政治家の個人的物語(2) ― 2024年10月04日 09時42分39秒
[お知らせ]
「苦節38年総裁選5回立候補」物語が、「43歳で首相になりたい」物語と「日本で初めての女性総理」&「保守派のプリンセス」物語に打ち勝って、先日の自民党の総裁選では、石破さんが自民党の総裁に選ばれた。
たまたま当日、私はyoutube で決戦投票前の石破さんと高市さんのスピーチを聞いていた。スピーチは石破さんのほうが断然よかったと感じられた。その「よかった」の意味は、彼が政治家として長年日本を見てきた「経験」と彼の「想い」と「言葉」が一致し、自民党の議員の皆さんも含めて、聴いている人たちの感情に入るスピーチだった。特に最後の「ルールを守る自民党でありたい」の一言は、法律違反の裏金議員の支援を受け、さらにルール違反をして、リーフレットを党員に送付した高市さんには、最後のパンチになった感じ……。一方、高市さんのスピーチは、言葉だけが「頑張っている」という印象だった。
「経験」「想い」「言葉」の三位一致は、聴く人の心にアピールするよいスピーチにはなるが、しかし、その自分の言葉を実行できる能力があるかどうかはまた別の問題だ。石破さんはもうすでに最初から、自分が言ったことを実行できないという能力不足を露呈している。このままでいくと、「ただ首相になって満足している人」に終わり可能性も……。
野党と論戦してから、解散すると言っていたのに、(臆病なことに)早々解散を決め、正式に首相に選ばれる前から、衆議院解散に言及するというルール違反をおかし、「女性の機会を守る」と公約しながら、今回の組閣で女性閣僚はたった2名だけ――自分のところですら、全然、女性に機会を与えていない!
それにしても、国会議員の皆さんは、本当に「選挙」(戦い)が好きな人たちだ。やっと9月で党首選、総裁選が終わったというのに、もう次の「戦い」のために走り出している。いつも「戦い」のために走りまわり、「敵」を出し抜く策略を練るのが、彼らに高揚感(アドレナリンの放出)と最高の喜びを与えるのかも……江戸時代、高級船宿や料亭で、「いかにして庶民から年貢や冥加金(今でいえば、税金)を巻き上げるのか。いかにして敵を落としいれるのか」の密談している奉行や老中と、精神構造がほとんど同じってのが、笑えるというか(国会議員の皆さんには、「暴れん坊将軍」を見ることをお勧めしたい。たぶん、自分に似た奉行や老中、下級武士や浪人がいるはず。残念なことは、悪を一刀に成敗する徳川吉宗(徳田新之助)が、現実の政治家に見当たらないことだ)
以上、久しぶりに政治について書いたが、次回は、スピリチュアル形而上学のエベレスト登山とも言えるMaster Key to Self-Realization の紹介に戻る予定。本書、そしてその次の本のために、ここ数ヶ月間、私は禅やインドのアドヴァイタ、キリスト教の歴代の賢者、禅師、先生の話をネットで調べることが多い(ChatGPTも非常に役立っている!)。そして、純粋にスピリチュアルな探求をする人たちの物語も、昔から現在まであまり変わっていないことに気づく。
政治、スピリチュアル、その他、人がどんな「物語」に心惹かれようと、実際のところ、私たちが生きるべき物語を自分で決めているわけではない。人間は、単にその物語を演じさせられるキャラクター(登場人物)として創造されたにすぎない。であれば、政治家の物語であれ、その他の物語であれ、楽しんで鑑賞(観照)するだけ……。
政治家の物語を演じている皆さん、健康に注意して、これからも頑張ってください!
[昨年出版された本]
[その他の本]
*『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)
目次の詳細は下記へ。
販売サイト
*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)
目次の詳細は下記へ
販売サイト
政治家の個人的物語 ― 2024年09月23日 05時38分18秒
◎オンライン「私とは本当に何かを見る実験の会」
2024年9月29日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで←予約受付終了しました
◎オンライン「非二元の探究――非二元的認識から生まれる豊かさについて」
Master Key to Self-Realization についての紹介は、発売時期が決まりましたら、残りを書きます。
9月は自民党の総裁選、立憲民主党の党首選ということで、ネットで候補者の皆さんの発言が掲載されている。それを時々読んで、一人で突っ込みを入れて笑ったり、彼らの個人的物語(目標、夢、自己イメージなど)が何なのかを想像したりしている。
普通、人間には自分なりの人生の物語がある――自分はこんな人生を送りたいとか、こんな人間になりたいとか、こんなことを人生で実現したいとか。当然のことながら、政治家の皆さんも、庶民と同じく普通の人間である。だから、彼らにも人間として、そして、政治家としての物語が一人ひとりあるはずだ。
たとえば、岸田首相は、とにかく昔から首相になりたかった、つまり、「首相になる」ことが彼の人生の、そして政治家としての夢(物語)だったそうだ(と前に読んだことがある)。首相になって、何かやりたいことがあったわけではなく、とにかく「首相という地位」に憧れ、それになりたかった。そして、彼は自分の夢を実現して、首相として特にやりたいことがあるわけでもないので、(選挙で自民党が大敗北して)みじめになる前に、今回退陣を決意したのもうなずける話だ。
それから、高市早苗さん。もちろん彼女は、「日本で最初の女性総理大臣」という物語がお気に入りだろうし、しかも、「サナエあれば憂いなし」なんて大言壮語を吐くくらいだから、「自分の力で」、「日本を再び一番高いところへ押し上げる」ことができるという物語を信じている。しかし、人口の30%が老人を占める老人大国に、どうやって体力のいる「山登り」をさせようというのか? そんな疲れる高い目標よりも、これからの日本がめざすのは、低いところでいいので、国民が普通に働いて(=働きすぎないで)、普通に暮らすことができ、戦争に巻き込まれない国(←こういった目標さえ、かなり高いかもしれない)ぐらいでいいと、私は思うけど。
それから、石破茂さん。彼について不思議なのは、いつの総裁選挙でも、国民・党員・党友の人気は高いのに、自民党の議員さんの間ではまったく人気がないことだ。つまり、清潔で誠実で実行力がありそうという彼のイメージが、自民党の議員さんの間ではまったく評価されず、それがむしろ彼が首相になる道を阻んでいることが、興味深い。それよりも、多少ダークで、ずる賢く、議員同士の「毛づくろい」(←動物的コミュニケーション)が上手にできる人が、自民党の内部では評価され、リーダーとして出世する感じ。石破さんも、彼の政敵、麻生太郎さんをもっと見習えばよかったのかも。
