ダグラス・ハーディングへの最後の質問――「父と子と聖霊」(2) ― 2018年10月02日 09時34分29秒
「聖霊」という概念に深く親しみを感じたのは、90年代の初め頃、「バーソロミュー」を読んでいたときだ。バーソロミューの最初の本「バーソロミュー」(現在は、ナチュラルスピリットから再版されています)に、「慰めるもの、聖霊」という話があり、私は何度もこの話を読んだものだ。
当時、出版社を作ったばかりで、私は不慣れな仕事に奮闘し、仕事のストレスに押しつぶされそうな日々だった。そのとき、「慰めるもの、聖霊」を読んで、バーソロミューの説明によれば、「聖霊」とはエネルギーの渦のようなもので、誰でも望めば感じることができると知り、自分も「聖霊」を感じたい、何か聖なるものに本当に慰められたいと突然に思ったのだ。
それまでの人生で私は何かのために願ったり祈ったりしたことがほとんどない。でもこのときは、毎晩眠る前に「どうか聖霊のパワーを私のような鈍感なものにもわかる形で感じさせてください」と、ものすごく真剣に祈った。すると、祈ってからしばらくたったある日、本当に聖霊体験(と自分ではそう思ったもの)が起こったのだ。それは熟睡に落ちるほんの一瞬前のことで、あえて言葉で言えば、「圧倒的な喜び」「圧倒的な平和と心地よさ」みたいな感覚だ――もっとも上質なエネルギー・シャワーを浴びたような感覚。
たぶん数ヶ月間くらいだったと思うけど、眠りに落ちる一瞬前に、この感覚が時々やってきた。そのうち聖霊への祈りもしなくなり、こういった体験も起こらなくなった。何度か経験して満足し、自分でも「もういいや」みたいになったのだ。そのあと自分の中で何かが変わったという印象があったが、それが何なのかは自分でも明確ではなかった。
ただ、その時の経験とバーソロミューの説明から「聖霊」とは人格的なものではなく、高度なエネルギー領域のようなものだという感触を得た。
聖書の中でイエス・キリストは聖霊を、「慰めるもの」あるいは「助け主」と呼び、父(神)が人間に送って、いつも人間の中にいるようにしてくれると述べている。
「私は父にお願いしよう。そうすれば父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう」(新約聖書ヨハネによる福音書14章16)
この聖霊の概念をキリスト教以外で探してみると、インドのアドヴァイタでは、「私は在る」という意識、つまり、サット・グル(自分の中にいる最高のグル)が聖霊に近い感じで、マハラジは「『私は在る』にいることが、必要な知識を授けてくれることだろう」としばしば語っている。
そして仏教では、「観自在」が一番聖霊にピッタリな感じである。「観自在」は、私が大学生のときのゼミで使った般若心経(岩波文庫版)の説明によれば、
「観自在は特別な人格ではなく、すべての人々が備えている働きであり、我執をすてて多くの人々の中に生きようと願い、足を踏み出すときに輝きあらわれてくるのである」
ちなみに、私は 「観自在」を勝手に、「『自』分が『在』ると『観』る」=「私は在ると見る」と解釈している。なので、般若心経の冒頭に出てくる「観自在菩薩」とは、「自分は在ると観る求道者」=「「私は在る」に目覚めた探求者」のことを言っているのではないかと、思っている。(注――般若心経の本の説明によれば、「菩薩」とは、「悟りを求める求道者」という意味)
ちなみに、私は 「観自在」を勝手に、「『自』分が『在』ると『観』る」=「私は在ると見る」と解釈している。なので、般若心経の冒頭に出てくる「観自在菩薩」とは、「自分は在ると観る求道者」=「「私は在る」に目覚めた探求者」のことを言っているのではないかと、思っている。(注――般若心経の本の説明によれば、「菩薩」とは、「悟りを求める求道者」という意味)
伝統的キリスト教の本や聖書では、現代版の聖書とも言える有名な「奇跡のコース」でさえも、言葉だけ読むと、父(神)と子と聖霊が何か非常に人格的存在で別々の存在のように感じられる。しかし、父(神)と子と聖霊は本当は「私」の三つの局面で、一つのものの三つの現れ(三位一体)のはずだろうし、イエス・キリストも「父と私は一つである」と言っているので、それを本当は伝えたかったはずだ。
聖霊(助け主)を弟子たちに送る約束をしたイエスは、自分が弟子たちを去る理由をこう述べている。
「私が去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。私が去って行かなければ、あなたがたのところへ助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたに使わそう」(ヨハネによる福音書16章7)
「けれども真理の御霊(みたま)が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう」(ヨハネによる福音書16章7)
イエスのこれらの言葉は、「 外側のグルや先生に執着するな」という警告であり、外側のグルや先生に執着しているかぎり、内側から真理や知恵は出て来ないという意味で、現在にも非常に通用する警告だ。
次回は、私の疑問、なぜ二つではなく、三位一体なのかについて、私が到達した考えについて書いてみよう。
参考図書
「バーソロミュー」(ナチュラルスピリット)
「顔があるもの顔がないもの」ダグラス・ハーディング著(マホロバアート)
「新約聖書」(日本聖書教会)
「般若心経」(岩波文庫版)
「意識に先立って」ニサルガダッタ・マハラジ(ナチュラルスピリット)
「奇跡のコース」(ナチュラルスピリット)
「顔があるもの顔がないもの」ダグラス・ハーディング著(マホロバアート)
「新約聖書」(日本聖書教会)
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3部 人生は、ド・アホでいこう!
2部 サルの壁 人の壁
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