最近読んだ本から2026年09月01日 07時04分41秒

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『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売

『富岡多恵子の革命』島崎今日子(中央公論新社)

たぶん、若い年代の方はほとんど名前は知らないだろうけど、私が20代の頃、富岡多恵子(1935~2023)さんは、時代の寵児であり、文学界のアイドルだった。そして、20代前半の私のアイドルは間違いなく富岡多恵子さんだった。私は彼女の詩に出会ったことにより、現代詩にのめりこみ、詩の中にこそ自分が人生をかける情熱があるかもしれないと期待したものだった。

でも早々に文学の才能がないことを悟り、そのあとスピリチュアルに出会って、インドへ旅立つとき、文学関係の本を全部売り払った。その中には、私がわざわざ富岡さんのサイン会まで出かけてサインしてもらい、何よりも大事にしていた彼女の詩集もあった。

それからの数十年、私は文学や小説をほとんど読まなかったので、富岡さんがどんな小説(←彼女はある時期から詩をやめて、小説に転向した)を書いているのかまったく知らなかった。今から10年ほどたまたま図書館の棚に70代の彼女と誰かの対談集があって読んでみたが、彼女の言葉にもう何も感じることができなかった。

数年前に新聞で訃報を読み、「ああ、富岡さんが亡くなったんだ」と知った。もう富岡さんに特に関心もわかなかったが、たまたま読んでいた雑誌に本書の紹介があり、読んでみようと思い、図書館に本をリクエストしたら、珍しく図書館が本を購入してくれた。

本書には、彼女が人生で出会った人たちへの証言を中心に、子供時代から88歳で亡くなるまでの彼女の生涯が綴られている。彼女は時に気難しく、不機嫌で、よく強度のうつ病にかかっていたという。彼女の夫が何度も何度も、「富岡さんに感謝する。富岡さんがいなければ、今日の僕はない」と言っているのが印象的だ。

本書を読んだ印象で言えば、無名で芸術以外世俗的な事が何もできない夫を抱えて、自分の目指す小説を書きながら、生計を立てることは大変だっただろうと想像できた。また彼女の中のとても自由奔放な部分と同時にとても古風な部分との相克、葛藤が、彼女の激しいうつ病を引き起こしたのでは、とも感じた。

彼女が33歳で結婚したときの様子を彼女はエッセイに次のように書いている。

「わたしも年の順でいけば先に死にますからよろしくたのみますと、ケッコンした挨拶にいったのであった。すると、このヒトは、葬式はまちがいなくやってあげますといい、葬式がすんだら自分もあとを追いますよ、というので、わたしは長生きしそうな友だち、若い弟たちに、もし彼がわたしの葬式のあともずっと生きていたら、約束がちがいますよといってくれるよう見張りをたのんだのである」(『青春絶望音頭』)

私もこのエッセイを愛読していたので、この部分は思い出した。

彼女は夫と50年以上の結婚生活を「添い遂げ」、彼女の夫は約束どおり彼女の葬式を出した(ただし、夫のほうは葬式のあとも何年も生きている)。そして、結婚したときは美大を卒業したばかりの無名の芸術家だった夫は、国際的な著名な芸術家になった。男性を見る彼女の眼は確かだったようだ。


『二コラ・テスラ 秘密の告白』二コラ・テスラ(成甲書房)

二コラ・テスラ(1856~1943)――エジソンと同時代の人でありながら、その先進性ゆえにほとんど評価されていなかった天才科学者の自伝。

彼が本書で書いていることのいくつかをまとめると:

*人間は考え行動する自動機械(オートマトン)である
*生命を持たぬ機械がまるで生き物のように環境からエネルギーを得る可能性。
*どのような装置を使えば、大気中の空気を継続的に冷却する工程を利用して、環境から動力を得られるのかがわかったのだ。

そして、解説には次のように書かれている。

*「世界システム」の構想は、地球そのものを電気振動と共振(共鳴)して、莫大なエネルギーのほとんどを無料で、しかも無限に得ることが出来るものであった。フリーエネルギーが地球上のどこでも無限に得られるとなれば、当然、それまでエネルギー供給を独占してきた企業やアメリカ合衆国の国益と真正面から対立することになる。これこそがテスラが科学史から抹殺された理由である。

二コラ・テスラの時代から百年、これだけ科学技術が発展したというのに、いまだ地球のエネルギーが、ホルムズ海峡などという地球上の一か所に依存していることは、考えてみれば、滑稽なほど可笑しいことだ。上記解説にあるように、新しいエネルギー・システムの発明・開発を妨害している何かの陰謀があるのかも……と疑う。


『最高の体調』鈴木祐(クロスメディア・パブリッシング)

ブラック企業に勤め、体調最悪だった著者が、最新の医学と栄養学のあらゆる研究から、自らを実験台にして、最高の体調を手に入れるようになった経験を語る。


『「既にある」を論理する』阿頼耶一生(アマゾン・キンドル版)

各種ヴィジュアライゼーション、引き寄せの法則など、様々なメソッドを試して、恋人、お金などを手にいれようとしたけど、うまくいかなかった著者が、量子力学と出会い、自分が欲しいものは「既にある」という理解を得た話が、わかりやすく語られている。いつの時代もそれぞれ「願望達成」の流行があるものだが、本書は新しい世代の人による新しい世代向けの「願望達成メソッド」といったところだろうか。ただ私の理解では、願望を達成するのは、その人の中にある「本当の情熱」であり、どんなメソッドの力でもない。だから、「本当の情熱」がなければ、どんなメソッドも役に立たないだろうとは思う。

『お金の不安という幻想』田内学(朝日新聞社)

本書で著者は、私たちが潜在的にもっているお金についての不安とは何なのか、その不安がどう根拠がないのか、金融教育家の専門家の立場から解き明かしていく。よく「老後資金に〇〇円必要」という話でマスコミは私たちを脅すが、社会全体の話をすれば、これからの日本ではお金の不足よりも、労働力(人手)の不足のほうがはるかに深刻になるだろう。たとえば、「家の水道、電気、ガスが故障した。でもすぐ修理してくれる業者が見つからない!」という事態が地域によっては頻繁に起こるかもしれない。

スピリチュアルな観点で言えば、すべての「不安」は、「(存在しない)未来や状況」を考えるから生じる。反対に言えば、(存在しない)未来や状況に関する恐怖がなければ、お金もその他のことにも何の不安も生じない。つまり、今現在には何の不安もないということだ。だから、「不安」は幻想と言えるのだ。とはいえ、それはスピリチュアルの正論で、現実は、不安ゼロという人はほとんどいないだろう。その場合は、現実的に対処することをお勧めする。お金のことであれば、お金の使い方を見直す、節約する。貯金するなど(←収入を増やすことは簡単ではない)。体の不安であれば、運動や食事に注意するなど。私も毎日、多少の運動をしているけど……二カ月ほど前、大転倒してしまい、運動の効果があやしい(苦笑)。


『人間関係を半分降りる』鶴見済(筑摩書房)

90年代の初めの頃だったか、『完全自殺マニュアル』という本が非常に話題になった時期があった。その本は読まなかったが、「鶴見済」という著者の名前だけはなぜか記憶に残った。たまたま図書館の人間関係のコーナーで偶然、本書に目が留まり、初めて彼の著書を読んでみた。