そして、人気アイドル化している小泉進次郎さん。こちらも読んだ話によれば、彼はアメリカのジョン・F・ケネディ大統領(アメリカの第35代大統領1917~1963)に若い頃から憧れ、そのケネディ大統領が大統領になった歳、「43歳で首相になる」という物語がかなりお気に入りのようだ。公開質問でも、「(カナダの)トルドー首相は、就任した年は、43歳です。私は、今、43歳です。43歳、総理就任というトップ同士が胸襟を開き…」と、???の発言をして、「43歳」にかなりご執着の様子(笑)。
そして、大手マスコミも、今回の自民党総裁選に立候補した9人の国会議員の中で、もっとも大衆受けする物語を作れるということで、「小泉政権」を勝手に想定してはしゃいでいる。彼がもし首相になれば、彼だけでなく、彼の奥さんやお子さんたちの話も記事の種にでき、政治にほとんど興味のない人たちにも、タレントのゴシップのごとく、そういったネタを「買わせる」ことができる(=マスコミは、それでお金儲けができる)。永田町と大手マスコミは驚くほど構造や考え方が似ているのだ。
しかし、いくつかのサイトによれば、彼の政治家としての実力・能力には??がつくデータが出ている――たとえば、議員在任中にどれだけ議員立法の法案を提出しているのか(=議員としてどれだけ仕事をしたか)の数では、小泉さんは今回立候補した9人の中で最下位のゼロ本……。そして、10分間の立ち合い演説会で、カンニングペーパーを見た回数(←暗記力とアドリブ力の問題)が、9人の中でダントツ1位の221回など。
参考サイト
まあ、今回の自民党の9人の候補の方で、誰が首相になっても、この国の未来がそうそう変わるわけでもないし、まして自民党が(よい方向に)変わるはずもないが、万一、小泉さんが今回、マスコミと国民の人気と、「小泉で次の選挙を乗り切れ」という自民党の強欲に押し上げられて首相になったら、ご本人が一番これから辛いのではないかと思う。あらゆるところから、小泉首相を陥れようと狙う「刺客たち」が飛んでくる可能性が……すでに前回の東京都知事選で旋風を巻き起こした石丸伸二さんが、「刺客」宣言をしている。
参考サイト
皆さんの「物語」の結末はいかに、ということで、私もだんだん物語の結末が楽しみ(笑)になってきた。
[昨年出版された本]
[その他の本]
*『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)
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カルマ(2) ― 2019年02月13日 09時48分39秒
1.身業(しんごう)…体で色々やること。
2.口業(くごう)…口で色々しゃべること。
3.意業(いごう)…心で色々思うこと。
2.口業(くごう)…口で色々しゃべること。
3.意業(いごう)…心で色々思うこと。
前回、 上記のような仏教の教えによるカルマの分類をご紹介した。 その仏教でいう2.口業(くごう)と3.意業(いごう)に関して、私が昔から「なるほど」と思っていることがある。
それは、自分の想いを心の中に留めておくことができず、他人の悪口だろうと、自分の意見だろうと、言いたいことだろうとズケズケ言う人たち、いわゆる「気の強いおしゃべりな人たち」のほうが、案外意業をためず、そのためその影響も受けにくいようだ、ということである。
反対に、物静かで、決して自分の意見をいわず、他人の悪口も人前では言わず、他人の言うことに決して反論しないような人たち(として通っている人たち)のほうが、発散しない分だけ、心の中で蓄積される意業が重くなるようである。
そして不思議なことに、口業(くごう)を一番ためてそうな政治家はほとんどその影響を自分自身には受けないように見える。(政治家のまわりでは影響を受けている人はたくさんいるかもしれないが)
彼らの他者(他国)への批判や悪口は非常に軽く、つまり、心からのものではなく、「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」の世界を生き抜く戦略であり、ほとんど誰もまともに受け取らない。しかも、鈍感力の人種なので、自分の言動に罪悪感をいだくことも、人に嫌われ、憎まれることも平気な人たちである。
だから、トランプ大統領もプーチン大統領も習近平国家主席も金正恩委員長も、そして安倍首相もみんな元気である。安倍さんは最初に首相になったときは、ひ弱かったが、スキャンダルを生き延びた余裕からか、すっかり政治家らしい厚顔も身についてきた。
トランプ大統領は昨年末、議会で自分の意見が通らないとゴネて、政府機関の一部を閉鎖し、百万人の職員を無給の自宅待機(アメリカの国家公務員は自宅待機のときは無給らしい)にさせた。しかし、そのせいで生活が困窮した百万の人たちから飛んで来ただろう憎しみの矢など、全然感じていないようで、相変わらず元気いっぱいである。彼の場合は、言葉は炎上商法の武器であり、そうやって世界から自分への関心をかき集めることに彼の情熱がある(Me First=自分一番主義の典型的な人である)。
日本では麻生(失言)大臣が、昔から女性への蔑視発言を繰り返しているが、彼も批判など一切気にせずを貫いて、いつもお元気そうである。
政治家から見習うべきはをあの鈍感力(笑)だなと、気が小さい私は常々思うのだ。
政治家から見習うべきはをあの鈍感力(笑)だなと、気が小さい私は常々思うのだ。
さて、その一方で、心から信じる信念ゆえに言葉が重く、そのせいで口業と意業をためやすいのが、宗教系の人たちである。瞑想・黙想などの修行し、戒律(道徳)を守り、沈黙を知るようになると、人の想い(念)はある種パワフルになる。政治家の人たちとは違って、利益で結びついたり、離れたりするわけではなく、純粋な信仰で結びつく人たちは、よくも悪くも人間関係に対して激しく、嫌悪や憎しみも徹底している。
「ダグラス・ハーディング・グラフィック伝記」(発売時期と正式タイトルまだ未定です)にダグラス・ハーディングが両親の宗教を脱会するときの様子が描かれている。人生を宗教的信仰に捧げてきた父親が、溺愛していた息子に裏切られた苦痛と憎しみから、息子であるダグラスに「お前がこの宗教を脱会するくらいなら、殺人でも犯してくれたほうがまだましだ」というようなことを言い放つのである。普通いくらなんでも、自分の息子に言う言葉かと思うけど、それが宗教的な人特有の激しさなのだと思う。
この間読んでいた「親鸞(完結編下)」(五木寛之著)でも、自分の教えを逸脱して教えているという理由で、激怒した親鸞が息子を勘当する場面がある。 親鸞もまた非常に激しい人だったようだ。
人を愛し、許すことを教える宗教が、反転すると激しい怒りや憎悪となるのは、奇妙な矛盾であるが、宗教やスピリチュアルな場ではこの手の話は山ほどある。
では、政治系でも宗教系でもない(政治系と宗教系の方々はこのブログを読んでいないと想定している)私たち普通系小心者が口業と意業の悪しき影響をできるだけ少なくするために(影響をゼロにはできないが)、できることは何だろうか?
