のパワーである」

ありがとう、ダグラス。 私と世界中の何千人の友人たちと分かち合ってくれて。
ありがとう、ダグラス。 あなたは私たちに、遺産、貴重な真珠、宝、究極の解放――私たちが本当に本当に何かというヴィジョンを――残してくれました。

最後に、「今、高貴な心の方が消えてしまわれました--おやすみなさい、愛しい王子様よ。あなたが心安らかにお休みできるように、天使の一団が、見守ってくださいますように」


私はこの詩を読むと今でも涙が出る。 「気高く、聡明」そして、付け加えれば、子供のような無邪気な感性をもっていた人。

さて、皆さんの中にはこれまで私が書いた「頭がない男」の本の紹介を読んできて、こう思った人もいるかもしれない。「シンプル堂さんがとても詳しくダグラス・ハーディングの教えと生涯について書いてくれたので、グラフィック伝記は買わなくてもいいかな」(笑)

しかし、そうではないですよ、 皆さん!

私自身は活字派の人間で、映像やヴィジュアル表現の分野にはまったく疎いが、それでもヴィジュアル表現には、活字による説明にはない強烈なインパクトがあることを理解している。特に今回イラストを担当したビクター・ラン・ロックライフのイラストには心から驚き、感銘を受けた。

リチャードとビクターの情熱と理解と才能、そして二人のダグラスへの愛情が素晴らしくうまく絡み合って、見事な作品に仕上がってる。(さらに、日本語版には、原書にはない目次や注を加えて、日本の読者のための便宜をはかってあります)

フルカラー版なので、値段高めで申し訳ないですが、お小遣いをためて、ぜひ買っていただければ、ありがたく思います。


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2019年3月9日(土曜日午後)「私とは本当に何かを見る会」(大阪府茨木市)
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2019年3月10日(日曜日午後)「非二元の教えを生きる会」(大阪府茨木市)


下記の予約申し込みは3月12日からです。
2019年4月7日(日曜日午後)「私とは本当に何かを見る会」(東京都新宿)
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覚醒と病気2018年12月03日 16時37分22秒

 「神の実験室通信88号」の中で私が書いたことについて、少し前に質問をいただいた。
 
 (「神の実験室通信」のバックナンバーは下記に掲載されています)
https://archives.mag2.com/0001049042/
 
 どういう質問かというと、

その通信の中で私は、「自分の病気も治療できない人の覚醒は完全ではない。だから、癌で死んだニサルガダッタ・マハラジやラマナ・マハルシなどの覚醒や教えは完全ではない」という考えには同意しないと書き、それに対して私のその反論の詳細を聞かせてほしいというものだ。

正直なところ、ニサルガダッタ・マハラジやラマナ・マハルシ、あるいはその他のどんな賢者やスピリチュアルな先生の覚醒や教えが完全ではないとか、彼らは悟っていないとかいるとかという議論は、本当は私にはどうでもいいことなのだ。

でも質問をいただいたので、本日はあえて反論を書いてみようと思う。

まず、一般的な話として、「自分は絶対に病気にならない」とか「病気になっても絶対に自分の力(あるいは何かの力)で直す」 という超強力な信念を人がもつなら、たぶんそうなるのだと思うし、それは覚醒とはほとんど無関係な信念の問題だ。確かに強力な信念とか意志にはそういうパワーがある--これまでの人生で様々な人たちを見てきて、一般的にはそういう傾向があると思う。

しかし、こうも思うのである。「絶対に病気にならない」 とか「絶対に病気を直す」 という信念を聞くとき、「その信念を維持するにはかなりの努力が必要かも」と。

そもそも非二元・覚醒系の教えでは、「私は1個の肉体ではない」 が教えの基本であり、そうであれば、1個の肉体が病気だろうが、健康だろうが、あんまりたいした意味もないだろうし、病気だからといって、あるいは病気で死んだからといって、その人の覚醒が不完全だとか教えが不完全だということにはならない。仏陀は食中毒で死んだというのが定説であるが、であれば、仏陀は食中毒も治療できなかったので、彼の教えも覚醒も不完全だという話になってしまう。
 
非二元系の教えの「覚醒」の意味とは、人間と呼ばれている物体を病気にならないような完璧な物に仕立て上げることではなく、人や肉体というイメージや物体「からの目覚め」と言う意味である--少なくとも私はそう理解している。

「覚醒すれば肉体が病気にならないとか、病気で死なない」を突き詰めれば、さらにそれは肉体の不死への願望ともなり、驚くべきことに、「自分が強く信じれば、自分の肉体を不死にすることができる」という教えさえある。最近のことはよく知らないが、私が20代の頃、この種の教えが流行したことがある。ダグラス・ハーディングの「顔があるもの,顔がないもの」の本の中で、肉体の不死の教えに関する質問があり、ダグラスがそれに関して何と答えているかというと、「肉体の不死など、地獄である!」  というものだ。

特にニサルガダッタ・マハラジやラマナ・マハルシの病気に関して言えば、まずラマナ・マハルシは若い頃から肉体そのものにまったく無関心で、肉体を嫌っていたとも言える。ラマナの癌について、ダグラス・ハーディングが「存在し、存在しない、それが答えだ」の本の中で、ラマナの肉体無視のせいで、彼の肉体の細胞たちが反乱を起こしたのだろうという主旨の見解を述べている。彼の肉体無視の生活は、彼の覚醒とも教えとも無関係の彼の生まれもったプログラミングのせいである。

一方ニサルガダッタ・マハラジの咽喉癌はたぶん、バジャンやタバコなど、喉の使いすぎが原因ではないかと私は思っている。彼は晩年に自分を襲ったこの癌を治療する気がまったくなかったが、その態度は私にも理解できる。私の印象では、彼は自分の肉体を通じてやるべきことを全部やり終えたと思っていた感じだし、だから治療して寿命をわずかばかり延ばすより、肉体から早く解放されるほうがはるかによい--彼はそう思っていたことが「意識に先立って」の本からは感じられる。