『完全自殺マニュアル』を書いた人のイメージから、引きこもってほとんど活動しない人かと想像していたが、『完全自殺マニュアル』以後、本も何冊か出版し、引きこもりの人たちの居場所作り、色々な人と対談するなど、けっこう活動していることに驚いた。

本書は自分とは異なる他者が存在する「苦」とどう付き合うか、どうしたらその「苦」を減らせるのか、彼の長年の経験から語られている。

たとえば、

*家族はよりそわなくていい。
*恋愛やセックスはしなくていい。
*友人がいなくてもOK。

など、私も大昔からそう思っていたことが書かれてある。

ただ、著者も言っているように、

*家族はよりそってもいい。
*恋愛やセックスはしてもいい。
*友人がいてもOK。

まあ、結局どっちだってOKなわけだ。

人間関係の半分は「苦」、人生の半分は「苦」、それを受け入れれば、
人間関係の「喜び」、人生の「喜び」も深く味わえるのだ。


『ぼくらは嘘でつながっている』浅井鴨(ダイやモンド社)

『人間関係を半分降りる』の本同様、人間関係で苦しんでいる人向けに、「嘘」の効用を語る。無害な嘘、有害な嘘、有益な嘘など、人間同士の関係に関する様々な嘘を分析し、嘘が私たちをつないでいる現実を明らかにする。

最後のほうで、若い男女が「嘘を言わず、本当の事しか言わない」会話をえんえんと続ける著者の短編小説が掲載されてあり、その会話は笑えた。


『人間やめて動物になってみた』澤田トラジ(高橋書店)

人類1300万年の歴史を、人類と様々な動物を比較しながら、イラストと文章で綴った本。
子供向けではあるが、最新の進化論、生物学の研究をおりまぜ、大人が読んでも、「ああ、そういうことか」と楽しい発見があり、けっこう内容は奥深い。最近の研究によれば、動物(特にヒトに近い生き物、チンパンジーとか犬)にも「嫉妬」などの闇の感情があるそうだ。

本書から人類が過去700万年、他の生物を凌駕して生き延びてきた成功の鍵を読み解けば、

*自分たちの弱さを自覚する。
*集団で協力するための共感力。
*自分とは違う様々な他者がいることを認めることで、生き延びるための様々な考え、技術、行動が広がり、絶滅の危険が低下した。

今、大国では、「弱さの自覚」、「共感力」、「多様性の認識」がなさそうな、動物園系の人たちが国のトップになり、それこそ人類の一番の存続危機かもしれない。


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』


ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]

*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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8月に父を想う2026年08月17日 08時28分26秒

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『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売

 

8月はお墓詣りをしたりするせいか、あるいは8月が戦争と結びつくせいか、父のことをよく思い出す。そして、今年は五木寛之さんの『大河の一滴 最終章』(幻冬舎)を読んだおかげで、父についての一つの謎が解消した。

それは終戦のときの話で、中国に派兵されていた父が日本に帰国できたのは終戦から2年以上あとのことで、しかも東南アジアの国々を経るという遠回りで帰国したという話だ。その話を父から聞いたとき、「どうしてそんなに時間がかかったのか?」と疑問に思ったものの、父に訊きそびれた。

『大河の一滴 最終章』の中で五木さんは書いている。

「敗戦後の北朝鮮で、零下20度の冬を迎えてもなお一向に引き揚げが実現しなかったのは、当時の日本国の政治的配慮でもありました。
〈そうでなくても敗戦の混乱のなかで、国民全体が困窮しているのに、これ以上、多くの復員軍人、引揚者を迎え入れる余裕はない。しばらくは現地で待機させるしかないだろう)という発言をした有力政治家の名前を、ぼくは今も忘れることはできません。〉」

「有力政治家の名前を、ぼくは今も忘れることはできません」に五木さんの強い感情を私は感じる。もし引き揚げがもっと早く実現していたら、五木さんの母親は日本で治療を受けたり、少なくとも当時の北朝鮮よりもよい生活環境の中で療養できたかもしれないという無念。五木さんは別のところで、戦争の終結をいち早く知った現地にいた軍の幹部や政治家はさっさと帰国した話も書いている。「自分たちは棄民(捨てられた民)」だったのだ」と。

だから、父の場合も、国策で中国大陸か東南アジアのどこかに長々と留めおかれ、それで帰国にあんなに時間がかかったのだ。父は体が丈夫でよかったけれど、ひ弱な人だったら、途中で死んでいたかもしれない。

そして、ようやく家族の元に戻った父が見た風景は、米軍の空襲によって焼野原になった故郷だった。故郷の駅に降り立ったときに見たその風景が一番ショックだったと父はよく語っていた。幸い父の家族は米軍の空襲で誰も死なず、父は戦後ひたすら家族のために働き続けた。

父は、最近よく耳にする戦争のトラウマによる心身症(Psychosomatic disease:PSD)を発症しなかったが(←戦争PSDを発症すると、お酒を飲んで暴れるとか、家族に暴力を振るうなどの行動が起こる)、それでも根は非常に心優しい人なので、中国で自分たちがしたことに対する罪悪感を心の奥底に持ち続けていた(と私は感じていた)。

今年のお盆は、少々感傷的になって、父の遺影に向かって、生きているときに言えたらよかった言葉をつぶやいた。「お父さん、ありがとうございます。お父さんが無事戦争から帰ってきて、戦後頑張って働いてくれたおかげで、今日、お母さんと私たちは豊かに暮らしています」

親への感謝はいつも遅すぎてしまうものである。


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』


ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
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*『頭がない男』電子書籍版

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知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


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[2023年に出版された本]

*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

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U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』42026年08月03日 14時28分15秒

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『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売


皆様、暑中お見舞い申しあげます。熊本地方の皆様、地震お見舞い申しあげます。

U.G.クリシュナムルティの『悟りという謎』の翻訳を紹介したYoutubeの動画もあと1回を残すのみになった。ようやく終わりが見えて、ほっとしている。正直な話、ここ数か月は動画作成が非常にしんどかった。そして、この「しんどさ」には既視感(デジャビュ)があって、この感覚は20代の後半、私がU.G.の天敵(笑)、J.クリシュナムルティの本を熱心に読んでいた最後のほうに感じていた感覚に似ていること思い出した。

J.クリシュナムルティの本を読んで、理解できないイライラと不満がどんどん募り、ある日私は読んでいたJ.クリシュナムルティの本を壁に向かって投げつけた。私が本に暴力を振るった生涯たった一回の滑稽な思い出である。

今回のUGの言葉も理解できないことが多かったが、理解できないことは(←どうでもよく)今回はストレスにはならず、むしろ理解できた彼の言葉がなぜかしんどかった。

J. クリシュナムルティとU.G.の手法(という言葉を、二人は否定するだろうが)は、非二元の真理に関する正論を説くということで一致している。「グル(先生)もワークも本も何も非二元の真理の目覚めをもたらすことはできない」(←まったく正しい!)。このように説かれると、彼らの言葉を聞いている人(というよりマインド)がどんどん逃げ道をふさがれ、外側のものに頼る気を失い、途方にくれる。すべてをあきらめたとき、ひょっとしたら運命があれば、何かが起こるかも……という感じだ。

U.G.は幼少時から先生たちの元で誰よりもたくさん修行をした(家系のせいで、修行をさせられた)。そして、おそらく若い頃は本もたくさん読み、そして、何よりもたくさん自分に質問し、考えたことだろう。考えることができなくなる究極まで考えたことだろう。そして、彼はまた自ら神智学のグルとして宗教ビジネスにも関わっていた。彼の言葉、「自分の過去の経験の何一つ、役に立たなかった」という言葉は、彼の長年の経験から出た言葉だ。