日常で実践するべきことは、中庸の道、つまり、必要なことは言い、必要じゃないことは黙り、何かや誰かのへの嫌悪や憎しみを蓄積せず、自分の言動に罪悪感をもたず、自分でどうにもできないことは潔くあきらめる(笑)くらいだ。でも何もしゃべらないでいるのもストレスがたまる(特に女性の場合)ので、もし可能なら、自分の愚痴をたまに聞いてくれる人(友人や親族、カウンセラーなど)をもつのもよいことであろう。
しかし、実は自分のマインドの奥深くに隠れている何かや誰かへの嫌悪や憎しみに気づくのは案外難しいことだし、さらにその背後にある観念に気づくことはもっと難しい。「自分がこれ(この人)を嫌って(憎んで)当然」という強固な観念があるとき、その嫌悪や憎しみを手放すことは難しい。自分の世界に誰かや何かが出現して、それが表面に引っ張りだされるとき、初めて自分の中にある根深い嫌悪に気づいて、驚くことがある。
こういう話をすると、なかには、「何かや誰かを嫌ってはいけませんか?」と尋ねる人がいる。もちろん、その答えは、「嫌ってもかまわない」(笑)、である。 前回も書いたように、そもそも私たちのマインドは好き・嫌いの運動を免れない。人による違いは、その一瞬わき起こったものを掴んで振りまわすかどうか、どれだけ長く振りまわすかだけである。もし嫌悪や憎しみ、あるいは罪悪感の感情に長々浸るのが好きなら、それも自由だし、実際、誰かや何かを嫌うことを喜びとする人たちも世の中には多くいる。
これはとても面白い実験だから興味がある人はやってみるといいと思うけど、「ああ、これ(この人)はイヤだイヤだ」と毎日何かや誰かに対して強く思い続けていたら、イヤな出来事は減るのか増えるのか、イヤな人はイヤな人でなくなるのか、あるいはもっとイヤな人になるのか、あるいはもっとイヤな人や出来事に遭遇するのかどうか……
[イベント]
2019年3月10日(日曜日午後)「非二元の教えを生きる会」」(大阪府茨木市)
[お知らせ]
*ラメッシ・バルセカール 『誰がかまうもんか?!』電子書籍版が発売されました。
*トニー・パーソンズ 『何でもないものがあらゆるものである』電子書籍版が発売されました。
*ダグラス・ハーディングの新刊「存在し、存在しない、それが答えだ」(ナチュラルスピリット発行 本体価格 2300円)好評発売中。
目次は下記のサイトに掲載してあります。
http://www.simple-dou.com/CCP041.html
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[シンプル堂電子書籍・音声ファイル]
シンプル堂の電子書籍と音声ファイルの販売を委託していますDlmarket が
現在都合でサ-ビスを一時休止しています。下記電子書籍、音声ファイルのご購入を
ご希望の方は下記シンプル堂までご連絡ください。
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*「動物園から神の王国へ―サルの惑星、のような星で、平和に生きるために」(PDFファイル)ダウンロード版は、DLmarketのサイトで販売しています。お手持ちの機器(パソコン、タブレット、スマートフォン)に、PDFを読むソフト(AdobeReader等)が入っていれば、どなたでも読むことができます。
本書の詳しい目次は下記のサイトに出ています。
1部 ヒトにおけるセックスと闘争・暴力の問題について
2部 サルの壁 人の壁
3部 人生は、ド・アホでいこう!
2部 サルの壁 人の壁
3部 人生は、ド・アホでいこう!
DLmarketからファイルをダウンロードするためには、まず会員登録をする必要がありますが、Facebook、Twitter、楽天のアカウント、Yahoo!Japan のID、Amazonのアカウントもご利用でき、各種支払いにも対応しています。(銀行振り込み、コンビニ支払い、Amazonペイメント、クレジットカード、Paypal、その他)。
なお現在は、パソコン等では、横書きの文章のほうが読みやすいという人たちもいると思い、縦書き版と横
書き版の二種類の版を用意してあります。 編集の都合上、総ページ数(縦書き版が453ページ、横書き版が367ページ)は異なっていますが、内容はまったく同じです。
*試読版(無料)は上記のサイトから、会員登録等なしに、どなたでも自由にダウンロードできますので、本との相性を確かめて、購入の判断をしていただければと思います。 (画像の下の、「立ち読みできます」をクリックすると、試読版PDFを無料でダウンロードできます)
*DLmarketで下記も販売中です。(無料試読版は会員登録不要で、自由にダウンロードできます――画像の下の「立ち読みできます」をクリックしてください)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/290251
「 楽しいお金3」PDFダウンロード版(本体価格1,000円)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/290294
「人をめぐる冒険 」PDFダウンロード版(本体価格1,000円)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/290283
「1994年バーソロミュー・ワークショップ東京会場1日目」MP3ダウンロード版(本体価格2,000円)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/297870
「1994年バーソロミュー・ワークショップ東京会場2日目」MP3ダウンロード版(本体価格2,000円)
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「1994年バーソロミュー・ワークショップ京都会場1日目」MP3ダウンロード版(本体価格2,000円)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/297958
無邪気な子供たちの遊び ― 2017年10月26日 14時19分21秒
マハラジがPrior to Consciousness の中で 「こういう対話は娯楽だ」と言っているところがある。
インドの非二元系の教えでは、世界は神(「私」)の壮大なリーラ(遊び)であり、究極的には善悪がない。神というものが堅苦しいキリスト教の世界観よりも、どちらかというとインド的な考え方のほうが私は気楽で好きである。
その観点から見れば、私たちのする(というより、私たちがさせられている)あらゆることが娯楽である。世界にはあらゆる娯楽があり、あらゆる人にはその人なりの娯楽があり、仕事や政治という堅苦しいものさえ娯楽だ。
マハラジの教えの話も少し書き飽きた(次回にまた継続します)ので、先日、衆院選があったおりなので、本日は、政治という娯楽に話をふってみようと思う。
私は時間があると、語学の勉強のために子供(小学生以前)向けの海外アニメをよく見ている。最近、よく見ているいくつかのアニメを見ていて、気づいたことがある。子供たち(多くのアニメでは、なぜか動物が人間のようになっている)は非常に競争好きだということだ。