話は少しそれるが、私がニサルガダッタ・マハラジの本を最初の読み始めた頃、私が一番ショックを受けたことは、彼のスピリチュアルな教えのほうではなく、彼が言った「世界には一定量の苦しみがあり、あらゆる人はその苦しみの配分量を割り当てられている」という主旨の発言だ。

苦しみの配分量(笑)って一体どういうこと?と思ったものだ。それまでに読んだほとんどのスピリチュアルな本にそんなことが書かれていたことはなかったからだ。スピリチュアルな本や先生たちは、いつも「愛、喜び、豊かさ、健康」など、ポジティブなことばかり語るのが定番である。

しかし、そのとき「苦しみの配分量」という話が私のハートを直撃し、私は自分が知るあらゆる人の人生、そして自分自身の人生も振り返って、「確かに、賢者の人生も含めてあらゆる人は一定量の不幸と苦痛を免れないのだ」と納得した。

「自分の病気も治療できない人の覚醒は完全ではない」という考え方はさらに、「人生に不幸や苦痛が起きたら、その人の覚醒は完全ではない」という考え方を生み、そこからさらに「もし自分が覚醒したら、その後の人生は幸福と幸運だけに恵まれるだろう」という愚かしい幻想も生む原因となる。

賢者も含めて、あらゆる人の人生は平等に幸福と不幸、幸運と不運、喜びと苦痛が割り当てられている。そして、老荘思想が教えるように、「人生万事塞翁が馬」、つまり、よいことは悪いことに変わり、悪いことは善いことに変わる--このことを理解すれば、私たちは不必要な不幸感に苦しまずにすむのだ。

ニサルガダッタ・マハラジの癌--それは彼に配分された最後の苦しみだったのかもしれないが、本人はそれを不幸だとも何とも思わず、むしろ「存在の驚くべき表現」みたいな発言をしている。彼が癌の苦痛の中、何年も死ぬ数ヶ月前まで真理を伝え続けた、むしろそのことが私には彼が本当に賢者の中の賢者だったと確信させてくれる。

前にも書いた話を繰り返すが、こんなことを書いている私も病気はイヤだし、まして病気の苦痛はもっとイヤなのだ。そこで私が実践することは、普段から常識程度の健康管理をやるだけである。今だってちゃんと病名のついているいくつかの持病をもっているが、痛くならないかぎり、基本は放っておく主義だ。もし苦痛がひどい重病になったら、そのときは、「苦痛の配分量が来たか!」と、私は泣いて受け止めることだろうと思う。

最終的にはこういった議論は、教えの好みの問題になる。「覚醒すれば絶対に病気にならないとか、病気で死なない」という教え(そちらのほうがはるかに人気がある)が好みの方はそういった教えに行けばいいし、人はそれぞれ自分が好きな教えを実践するだけである。


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ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記(2)2018年11月20日 08時38分18秒

  「ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記」を構想・執筆したリチャード・ラングのことは、Youtubeでの実験の動画やダグラス・ハーディング関連のビデオなどを通じて、知っている方も多いと思う。

彼は非常に若い頃(17歳の頃)ダグラス・ハーディングに出会い、以後ダグラスが死ぬまで、彼と一緒に「頭がない方法」のワークと彼の哲学を研究し、推進し、ダグラス亡きあとはインターネットを通じて、世界中にダグラス・ハーディングと「頭がない方法」について発信してきた。彼はいわゆる「ダグラス・ハーディングのspiritual son(霊的息子)」のような人だ。

実際、リチャードほどダグラスの著作・ワークに通じている人はいない。伝記の中で若き頃の長髪のリチャードが、ダグラスが10年かけて書き上げた宇宙論、「天と地の階層」を初めて読んで感動した場面がある。リチャードは「天と地の階層」のオリジナル完全版(一般に出版されているのは分量を減らした縮小版)を読み通した最初の人なのだ。晩年、ダグラスは 「天と地の階層」の内容について聞かれると、「それはリチャードに尋ねてくれ」と言っていたそうだ。

*リチャード・ラングの「天と地の階層」講演録(日本語字幕付き)
http://youtu.be/f2eF52V6yIs

そんなリチャード・ラングが構想・執筆したので、「ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記」は非常に忠実に綿密にダグラスの生涯と思索を追い、同時にダグラスの主要な著作ももれなく紹介している。そして、何よりも素晴らしいことは、イラストレータ-の方もダグラスの哲学をよく理解しているので、二人の情熱のコラボレーションの相乗効果で、ダグラスの哲学というか教えの要点が本質をそこなうことなく非常に立体的にわかりやすく描かれているところだ。 

ダグラスの哲学というか教えは、私の理解によれば、次の三つに集約される。

1この宇宙の構造と人間の関係--「天と地の階層」のテーマ

2「私」の中心での頭のなさ--一般に「頭がない方法」と呼ばれているワーク

3非存在が存在になる驚異--私たちは毎瞬、自分の本質から世界を創造している

1については彼の「存在し、存在しない、それが答えだ」の本の中でも、その一部の内容は紹介されている。本当は「天と地の階層」の本を読んでもらうのが一番なのだが、この本は彼の他の本にもまして難解であり、残念ながら、「天と地の階層」の完全版の翻訳は少なくとも私にはほとんど不可能だと思っている--縮小版のほうは、他の仕事や義務が全部終わったら、肉体が死ぬ前に最後にやるかも、ではあるけど。

2は私が主催している「私とは本当に何かを見る会」でワークを紹介している。

3の話は、はっきりと言えば、説明のしようもなく、ただ「そうである」としか言いようがない。

 以上のテーマをダグラス・ハーディングは様々な観点から長年にわたって執筆し、本にまとめて発表してきた。

しかし、彼が使う文章表現は決してわかりやすいものではない。彼は若い頃作家になりたい野心をもち、趣味で小説を書いていた頃があり、文学を非常に愛していた。そのためか、彼の文章には独特のひねりとユーモアと、時に皮肉があり、彼の文章のセンスがわかるかどうか、ヒットするのかどうかは、人それぞれである。多くの欧米人にとっても彼の本は決して読みやすいものではないのだ。ダグラスの親しい友人たちの中でも、ダグラスのワークは好きだけど、彼の本は読まないという人たちもいる。