でも彼の言葉を聞いているほとんどの人はおそらく彼ほど修行もしていないし、経験もないし、考えてもいないし、本も読んでいないかもしれない。まだグルめぐりにも読書にもワークにも飽きていないのだ。特にまだ若ければ、なおさらそうである。20代の頃の私は思ったものだ。あらゆることを充分に経験した老人に、「○○なんて役にたちませんよ」とか「○○なんてつまらないですよ」とか言われても、そういった言葉は経験の乏しい若い人間にはほとんど説得力がない。

むしろラメッシ・バルセカールの言葉のほうがはるかにマインドにとっては現実的で説得力がある。彼は言う。「何でもやりたいことをやってください。瞑想、読書、ワーク、考えること、グルのところへ行く。それらは役に立つかもしれないし、役に立たないかもしれないし、抜け落ちる時が来れば、自分の意志ではなく、自然に抜け落ちるでしょう」。考え方としては、J.やU.G.よりこういうラメッシの言葉に私は共感する。それにもかかわらず、なぜか私はU.G.が好きなのだ。

U.G.は人々が自分のところへ話を聴きに来ることを嫌っていたが、私に言わせれば、本当にイヤなら、普通に働く生活をすればよかったのにと思う。存在感を醸し出して、何時間も壁の時計なんか眺めている(笑)から、「この人、なんかすごい人かも」と思わせてしまうのだ。ところが彼は普通に働くこともできず、恋人や友人宅に居候をして過ごしている。本書の中ではないと思うが、あるとき誰かが彼に「あなたはなぜ働かないのですか?」と尋ねたら、「私は銀のスプーンをくわえて生まれてきたのだ(=自分はあくせく働かなくても、暮らしていける運命に生まれついている)」と答えていた。 (←「born with a silver spoon in one’s mouth 」という英語の慣用表現は、元々は「よい星の下に生まれる、金持ちの家に生まれる」くらいの意味)

彼は普通に働くこともできないけれど、話すのもイヤで、だから、時計や花を眺めて日々を過ごしている。仕方なく話すときは、「何で君たちはこんなつまらない質問をして時間を無駄にしているのか?」と、いら立ちを隠さない。そして、彼の言葉から察するに、彼のところへ来ている人たちの多くがJ.クリシュナムルティの信奉者たちだろうと思われる。J. クリシュナムルティの言葉を長年聴いたり読んだりしたあげく、埒が明かないので、U.G.のところへ来ている「J. クリシュナムルティ難民」だ。彼らは「U.G.はJ.クリシュナムルティの影響で覚醒した」という話を聴きたいし、そういった話を自分にも役立てたいと思っている。ところが、U.G.は激しくそれを否定し、影響を否定するどころか、J. クリシュナムルティの教えそのものを「嘘っぱち」と完全に否定する。

すべてを否定し、否定し、否定し、自分の言葉さえ否定する究極の否定という正論--彼の言葉は誰の慰めにも、役にも立たないけれど、もし彼が語ったことから一つだけ覚えておくべきことがあれば:

変容する自己も、覚醒する自己も、悟る自己も存在しない。

ということだ。それを確かめるには、ただ自分の注意の向きを自分側に180度回転するだけでいい。たったそれだけ!(←ハーディングの実験参照)。

ということで、U.G.クリシュナムルティ『悟りという謎』の動画をお時間を使って最初から最後まで視聴してくださった皆様、お疲れ様でした。皆様には表彰状を差し上げたいくらいだ。

「あなたは珍獣の身も蓋もない言葉を最後まで視聴しました。その忍耐を称えます!」


参考サイト



[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




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*『猿笑非二元講座』

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[2023年に出版された本]

*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

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どうでもいいけど、皇室典範2026年07月19日 07時47分37秒

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ここ数か月、新聞とネットのニュースをほとんど読まなくなった。ニュースを毎日読まなくなると、時事問題がどんどん遠のき、平和だ。ホルムズ海峡?それ、どこだったっけ、ナフサ、それ何?という感じである。でも、私の姉妹は新聞を熱心に読み、時事問題が大好きなので、ありがたいことに私にいつも現在の時事問題を解説してくれる(けど、話は半分くらいしか入ってこない)。

今、何よりも盛り上がっているのは、「皇室典範改正」の話だ。「なんとしても、天皇は男性でなければならない」という男系保守派の人たちが頑張っているという話らしい。「天皇家に男の跡継が生まれなかった。このままだと女性天皇が誕生してしまうかもしれない。さあ、大変!なんとかしなければ」という大騒ぎらしい。

「皇室典範改正」を話題にするときの私たち姉妹は子供時代のトラウマが今でも微妙に疼く。なぜなら、「家の跡継ぎになるはずの男の子が生まれなかった家庭」の悲劇を私たちが子供時代に充分に味わったからだ。

父は代々続いた家系の長男で、祖父母も両親もなんとしても男の子の跡継ぎを欲しがった。でも結果は全員が女の子。昭和の時代的背景もあって、親戚や近所から「男の子の跡継ぎがいないかわいそうな家」だと思われ、特に父と祖母がそのことを非常に気にし、母を暗黙に責め(昔は生まれる子供の性別は母親の側の責任とされたが、生物学的には子供の性別を決めるのは男性の精子で、責任を問うのであれば、父親の問題)、母も自分自身を責め、罪悪感に苦しんだ。そして、子供というのはそういう家庭の雰囲気を敏感に感じとるものだ。「私たち生まれないほうがよかったのかも」と。

父と祖母が強固に現実を否定したことが、その後の家庭の色々な状況を歪ませて、私の人格も歪ませた(笑)。もし大人たちが、「女の子でよかったね」と状況を受け入れたら、その後の私たちの運命も、家系の運命もずいぶん違ったものになっただろうと思う。私の家系はまだ未来へと続くことになったかもしれない(たぶん、子供たちの誰かが跡継ぎを生んだかもしれない)。しかし、私たちの家系は私たちの代で終わりとなり、私自身はそのことを別に悲しく思ったりもしない。人間界の物事にはすべて終わりがあるのだ。

個人的には、天皇が男性だろうと女性だろうとどっちでもいいし、万一将来天皇制が終わっても、それもそれで私には何の問題でもない。現在の天皇家には女性のお子様がいるのだから、その直系のお子様が後を継いで天皇になるのが一番自然の成り行きだろうし、国民の多くもそれを支持しているようだ。だから、皇室典範もそのように改正すれば、と思う。天皇制の存続を考えるなら、天皇は男性でも女性でもどっちでもOKとしたほうが、天皇制の存続確率が高まり、反対に小細工をして現実を歪めると、かえって天皇制の存続をあやうくする感じ……たいてい何かを強く望めば望むほど、その反対のことが実現する可能性を高める。

男の子を強く強く望む→→男の子が生まれにくくなる
女性天皇絶対ダメ→→女性天皇が生まれる可能性を高くする

「数千年続いた男系の血統を死守」したいと思う人たちの小細工が成功するのかどうか……



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[2023年に出版された本]

*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



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『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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問題と答えのミスマッチ2026年06月26日 08時57分19秒

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2026年7月30日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

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2026年7月16日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年7月26日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


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『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売