何人かの子供たちがいると、すぐに走り出し、「あそこまで誰が一番早く行けるか競争しよう」と言う。そして一番になった子供は、無邪気に「僕(私)が勝った、勝った!」大大喜びする。負けた子供たちはちょっとはがっかりするが、でも負けた子供たちが勝った子供を恨んだりすることもなく、子供たちはそのあとみんなで仲良くまた一緒に遊ぶという具合だ。
それから子供たちの大好きなことがごっこ遊びだ――戦争ごっこ、有能な大人ごっこ、自分が何でも一番よくできるという思い込みごっこ。
また欲しいものがあると、「僕、これが欲しいよ!欲しいよ!」 と大声で泣き叫けぶ。そして気に入らなかったり、飽きたりすると、すぐにポイ捨する。
子供だと思えば、その天真爛漫さをほほえましく感じるものだ。
こんな話が、政治とどう関係があるかというと、政治家の人たちを見て、政治家の人たちも子供向けアニメの中の無邪気な子供たちのようなものかもしれないと、最近ふとそういう考えが思い浮かんだのだ。
彼らは親(彼らの娯楽費用は国民の税金なので、この場合の「親」とは国民のことだ)の苦労も知らずに、自分たちの娯楽に無邪気に熱中する子供のように見える。
彼らはイヤになるとすぐにオモチャ(党))をポイ捨てしたり、壊したり、作ったり、国会議員であることが飽きれば、任期途中でその職をポイ捨てし、知事に立候補したり、市長の職をポイ捨し、他の選挙に出たりと、
自分や自分の党が選挙で多くの人たちに選ばれたという自覚や、政党維持費、選挙費用、自分の給料が親(国民)のお金(税金)から出ているという自覚が非常に希薄に見える――彼らのやることは子供のごっこ遊びと同じくらい軽い。
政治家は競争(選挙)が大好きで、当選したときの万歳は子供アニメの、「僕が勝った、僕が勝った」の叫びと同じである。
もし親の資産を全部使い果たして、遊ぶお金がなくなったら、子供たちは無邪気にこう言えばいい。「消費税を20%にすればいいさ!」 しかし、そのとき親(国民)がもう老いて働けなくなり、税金も払えない状況になれば、「ああ、こんな老いた親なんて、いらない!」と呑気に叫ぶかもしれない。
子供向けアニメの中では、親の苦労はまったく描かれず、親たちは非常に子供に寛容で、物わかりがよく、滅多に叱らず、ほとんど子供のしたいことをさせてやり、ときには自分も一緒になって遊んでいる。
さて、現実の親(国民)は子供(政治家)たちをどう思っているかといえば、こっそり悪さをしては隠したり、親のお金を使って、オモチャ(政党)を作ったり、壊したりと、勉強もしないで、どうしようもない遊びを繰り返してばかりいるので、呆れ果ててはいるが、自分の老化が進んで、もう自分のことで精一杯で、子供を叱ったり、指導したりする元気さえないし、子供があんまり色々なオモチャを作っては壊すので、親にはオモチャの名前さえもうなかなか覚えることができない。
「ああ、今度あの子が作ったオモチャの名前は、『立憲希望党』だったかね、それとも『希望民主党』だったかね。あんまり色々なオモチャがゴチャゴチャあって、もうわけがわかんないよ。昔からある、ほら、『自民党』ってオモチャ、なんかあれが一番壊れないで長持ちしていいかもしれないね」てな感じだ。
親(国民)は自分の老化や長時間労働、それに不随する問題に日々振りまわされて、疲れ果てている。しかし、子供たち(政治家)は忙しい公務の合間に不倫をしたり、秘書に暴力を振るったり、都知事と全国政党の代表を兼ねたり、信じられないくらい超元気一杯だ――彼らは走り回る体力だけはあるのだ―子供なので。
政治を無邪気な子供たちの娯楽だと思えば、たまに政治を眺めるのは楽しい。今回の遊び(衆院選)では、北朝鮮を利用して危機をあおり(本当に危機感があるなら、選挙なんてやっている余裕がないはずだ)、自分の不祥事隠しのために国税6百億円を浪費して、選挙をしかけたずる賢い(安倍)晋三ちゃん(彼の中に立派に政治遺伝子がある証拠だ)、自らの策と野心に溺れた(小池)百合子ちゃん、百合子ちゃんのミスで思わぬ支援と共感を拾って復活した(枝野) 幸男ちゃん、代表になりながら、あっさり仕事を放棄した情けない(前原)誠司ちゃんなど、それぞれのプレイヤーの運命が興味深かった。前原誠司氏を皮肉った10月1日付け朝日新聞の天声人語は笑えた。
「心ある経営者ならば、倒産のふちで真っ先に思い浮かぶのは従業員の今後であろう。それぞれに家族があり、暮らしがある。失業の憂き目にはあわせたくない。民進党代表の前原誠司氏の心象風景もそんな感じだったのか―残念だが、この会社には未来はない。おれが話をするから上り調子の新興企業のあの社長にみんな拾ってもらえ。いいか、わが社の理念はいったん忘れて、あの方の言うことをよく聞くんだぞ―いい話である。これが政党でなければ。後略」(10月1日朝日新聞「天声人語」より)
あの方(小池東京都知事)のオモチャ(政党)は、あの方の戦略ミスで、このコラムが掲載されてすぐに急激に下がり調子になり、選挙にも勝てず、彼女の究極の野心(日本で初めての女性首相という地位)もあやうい状況である。あの方に希望はあるのか……あの方がこれから数年間忍耐して、東京都民のために印象に残るような親孝行ができれば、希望も残ろうというものだ。
子供たちの世界ではケンカも失敗も不祥事も失言もたいして深刻ではない。ケンカしてもすぐに仲直りする。今日ケンカした子とも、次の瞬間にはまた一緒になって遊ぶ。それが子供たちのいいところだ。政治家もたぶん似たようなものだ。今日敵だった人とも、明日は友人になって同じ党にいたりする。前にも書いたけど、彼らの世界では、「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」が基本ルールで、このルールに耐えられる人たちだけが政治家を続けられる。百合子ちゃんも、希望を捨てずに頑張って!
[イベント]
下記のイベントは予約受付終了しました。
*2017年10月28日(土曜日)「私とは本当に何かを見る会」(大阪府茨木市)
*2017年10月29日(日曜日)「ラメッシ/マハラジの教えと『気づき』について学ぶ会」(大阪府茨木市)
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*トニー・パーソンズ 『何でもないものがあらゆるものである』電子書籍版が発売されました。
*ダグラス・ハーディングの新刊「存在し、存在しない、それが答えだ」(ナチュラルスピリット発行 本体価格 2300円)好評発売中。
[シンプル堂電子書籍]
*「動物園から神の王国へ―サルの惑星、のような星で、平和に生きるために」(PDFファイル)ダウンロード版は、DLmarketのサイトで販売しています。お手持ちの機器(パソコン、タブレット、スマートフォン)に、PDFを読むソフト(AdobeReader等)が入っていれば、どなたでも読むことができます。
本書の詳しい目次は下記のサイトに出ています。
1部 ヒトにおけるセックスと闘争・暴力の問題について
2部 サルの壁 人の壁
3部 人生は、ド・アホでいこう!
2部 サルの壁 人の壁
3部 人生は、ド・アホでいこう!