そしてもちろん、翻訳の壁もあるので、邦訳本はいっそう読みにくいという問題をもつ。だから、ダグラス・ハーディングの邦訳本を今まで読んだ人たちの中で、彼の文章を読みにくいと感じた 読者の方々も多いのではないかと想像する。

そこで、今回の企画のようなグラフィックでダグラス・ハーディングの哲学を描くという試みは、文章表現の欠点をかなり補い、文章ではなかなか伝わりにくいポイントを立体的に視覚的に一瞬で伝えることができるという利点がある。英語版の書評(下記に翻訳を掲載してあります)に「子供と一緒に読んで実験した」というコメントがあったが、子供でも本書は理解できるのだ。いや、ひょっとしたら、大人よりも子供のほうがよく理解できるのかもしれない。(「ダグラス・ハーディング・グラフィック」についてはあと一回書く予定ですが、3回目は正式なタイトルと発売時期が決まった時点で書きます)

March 16, 2017
  私は30年以上にわたってスピリチュアルな本を読み、ワークショップに出席し、クッションに座って瞑想し、答えを知っていると私が思った他人の話を聞いてきました。正直に言って、本書は探求にとって必要な最後の本です。本書には、カラーのイラスト、シンプルな実験、そしてダグラス・ハーディングという名前の見者の物語があふれています。本書の一番素晴らしいところは、私がそれを11歳の娘と一緒に読み、私たちはベッドで寄り添って一緒に実験したことでした。彼女は私と同じくらいこの本を楽しみました。この芸術作品は子供も大人も惹きつけ、大昔からの質問、「私とは何か?」に非常に明確に答えています。本書を手に入れて、自分自身であるいは自分の子供たちと一緒に実験をやって、その魔法を眺めてください。信じられないほどシンプルです。(原文は下記に掲載されています)
https://www.amazon.com/Man-No-Head-Douglas-Harding/dp/190877424X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1542491208&sr=1-1&keywords=the+man+with+no+head


*翻訳者の古閑さんが本書の原書を読んだ感想をブログに書いています。
 

* 「ダグラス・ハーディング・グラッフィク伝記予告ビデオ」(英語版の紹介)

 

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ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記(1)2018年11月08日 08時12分30秒

ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記「頭がない男-ダグラス・ハーディングの人生と哲学」(正式タイトルと発行時期未定)の編集作業が進行している。
 
グラフィック伝記とはどんな本かというと、イラストと文章で人の生涯を描いた本だ。日本の本で言えば、マンガで描いた偉人伝みたいなものをたまに見かけるが、それに近いイメージである。そういった本は大勢の一般読者向けの教養本として出版されているので、ほとんどの場合、その偉人の業績や思想をあまり深く掘り下げていないという欠点はあるが、てっとり早く偉人の生涯を知るためにはよい方法である。

私が現在蔵書している中で、一冊だけそのジャンルの本があり、それは室町時代の禅僧、一休の生涯を描いた「あっかんべェ一休(上・下)」(坂口尚作 講談社発行)というマンガである。このジャンルの本としては、非常によく仕上がった本だと、読んだとき非常に感心した。作家の方が相当踏み込んで、かなりの情熱をかけて本書の創作に取り組んだあとがうかがえる作品だ。坂口さんは本書の完成後、若くして亡くなられた(享年49歳)そうで、そのことを私は少し残念に思ったものだ。

話をダグラス・ハーディング・グラフィック伝記に戻そう。本書の創作の発端はリチャード・ラングがダグラス・ハーディングの生涯を短いビデオ(「頭がない男」)にまとめて  youtubeに公開したところから始まる。それを見た、リチャード・ラングと同じくイギリスのロンドン在住のイラストレーター、ビクター・ラン・ロックライフが、リチャードにこの動画からダグラス・ハーディングのグラフィック伝記を作ったらどうかと提案し、そこから数年かけて二人で、リチャードが構想を考え文章を書き、それを元にビクターがイラストを描き、本書の英語版が完成した。そのあと、リチャードが色々な国でダグラス・ハーディングのワークを紹介している人たちに声をかけて、各国語版の制作のプロジェクトが始まったというわけである。

ダグラス・ハーディングの生涯については、今まで本、ビデオ、ダグラス本人や奥様から聞いたことなどを元に断片的におおよそのことは知っていたつもりであったが、こうして改めて、幼年記から晩年まで約百年、20世紀の歴史を背景に1世紀近い彼の生涯を眺めて見るのは非常に興味深いことだ。

ざっと要約すると、

子供時代--厳格なキリスト教原理主義の家庭で両親に愛されながら、非常に成績がよく、自意識過剰で恥ずかしがりやな少年、そして親に素直に従う子供としてのダグラス。

青年期--親の宗教と決別し、自分で真理を探求する熱意に燃え、一方で社会にも関心をもち、非常に生意気で議論好きな青年ダグラス。彼はまた恋愛にも積極的だったようで、未婚の父(笑)にもなる。彼の子供を妊娠した女性とは別れて、別の女性と結婚し、就職のためインドへ渡る。

中年期-インド滞在中に真理に目覚め、これを多くの人に伝えることに自分の生涯を捧げることを決意し、猛烈に研究に励む。大作「天と地の階層」を10年かけて完成させ、イギリスの著名な作家、CSルイスの支援で、なんとか出版に至る。そのあと、建築の仕事に戻り、建築家としても成功する。また一般向けに、「頭がないことについて」(邦訳「心眼を得る」)を書く。

建築家を引退後--しだいに有名になり、あちこちに呼ばれてワークショップや講演などをするようになる。しかし、妻や子供たちの理解は得られず、最初の結婚生活は終わりを迎える。また、実験を開発して、多くの人たちが彼の言うことを「見る」ようになる。

晩年-鬱病の危機を乗り越えたあと、新たな境地にたって、著作活動、ワークショップなどを精力的にこなす。82歳のとき、フランス人のキャサリンに出会い、恋に落ち、結婚。それからの死ぬまでの日々、二人は共に過ごし、ワークショップのために世界中へ旅する。そして、2007年1月にキャサリンと友人たちに看取られて亡くなる。

