政治というスポーツ ― 2007年09月29日 09時49分27秒
政治はスポーツである。これが私の政治観である。で、どういうスポーツかというと、現在の民主主義では、あの戦略、この作戦で、国民の支持を得て、選挙に勝ったほうを勝者とするスポーツである。選挙に勝てば、政権与党は、自分たちのやり放題、好き放題、自分と自分の支持者たちの利益のためにとことん奔走することができる。
このスポーツの勝利には、監督(首相や党首やその他参謀)の戦術と運が一番大事なことであり、トップに立つ監督が無能で運が悪いと、選挙には勝てないのは、プロ野球やサッカーのゲームと同じである。その点、安倍さんの前任者、小泉さんは監督としてはすぐれた戦略家だった思う(あるいは本当は戦略を立てていたのは、彼ではないかもしれないが。)
彼は、かつての自民党の実力者とはちがって、自分の場合は、党内の派閥や地方組織の力ではなく、また政策でもなく、自分の「人気」と「イメージ」が選挙に勝つ最大の力だと理解していた。
彼は、ヴィジュアルとイメージを重視する現代にあっては、大多数の国民は、政治家や党の政策をじっくり比べたり、過去の実績を調査したりして、候補者に投票するのではなく、そのときの風まかせ、あるいは、なんとなく「この人がよさそう」「なんとなくこの党にしよう」というそのときのイメージ、印象、同情で、投票することをよく知っていた。
普通のスポーツ同様、政治ゲームも正しく戦況を読み、自分がもっている戦力(権力)を最大限に活用し、ミスが少ないほうが勝利する。そして、味方(閣僚等)が世論に非難されるようなミスしたら、そのミスをどうカバーし、最小にするか(国民へのイメージの悪化を食い止めるか)で、ゲームに勝てるかどうかが決まる。
今振り返ってみると、小泉さんは、人気下落になるような決定的ミスが非常に少なく、味方がミスしたと思ったら、敵(野党)のほうがもっと大きなミスをしてくれるというツキにも恵まれた。
政策は党内でもほとんど支持されなかったにもかかわらず(自民党の大多数は、郵政民営化なんて本当は大嫌いだったはず。その証拠が、郵政民営化反対組の復党大歓迎)、「小泉じゃなければ、選挙に勝てない」神話で、彼は党内を脅しつつ、党外にはボロ(ミス)を出さず、世論を巧みに操作し続け、監督として見事なパフォーマンスを見せた。
そして、前回の参院選挙では民主党の小沢代表も、小泉さんとまったく違う手法、自分にあった戦略で、選挙に勝利した(今まで、政治家がほとんど行かなかったような田舎まわりを自らして、田舎の人たちの素朴な情をかき集める戦略。)
おそらく安倍さんが1年前に誤解したことは、まったく自分とは性格が違う小泉さんのマネをして、つまり、国民に対するイメージや人気で、自分も政権を乗り切れると考えたことだった。
まして安倍さんの人気は、自分で作った人気ではなく、小泉さんの「おこぼれ」の人気であったのに、そんな無にも等しいものを頼りに、政権運営ができると思ったことが、彼の若さというか己の実力を知らないというか、世間知らずというか。
小泉さんが、派閥に頼らずに生きていけるのは、彼は元々一匹オオカミで孤独に強く、自分の目的達成のためなら、誰のことも平気で「殺す」ことができるほど非情で、他人に何をどう批判されても気にしないタイプ(鈍感力の人)だからだ。人に気を使う、心やさしい安倍さん(私の印象ではそう感じる)とは大違いなのだ。
1年前、安倍さんが首相になる前、森元首相が「安倍さん温存論」を言い出し、安倍さんは、今回は総裁選に出ないほうがいいと警告したのを私はなんとなく記憶している。そのとき私は森元首相の慧眼に少々驚いたものだった(首相当時は、失礼ながら、少々バカにしておりましたが、今では自民党院政上皇となって、すっかり自民党の裏のボスとして手腕をふるわれている。)
彼は、ポスト小泉は、誰がなっても苦労することを予想して、森派のプリンスであった安倍さんに苦労をさせたくなかったようだった。しかしその考えを、小泉さんが一蹴し、安倍さんは小泉さんの推薦と後押しを受けて、首相となり、1年後、今やその政治生命の終わりさえささやかれているのを見ると、森さんは、息子思いのよき「父親」、小泉さんは、弟殺しの悪い「兄」のようだったとも思えてくる。
運勢的に言えば、小泉さんは、自分に降りかかる不運やネガティブなエネルギーを決して拾わず(それが「強運」ということです)、それを他人にバラまくのがうまい人で、その分を弟分で身近にいた安倍さんは、小泉さんの分まで不運も拾い続けたというわけだ。強運な人たちが、自分に降りかかる不運を上手に自分でも知らずに身近な他人にバラまくというのは、あらゆるところで、よく見聞する話なのである。
