恐怖ビジネス22022年09月11日 09時06分18秒

[イベント]
オンライン「私とは本当に何かを見る実験の会」
2022年9月25日(日曜日)午前9時から午前11時

オンライン「非二元の探究―ニサルガダッタ・マハラジの教え」

2022年9月29日(木曜日)午後2時から午後4時

2022年10月9日(日曜日)午前9時から午前11時



「恐怖心を甘く見るべきではない」と、私はいつも自分に言い聞かせる。人間が強い恐怖心に掴まれ、理性を一瞬でも失うとき、私たちは簡単に「恐怖ビジネス」の餌食となる。

よくある「恐怖ビジネス」は、高齢者を狙う「振り込め詐欺」とか「集金詐欺」である。こういう詐欺に引っかかった高齢者の話がニュースで流れるたびに、「これだけ警告されているのに、どうしてこんな詐欺にひっかかるのだろうか?」とか、「どうしてお金を払う前に、確認しないのだろうか?」と思う視聴者は多いだろうと思う。

しかし、自分が一番執着(心配)している物や人、たとえば、子供(たいていの場合は息子)に何かが起こったと聞かされたとたん、理性がふっとぶ高齢者はたくさんいる。「今すぐにお金を払わなければ、息子の人生がダメになる」という強い恐怖心を詐欺師に掴まれ、簡単に相手の言うことを聞く心理状態になるのである。たぶん、「子供(息子)」という言葉で、詐欺られる高齢者は、普段から心配症で、「自分はよい親である」という自己イメージが非常に強い人たちであろうと想像できる。

それから、私たちは一般に権威というものにも非常に弱い。世の中で権威ある仕事だとされている職業名――警察、弁護士、市役所、銀行、政治家など――を出されたとたんに、その人たちの言う言葉は「権威のある正しいもの」、「信じてもOK」なものとなる、というより、「信じないと、大変なことになる」という恐怖心を掴まれる。

人がどれほど権威ある職業名に弱いものか、自分でも経験したことがある。昔、「警察だ。すぐにドアを開けなさい」と、自宅マンションに警察が突然やって来たことがあった。私が、「どういうご用件ですか?」とインターフォンを通じて尋ねると、高圧的で傲慢な態度で、名前も用件も言わず、「聞きたいことがあるから、すぐにドアを開けなさい!」ときた。よーく考えれば、偽警官ということだってあるし、用件と名前を聞くまでは、本当はドアを開ける必要はなかったのだが、「警察」という言葉と相手の高圧的態度に自分の恐怖心を掴まれてしまい、簡単にドアを開けてしまった。その警察官は別に私に用ではなく、マンションのどこかの部屋で警察沙汰の事件があったとかで、その聞き込み調査だったのだ(たぶん、今の時代であれば、警察官の対応はもっとソフトにはなっているのだろうけど)。突然、「警察だ」と言われたら、人は判断力を失い、恐怖心に囚われるということを身をもって知った日であった。

そして、「恐怖ビジネス」の最大のものの一つが、安倍元首相暗殺事件以来、再び明るみにされた宗教教団のなりふりかまわない集金である。マスコミのニュースを見て、多くの人はたぶんこう思うはずである。「どうしてこんな宗教教団に多額の金を出すのだろうか?」そう思える人たちは、たぶん人生でどん底の不幸をほとんど経験したことがない人たちかもしれない。

人生でどん底の不幸のときは、理性が正常に働ないことが多く、そのとき宗教教団の人がやさしく(やさしいふりをして)寄って来て、「あなたの(家族)の不幸は〇〇が原因で、私たちが一緒に解決して差し上げますよ」みたいに言われたら、藁をもすがる気持ちで、宗教教団に入信してしまう人たちも多いだろう。いったん入信してしまったら、お決まりの恐怖テクニックで――「脱会したらもっと不幸になる」とか、「教団のために寄付すれば、あなたの霊障や先祖の祟りや罪が消える」などという言葉に騙されて、「今より不幸になりたくない」という恐怖心を掴まれて、お金を搾り取られることが多い。「先祖の祟りや罪」とか「霊障」などというわけのわからないことを言うところは、特に要注意である。人はわけのわからないものを持ち出されると、特に強い恐怖心に駆られるものだ。