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「老楽国家論」ーーみぞの鏡 ― 2016年04月05日 17時40分28秒
前回の続きに、「人間クラブ」の話を書く前に、今回はちょっと別の話題について。
今、浜矩子さんというエコノミストの方の本、「老楽国家論--反アベノミックス的生き方」(新潮社)を読んでいる。浜矩子さんは今、人気のエコノミストで、安倍政権の経済政策を批判した「アホノミックス」 という言葉を作った人だ。私は昔ほど経済に関心がないけれど、それでもたまに浜さんの本を読んで、「ああ、なるほど」と思うことがある。浜さんはアベノミックスがなぜうまくいかないのか、経済理論と歴史と国際経済情勢から専門的にわかりやすく説明している。
「老楽国家論--反アベノミックス的生き方」の本の最初は、経済理論の話ではなく、まず人気小説「ハリー・ポッター」(私は読んだことがないけれど)から入っていくあたりが、男性の方の経済本ではないやわらかさを感じさせる。
最初の話は、その「ハリー・ポッター」の中に出てくる「みぞの鏡」で、「みぞの鏡」は、誰がこの鏡をのぞき込んでも、そこにはいつも輝いている理想の自分がいる、まさに「望み鏡」なのだそうだ。素晴らしい鏡なので、鏡の中の自分に見とれてしまうが、そこが恐ろしいところで、自分の理想象を見てしまった人間は自分の実像を見失って、鏡の前から離れられなくなり、他のすべてを忘れ、立ち枯れてしまう。結局のところ、「みぞの鏡」は人を死に至らしめる殺人鏡ということである。
で、話はそこから経済の話になり、浜さんによれば(そして私も同意するが) 今の日本の経済社会が「みぞの鏡」病におかされているという。つまり、昔の高度成長時代の元気があった頃の自分の姿を「みぞの鏡」に映して見とれ、自分の現実を忘れている。
そして安倍首相その人が一番その病魔に取り憑かれ、「若き日よ、もう一度」と、言葉だけは勇ましいらしい。(私は安倍首相の演説の言葉をよく知らないが)本書によれば、「日本を取り戻す」とか、「世界を席巻する日本」「一億総活躍時代」 とか威勢のいい言葉が多いらしい。
昭和20年を今の体制の一歳だとすれば、今、日本は71歳の老人であり、日本の老いはあらゆるところに見てとることができる。街を歩いていても、スーパーで買い物をしていても、老年の人の姿が目立ち、他の場所は空いているのに、病院はどこでも老人で満杯で、庶民の一番共通する話題は親の介護の話で、そして病院と介護施設はみなどこも疲弊している。
政治家の皆さんは、「自分が元気で若い」という自己イメージをもっている人たちが多いようなので、なおさら日本の老いを直視できず、頑張ればまた昔のようになれるという幻想をもつのかもしれない。
もちろん、老人が元気なのはいいことである。でも無理な若作りは痛々しい。安倍首相がやろうとしていることは、私のイメージでは、老人(国)を過酷な運動会(オリンピック)で走らせようとしたり、今まで銃なんかもったことがない老人(国)に銃をもたせ、無謀な若造(アメリカ)の援助をさせようとするものだ。
もちろん、老人が元気なのはいいことである。でも無理な若作りは痛々しい。安倍首相がやろうとしていることは、私のイメージでは、老人(国)を過酷な運動会(オリンピック)で走らせようとしたり、今まで銃なんかもったことがない老人(国)に銃をもたせ、無謀な若造(アメリカ)の援助をさせようとするものだ。
安倍首相ご本人は「強い日本」にかなり執着しているようだけど、本当は自分の内側に弱さを隠し持ちそれを認めようとしない人だけが「強い自己イメージ」に固執するものである。安倍首相は最近も、消費税値上げに反対意見を述べそうな、ノーベル経済学賞を受賞した著名な経済学者二人をわざわざ日本に招待し、消費税値上げ反対を言わせて、マスコミを利用してそのニュースを流し、選挙対策のために来年の消費税値上げ凍結の流れを作ろうとしている。「ノーベル経済学賞」というブランドを利用するあたりが、安倍首相(政権)の小心さを印象づけるものだ。
しかし、今の日本が安倍首相をリーダーとしているのも偶然ではなく、それこそ首相とはその国の現実を写し出す鏡である。安倍首相は、この国の多くの国民(多くは政治的ではない中高年たち)がかかえる老いによる弱体化への漠然とした不安を代表していると、私はそう感じている。人は不安を感じるとき、言葉の威勢がよく元気で、ある種攻撃的な言動の人たちに希望をつなぐ。人は自分(の国)が弱いゆえに、攻撃されるのではないかという不安があるとき、強い人(国)に守ってもらいたいと思う。
そして、安倍首相が頼みにしているらしいアメリカでさえ、トランプさん(共和党の大統領候補)のような暴言男が勢いがあるのは、アメリカが日本以上に弱体化していることを物語っている。アメリカの弱体化の原因は、日本とは違って、老化ではなく、最大の問題は国内の経済格差である。経済格差と長年の(軍事費などによる)浪費ゆえに、国全体が貧困化している。それにもかかわらず、弱体化している現実を受け入れられず、「自分は世界一強く豊か」であるはずという期待が、「もう一度、アメリカン・ドリームを」的なトランプさんを膨らませるのである。
では、安倍首相が仮想敵扱いしているらしい中国はどうかといえば、これがまた、日本やアメリカよりもさらに弱体化の要素を抱えている--経済格差に、国民の老化に、そして経済的自由と政治的不自由の構造的ねじれ。だから、今の日・米・中の関係は、弱者のパワー・ゲームであり、弱い人(国)が、同じくらい弱い人(国)に頼って、同じくらい弱い人(国)から自分を守ろうとしているという滑稽な風景である。そんなふうに政治とは(人間動物園のゲームなので)いつも滑稽なものであるが、国民は自分たちに値するリーダーと政治しかもてないので、安倍政権が続くかぎり、それが多数の国民の(無意識の)真意だと、私はそう理解している。
最後に浜さんの触れた「みぞの鏡」に触発されて、私も老人の理想を語ってみよう。
老人(国)の本当の使命は、若い人(若い国) ができないことをやることである。それは、人類の最上のもの(文化遺産)をのんびりと楽しみ、自分の子供や孫その他若い人たちの相談相手になり、自分が生きてきた知恵や学んできた技術を分かち合うということである。
そして、日本は世界の中でそういう使命を果たすのに非常に向いている国で、日本のイメージに一番合う姿は文化・技術立国である。資産はある。文化はある。技術力はある。歴史はある。食べ物はおいしい。文化・宗教的多様性に対する寛容・受容能力がある。唯一日本に欠けているのは、「自分はすでにすべてをもっている」、「自分はこれでいい」というありのままの自分を許容し、受け入れる勇気・自信と、「楽しむ」という価値観だ。
老いたら、無理せず今もっているものを「楽しむ」。それが浜さんも提唱する「老楽」国家である。日本は、若造のあとをよろよろついて行くよりは、「そこのお若いの。そんな不作法なもの(武器)はしまって、一緒にまあ一杯どうだ」と優雅に言うのにふさわしい国なのだ--理想を語れば。