毎年、子供の年間出生数が過去最低を更新し続けているらしい。だから、政府が国民に子供をもっと産ませるためにかけた多額のお金(=税金)はまったく効果がなかった、対費用効果ゼロ、少子化問題に対する政府の答えはミスマッチである、ということになる。たぶん、それに関わった政治家や官僚の皆さんは、自分のお金ではないから、懐も心も痛まないだろうとは思うけど。

日本で少子化が進行しているのは、現在の日本という領土では、多くの子供を産んで育てるだけの資源(労力=人間のエネルギー)が不足しているという自然の掟のせいだ。動物の世界では、餌(資源)が少ない年は子供があまり生まれないことが知られている。だから、自然の掟を人間の浅はかな考えでコントロールはできないのだ。

そもそも少子化は問題なのだろうか?と、最近は思う。 短期的には、少子化は当然人口減となり、労働力の不足が大変にはなるだろうが、長期的には日本の人口が減って、将来的には人口5千万から8千万人くらいの国がちょうどいいのではないか。

政治家や官僚の皆さんは、「人口が多い=大国=パワーがある」と思い込んでいる人たちが多いように感じるが、国としての経済的豊かさという観点で考えれば、小国のほうが利点が多い。アイルランド、スイス、アイスランド、デンマーク、シンガポール、オランダなど、現在の世界で、経済的に豊かな国は圧倒的に小国が多い。アメリカのカリフォルニア州は日本とほぼ同じ面積で、人口4千万(日本の約三分の一)で、GDP(国内総生産)は約400兆円、全米一の豊かさを誇る(ちなみに日本のGDPは約600兆円)。

だから、政治家や官僚、ビジネスリーダーの方々が、人口が少なくても豊かな国のビジョンを国民に積極的に示せばいいだけなのに、なぜか少子化が問題だという論調とそれに対する効果のない政策だけが進行している。

少子化対策なんて何をやっても無駄なので、それよりもどうしたら少ない人手で生産性を上げるのかに知恵を絞るべきだし、そして終末医療の改革(←寝たきり老人を減らすなど)を推進するべきだと思う。何よりも政府の愚策で国民に余分な労働を押し付けることをやめるべき(←2年間だけの消費税減税なんて、国民(企業)の事務作業が増えるだけで、そして、反動であとで増税になるだろうと思う)。

それと、最近雑誌で読んだ記事で、「ああ、やっぱり」と、政府が採用した政策で問題と答えのミスマッチを象徴する話が出ていた。2020年に小学校の英語が教科化(つまり、成績が付く科目となった)されてから6年、中学校の英語教育現場に起きた変化について書かれた記事だ。

小学校で英語が教科化されたため、中学校に入った時点ですでに、塾などに通ったり、親の教育のおかげで、英語がすごくできる子供と、英語が苦手な子と嫌いな子に分かれてしまっている。そして、小学校で600語から700語の英単語を学んだことになっているので、中学英語がより難しくなり、それでさらに英語が嫌い、苦手な子が増えているという。

その記事によれば、中学1年生を対象とした簡単な英語の三択問題(正解を3つから一つ選ぶ問題)で、「私はオーストラリア出身ではありません」の正解(I‘m not from Australia.)を4割近くの生徒が正しく正解できなかったという結果が出ている。これは衝撃的結果だ。文科省の官僚の方々が驚いたかどうかは知らないが、小学3年生から英語を学んだはずの子供たちが、I‘m not from Australia.を正解できないとは!

衝撃的な結果ではあるけど、一方でこういう状況になることは当時から英語の専門家の多くが指摘し、小学校の英語の教科化に反対していた。小学生に英語を学ばせるよりも、母国語である国語にもっと時間をかけるほうが、はるかに将来の役に立つはず。

国語の能力不足は、日本で生きるには不利になるが、ほとんどの国民にとって英会話ができないことはまったく問題ではない!(必要なら、今はAIが見事な通訳をやってくれる)。だから、小学校からの英語教育はまったく答えにはならないのだ。本当に英語が好きな人、英語が必要な人(仕事上、どうしても英語が必要な人)は自分で仕方なく勉強するだろうし、今はネット上に無料の教材があふれている。問題じゃないのに、勝手に政府が「日本人が英会話ができないこと」を問題化して、愚策を教育現場に押し付け、英語嫌いの子供を増やしただけの結果となった。もちろん、子供向け英会話産業、塾産業には利益と恩恵があったことは間違いない。

今、政府の政策の「問題と答えのミスマッチ」の話について書いたが、これは個人の人生にも当てはまることだ。多くの人は問題を間違えている。つまり、本当は問題ではないことを問題にしている。あるいは、本当の問題はもっと奥深くにあるのに、それに気づかない(ふりをしている)。だから、その答えもミスマッチなことが多い。

経験から言えば、本当の問題に対する本当の答えは安上がりでシンプルなことが多く、間違った問題に対する答えは大変な労力を必要とすることが多い(が、政府の政策と同じように、ほとんど効果がないという結果になる)

最後に、最近身近で起きた問題が簡単に解決された話を書いてみよう。

母の家で、13年前に買った大型冷蔵庫の扉がうまく閉まらなくなった。業者の人を呼んで見てもらったら、「部品が壊れているので、取り換えが必要だが、10年以上前の冷蔵庫なのでたぶんもうメーカーに部品はないかもしれない」と言われ、買い替えを勧められた。今は冷蔵庫も値上がりし、かなり高額になっている。しかも今年はガス・水道関係の修理・家の補修にすでに多額のお金を使っている。「ここで冷蔵庫の買い替えは痛いよね」という話になり、冷蔵庫は普通に冷えるし、不便だけど扉も閉まることは閉まるので、なんとかならないかと思い、ネットで調べてみた。

すると、今は純正の部品がネットで販売されていることがわかり、さらにYoutubeで同じ型の冷蔵庫の扉を修理している動画を見つけた。「なーんだこんなに簡単!」と早速、部品(約1500円)を取り寄せ、修理は10分で完了。買い替えは答えではなかった!

今の時代、問題の多くはネットにシンプルで安上がりな答えが出ている。多くの人が自分自身の経験から、役に立つ情報を善意で投稿しているので参考になる。問題で悩む前に「検索」、「ネット」、という時代なのである。



[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

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料理とアートの日2026年06月16日 09時39分18秒

[イベント]

イベントの詳細・予約は下記へ


◎オンライン「私とは本当は何かを見る実験の会」

2026年7月12日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年7月30日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

◎オンライン「非二元の探究──人生の問題にどう対処するか」

2026年7月16日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年7月26日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


[ お知らせ]
『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売

人生で初めて料理講習会に参加した。地元ガス会社が募集した無料講習会の抽選に当たったからだ。

当日、抽選に当たった人たちが大手クッキング・スタジオに集まり、高級ガスキッチンシステムを使って、1時間半にスイーツを入れて4品を作る。「作る」と言っても、実際は講師の先生が参加者に指示を出して、参加者は混ぜたり、切ったり。いためたりするだけで、面倒なことは何もない。合間に洗い物もするので、忙しい感じではあるが、高級ガス器具のおかげか、早く仕上がる。

その大手クッキング・スタジオでは、同時に別の料理教室もいくつか開催されていて、男性のグループもいた。今、料理教室って、人気なんだろうか。

参加者は出来上がった料理を雑談しながら食べる。こういう場所での会話はもちろん、料理と料理器具の話がメインだ。参加者の一人が言う。「自分のところは昔にこういったガスシステムを入れたけど、たいして使っていないのよね」と、高級調理器具を買っても、高機能すぎて使わなくなる、という「よくある話」にみんなが笑う。