本書によってダグラス・ハーディングの人生を振り返って見ると、彼がある意味で非常に野心的な人だったことがうかがえる。その「野心」の意味とは、彼は人生のどの分野においても(つまり、霊性だけでなく、仕事、家庭、恋愛、趣味などにおいて)、  何一つあきらめることなく、「自分はすべてを手に入れる」という決意の人だった、という意味である。もちろん、一方で多くの挫折や失望も味わったことも描かれている。

もし私が彼に中年の頃に出会ったら、ずいぶん印象も違ったかもと思うことがある。ダグラスの青年期・中年期の頃の写真には、なにか近寄りがたい意志屈強な人のオーラ(笑)がある。

しかし、私が彼に最初に会ったのは、彼が85歳のときで、活動的で情熱的な部分は残っていたが、中年の頃の近寄りがたい鋭いオーラは消え、私にはとても面白い「おじいちゃん」という感じだった。本書の中にも二人の結婚生活の話が少し書かれ、「私はキャサリンから学んでいる」という彼の言葉通り、キャサリンと結婚して、彼は人間的にいわゆる丸くなったようだ--英語で言うmellow(柔らかい、円熟した)という言葉にピッタリな感じだった。
 
生涯変わらなかったことは、「私とは本当に何か?」の研究と(彼の場合、それはすなわち「神」への情熱であった)と、自分が発見したことを伝えることへの情熱で、晩年に至るまで彼は非常に活動的で情熱的な人だった。


*翻訳者の古閑さんが本書の原書を読んだ感想をブログに書いています。
 

* 「ダグラス・ハーディング・グラッフィク伝記予告ビデオ」(英語版の紹介)

 

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病気の治療と祈り2018年10月30日 09時04分07秒

 先日、下記のご質問をいただいたので、ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記 の本について書く予定を変更して、ご質問へのお答えを書いてみよう。
 
「 関係のない質問で申し訳ありません。私は今病気をしていてそれを良くしたいと思い病院の治療と共に自分でできる「祈り」をしています。でもそのやり方で悩んでいます。 具体的にその病気が治ることをお願いするいわゆる指示的な祈りは良くないと聞いたので「御心のままでありますように。」のような完全受け身の祈りをしているのですがあまり自分の中でピンときません。  自分としては「病気が治りますように。」といった種類の祈りの方が精神的に安定するような気がするのですがどうしたら良いですか? 」
 
まず、私がスピリチュアルなことも含めて、人生で大原則としていることを書いてみると、「他人がよいと言うことではなく、自分がよいと思うこと、自分にとってよいと思うことをやる」ということだ。

もしご質問者が「御心のままでありますように」より、「病気が治りますように」がピンとくるなら、誰が何と言おうと自分にピンとくるものをやったほうがいいはずだと思う。

ただ、私自身は前にも書いたように、昔から「祈る気質」ではないので、「病気が治りますように」のような物質・肉体次元の状況改善のための「嘆願的祈り」(「指示的祈り」ともいう)はやらないし、それよりは「御心のままでありますように」のほうがはるかにピッタリくる。

苦しい病気のときに、 何か聖なるものに祈りたい気持ち、それは私にもよくわかる。私だって、病気の苦痛は大嫌いなのだ。私は肉体の苦痛に対して耐性がかぎりなく小さいので、小さい苦痛ですら、それが起こるときはベッドの上で苦痛にあえいでいる。

では病気(体の具合が悪いとき)のとき、私が何をするかと言えば、自分が知っているかぎりの療法をただ試すだけである――マッサージ、肉体への感謝、食事、健康茶、体操、サプリメント、瞑想、医者にはめったに行かないけど、苦痛が耐えがたいときは医者に行って治療を受け、薬を処方してもらうこともある。おっと、忘れるところでした――QEヒーリングもありました!

私にとっては肉体はパソコンのようなもので、パソコンの具合が悪い(私のパソコンも中年になり、時々わけのわからない不具合を起こす)ときは、優先してその不具合に取り組むのと同じように、老年になった肉体が不具合を起こすときも優先して問題に取り組むことにしている。

それでも、どんな療法も絶対ではないし、効くときもあれば、効かないときもあり、何も効かないときは、泣きながら文句を言いながら苦痛が去ることを待つだけである。もしそんなときに私があえて祈るとすれば、「この苦痛がイヤだイヤだと文句を言っている私をどうかお許しください」というものだ。

ご質問者が書かれている「御心のままに」の本当の意味は、私の理解によれば、病気の場合で言えば、「病気が直るかどうかは、私がコントールできることではない。それは神(全体)の意志によっている。私ができることは、自分ができることを何であれ、瞬間瞬間やることだけだ」ぐらいの意味だ。これは病気に打ちひしがれるとか、あきらめて何もしないという意味ではなく、自分にできるかぎりのことをやって、結果を心配しないという意味である。

それは私たちがやるすべてに通じることで、家庭や仕事においても、私たちにできることはただ平和に目の前のことに最善を尽くすだけで、その結果は「誰も知りえない」、のではないだろうか? 未来のことは何も保証されていないのだ。極端な話、私がこのグログを書き終えるまで、神が私の肉体を生かしておくかどうかさえ本当はわからないのだ。

そして肉体に関して究極的な平和は、パソコンが私の本質でないのと同様に、死すべき肉体も私の本質ではなく、私の本質は不死であるという理解と認識の中にしかないと、私は思っている。だからそのことを教えてくださった賢者の方々に私は深く感謝を感じている。

ダグラス・ハーディングは70歳の頃、短期間深刻な鬱病にかかり、それから回復したとき、あらゆることを神から来るものとして受容する新たなる境地に立ち、次のように宣言していることが伝記には書かれている。

私の望みは、すべてが
あるがままであることだ。
なぜなら、
すべてが私の本質から
流れて来るからだ


私が今日書いた話は、ご質問者にあまり参考にならなかったかもしれない。ただ、私が病気に方にいつも言うことは、自分がしたいと思う治療・療法を何であれ実践し、罪悪感と心配をもたずに、日々心安らかに生きるということだけである。

ということで、本日、ブログの最後まで、神は私の肉体を生かされておきました!


