学問を素人に2016年06月02日 09時02分00秒

  私が昔、「楽しいお金」を最初に書いたときに思ったことは、経済の本やお金の本をほとんど読んだことがない人たちでもわかるように書こうということだった。

その本を書く前、私は経済やお金に関する本をかなり読んで、経済という学問はけっこう面白いことを発見し、でも同時に普通の人はほとんど経済の本を読まないことに気づいた。
 
 読まない理由の一つは、一般向けであっても経済の本は難しいからであり、またほとんどの人たちはそんな本を読んでいる暇がないほど忙しいからだ。

そこで、暇人の読書家であった私が、専門書でもなく、また中味の薄い一般向けの本でもなく、でもなるべく専門書のエッセンスも取り入れて、しかも日常生活に役立つ実用書のような感じで、「学問を素人に」というモットーで、著作活動を始めたというわけだ。今考えてみれば、ものすごい野心(笑)である。

そのあと、経済学だけでなく、生物学&進化論、物理学などに熱中し、数十年間、贅沢な時間を過ごすことができた--スピリチュアルな探求も学問探究も非常に贅沢な活動である(と私は思っている)。しかも学者とか研究者ではなく素人であるので、どこからも補助金や研究費をもらっているわけでもなく、気楽でもある。

とはいえ、「動園から神の王国へ」があまりに途中大変だったので、「これが最後の自分の著作かも」と思ったりもした。でも書き終えてみると、「学問を素人に」という野心がまだ私に残っていることに気づき、また次作を書こうという意欲が湧いてきた(まだ書き始めてはいず、現在は構想を考えている最中)。

ビジネス的には、私の著作は「楽しいお金」以外成功しなかったが、それでも、少数の読者の皆さんが、「読んで楽しかった」と思ってくれたら、それは物書きとしては大変な喜びと光栄である。「動物園から神の王国へ」が15年かかったので、次作は、それよりは短く10年以内の完成をみざしたいと思っている(私の人間肉体精神機構が生きている間に出ることをI hope)。


(次回からは、ダグラス・ハーディングの新刊と教えについて、数回にわたって書く予定です)

 
[ ken 様の質問への答え]

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ダグラス・ハーディング(1)To Be and not to be2016年06月20日 16時04分43秒

今、ダグラス・ハーディングの新刊、To Be and not to be, that is the answer(存在し、存在しない、それが答えだ-仮称) の編集作業を進めている(出版時期は現在未定ですが、たぶん夏の終わり頃の予定で
す)。

訳者あとがきの内容と一部重複するが、彼の教えとの出会いから書いてみよう。

話は、1980年代の後半まで遡る。たまたま読んでいたある本にダグラス・ハーディングのOn Having No Head(「心眼を得る」) のある章の翻訳が掲載されていて、私はその文章に非常に強い印象を受けた。悟りや覚醒についてのまったく斬新な彼の表現を非常に不思議というか奇妙に感じ、同時に非常に重要な何かを言っているのだとも感じた。それで、どうしても本全部を読まなければいけないと思い、なんとか情報を調べて、On Having No Headとその他の彼の本を数冊手に入れ、読み始めた。
 
読み始めて、そして同時に実験もやってみて、私は次のことをおおまかに理解した。

*いわゆる「悟り」(この言葉を私は好まないがあえて使うと)や覚醒 は個人にはない。つまり、個人は絶対に悟らない、覚醒しないということ。

*では、覚醒とか「悟り」とはどこにあるかといえば、主体である「私」(この場合の「私」は個人的私、人間的私という意味ではない)はすでに永遠に悟っている。

*しかし、同時に私たちが見る現象世界は般若心経で言うまさに色即是空、空即是色である。涅槃と世俗(悟りと迷い)はまさにコインの表裏のようにピッタリとくっついている。