また別の参加者はその日のメニューの一つ「天津飯」を食べながら、「今日の夕食もこれにするわ」と言う。「これおいしいし、献立考えるのも面倒だから」と。家族のために毎日頑張って食事を作っている人なのだろう。私も数日後に、家族のためにこの日作った「天津飯」を作ってみた。

そんな会話と料理を楽しんだあと、この日のもう一つの訪問先へと急いだ。そのクッキング・スタジオの場所から、バスで15分くらいのところにある篠田桃紅作品館だ。この作品館は、松木志遊宇(まつきしゅう)さんという方が自宅を改装して作った美術館で、彼女が個人的に長年かけて集めた篠田桃紅さん(注)の作品が展示されている。

当日は、松木さんご本人が絵の解説を丁寧にしてくださってありがたかったけど、でも説明のほとんどが右から左へ抜ける。松木さんは一枚の絵の前に立ち、部屋の照明を微妙に変えて、そうすることでどれだけ篠田桃紅さんの絵が違った印象を与えるかを説明。私の鑑賞能力の限界のせいで、彼女の感動があまり伝わらないのが残念……。でも絵の鑑賞は人それぞれだし、そこに芸術の自由があるのだと思う。こういう線と図と漢字の組み合わせの抽象アートは私好みだ。

最後に彼女(←松木さんは茶道と書道の先生でもある)がたててくれた抹茶をいただきながら、松木さんと篠田桃紅さんの出会い、篠田桃紅さんと篠田桃紅さんの作品が彼女に与えてきた影響などの話を伺った。

15歳のとき、松木さんは篠田桃紅さんの作品に最初に出会い、その作品に衝撃を受ける。そして、働くようになってからは、お金を貯めては、篠田桃紅さんの作品を買い続けたという。初めて篠田桃紅さんご本人に会ったのは、松木さんが42歳、篠田桃紅さんが72歳のときで、それから篠田桃紅さんが亡くなるまで二人の交流は続いた。松木さんは篠田桃紅さんを人生の師として仰ぎ、その出会いは「邂逅」だったと話す。「邂逅」とは「思いがけない出会い」という意味で、私なら「運命の出会い」と呼ぶ。

何かとの「邂逅」、「運命の出会い」、それは苦痛の多い人生を温め、照らしてくれる光のようなものだ。

篠田桃紅さんの作品を見て、私も何か漢字アートを描いてみたい気分にはなったが、最近は漢字がどんどん書けなくなっているのが問題(悲)。まずは漢字の書き取り練習から……


(注)篠田桃紅(1913~2021)
5歳のときから父親の手ほどきで書道を始める。戦後まもなく墨を使った抽象表現の分野を切り開き、世界的評価を得る。2021年、107歳で亡くなる


参考図書
『私の体がなくなっても私の作品は生き続ける』篠田桃紅(講談社)

参考サイト


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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健康の常識と非常識2026年06月07日 09時10分50秒

 [お知らせ]

『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売


時代劇系のチャンネルは視聴者に高齢者が多いせいか、番組と番組の間の広告のほとんどが高齢者向け健康食品やサプリ、保険だ――各種保険、認知症、便秘、難聴、膝関節の痛み、目の問題、頻尿など。「こんなの買っていたら、年金いくらあっても足りないよね」と姉妹と笑い合う。「夜中に何度も目が覚める人、それキケンです!」と怖い声で脅されて、「それ、私のことじゃん!」とさらに苦笑い。

「90歳の○○さん、このお茶を長年飲んでいるおかげで、今でもこんなにお元気です」という同じ広告が5年も前から続いている。「この人、今は施設にいるかもだよね。でもうちのお母さん、90歳のときは、サプリとか健康食品とか取らなくても、全然元気だったから、やっぱり大事なのは食事かな。でも、毎日の食事や献立作りが、ああ、もうめんどう!」とさらに愚痴や会話が続く。

今は百歳の母に毎日何を食べさせるかが大問題。体調、精神状態、好みの変化、歯の問題などもあって、以前食べていたものが食べられなくなることがよく起こる。たとえば、昔はご飯が好きだったはずが、今はなぜかご飯よりパンが好きになっている。昔はあれだけ魚料理を作っていた人が、今は魚をほとんど食べなくなっている。昔はトマトが嫌いだったはずが、今は平気で食べているなど。最近は栄養を考えるよりも、本人が食べることができるもの、食べたいもの、食べやすいものを優先している。

私自身も時々、どういう理由か食べ物の好みが突然変わることがある。数年前のある日、突然、朝食になぜか納豆が食べられなくなった。何十年、手軽なので、朝食は納豆ご飯と決めていた。納豆そのものが食べられないわけではなく、昼食や夕食なら問題ない。そして、さらに朝食に白米もほとんど食べなくなった。ああ、白米、大好きなのに! 

食べていたものが食べられなくなる、食べていなかったものが食べたくなる、50代以後、こんなことがたまに起こる。そのときは、素直に体の言うことに従うことにしている。

今の時代、ネットに健康情報や食品情報があふれている。「○○が健康によい」という情報は、注意深く接することが必要だ。一般的にはよいかもしれないが、自分の体質には合わないということがよくある。反対に一般的にはよくなくても、自分の体質には合うかもしれない。卵、肉、牛乳、油、砂糖、塩、アルコールなどは特に賛否が分かれる。あと「味の素」なども、賛成派とアンチ派に分かれるようだ。

運動についても同じことが言える。「たくさん歩くことは健康にいい」と一般的には信じられているが、「たくさん歩いても健康に効果がない」という専門家の意見もある。さあ、正解はどこにあるのだろうか?

広く世界を見れば、知ったら驚くような食事スタイルを採用している人たちがいる。今、私がYoutubeに翻訳を公開しているU.G.クリシュナムルティは、「あなたが高齢になっても、ハンサムと健康を維持している秘訣は何ですか?」とあるとき尋ねられて、「大量の乳製品と塩分を取り、運動をしないこと」と答えている。よい子は絶対に真似してはいけない(笑)健康法で、いかにも珍獣の答えだ。

それから今、『酒を主食とする人々』高野秀行著(本の雑誌社)という、酒を主食とし、一日中、お酒を飲むアフリカのある民族についてのルポルタージュを読んでいる。その界隈の人たちは、子供から大人まで男女問わず、毎日数リットルのお酒(自宅で作るアルコール度数5~10パーセントのお酒)を飲むという。それでも彼らは健康の問題もなく暮らしている。

著者は後書きに書いている。お酒が禁じられている中東の人たちはお酒の代りに、スイーツや甘いお茶を一日に大量にとり、高血圧や糖尿病の人が非常に多い。本当はお酒そのものが健康に悪いというよりも、お酒と大量の肉、お酒と大量の塩分、お酒と大量の油の組み合わせが悪いのではないか?と。一理ある考えだ。

結局のところ、健康に関する最適解は、それぞれの体質、生活環境、年齢に合わせて、自分で作るしかないんだと思う。広告に脅されて、サプリを大量に飲むのはたぶん一番愚かしい。


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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『Doosri Maa(もう一人の母)』22026年05月28日 06時55分50秒

[ お知らせ]