おっとと、「みぞの鏡」に理想を映すことに熱中しすぎてはいけませんね--現実に戻って、優雅とはほど遠く重い腰をどっこらしょとコタツから持ち上げて、さて、食事の準備でもすることにしましょう。
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フランス旅行 ― 2015年11月26日 10時52分42秒
(ブログを再開します。1ヶ月に1、2回程度だと思いますが、お時間のあるときにでも、お読みください)
先日、6年ぶりにフランスに行ってきた。まず最初に、パリからTGVで3時間半のところにあるモンペリエ(Montpellier)の町を訪問した。この町にはダグラス・ハーディングの奥様のキャサリンが暮らしていて、今回の訪問の目的は彼女に会うためだった。
キャサリンは、最初の結婚を離婚後、5人の子供をシングルマザーとして育てあげ、仕事を引退後、ダグラスと出会い、イギリスに渡り、結婚。キャリア・ウーマンでかつ、非常に家庭的で社交的な人で、ダグラスと結婚後は、献身的に彼と彼のワークを支え、ダグラスの最晩年に花を添えた人だ。現在はお子さんたちのいるモンペリエに定住し、翻訳などの仕事をのんびりとやっている。
キャサリン・ハーディングへのインタヴユー (キャサリンがダグラスとの出会いと、彼の死の前と後の人生 について語っている)
https://www.youtube.com/watch?v=mdKyiCW9snQ
キャサリン・ハーディングへのインタヴユー (キャサリンがダグラスとの出会いと、彼の死の前と後の人生 について語っている)
https://www.youtube.com/watch?v=mdKyiCW9snQ
モンペリエは日本ではあまり知名度はないが、スペインに近い地中海沿岸の風光明媚な町で、フランスでは非常に人気のある観光地の1つである。温暖な気候に、海と山と歴史的建物がそろい、私が行ったのは10月の終わりの平日だったにもかかわらず、カフェは人でいっぱいで、町の中心地には観光客があふれていて驚いた。キャサリンが言うには、夏にはこの三倍の観光客で町はふくれあがるという。私が滞在していた間ずっと快晴で、町歩きがとても気持ちがよかった。
キャサリンは少し体調を悪くしていたが、それでも一緒に町歩きをしたり、彼女の娘さんの運転で海岸までドライブに行ったり、ダグラスの思い出話をしたり、来年日本で出版予定のダグラスの本、To Be and not to be, that is the answer(存在し、そして存在しない、それが答えだ) の話をしたりして、親切に付き合ってくださり、楽しいモンペリエ滞在だった。
そのあと、パリに戻り、フランスが誇る世界遺産、モンサンミッシェル(Mont-Saint-Michel) へ1日バス・ツアーで行ってきた。モンサンミッシェルをすごく見たいというわけでもなかったけど、今回行かないとたぶん二度と行くチャンスはないかもと思い、往復9時間+滞在4時間半=13時間半の強行ツアーに参加した。モンサンミッシェルがあるノルマンディー地方はフランスの北のほうにあり、この季節がら、快晴というわけにはいかなかったが、幸いモンサンミッシェルでは雨も降らず、霧も出ず、夏ほど観光客もいず、ガイド付きなのでなんとか上まで登りきることができた。(名物のオムレツは私の好みではなかったが、モンサンミッシェルを遠くに眺めながら、食べることができた)
モンサンミッシェルは実は小島で村であり、(今は橋があるので、車や徒歩で渡れる)、 今でも少数の村人がいて、現在でも修行している神父・修道女もいるという。私がガイドさんに「村の人はどういう人たちですか?」と尋ねると、「年寄りだけです。若い人たちはみんな出ていきました。ここにはディスコもカラオケもないですから」との答え。歴史的観光地ってのは、一生に一回だけ来るから感動もんだけど、ここに住んだらきっと退屈(笑)。
そのあとパリでは、今、フランスでVision Sans Tete(「頭のないヴィジョン」←ダグラスの教えはフランスではこう呼ばれている) の活動を中心的にやっているジョゼの自宅で開かれた会に参加した。ジョゼは高校で哲学を教え、また哲学やダグラスの教えについての著作もあり、二人のお子さんのよき父親でもある。
彼のマンションは、いかにもパリ風の古い由緒あるマンションで、その広いリヴィングに当日は10人くらいの人たちが集まり、指さし実験などお馴染みの実験をやった。ジョゼが哲学の先生ということもあるのか、あるいはフランス人は哲学を語るのが好きなせいか、実験をやっている時間よりも、実験の感想を語り合っている時間が長い。最後に私が日本から持参した一人用鏡付き紙袋を「携帯紙袋なので、紙袋の実験が一人でできます」と言って、参加者の皆さんにお土産として差し上げると、皆さんその場で実験して、非常に喜んでくださった。誰かに「これ特許とかあるの?」(笑)と尋ねられたので、「自由に作って、使ってください」とお答えした。
今回パリでは、キャサリンが翻訳したTo Be and not to be, that is the answerのフランス語版を探しに、Gibert Josephという書店にも行って来た。パリの本好きの人たちが通う学生街にある大きな本屋さんだ。モンペリエの書店もそうだったけど、日本の書店とはかなり雰囲気が違う。もっとおしゃれな感じがするが、その代わりというか、日本人的観点からすると、何か不便。
書店の人に、「ダグラス・ハーディングの本を探しています」と言うと、スピリチュアルな書籍のある棚までは案内してくれたが、あとは勝手に探してくださいという感じなので、棚の本を一冊一冊探す羽目に。トニー・パーソンズのフランス語版も見つけたが、その隣がロシア神秘思想家グルジェフの弟子のP.D.ウスペンスキーの本だ。ところが、師であるグルジェフの本はまたとんでもなく遠くに置かれている。「トニー・パーソンズの隣にウスペンスキーはないだろし、グルジェフとウスペンスキーは一緒に並べないとダメじゃない」と私は思い、まったくどういう基準で本を並べてあるのか理解できず、結局スピリチュアルのコーナーの棚の本を全部一冊一冊書名を確認し、1時間半以上かかって、ようやくダグラスの本を探しあてた。
そのスピリチュアルなコーナーには、日本でも翻訳されている有名な人の本はほとんどそろっていて、 なかでも圧倒的な品揃えがあったのは、OshoとJ.クリシュナムルティである。棚だけでなく、平積みもされていたので、かなり人気があるようだ。モンペリエの書店のスピリチュアルなコーナーでも、OshoとJ.クリシュナムルティの本が多数置いてあった。その他、フランスでは禅が非常に人気だ。それに比べれば、キャサリンやジョゼやその他の人たちの長年の献身的活動にもかかわらず、Vision Sans Teteはフランスでも少数派の教えである。でも、活動に関わっている人たちは誰もそんなことを気にもしないし、ダグラスはいつも言っていた。「(頭の)数は問題ではない」
