少子化対策大作戦2008年04月14日 21時46分02秒

結婚しているカップルで、夫が家事育児を積極的に手伝う場合は、妻が二番目の子供を生む確率が高い――最近そんな統計をインターネットで読んだ。現代では、家事育児を積極的に手伝う夫は、そうでない夫よりも子供をたくさんもてるということが、統計的に証明されたようである。

それに関連して、家事育児を手伝わない夫たちへの不満を、妻たちがタラタラと述べているサイトも読んでみた。みんな怒りまくっている。いわく、

「結婚する前は、家事を手伝うといったのに、実際は言っても何もしない」とか、
「子供が生まれてから、まったく夫は家事育児を手伝わず、自分だけ一人で遊びに出かけている」とか、
「不満を言うと、誰のおかげで、お前は飯を食っているんだと言われた」とか、まあまあ、様々な不満がぶちまけられている。

そして、多くの人が、その最後に書いている。

「今、離婚を考えています」
「子供が、手がかからなくなったら、離婚します」
「これから、お金を貯めて、離婚の準備をします」

自分が、家事育児を手伝わないくらいで、離婚はないだろうと、そうたかをくくっている世の男性方、その考えは、甘い! 今日日、女たちは、夫が家事育児を手伝わないくらいで、簡単に離婚したくなるのです――しかも、年代を問わず――夫が家事を手伝わないという理由で、50代、60代でも妻から離婚を申し立てる夫婦さえいる。

こういう女たちの怒りはもっともなものの、しかし、男が家事育児をしたがらないのには、生物学的根拠があるのだ。つまり、オスという種の長い進化の歴史の中で、オスの仕事は「種を蒔くこと」だけ、という種が多いのである。オスは、子育てはおろか、餌だって運んでこない動物もたくさんいる。そのため、オス(男)の脳の中には、自分の仕事は、「種蒔きだけ」という観念が根強く残っているようなのである。

あるとき、私はチーターのメスの子育てをビデオで見たことがある。チーターのオスも「種を蒔くだけ」の動物の一つで、子育てはすべてメスがやる。数年間、メスと子供たちという母子家庭で、母親は、狩りをして子供たちに餌をやり、子供を外敵から守り、そして子供に狩りを教えと、24時間孤軍大奮闘。それなのに、ある日突然、子供たちはもう一人前と判断すると、唐突に子供たちと別れるのだ。子供たちのほうは去っていく母親を見送るだけで、決してあとを追いかけようとはしないし、母親も振り返りもしない。そのあまりの未練のなさに、私は感動してしまったのである。

では、人類はといえば、少なくとも餌だけはオス(男=父親=夫)に運んでこさせようということで、数百万年前に、いわゆる結婚制度みたいなものが始まり、男は外で狩り(仕事)、女は家で家事育児という男女の役割分担が確立した。

ところが、その数百万年間続いてきたパターンが、過去数十年間、先進諸国では、女たちが外で働くようになり、お金を稼ぐようになってから、急激に変わってしまったのである。女たちは家事育児以外にも、人生の楽しさを知るようになり、家事育児に費やすエネルギー・時間をできるだけ減らしたいと思うようになっている。

女(というより、正確にいえば、女の脳)は、数百万年も続いてきたライフスタイルを、わずか数十年で簡単に変えることができたのに、男(男の脳)はといえば、それが簡単にできないのである。単純に言ってしまえば、女の脳は器用で、男の脳は不器用なのだ。女の脳はマルチで、家事も育児もできれば、外で仕事もできるし、やろうと思えば、たいていのことを簡単に学び、平均的にこなせてしまう。

一方、男の脳は、一点集中型で、たいていは仕事と趣味とスポーツくらいにしか関心がもてない。家事育児は、多様で煩雑で細かいことの連続で、普通の男の脳にはおそろしく難しい。そして男の脳は、自分が関心のないこと、不得意なことをしようとしたり、させられたりすると、ものすごくストレスがたまって、イライラし、切れやすくなる。

ほとんどの夫たちの本音をいえば、仕事から帰ったら、風呂に入ったあと、好物を食べながら、静かにビールを飲み、何も考えずにプロ野球やサッカーでも見ていたい――妻のうるさい愚痴も、子供の泣き声も一切聞きたくない。妻の話を聞きたくないのは、妻の言っていることに関心がなく、理解もできないからなのである。

というわけで、話を聞こうとしない夫たちに対する妻たちの愚痴が、前述のように炸裂するわけなのだ。「できるだけ家事育児の負担を減らし、それ以外の色々なことをして人生を楽しみたい」現代の多くの女たちが共通していだくこういった願望を、男たちはほとんど理解していないし、ここ数十年で、女たちが急激に変わってしまった時代状況になかなかついていけない――昔のような、「おーい、風呂、飯、ビール」の時代は、すでに終わったのである。

そんなこんなの状況の中で、もし、自分の子孫がたくさんほしいと――男がもし本当にそう思うなら、考えられる作戦は以下のとおりである。

1.家事育児援助作戦――家事育児のやり方を熱心に学び、まめに妻を手伝う。

2.金持ち作戦――お金をバリバリ稼いで、家にお手伝いさんを雇えるくらい大金持ちになる。大金持ちにならないまでも、各種家事代行サービスをバンバン利用できるくらい稼ぐ夫となる。

3.誉め倒し作戦――家事も育児も手伝いたくないし、お金もたくさん稼げないという夫は、妻を誉め、感謝の言葉を濫用する。妻がどんな食事を作ろうと、「ありがとう、おいしいね」を忘れず、自分の優先順位が子供たちよりも下でも、おかずの量が子供たちよりも少なくても、決して文句を言わない。妻の容姿、化粧、服装をどんなときにも誉める。すると、妻は何となく気分がよくなり、夫に対する不満や愚痴をつい忘れてしまい、家事や育児は自分の仕事だと思いこみ、夫に手伝わせるのをあきらめる。(自分の趣味に忙しく、育児も家事もほとんどしないにもかかわらず、この作戦を実行して、平均以上に子供をもてた男性を私は何人か知っている)

4.邪道作戦――あちこちの他の男たちに、こっそりと自分の子供たちを育てさせる(これがどういう意味か、おわかりですね?)

男性の皆様、少子化対策のために、がんばって!


参考図書
「話を聞かない男 地図が読めない女」アランピーズ/バーバラ・ピーズ著 「主婦の友社」発行

男と女の脳の違いを、一般向けにわかりやすく書いた本。

コメント

_ 中 ― 2008年04月16日 03時22分36秒

えーと、本当の男は基本、結婚なんかしたくないし、野球なんか見ませんよ。程度問題だと思いますよ。

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