『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売


まだ『Doosri Maa(もう一人の母)』のドラマを見続けている。私がこのドラマにはまっている理由は前回書いた。インドのホームドラマでありながら、このドラマの登場人物たちは世界のどこの国のどこの家庭にもいる人たちで、彼らがいだく感情も普遍的だ――不満、嫉妬、プライド、罪悪感、劣等感、正義感、憎悪、嫌悪、善意、愛情、特定の人へのアイドル化など(←非常におおげさに描かれてはいる)。そして、家庭の中の大きな問題は、実は長い年月の間の小さい不満、隠し事、人間関係の歪みが積み重なって、ある日突然のように炎上する様子もよく描かれている。

私の子供時代(←昭和時代)を思い出せば、このドラマの中の登場人物に似ている大人たちが私が住んでいた環境(家族、親族、近所)にもいた(←ただし資産家ではなく、非常に庶民的環境)。そして、彼らはそれぞれの人生で、よいことにしろ、悪いことにしろ、自分の感情的カルマ(ドラマ)を生きたようだ。

このドラマの中で100%悪意の登場人物、ヤショーダとクリシュナの天敵を演じるのは、この資産家の長女で、彼女は本当に見るからに意地悪で性格が悪い。しかし、私は彼女に同情する気持ちも湧く。インドの男尊女卑の文化(←昭和時代の日本の家庭も似ていた)では、女の子は家庭の中で男の子よりも地位が低い。彼女が二人の弟よりも家庭で軽く扱われてきたことが想像でき、年頃になっても恋愛は禁止され、持参金をつけてさっさと嫁に出されてしまう。ところが好きでもなく結婚させられた男は、現在は稼ぎがなくほとんどチンピラヤクザである(←そこが彼女とピッタリではあるが)。近所に住む彼女は毎日のように実家に入りびたり、食べ物をくすねたり、父親に小遣いをねだったりする。

母親はそんな長女を疎ましく思い、元々相性が悪いので長女への嫌悪感を隠さない。彼女は実の娘よりも嫁であるヤショーダのほうが大好きで称賛している。この母親も良妻賢母を絵に描いたような人であるのに、ヤショーダに似て怒り出すと長女を平気で平手打ち(!)する。

長女の気持ちにたてば、実家は裕福なのに、自分たち家族は貧しい。母親は長女である自分よりも嫁を愛し称賛し、自分のことは平気で虐待(平手打ち)する。自分たちの結婚生活には愛情がないのに、ヤショーダと夫(彼女の弟)はラブラブである。といった状況は彼女には見るに耐えがたく、その思いがヤショーダへの激しい嫉妬と悪意へと転化し、どんどん膨らんでいく。この資産家の長男である弟に隠し子がいることがばれ、弟が失踪した機会に、彼女はチンピラの夫と外の犯罪者も使って、ヤショーダの人生を破滅させ、ゆくゆくは両親ともう一人の弟夫婦も追い出して、この家の財産を全部奪うことを決意する。彼女にしてみれば、自分の存在を無視してきた実家への復讐のような感じだ。

彼女は両親を騙して、実家に家族で居候することに成功し、さらにヤショーダと子供たちを家から追い出すことにも成功。そして今、彼女はもう一人の弟夫婦にも悪意を感染させ、弟を使って、両親の財産を自分たちの息子に継がせることを画策する。この資産家の次男は人がよいのに、理性的判断がまったくできない。彼は優秀な兄を尊敬し愛し、そして兄の結婚相手、自分の兄嫁であるヤショーダを自分の妻よりも称賛していた。ところが自分の妻の流産がヤショーダのせいだと思い込んだ(←実際は姉のせいで流産は起こった)日から、彼の感情は100%反転し、姉夫婦に協力してヤショーダとクリシュナの人生の破滅を誓う。が、彼はただ騙されやすさを姉に利用されているだけだということがまったくわかっていない。勝手に兄夫婦をアイドル化し、そのアイドルが失墜して、勝手に傷つくというよくあるパターンを演じている。

そして、この資産家の長老、3人の父親でもある男性は男尊女卑で非常に保守的で日本で言えば、昭和の頑固オヤジのような人だ。自分が頑張って築いた財産と優秀な長男とよくできたその嫁(ヤショーダ)が自慢で、地域の尊敬を集める名家であることをなによりも誇りに思っていた。ところが、自慢の長男には隠し子がいて、何の説明もなく彼が失踪してから、面目丸つぶれで、近所を歩けばバカにされるようになる。本来であれば、一番悪いのは勝手に失踪した長男であるのに、自分の怒りを、長男ではなく、隠し子のクリシュナと正義感から彼をこの家で育てると言い張るヤショーダに激しく向ける。特にクリシュナを見るのが耐え難く、彼を召使い扱いし、たびたび殴りつけ、自分の憂さを晴らす。ついには、その怒りといら立ちを悪意100%の長女につけこまれ、ヤショーダとクリシュナを家から追い出してしまう。

そして、その心の弱さにどんどん長女の悪意が感染して、長男夫婦への怒りからついにはこの家の財産を全部次男に譲渡することを衝動的に決めてしまう。すると、今までは両親に頭の上がらなかった次男が今度は威張り始め、両親に「この家を出て行け!」と言うほど傲慢になるのだ。

この事態になって、長老はようやく自分の判断が色々間違っていたことに気づき、根は非常に家族思いでやさしい人なので、ヤショーダにふりかかる貧困や苦難を伝え聞くたびに、今度はひどい罪悪感に苦しむようになる。

そして、このドラマの中での一番悪い奴は、隠し子がいることがばれて失踪し、ある僧院に逃げ込んだこの家の長男にして、ヤショーダの夫だ。ヤショーダがようやく彼の居所を突き止めて、家に戻るように説得しても、「自分のような罪深い人間は、家族と暮らす資格がないし、一緒に暮らせば家族に悪いことが起こるかもしれない。自分はいつも逃げていたけど、ここで自分の罪と一生向き合い、皆さんの幸せを祈ります」みたいな宗教的観念の中に逃げ込み、自分が家族のところへ戻らないことがみんなのためにもなると言い訳をする。まあ、このあたりの彼の罪悪感的観念はいかにもインド的だ。本当は彼は妻にも家族にも強い未練があるのに、完璧な夫、完璧な父親、完璧な息子、完璧な弁護士という自己イメージが崩壊して、その事実に直面することができない。自分が家族を捨てたせいで、妻と子供たちは貧乏を余儀なくされ、家族が崩壊しつつあるという事実から目をそむけ、自分だけの平和を求めている大バカ野郎だ! ヤショーダじゃなくても、叱りつけてやりたい気分になる。

このドラマの中で唯一まともで非二元的(笑)で現実的なのはクリシュナで、彼は周囲の大人たちの罵倒、憎しみを受け入れ、困難にめげず、ただ今ここでヤショーダのために何ができるか常に考える。ヤショーダじゃなくても、こんな息子がいたらどれだけ頼りになるかと思わせる子供だ。ただ、彼にしても、自分と母(病死)を捨て、ヤショーダからも逃げた自分の父親であるヤショーダの夫だけは赦しがたく憎んでいる。

こんなふうに登場人物の感情の動きを書き出していると、「まあ、何と人の感情とは忙しく、騒がしいものか!」と驚いてしまう。誰も冷静に現実全体を見ずに、激しい感情にもとづいて行動するので、問題が次から次へと起き続け、ドラマが延々と続くというわけだ。