パリはちょうど枯れ葉の季節で、空の色と建物と枯れ葉が絶妙にマッチして、のんびりと散歩するのが楽しい。Vision Sans Tete のおかげで、パリはよりいっそう美しく見え、出会う人たちもたいていは親切だ。
パリはちょうど枯れ葉の季節で、空の色と建物と枯れ葉が絶妙にマッチして、のんびりと散歩するのが楽しい。Vision Sans Tete のおかげで、パリはよりいっそう美しく見え、出会う人たちもたいていは親切だ。
そんなふうに今回のフランスでの旅を(疲れたけれど)楽しく終え、 あるがままの世界の美しさを教えてくれた ダグラスへの感謝の念をいだきながら、帰国の途についた。
と、本当はこのブログは平和に終わるはずだった……
ところが、帰国後、数日後にパリでテロが発生。まだ心身の一部がパリの空気をまとっていたせいか、パリの悲しみと痛みが伝染し、さらに風邪が長引いていることもあり、しばらく気分が重かった。
今回のテロについては、二人のフランスのジャーナリストの発言が印象に残っている。(二人とも日本のメディアでもその発言が広く紹介されたので、ご存じの方も多いと思うが)、一人は奥さんを今回のテロで亡くした人で、彼は「私はテロリストに憎しみという贈り物を与えない」と、自分の心境を綴っている。
それからもう一人は、ISに捕まえられ人質として暮らし、ISの幹部とも話した経験があるジャーナリストの発言で、彼は、「ISの幹部たちは実は非常に幼稚で、インターネットなどのソウシャルメディアが大好きで、いつも欧米の政治家たちの発言をチェックし、欧米の政治家たちや国民がISへの敵意や対立をむき出しにする光景を見ると、とても喜ぶ。反対に彼らは、欧米諸国が難民を歓迎したりする光景に困惑する」 という主旨の話を語っている。今回のパリのテロで、欧米は難民に冷たくする口実を見つけ、本音では難民を入れたくない欧米諸国と、本音では欧米が難民を拒否することを望んでいるISは、奇妙なことに利害が一致している。
彼のメッセージの日本語の要約が下記に出ている。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20151119-00051589/
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20151119-00051589/
つまり、ISは対立、憎しみが大好きで、平和、融和が大嫌いというわけだ。だからこそ、奥さんを亡くしたジャーナリストの人は、「私は彼らに、彼らの大好きなもの(憎しみ)を与えない」というメッセージを発したわけだ。ISのテロの被害にあった人やその遺族が、憎しみに屈しないという決意をすることは本当に世界に勇気を与えることであるし、多少でも考えてみれば、ISへの空爆が(世界の武器産業を喜ばすことにはなっても)IS撲滅とは決してならず、「テロとの戦い」 を政治家たちが声高に叫べが叫ぶほど、世界のテロリストたちは自分たちの存在意義を見い出し、ますます元気になり、増殖するのは明らかなことだ。それでも、「テロとの戦い」 をやめることができないのが、(政治家たちの個人的意志というより)、政治的マインドの悲しい性(さが)なのである。
だから、これからも世界では空爆とテロは続くだろうし、私たち一人一人はそういった世界情勢に対しては無力である。しかし、ダグラスその他の先生たちが教えてくれたことは、それでも私たち一人一人があらゆる瞬間に目覚め、日々の日常生活の中で、「対立と抵抗と憎しみ」を手放し、平和になることができる可能性だ。
「世界の平和はまず自分から」とは、ダグラスがよく言っていた言葉の1つであり、自分が平和であれば、そのとき、自分のまわりの世界に親切と愛情を増やし、私たちは世界の平和にほんの少し貢献することができるのだと思う。
「ハム様の質問への回答」
ラメッシの教えを理解するかどうかは、たった1つの観念を、知的にではあっても、理解するかどうかです。
それは、「起こるはことは何であれ、すべて神の意志である」、別の言い方をすれば、「神の意志がなければ、何事も起こらない」。(もし「神」という言葉に抵抗があるなら、それを「分割されない全体」とか「意識」などの言葉に置き換えてもいいです)
そして、その理解さえも、起こるかどうかは、個人の意志によってはいない、ということです。理解が起こることが神の意志なら、それは起こる。理解が起こる運命がなければ、何をやっても起こらない。
ですから、「それで、自分は行為していないという理解が、生じるのでしょうか? 」という質問へのお答えは、
「そんなこと、誰にもわかりません」
アベノミックスの行く末 ― 2014年12月15日 09時31分25秒
先日、スーパーへ買い物へ行ったときのこと。スーパーの入口近くに一人の女性が首から募金箱のようなものをぶら下げて、直立不動で立っているのに気づいた。直立不動で無言で寄付集めは珍しいと思いながら、私はそのままスーパーの中に入り、買い物をし、数十分後に出て来たら、まだその女性が直立不動で同じ場所に立っていた。
少し興味をひかれ、私はその女性の前に行き、箱に張られている紙に書かれている文章を改めて読んで、やっとわかった――この女性は寄付集めの活動をしているのではなく、自分への物乞いをしていることが。
書かれている文章は、英語でいういわゆるsob story (お涙ちょうだい話、他人の同情を集める話) のたぐいで、自分は数年前に癌を手術し、子供は事故死し、現在、自分には身よりがなく、体が弱くて働けない、とまあだいたいそんなことが綴られていた。
私は思わず、「この寒空の中、人目に耐えて、直立不動で長い間立っているだけの忍耐力と体力があるなら、どこでも働けますよ」 と心でツッコミを入れてしまったが、それでも彼女の忍耐心に感心して、微笑んで「頑張ってください」と小声で言いながら、 箱にお金を入れた。
sob storyはたいてい話の半分以上はウソというのが決まりだから、私が見かけた女性の話も半分はウソかもしれない。それでも彼女が貧困状態にあるのは確かなことだろう。インドあたりではこういうsob storyで物乞いする女性はありふれているし、アメリカやヨーロッパでも時々見かけたことがあるが、日本国内で見かけるのは初めてだった。一人見かけたということは、これからこういう女性が日本の各地に出没するのかもしれない。日本国のますますの貧困と格差の進行を予感させる出来事だった。
国民間の経済的格差は、それが大きければ大きいほど、国は全体では貧困である。つまり、どれだけ一部の人たちと一部の企業だけが儲かっていても、大多数の国民の可分所得(自由に使えるお金)が減っていけば、国全体は貧しくなる――消費税は貧困層がますます貧困になる税金である。だから、先進各国はどこでも格差が広がっているので、みな相対的に貧しくなりつつある。そして、国全体が貧しくなるとき、社会は争いと暴力への圧力と不満な気分が高まり、政治は過激な保守系(と共産党)が人気を集めるのが一般的な傾向だ。