で、次回の国政選挙。自民、民主、自民党内外の郵政造反組が入り乱れて、ぐちゃぐちゃの戦いになるだろうと予想する。どうやって誰が、選挙の運と風をつくるのか……そこが見所ですかね。
このスポーツの勝利には、監督(首相や党首やその他参謀)の戦術と運が一番大事なことであり、トップに立つ監督が無能で運が悪いと、選挙には勝てないのは、プロ野球やサッカーのゲームと同じである。その点、安倍さんの前任者、小泉さんは監督としてはすぐれた戦略家だった思う(あるいは本当は戦略を立てていたのは、彼ではないかもしれないが。)
彼は、かつての自民党の実力者とはちがって、自分の場合は、党内の派閥や地方組織の力ではなく、また政策でもなく、自分の「人気」と「イメージ」が選挙に勝つ最大の力だと理解していた。
彼は、ヴィジュアルとイメージを重視する現代にあっては、大多数の国民は、政治家や党の政策をじっくり比べたり、過去の実績を調査したりして、候補者に投票するのではなく、そのときの風まかせ、あるいは、なんとなく「この人がよさそう」「なんとなくこの党にしよう」というそのときのイメージ、印象、同情で、投票することをよく知っていた。
普通のスポーツ同様、政治ゲームも正しく戦況を読み、自分がもっている戦力(権力)を最大限に活用し、ミスが少ないほうが勝利する。そして、味方(閣僚等)が世論に非難されるようなミスしたら、そのミスをどうカバーし、最小にするか(国民へのイメージの悪化を食い止めるか)で、ゲームに勝てるかどうかが決まる。
今振り返ってみると、小泉さんは、人気下落になるような決定的ミスが非常に少なく、味方がミスしたと思ったら、敵(野党)のほうがもっと大きなミスをしてくれるというツキにも恵まれた。
政策は党内でもほとんど支持されなかったにもかかわらず(自民党の大多数は、郵政民営化なんて本当は大嫌いだったはず。その証拠が、郵政民営化反対組の復党大歓迎)、「小泉じゃなければ、選挙に勝てない」神話で、彼は党内を脅しつつ、党外にはボロ(ミス)を出さず、世論を巧みに操作し続け、監督として見事なパフォーマンスを見せた。
そして、前回の参院選挙では民主党の小沢代表も、小泉さんとまったく違う手法、自分にあった戦略で、選挙に勝利した(今まで、政治家がほとんど行かなかったような田舎まわりを自らして、田舎の人たちの素朴な情をかき集める戦略。)
おそらく安倍さんが1年前に誤解したことは、まったく自分とは性格が違う小泉さんのマネをして、つまり、国民に対するイメージや人気で、自分も政権を乗り切れると考えたことだった。
まして安倍さんの人気は、自分で作った人気ではなく、小泉さんの「おこぼれ」の人気であったのに、そんな無にも等しいものを頼りに、政権運営ができると思ったことが、彼の若さというか己の実力を知らないというか、世間知らずというか。
小泉さんが、派閥に頼らずに生きていけるのは、彼は元々一匹オオカミで孤独に強く、自分の目的達成のためなら、誰のことも平気で「殺す」ことができるほど非情で、他人に何をどう批判されても気にしないタイプ(鈍感力の人)だからだ。人に気を使う、心やさしい安倍さん(私の印象ではそう感じる)とは大違いなのだ。
1年前、安倍さんが首相になる前、森元首相が「安倍さん温存論」を言い出し、安倍さんは、今回は総裁選に出ないほうがいいと警告したのを私はなんとなく記憶している。そのとき私は森元首相の慧眼に少々驚いたものだった(首相当時は、失礼ながら、少々バカにしておりましたが、今では自民党院政上皇となって、すっかり自民党の裏のボスとして手腕をふるわれている。)
彼は、ポスト小泉は、誰がなっても苦労することを予想して、森派のプリンスであった安倍さんに苦労をさせたくなかったようだった。しかしその考えを、小泉さんが一蹴し、安倍さんは小泉さんの推薦と後押しを受けて、首相となり、1年後、今やその政治生命の終わりさえささやかれているのを見ると、森さんは、息子思いのよき「父親」、小泉さんは、弟殺しの悪い「兄」のようだったとも思えてくる。
運勢的に言えば、小泉さんは、自分に降りかかる不運やネガティブなエネルギーを決して拾わず(それが「強運」ということです)、それを他人にバラまくのがうまい人で、その分を弟分で身近にいた安倍さんは、小泉さんの分まで不運も拾い続けたというわけだ。強運な人たちが、自分に降りかかる不運を上手に自分でも知らずに身近な他人にバラまくというのは、あらゆるところで、よく見聞する話なのである。
で、次回の国政選挙。自民、民主、自民党内外の郵政造反組が入り乱れて、ぐちゃぐちゃの戦いになるだろうと予想する。どうやって誰が、選挙の運と風をつくるのか……そこが見所ですかね。
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