今回、インドのホームドラマを初めて見たけど、人物の撮影方法などは日本のドラマの作り方とは違う感じだし、宗教が人々の日常生活に完全に浸透し、彼らの観念を束縛している様子も興味深かった。ちょっと見疲れたので、このドラマはここでしばらくお休みして、これからしばらくはトルコ動画に戻って、イスタンブールやイズミルの風景を楽しもうと思っている。


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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『Doosri Maa(もう一人の母)』2026年05月06日 09時20分12秒

[イベント]
イベントの詳細・予約は下記へ


◎2026年5月16(土)出張シンプル道コンサルティング(東京)

◎リアルの会「私とは本当に何かを見る実験の会」(東京都新宿区)

2026年5月17日(日曜日)午後1時20分より午後4時半頃まで

◎オンライン「非二元の探究──創造原理としての神」

2026年5月10日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


[ お知らせ]
『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売

最近、海外の連続ホームドラマにはまっている。今、主に見ているのはトルコとインドのいわゆるホームドラマである。なぜこの二つの国のものかというと、トルコとインドは私が今までに訪れた国の中でも今でもその文化や風景がとてもなつかしいからだ。だからドラマを見ながら、その背景の風景や文化も楽しんでいる。

しかし、風景を楽しむなんてことは視聴者である私の特権で、ホームドラマの登場人物たちは一度だって自分が住む町の風景や食べている食事や飲み物を楽しんだことがないくらい、日々問題に追われ、人間関係に苦しみ、敵と戦い、生き延びるのに必死だ。登場人物たちが携帯電話を握りしめているところだけは世界共通の風景である。

今、見ているインドのドラマはヒンズー語の原題『Doosri Maa(もう一人の母)』というタイトルのドラマで、全部で315話のうち、今、約100話を見終わったところである。

ドラマは、インドのある町で超有名な資産家の名家を舞台に、100%善意のヒロインとヒーローが、100%悪意の人たちがしかけた罠にはまって苦難にたびたび陥り、でもそのたびにヒロインとヒーローが力を合わせてその苦難を乗り越え、最後にやっと善意が勝利して(最終回315回を見ると、そうなっている)、「いろいろとあったけど、まあよかったね」となるよくあるドタバタ悲劇で、ドラマ的には特別面白いわけでもない。

しかし、私的に興味深いところは、善意の人が一生懸命周囲の人たちのことを想い、尽くしているにもかかわらずまったく報われず、そして、「善を為さなければいけない」という自分の強い信念、「正しいことが為されなければならない」という正義感、「私は善い人間である」という自己イメージが、かえって悪意の人たちを刺激し、ますます多くの悪意を自分に引き寄せてしまう結果になるところだ。そしてみな敬虔なヒンドゥー教徒で、毎日「どうか神様、悪いことが起きませんようによろしくお願いします」と祈ったり、宗教的行事を欠かさないのに、それが全然効果がなく(笑)、次から次へと悪い出来事が起こり続ける。私は少々意地悪な見方をするので、善意のヒーロー・ヒロインを応援するより、「その善意、それ違うって!」という感想のほうが多く湧く。そして、激しい嫉妬とプライドという人間特有の感情(ドラマなので、おおげさに描かれてはいる)が、どれほどの不幸と苦しみを生み出すのかもよくわかるドラマだ。

このドラマのヒロインは名前をヤショーダといい、「善き母」「善き妻」「善き嫁」を絵に描いたような女性で、誰からも称賛され愛されていた。資産家一族はヤショーダの献身的働きのおかげで笑いと喜びあふれる幸福な生活をおくっていたが、あるとき彼女の夫が結婚前に作った隠し子の男の子(10~12歳くらい。名前はクリシュナ)と彼女が偶然に出会った日から、彼女の人生と一族の運命が激変し始める(←有名敏腕弁護士であるヤショーダの夫は、クリシュナが自分の隠し子であることが妻にばれた日に勝手に家出し、そのまま出家する←このドラマの中の一番悪い奴!)。

このドラマがさらに私の心に刺さるのは、このヤショーダが、やはり典型的日本の「善き母」「善き妻」「善き嫁」だった私の母に性格や価値観、そしてその善意が報われなかったところが非常に似ているからだ。彼女の言動を見ていると、昔の母の姿を思い出す。

先日見たちょうど100話目あたりのエピソードでは、悪意が仕掛けた罠にヤショーダが落ちて、やってもいないことで濡れ衣を着せられ、家族の激怒をかい、ついには子供たちと一緒に家を追い出されて、貧乏生活を余儀なくされるという話だ。小学生の二人の娘のうち長女は母を大好きではあるのだが、貧乏生活に耐えられず、また母が自分たちよりクリシュナを愛していると思い込んでいる(=嫉妬)ので、ヤショーダに「私が欲しいものを買ってくれないお母さんなんていらない。おじいちゃんの家に帰りたい」と母を責めたてる。その言葉を聞いて、子供たちが一番の生きがいで、「子供たちも自分と一緒にいたいはずだ。自分と一緒にいるのが幸福なはずだ」と思い込でいるヤショーダは母としてのプライドをズタズタにされ、完全に打ちのめされる。

そして、家出し、祖父の家に戻った長女の愛情をそれでも取り戻そうと、彼女があれこれするのを見て、私は、「いやいや、ヤショーダ、長女のことは放っておきなさいって。貧乏な母親と一緒にいるより、金持ちの祖父と暮らすほうを長女は今は望んでいるのだから」と、ついどうでもいい説教をつぶやいてしまう。幼い子供にとっても、母親の善意の押し付けはうっとうしい。

ヤショーダは自分の善意、善き人であるという自己イメージにあまりに執着するので、周囲がまったく見えず、他人の本当の考えや感情を理解せず、自分が本当はどれほど嫉妬されてきたのか、自分にどれほどの悪意が仕掛けられているのか理解できない。だから、彼女は神に向かって嘆くのだ。「神様、私は何も悪いことをしてないのに、どうして私にこんなひどいことばかり起こるのですか?」と。

しかし、つい最近見たエピソードでは、彼女の評判と名声がどん底まで落ちて、ようやく彼女は自分にどれだけの悪意が仕掛けられているのかを理解し、その悪意に対して徹底的に戦うことを宣言する。「私にはもう失うものは何もない。私は子供たちの権利を守るために絶対に負けない。私は新しい人間になるのだ」。

実際、美しく愛情に満ちた笑顔の裏側に彼女はものすごいパワーを秘めている人、というよりもこの名家の人たちの中でも本当は一番暴力的(笑)だ。彼女は激しく怒り出すと、怒りをコントロールできず、最後には相手を平手打ち(!)する。数えていると、彼女は登場人物の中で誰よりも相手を平手打ちしている(←平手打ちの場面がなんとまあ多いドラマか!)。だから、善意100%の彼女の中にも「悪」はあるのだが、彼女はそれを自覚することなく、自分が正しいことを証明すべく、これから残りの約200話、クリシュナとともに善悪の戦い、ほとんど命を危険にさらす戦いのまっただなかに飛び込んでいく(ようだ)。