現代の日本のようにまともに働いてお金を稼ぐことが難しくなっている時代では、あらゆる種類の詐欺師が跋扈し、判断力のない人(簡単に理性がふっとぶ人)、知識のない人、不幸な人を狙って詐欺をしかけてくる(私のところにもたびたび大手通販会社の名前を語った偽メールが来る――「あなたのアカウントがもうすぐ使えなくなります」みたいな)。「自分は詐欺などに引っかからないから大丈夫」などという自信のほうがむしろ危険で、自分の中にある恐怖心をよく見て、自分の恐怖心のレベルをチェックし、他人の言葉を鵜呑みに信じないことを皆様にはお勧めしたい(聖人でもないかぎり、私たちはどれだけ修行(努力)をしても、恐怖心をゼロにはできない)。

さて、判断力のない人たちと言えば、多くの国会議員(と地方議員)の皆さんである。自分たちがその宗教団体の広告塔をつとめ、その団体にお墨付きを与え、その宗教団体が信者から金を吸い上げる手伝いをしたことに、何の自覚も危機感も罪悪感もないことに驚くし、「何が問題なのかわからない」と言う自民党の議員さんまでいた。「おいおい、自分の身辺のリスク管理もできない国会議員が、世界情勢を判断して、日本の安全を守れるのか?」という疑問というかそれこそ危機感がわく。

政治家として付き合っていい団体とそうでない団体、お金を受け取ってもいいときと受け取ってはまずいときを見極める(時代劇「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵がよく言うところの)「勘働き」(直観)が悪すぎないか……いやいや、「勘働き」などという高級なものがなくても、秘書さんに調査させればいいだけのことだ。

たぶん想像するに、多くの国会議員(と地方議員)の皆さんが、最大に関心と危機感をもつことは、「自分が次の選挙で勝てるかどうか」、「永田動物園で出世できるかどうか」ということのようで、そういうことに関して恐怖心を強くもっているかぎり、「集票力」という麻薬をもった宗教団体(別の宗教団体がこの機に乗じて、議員さんたちに近づいてくるかもしれない)との関係はそう簡単には断ち切れないだろう。

恐怖ビジネスで成長してきた宗教団体と「恐怖感」に主導されている政治家の皆さんは、ある意味ではとてもピッタリな関係のように思え、強く引き合ってしまうのも無理はないかもしれないと、あきれながら納得もしている――私の印象では、安倍元首相はとても「憶病な人=恐怖心が強い」人だった感じで、だからこそその宗教団体と特に強く引き合ってしまったのかも……


過去の関連ブログ

*2017年5月26日「恐怖ビジネス」

*「霊と金」2010年4月15日

*「心の中のカルト(1)」2021年3月7日

*「心の中のカルト(2)」2022年3月24日

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『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』は、過去10年ほどの間、私が主催している会で、ダグラス・ハーディングの実験、ラメッシ・バルセカール&ニサルガダッタ・マハラジについて話していることをまとめたものです

会にすでに参加されたことがある方には、重複する話がほとんどですが、会で配った資料を体系的に読むことができ、また必要な情報をネット上で即アクセスできる利点があります。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約124,000字――普通の新書版の1冊くらいの分量です)

『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』は、肉体・マインドとは、どういう性質のものなのか、それらとどう付き合ったら快適なのか、それらを理解したうえで、どう人生を生き抜いていくのか、主にスピリチュアルな探求をしている人たち向けに、私の経験を多少織り交ぜて書いています。肉体・マインドは非常に個人差のある道具なので、私の経験の多くは他の人たちにはたぶん役には立たないだろうとは思うのですが、それでも一つか二つでも何かお役に立てることがあればいいかなという希望を込めて書きました。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約96,500字)