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ダグラス・ハーディングへの最後の質問――「父と子と聖霊」(3)2018年10月21日 08時37分38秒

私たちの物質世界(世俗世界)は二元世界だと言われている。その意味とは、二元世界では、物事は明確に異なる(ように見える)正反対の二つものによって構成されているということだ――最大の二元はまず、「私」と「あなた」であり、それに引き続き無数の二元的対照物がある――上と下、左と右、男と女、善と悪、表と裏、勝ちと負け、-(マイナス)と+(プラス)、得と損、健康と病気、戦争と平和など。二元世界では正反対の二つの対立が世界を動かしていく。

二つの正反対な物事が現象を動かすという考え方に慣れているせいなのだろうと思うが、だから、昔「父と子と聖霊」の概念を最初に聞いたとき、神の三つの位相というのが、何か奇妙に私には感じられた。「父と子ならわかるけど、そこへなんで聖霊が入ってくるのか?」と。

ここでキリスト教の「父と子と聖霊」の意味をもう少し詳しく説明すると、伝統的キリスト教では、三位の第一位は創造主としての父、第二位は人として神がこの世に送った神の子=イエス・キリスト、そして,第三位が「聖霊」で、この「聖霊」によって私たちは直接神と結びついていると教えられている。

父=創造主はいいとして、私の長年のもう一つの疑問は、なぜイエス・キリストだけが「神の子」と呼ばれるのかというものだった。しかし、ダグラス・ハーディングやその他の賢者のおかげで、本当は私たち全員が「神の子」であることを知った。「神の子」とは文字通り、神が創造した(生んだ)子という意味である。ただほとんどの人が自分は「人間の子」  だと信じている。「人間の子」とは、ダグラス・ハーディング流に言えば、「鏡に映る向こうの人」のことである。さらに私は、「神の子」の概念を広げて、父=創造主が創造した「すべての現象」という意味にも解釈している。

で、なぜ二つではなく三つなのかという疑問への私の答えとは:

「父と子」が本当は一つである、つまり創造主と創造主が創造した子たち(人間も含むすべての現象)は融合していることを、二元的世界で「知る・認識する」ために、「聖霊」が必要なのだと。

宗教的言葉ではなく、物理的言葉でこれを説明してみよう。たとえば、平凡な一枚の硬貨を例にとってみると、一枚の硬貨は表を向いているか、裏を向いているかで、普段は片方の面しか見えない。しかし、私たちは硬貨が表と裏からできていて、表と裏は絶対的に融合していることを「知って」いる。なぜ知ることができるのかと言えば、硬貨を動かして、表と裏を交互に見ることができるからだ。しかし、万一硬貨を動かすことができなければ、硬貨は永遠に表を向いているか、裏を向いているかで、硬貨の表と裏が実際は融合していることを知ることはできない。この場合、硬貨を動かし、表と裏が実際は融合していると「知る」ことが第三の要素である。第三の要素がなければ、硬貨の「表」と「裏」 は永遠に(観念的には)分離したままである。

人格的意味と宗教的意味を排除して「聖霊」とは何かを言えば、聖霊とは
下記のことを「知る・認識」するエネルギーのことだと、私は今ではそう理解している。

*現象が在る
*現象は見かけは分離しているように見える
*しかし、その現象は本当は創造主とは分離していない。
 
つまり、聖霊によって、私たちは現象世界においてはすべてが異なって見えることを認識しながら、同時にそれにもかかわらず、「すべては一つである」と知ることができるのだ。

これをマハラジの教えの観念に当てはめれば:

*絶対(父=創造主)
*私は在る(聖霊)
*現象世界(神の子)

である。

つまり、「私は在る」と「知る」瞬間、絶対が(私たちが見るような)現象世界として現れる。しかし、絶対と現象世界は分離しているわけではなく、「私は在る」の知識のおかげで、絶対と現象世界が本当は一つであると知ることができる、というわけだ。

以上のことは純粋に主体の科学であって、信ずるための宗教ではない。

二元世界では正反対の二つのものは分離し、対立し、それが現世の苦しみである。つまり、主体である「私」と「私」が認識する対象物はまったく分離し、異なっているという考えに基づいているので、特に「私」が嫌いのもの・こと・人を認識することは、「苦痛」である。

それにもかかわらず、もし私たちの中で聖霊が作動するようになれば、神の目で一元的に世界を眺めることができ、「対立と分離」が幻想であることを見抜き、そのことによって自然に非個人的慈悲や愛が生まれるのだ。「聖霊」のおかげで、二元的世界の喜びと苦痛、多様性、そして神の一元的世界を両方を同時に見ることができるのである。だから、「聖霊」が神と人を結びつけると言われているのだと思う。

ダグラス・ハーディングはキリスト教でいう「父と子と聖霊」  の三位一体を、彼らしいわかりにくい(笑)表現で次のように書いている。

キリスト教の言葉で言えば、それは父、子、聖霊という神の三位格の聖なる交換、つまり父が自分以外のものとして、子として自分自身への崇拝に参加することに他ならない。そして逆に言えば、それは子が自分以外のものとして、父として自分自身への崇拝に参加することだ。まったくそのとおりである! }(「存在し、存在しない、それが答えだ」第4章ページ48) 

この彼の言葉をもう少しわかりやすくさらに言い換えるなら(下記の表現でもまだ充分にわかりにくいと思うが、ぎりぎり書けば)、

「父が子(現象世界)になって、父の子として『ああ、父とは何と素晴らしいものか!』と称賛(崇拝)し、同時に父の子(現象世界)が父になって、父として『ああ、現象世界(父の子たち)は何と素晴らしいものか!』と称賛(崇拝)する」、くらいの感じだ。そして、その「父→子、子→父」の交換を請け負うのが聖霊の役目と言っている(と思う)。
 