もう一人のヒーロー、ヤショーダの夫の隠し子、クリシュナはしだいにヤショーダを第二の母(これが原題の意味)と慕うようになり、本当の長男のごとくヤショーダを全力で支えることを誓う。彼もまた善意100%で正義感が強いところがヤショーダそっくりで、しかも頭がよく、力持ちで、生意気なほど弁がたつ。言わなくてもいいことまで忖度なく大人たちに言うので、ヤショーダ以外の大人たちに憎まれ、100回までのエピソードの中で、すでに5回くらい誘拐や監禁の目にあい、大人たちにたびたび殴られている。ドラマじゃなかったら、クリシュナはとっくに死んでいるはずだが、ドラマのヒーローなのでもちろん315回まで生き延び、ヤショーダとともに幸福のフィナーレを迎える。このドラマを私が見続けられるのはたぶん、クリシュナの生意気ぶりが楽しいからだ。


「ああ、ドラマの見すぎは目にも悪いし、中毒だなあ!」と思いつつ、連続ドラマははまるとやめられないのがツライというか、楽しいというか。


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

販売サイト



















「中国富裕層」という謎2026年04月24日 08時50分49秒

[イベント]
イベントの詳細・予約は下記へ


◎2026年5月16(土)5月18日(月)出張シンプル道コンサルティング(東京)

◎リアルの会「私とは本当に何かを見る実験の会」(東京都新宿区)

2026年5月17日(日曜日)午後1時20分より午後4時半頃まで

◎オンライン「私とは本当は何かを見る実験の会」

2026年5月7日(木曜日)午後2時から午後4時頃まで

◎オンライン「非二元の探究──創造原理としての神」

2026年4月26日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで
2026年5月10日(日曜日)午後2時から午後4時頃まで


[ お知らせ]
『静寂の雷鳴』(ジョエル・ゴールドスミス著) 電子書籍版発売



「中国富裕層」という言葉をネットの記事で時々見かける。そういった記事の内容はウソか本当かわからないが、たいていはネガティブな印象を与える感じのものだ。たとえば、中国富裕層が日本のタワーマンションを買い漁っているとか、○○の土地を買い漁っているとか、中国富裕層の子供が大量に日本の国立大学に入学しているとか。

「中国富裕層」という言葉を見かける頻度は、「日本富裕層」という言葉よりはるかに多い。というか、日本には富裕層がいないがごとき、「日本富裕層」という言葉をほとんど見ない。

私は「中国富裕層」という言葉を見るたびに、彼らが日本で何をしているかということよりも、どうして共産主義の国に大量に「富裕層」が存在するのかという素朴な疑問がわく。もしカール・マルクス(注)が考えた正しい共産主義の国であれば、富が国民全員に平等に行き渡り、富裕層なんて存在しない格差がない国であるはずだ。ところが、現実には共産主義を採用してきた国では、中国も含めて(ロシア、北朝鮮など)、資本主義の国よりもさらにもっと格差が大きく、人々がエリート層に搾取される社会となっている。理念として私有財産制の廃止を提唱すると、もっと富が偏在し、社会に格差が生まれる結果になるというのはとても興味深い話だと思う。共産主義の国に、「富裕層」が存在すること自体、マルクスの考えた共産主義の理念が失敗したという意味ではないか。

おそらくその「中国富裕層」の多くがビジネスで成功した人たちだろうし、だから中国製品があふれている日本は、明らかにその「中国富裕層」を多数生み出すことに多大な貢献をしてきたはずだ。もちろん、日本だけでなく、世界中の人たちが中国製品を買うことで「中国富裕層」は生み出されてきたのだ。

さて、先日私はある通販サイトを初めて利用した。自分が探しているピッタリのものがそこのサイトで見つかったからだ。でもなんだかすべての商品が安すぎて失礼ながら怪しい感じ(笑)。たぶんすべて中国製でその通販会社を運営している会社も中国の会社で、商品の在庫はどうも日本ではなく、中国にあるらしい。もしかしたら届かないかもと思いながら、仮にそうなっても損失は約2千円くらいなので、試してみることにした。ちゃんとしている通販会社であることを示すためか、商品が今どこにあるかをネットにすべてリアルタイムで公表している。倉庫から出ました→空港に到着→税関→日本の空港に到着→税関→○○配送会社にてご自宅にお届け中、みたいな。そして、注文してから6日で商品二点は無事到着した。こうして私もまた「中国富裕層」を生み出すことに貢献したわけだ。

日中関係が冷え込んでいるので、こうした中国製の雑貨や食品も品薄かと思えば、まだスーパーの店頭やネットには豊富にある。中国政府は、国策であるレアアースは日本に輸出禁で、富裕層たちのお楽しみである日本旅行は自粛させる一方で、安い雑貨・食品の日本への輸出は禁止していないようだ。万一そんなことをすれば、それこそ中国国内に大量の失業者が出て、大変なことになるからだろう。

国家関係も、普通の人間関係同様に、関係が親密になりすぎると、たいていは反対方向への運動が始まり、お互いに距離を取り始める。だから、日中関係は経済的にあまりに相互依存しているので、定期的に冷え込まざるをえないのだと思う。激しくケンカしながら、別れられない夫婦か恋人のようなものなのだ(←日本と中国の文化・経済交流は二千年以上の歴史がある)。

夫婦は長年の間にお互いによく似てくると言われるが、高市首相が理想とする国家像が、「国家の軍事力・経済力を強力にし、国民を監視・統制する国」という、マルクスの理念が失敗した共産主義のような感じで、現在の中国に似ていることが可笑しい。高市首相と習近平中国国家主席は同類が激しく嫌い合っているということか……


AI秘書により共産主義のまとめ

(注)カール・マルクス(1818年~1883年):ドイツの経済学者・革命家。

マルクスが考えた共産主義とは:

* 生産手段(工場・土地・機械など)を私的所有しないこと
*それらを社会全体で共有すること
*搾取(資本家が労働者の労働から利潤を得る構造)を廃止すること

その結果下記のようになるはずだと、マルクスは考えた。

国家:国家は不要になり、消滅する(国家の死滅)
所有:生産手段は共同所有、私有財産(資本)は廃止
階級:資本家階級と労働者階級が消滅
分配「各人はその能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」
労働:強制ではなく、自己実現としての労働
市場:利潤を目的とする市場は消滅

しかし現実には、
共産主義の国は「国家が強化され、党が統治し、党のエリート層が支配階層になり、監視・統制が強化される国」となり、より一層の格差と搾取が横行する。


過去のブログ

「中国の時代 」2008年04月23日 
https://simple-dou.asablo.jp/blog/2008/04/23/3271192

「「結婚」40年目の日中夫婦関係 」2012年09月25日 

https://simple-dou.asablo.jp/blog/2012/09/25/6583992


[昨年出版された本]

*『頭がないということ――禅と明白なことの再発見』発売

(ダグラス・ハーディング著  ナチュラルスピリット発行)

定価:1,870円(税込み)ページ数:163ページ




*『自己覚醒へのマスター・キー』

ニサルガダッタ・マハラジの師の本、初邦訳!

価格:本体1800円+税
ページ数:176ページ


[電子書籍版発行]

*『頭がない男』電子書籍版

価格:1,980円(税込み)

知られざる天才哲学者、ダグラス・ハーディングの生涯と哲学をイラストと文章で描いたグラフィック伝記。


*『猿笑非二元講座』

Youtube で公開している『猿笑(さるわらい)非二元講座』の電子書籍版。



[2023年に出版された本]


*ジョエル・ゴールドスミス著『静寂の雷鳴』

本体価格:2,380円+税
本文ページ数:333ページ
発行:ナチュラルスピリット



[その他の本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


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