今回の選挙期間中、自民党の麻生財務大臣は、自民党が大勝するという予想のせいか、超ご機嫌だったようで、もう言いたい放題で、「この円安で儲けることができない企業の経営者は、運が悪いか無能」とまで言い切った。
しかし、現在の株高円安は、日本国の実体経済とは無関係に、政府の政策によって人為的に作られたものなので、それで儲かっているからといって、別に経営者が経営能力があるとか運がいいわけでもないし、それで儲からないからといって 運が悪いとか無能ということにもならないだろう。この国が貧困への道を歩きながらも、なんとかかろうじてまだ普通にまわっているのは、麻生さんがいうところの「無能で運の悪い」大多数の経営者の元で働いている大多数の労働者の勤労のおかげであって、政府の愚策のおかげではない。
それでも、麻生さんがそんな失言(本音)をしても影響ないほど、今回の衆院選挙では自民党が圧倒的に強かった。その理由の一つは、前回話題にした「苦痛に耐える能力」であると、私は思っている。一度野党に転落して野党のみじめさを知った自民党は、苦痛に耐える能力が格段にあがった。野党になるみじめさを味わうくらいなら、どんなに苦痛でもお互いの考えの違いに耐えて挙党一致で政権にしがみつくという決意をしている。自民党の政治家の中にも、安倍さんの保守的な考えを支持しない人たちもたくさんいるはずであるが、政権与党にいるために、その違いに皆さん耐えているというわけである。
それに比べれば、野党を作ってきた小沢(一郎)・菅(直人)・石原(慎太郎)・橋下(徹)その他各氏はみな、忍耐力がないところが共通している。忍耐力がないのに、やたら一緒に党を作っては解党するので、国民の支持を長く集められないのだ。
ということで、自民党圧勝に終わった昨日の衆院選挙。でも大昔の平家の時代から、「驕れる者は久しからず」という、権力者を戒める言葉があるように、麻生さんも安倍さんも有頂天になって、あんまりやりたい放題言いたい放題やっていると、神様からお目玉をくらうかも……
[お知らせ]
「意識は語る――ラメッシ・バルセカールとの対話」 (ラメッシ・バルセカール著 ナチュラルスピリット)
発売されました。書店に出まわるるのはたぶん早くて今週末くらいからですが、書店へご注文は可能です。
価格、目次等は下記のサイトに掲載してあります。
政治遺伝子 ― 2014年02月05日 08時22分53秒
皆様、本年も時々、ゆるくブログを書いていく予定ですので、お時間があるとき、おつき合いください。
もうすぐ「じいさんたちの政治運動会」(東京都知事選)なので、久しぶりに政治に話をふってみたい。
昨年の秋、 猪瀬前東京都知事と都議の皆さんが、鞄を前にして、その鞄に5千万円が入るのかどうか真剣に議論している都議会の様子をたまたまテレビで見た。その風景は、まるで小学生の教室で、子供たちが喧嘩しているような感じであった。政治家の皆さんというのは、他人の悪事を見つけると自分自身の悪事は忘れて、まるで鬼の首をとったかのように喜々として追及するのがいつも印象的である。「他人の目の埃を指摘する前に、自分の目の中の埃を取りなさい」というキリストの言葉と真逆なゲームが、政治ゲームである。
猪瀬さんがもらった5千万円は、まあダーティな金ではあろうが、その程度のお金をごまかす才覚がなく、大問題にされて、マスコミや都議会で追及されてしまうほど、(元はジャーナリストであった)彼に政治的技巧と運がなかったのがお気の毒な感じがした。
作家や学者、タレントなどいわゆる文化人がよく知事や議員になるわけであるが、文化人は生粋の政治家よりはるかにプライドが高く、「自分は清く賢い」というイメージをもっている。そのためいざ自分の中のダーティな部分が暴露されたり、周囲と考えが合わないと、いとも簡単にその職を投げ捨ててしまう。つまり、政治的忍耐と技巧がない、ということである。
その点、生粋の政治家、特に代々政治家の家系の政治家の方々は、政治遺伝子というものが、心身に入っていて、政治遺伝子がたくさんある政治家は、以下のことが自然に身についている。
* ダーティな問題が表面化しないようにうまくごまかす技巧
*不遇な時代を耐える忍耐力
*共通な目的のためなら、意見が合わない人たちとも共同できる能力
*「昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵」という種類の裏切りと友情を気にしないマインド 。
*政治ゲームに中毒するマインド。
政治遺伝子のよい例が、安部首相だ。前回首相を辞任したときほとんど政治生命が終わりかけたが、それでもそのあと不遇の時代を耐えぬいて、首相に返り咲いた。 安部さんを忍耐させたのは、彼個人の力ではなく、彼の中に潜む政治遺伝子 のおかげであろう。
*不遇な時代を耐える忍耐力
*共通な目的のためなら、意見が合わない人たちとも共同できる能力
*「昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵」という種類の裏切りと友情を気にしないマインド 。
*政治ゲームに中毒するマインド。
政治遺伝子のよい例が、安部首相だ。前回首相を辞任したときほとんど政治生命が終わりかけたが、それでもそのあと不遇の時代を耐えぬいて、首相に返り咲いた。 安部さんを忍耐させたのは、彼個人の力ではなく、彼の中に潜む政治遺伝子 のおかげであろう。
さて、猪瀬さんに政治遺伝子と運がなかったせいで、東京都は約50億円の税金を使って政治運動会(都知事選)をこの寒空にやらなければならなくなった(前回の石原さんの途中辞職と合わせて、東京都は100億円もムダに税金を使っている)。
東京都知事は代々文化人がなる傾向があり、今回の主要参戦メンバーもみな政治家ではなく、政治遺伝子があまりなさそうな方々ばかりである。桝添さんも元々は学者であり、細川さんは風流文化人である。 誰がなっても、2020年の東京オリンピックまでもつのかどうか……
政治遺伝子がない人といえば、橋下大阪市長もプライドが高いのに忍耐力がないゆえに、自分のヴィジョンが進展しないのにイラついて、また今度市長選をやるという――橋下さんに、意見の違う人たちと共同する能力と忍耐力がなければ、何度選挙をやっても、税金のムダ遣いでしかない。橋下さんが、自分のビジョンを実現したいと思うなら、数十年間忍耐して、郵政を民営化した小泉元首相を見習うべきである。
で、その小泉元首相は相変わらず政治ゲーム中毒が抜けないのか、今回の政治運動会に裏で参戦して、脱原発をぶち上げた。小泉さんは人生最後の政治ゲームを脱原発に賭けたようであり、そのゲームは、政治遺伝子が濃厚に入っている小泉さんの息子、小泉進次郎自民党議員が将来的には引き継ぐことになるだろう。親子二代で、抵抗勢力(原発派)を懐柔して、脱原発に向かって、頑張って!
[質問へのお答え]
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