今思い出すに、1996年にダグラス・ハーディングに「聖霊とは何か?」を尋ねたとき、彼が書いてくれたイラストは「顔があるもの 顔がないもの五章(存在が自ら生じる神秘)」の最初に掲載されているイラストのようなもので、説明もその章に書かれてあったことを彼はまとめて言ったのだと思う。この本を作った当時(1993年)、この章を自分が本当に理解しているのかどうかが気になって、それもあって1996年にダグラスに再度尋ねたわけだ。しかしそのときも疑問が完全には解消せず、そのあとマハラジやラメッシ、ダグラスの本、その他のキリスト教系の本をしつこく読んで考えて、ようやく納得できる理解に至ったというわけだ。

実は「聖霊について書きます」と先日最初に書いたものの、その時点ではその理解をどう言葉にすればいいのよくわからず、私は久しぶりに聖霊に祈った(笑)。「あなたのことをブログに書きますので、どうぞ御言葉をよろしく!」みたいな……
 
参考図書

「バーソロミュー」(ナチュラルスピリット)
「顔があるもの 顔がないもの」ダグラス・ハーディング著(マホロバアート)
「存在し、存在しない、それが答えだ」ダグラス・ハーディング著(ナチュラルスピリット)
 「意識に先立って」ニサルガダッタ・マハラジ(ナチュラルスピリット)
「誰がかまうもんか?!」ラメッシ・バルセカール(ナチュラルスピリット)
 「奇跡のコース」(ナチュラルスピリット)
 「新約聖書」(日本聖書教会)
「般若心経」(岩波文庫版)

 
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ダグラス・ハーディングへの最後の質問――「父と子と聖霊」(2)2018年10月02日 09時34分29秒

 「聖霊」という概念に深く親しみを感じたのは、90年代の初め頃、「バーソロミュー」を読んでいたときだ。バーソロミューの最初の本「バーソロミュー」(現在は、ナチュラルスピリットから再版されています)に、「慰めるもの、聖霊」という話があり、私は何度もこの話を読んだものだ。

当時、出版社を作ったばかりで、私は不慣れな仕事に奮闘し、仕事のストレスに押しつぶされそうな日々だった。そのとき、「慰めるもの、聖霊」を読んで、バーソロミューの説明によれば、「聖霊」とはエネルギーの渦のようなもので、誰でも望めば感じることができると知り、自分も「聖霊」を感じたい、何か聖なるものに本当に慰められたいと突然に思ったのだ。

それまでの人生で私は何かのために願ったり祈ったりしたことがほとんどない。でもこのときは、毎晩眠る前に「どうか聖霊のパワーを私のような鈍感なものにもわかる形で感じさせてください」と、ものすごく真剣に祈った。すると、祈ってからしばらくたったある日、本当に聖霊体験(と自分ではそう思ったもの)が起こったのだ。それは熟睡に落ちるほんの一瞬前のことで、あえて言葉で言えば、「圧倒的な喜び」「圧倒的な平和と心地よさ」みたいな感覚だ――もっとも上質なエネルギー・シャワーを浴びたような感覚。

たぶん数ヶ月間くらいだったと思うけど、眠りに落ちる一瞬前に、この感覚が時々やってきた。そのうち聖霊への祈りもしなくなり、こういった体験も起こらなくなった。何度か経験して満足し、自分でも「もういいや」みたいになったのだ。そのあと自分の中で何かが変わったという印象があったが、それが何なのかは自分でも明確ではなかった。

ただ、その時の経験とバーソロミューの説明から「聖霊」とは人格的なものではなく、高度なエネルギー領域のようなものだという感触を得た。

聖書の中でイエス・キリストは聖霊を、「慰めるもの」あるいは「助け主」と呼び、父(神)が人間に送って、いつも人間の中にいるようにしてくれると述べている。

私は父にお願いしよう。そうすれば父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう」(新約聖書ヨハネによる福音書14章16)
 
この聖霊の概念をキリスト教以外で探してみると、インドのアドヴァイタでは、「私は在る」という意識、つまり、サット・グル(自分の中にいる最高のグル)が聖霊に近い感じで、マハラジは「『私は在る』にいることが、必要な知識を授けてくれることだろう」としばしば語っている。

そして仏教では、「観自在」が一番聖霊にピッタリな感じである。「観自在」は、私が大学生のときのゼミで使った般若心経(岩波文庫版)の説明によれば、

観自在は特別な人格ではなく、すべての人々が備えている働きであり、我執をすてて多くの人々の中に生きようと願い、足を踏み出すときに輝きあらわれてくるのである
 
ちなみに、私は 「観自在」を勝手に、「『自』分が『在』ると『観』る」=「私は在ると見る」と解釈している。なので、般若心経の冒頭に出てくる「観自在菩薩」とは、「自分は在ると観る求道者」=「「私は在る」に目覚めた探求者」のことを言っているのではないかと、思っている。(注――般若心経の本の説明によれば、「菩薩」とは、「悟りを求める求道者」という意味)
 
伝統的キリスト教の本や聖書では、現代版の聖書とも言える有名な「奇跡のコース」でさえも、言葉だけ読むと、父(神)と子と聖霊が何か非常に人格的存在で別々の存在のように感じられる。しかし、父(神)と子と聖霊は本当は「私」の三つの局面で、一つのものの三つの現れ(三位一体)のはずだろうし、イエス・キリストも「父と私は一つである」と言っているので、それを本当は伝えたかったはずだ。
 
聖霊(助け主)を弟子たちに送る約束をしたイエスは、自分が弟子たちを去る理由をこう述べている。

私が去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。私が去って行かなければ、あなたがたのところへ助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたに使わそう」(ヨハネによる福音書16章7)

けれども真理の御霊(みたま)が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう」(ヨハネによる福音書16章7)

イエスのこれらの言葉は、「 外側のグルや先生に執着するな」という警告であり、外側のグルや先生に執着しているかぎり、内側から真理や知恵は出て来ないという意味で、現在にも非常に通用する警告だ。

次回は、私の疑問、なぜ二つではなく、三位一体なのかについて、私が到達した考えについて書いてみよう。

参考図書

「バーソロミュー」(ナチュラルスピリット)
「顔があるもの顔がないもの」ダグラス・ハーディング著(マホロバアート)
 「新約聖書」(日本聖書教会)
「般若心経」(岩波文庫版)
 「意識に先立って」ニサルガダッタ・マハラジ(ナチュラルスピリット)
  「奇跡のコース」(ナチュラルスピリット)


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ダグラス・ハーディングへの最後の質問――「父と子と聖霊」(1)2018年09月13日 16時16分39秒

長らく諸事情で作業が中断していた「ダグラス・ハーディングのグラフィック伝記」(正式なタイトルは未定)の編集作業が先日再開された。この本については、来月から書くことにして、 今回はダグラス・ハーディングに関連して以前いただいたご質問、「私が最後にダグラス・ハーディングに質問したこと」 について書いてみよう。

それはダグラスが亡くなる半年前の2006年の初夏のことで、ちょうど私が「ダグラス・ハーディングへのインタヴィユー」DVDの日本語版を作っていた頃だった。インタヴューの中の英語に関して不明箇所がたくさんあったので、これを制作したリチャード・ラングに質問するためにロンドンへ行く必要があり、そのついでにダグラスとキャサリンにも会いに行こうと思いついた。

この当時、ダグラスはすでに車椅子生活で、人間的記憶をかなり失っていたので、キャサリンとほんの数人の親しい友人以外は、誰のことももうわからなかったし、ほとんどしゃべらなかった。彼は寝ている時間以外は車椅子に座って、読書(キリスト教神学の本)をしているか、昼寝をしているか、食事をするか、居間から遠くの風景を眺めているかして、 一日を過ごしていた。

私はその質問をイギリスへ行く前から考えていたのだが、実際に彼に会って、ほとんどしゃべらない状態だったので、最初は「もう質問も無理だなあ」と感じた。でもキャサリンが、「人間的な会話はできないけれど、このワークに関することや形而上学的なことなら、話し合うことはできると思うわ」と言ったので、思い切って質問することにした。

その質問とはキリスト教の教義における神と聖霊の関係というか、そもそも「『聖霊』とは何か?」という質問だった。聖霊は英語ではHoly Spirit といい、神(God)とは違うもののようにキリスト教系の本の中では語られている。

私はキリスト教の教義のいわゆる「父と子と聖霊」という三位一体の概念がわかるようでわからないという感じで、いつも自分をすり抜けてしまうことが長い間、気にかかっていた。私の中では三つではなく、二つ(父と子)だけでは不十分(笑)なのだろうかという、奇妙な疑問があった。

話は少し横にそれるが、スピリチュアル系の英語の本の中で、spiritという単語は適切な日本語訳をつけるのが非常に困難で、たいていの場合、「スピリット」で逃げる(笑)のがほとんど定番の訳になっている。この春出版されたマハラジの「意識に先立って」の本にも、1箇所だけ唐突にspiritという単語が出てくるところがあり、あれこれ考えたけど、結局は「スピリット」という訳以上によい言葉を思いつかなかった。

spiritという単語が出てくるたびに、この本の中のspirit  とまた別の本のspiritは同じことを言っているのだろうかということがいつも私を悩ませる。もし大文字でHoly Spiritとあれば、それは「聖霊」という訳にすればいいけど、では、Holy Spiritとspiritの違いとは何かという疑問が残る。

そんなわけで、私はいつかダグラスにspirit について質問しようと思っていた。彼は子供の頃から純粋で真正なキリスト教徒である。彼は世界の様々な宗教を幅広く学び、研究したけど、また最晩年は子供の頃に戻って、著作にもキリスト教徒という面がかなり出てきたように私は感じていた。だからこそ、彼にこの有名なキリスト教の教義について尋ねてみたいと思ったのだ。

彼に私の質問を理解してもらうために、私は非常に短い質問を二つだけした。「人間的記憶は飛んでいるのに、形而上学の話は理解できるってすごい !」と思いながら質問すると、彼は昔と同じようにすぐに私の質問の意味を理解して、答えてくれた。

私がした質問は正確には下記の二つだ。

1「神と聖霊は同じものですか?」
2「聖霊とは具体的に何ですか?」

1の質問に関しては、彼は短く、「同じではない」 と答え、2の質問に対しては、テーブルの上にあった紙にわざわざイラストを描いて答えてくれた。正直なところ、その説明を聞いても、結局まだわかったようなわからないようなという感じが残った。

でもそのあと、もしこの三位一体の教義が単なる人々が好む観念や道徳ではなく、真理にもとづくものなら、それは仏教にもアドヴァイタにも似たような概念があるはずだと思い、もう一度初めから考えてみることにした。

そして、ようやくやっとこのキリスト教の三位一体を自分なりに納得し、理解した。それについては次回に続きを書こうと思う。


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「時間が存在しないとは?」 (2)2018年03月15日 08時34分53秒

 前回、時間に関するダグラス・ハーディングが「開発」(というにはあまりにもシンプルではあるけど)した実験を紹介した。

この実験の意味を言葉でもう少し説明すれば、非二元系の教えにおいては:

1時間とは主体(私)が認識したときに、認識したところにだけある。

2時間を認識する主体(私)には、時間が存在しない。

つまり、主体(私)が時間を認識できるという事実そのものが、主体(私)は時間世界に所属していないという意味である。
 
2のポイントは、ダグラス・ハーディングだけでなく、私が今まで愛読してきた賢者の方々の本にも表現は違うが、同じことが書かれている。

たとえば、
「今、時の経過を認識します。しかし、そう認識するために時間(時の経過)を必要とはしません。時間は存在していません」(タデウス・ゴラス著「なまけ者のさとり方」74p)

そしてもし時間を認識する主体(私) が時間世界に所属していないなら、主体(私)は人間物体ではないし、いかなる物体でもないことが明らかである。前回も書いたように人間物体は時を刻んでいる物質的な時計だからだ。

さて、ここで論理的な方はこう反論するかもしれない。

「どうして、物体が他の物体を認識できないと言えるのですか? 現在では、自動ビデオなどがあって、それらは他の物体を自動的に認識しているはずですから、物体が他の物体を認識できないとは言えないでしょう」

確かに現代、世界中の町中で無人の監視ビデオなどがあふれ、自動で町中の風景を撮り続けている。しかし、無人で「撮る」ことは「認識」することではない。そして主体(私)が「認識」しないかぎり、非二元的に言えば、それは「存在してない」――主体(私)にとっては。

そういった無人監視ビデオの中にあるとされる映像は、主体(私)がその映像を確認(認識)――その映像が「存在している」ことを確認したときに、初めて存在すると言えるのだ

この話は古くは、「人が見ていないときに、月は存在しているのか?」 という量子力学上の論争、あるいは同じく、有名な「シュレーディンガーの猫」 の話とも関係している。

 これらの量子力学の論争や概念をわかりやすく説明するのは私の能力を超えているが、非常にざっくり言ってしまえば、物事の状態は観察者が観察したとき初めて確定するという考え方だ。

量子力学 と非二元系の教えは共通していることが多く、かなり相性がいい。ただ、大きな違いは、私が思うに、物理学では観察する主体はあくまでも人間物体を想定しているのに対して、非二元系の教えでは観察する主体は人間物体でないとしているところである。当然のことながら、科学者は、観察しているのは「人間の私」であると想定し、「観察している私とは何か?」を問わない。これは外側の物質(対象)世界に関心をもつ科学と内側の主体に関心をもつ宗教(スピリチュアル)のほとんど超えられない溝かもしれないと思う。

非二元系の教えの探求者である私たちは科学の知見は参照にはするけど、まあ最終的にはどうでもいいことで、あくまでも関心は主体である「私」とは何か?に戻るわけである。

 ダグラス・ハーディングはワークショップのときに、対象と主体の信じがたいほど対照的違いを見るように参加者に質問という形でしつこいくらい促した。

*色(対象)を認識しているあなた(主体)に、色があるだろうか?

*形 (対象)を認識しているあなた (主体)に、形があるだろうか?

*感触(対象)を認識してるあなた(主体)に、感触があるだろうか?

*音(対象)を認識しているあなた(主体)に、音があるだろうか?
そして、

*時間(対象)を認識しているあなた(主体)に、時間があるだろうか?



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「時間が存在しない」とは? (1)2018年03月02日 16時43分53秒

 非二元系の教えの中でよく語られる「時間が存在しない」という観念について、たまに「時間が存在しないとはどういうことですか?」と質問されることがある。

私たちは「時間が存在しない」と言われると、「それはどういうことか?」と質問が湧き起こるわけであるが、では私たちが当たり前に取り扱っている概念「時間」について、「時間が存在するとはどういうことか?」「そもそも時間とは何か?」 と改めて自分に問いかけてみれば、ほとんどの人はよく答えられないことだろう。

歴史上、多くの偉大な哲学者、科学者が「時間とは何か?」 に真剣に取り組んできたが、科学や哲学にとっては、「時間とは何か」に対する誰もが同意する決定的答えはまだないようである。科学者による時間研究がどこまで進んでいるかはあとで紹介するとして、まずダグラス・ハーディングがいつも言うように、他人の言葉ではなく、自分自身で「時間とは何か?」「時間が存在しないとはどういうことか?」を探求してみよう。

ダグラス・ハーディングが提唱した時間に関するシンプルな実験を紹介します。

実験の手順は下記のとおりです。

1まず、実験道具として時計かタイマーをご用意ください。

2今、向こうにある時計か、動作しているタイマーをしばらく眺め、それらが時を刻んでいることを確認してください。

3私たちの日常感覚で言えば、時間とは「変化と計測」です。私たちは今「変化」(時計、ないしタイマー上の変化)を計測(確認)しました。

4では、「時間はどこにあるか?」の質問の答えは、時間とは「計測されるところに」あります。時計やタイマーやその他、ありとあらゆる「変化と計測」の要素があるところに時間はあります。医者が脈拍を測るとき、そこにも時間があり、心臓の鼓動を聞いているとき、そこにも時間はあります。私たちが観察する世界は時間であふれています。人間の肉体は最大で約100年の時を刻む「時計」だというふうに考えることもできます。

5では、反対に「時間が存在しないところはどこなのか?」 これを示す実験をやってみます。目の前にある時計(あるいは数字が動いているタイマー)を手にとって、それを自分の目(だと思われている物)のほうへ少しずつ近づけ、しだいに時計の針やタイマーのデジタル表示がぼやけることを確認してください。つまり、しだいに私たちは変化を計測できない状態になり、時計やダイマーを自分の目(だと思われている物)にピッタリとくっつけると、まったく時間が見えなくなりました(ね?)  はい、今、私たちは時間のない世界へ到着しました(笑)。

私はダグラス・ハーディングがワークショップでこの実験をやるのを何回か見たことがあり、ダグラスの言葉を具体的に再現すればこんな感じだ。

これからやる非常に簡単な実験によって、どこに時間が存在し、どこに時間が存在しないかを皆さんに示すことができます。今、パリの時間は何時でしょうか?私の腕時計では今はパリは午後4時です。皆さん自身の腕時計を見て、時間を確認してください。では、これから、皆さんと一緒にこの時間を消して、時間のない世界へ行くことにします。注意深く腕時計を眺めなら、ゆっくりとそれを自分の目のほうへ近づけてください。今、文字盤がぼやけて、時間がほとんど読めなくなりました。完全に限界までピッタリと腕時計を自分にくっつけてください。皆さんは今、時間だけでなく、時計まで消してしまいました。皆さんは今時間のない世界にいます

この実験の最後に「皆さんは今、時間のない世界にいます」とダグラスが大真面目で言うとき、ほとんど必ず参加者の一部から失笑がもれる。他の実験よりももっと滑稽で、意味不明の実験に思えるからだ。

私にしてもこの実験の意味を理解するのに長い時間がかかった。

そして、あとになって、老子の言葉「人に笑われなければ(滑稽に思われなければ)、それは本当の道ではない」とともに、この実験をいつも本気で大真面目にやったダグラス・ハーディングを懐かしく思い出す。


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