私は30代の初めからタデウス・ゴラスの「怠けものの悟り方」路線であり、元々修行とかそいうことは好きでなく、坐ってやる瞑想もある時期はやってみたものの、もう退屈でやる気も起きなかったので、ハーディングの本によって、「個人は悟らない」と知って、私は何かひどく安堵した。つまり、「個人は悟らない」なら、悟るためのどんな修行も努力も無駄ということであり、やはり「怠けものの悟り方」路線のままでOKなんだと再確認したわけである。そして今までどおり、自分が気のむくまま自分が好きなことをやっていけばいいのだと思った。
 
彼の本を読んだおかげで、長年の疑問が解消されたと同時に、また多くの疑問も生じ、それらの疑問について考えるために、私はありとあらゆるスピリチュアルな本を買いあさって読むようになった。

ときはちょうどバブル経済がはじけた頃の話で、その当時私の中ではダグラスの教えは、様々な教えの中の一つにすぎなかった。たぶんダグラスご本人と会う機会がなかったら、彼の教えも自分を通過した数多くの教えの一つにすぎないままだったかもしれないと思う。たまたま90年代の中ばに彼がまだ生きていることを知り(彼は1909年生まれなので、もうとっくに死んでいると私は思い込んでいた)、当時彼の秘書をつとめていた女性のところへ問い合わせの手紙を書いたのだ。

すると折り返しすぐに「ダグラス・ハーディングは今でもヨーロッパとアメリカでワークショップをやっています。よかったら参加してください」という返事がきて、その年の夏、アイルランドで開かれる6日間合宿ワークショップの案内が同封されていた。

その金額の安さに驚愕して、とにかくこんなに安いし、「頭がない」なんて、とんでもなく奇妙なことを言う人がどんな人なのか見たいという好奇心を抑えられなくて、アイルランドまで出かけることにした。

アイルランドへ行く飛行機の中で私は、「ワークショップの値段がこんなに安いし、しかも、彼の本はイギリス最大手の出版社Penguin社から出ているので、彼は相当に有名な人のはずだ。きっとワークショップには数百人の人が来るんだろうなあ」とぼんやりと考えていた。

ところが、私がワークショップの会場であるペンションに到着して、ワークショップの会場となる食堂へ行ったら、椅子が30個くらいしか置いていない。そうこうするうちに参加者が食堂に集まってきて、少し待っているとダグラスとキャサリンも入ってきて、総勢で25人くらいでワークショップは始まった。参加者は毎日増えたり減ったりで、多いときは40人くらいになる日もあれば、少ない日は20人以下になるときもあれば、途中で帰る人、途中から来る人など、様々だった。

そんなに少人数だったおかげで、一人ひとりがゆっくりとダグラスと話す時間もあって、 彼もまた遠くから来た私に何かと気を使ってくれて、ペンションのまわりの環境も素晴らしく、食事もおいしく、生涯参加したもっとも楽しいワークショップだった。

私はすでに実験を自分でやっていたので、ワークショップ自体は別に目新しくもなく、特に「ワオー」 みたいな経験もなかったが、ダグラス・ハーディングという人を間近に見て、彼の知性、思いやり、独特のユーモア、英語でいうところのgenerosity(なかなピッタリな日本語がないけど、あえて訳すと「気前のよさ」) 、そして、自分を何かの権威やグルに仕立て上げない誠実さに、私がものすごく感激したことは確かだ。しかも、彼はちょうどキャサリンと再婚したばかりの新婚だったせいか、気力は充実し、幸福オーラに包まれ、80代半ばの人とは信じられないくらい元気だった。

「この人は本当に自分が話している真理を生きている。神の王国に住んでいるだ」と、生涯初めて「神の王国とは何か」を本当に知っている人に出会ったと確信した。
 
しかし、そう感激はしたものの、最初は別に彼の教えを広めたいとも、彼の本を翻訳したいという積極的な気も起きなかった。たまたま世間話をしているときに、私が出版の仕事をしていることを彼が知って、彼のほうから日本で自分の本を出版したらどうかと言って下さったのだ。ありがたい話ではあったけど、正直なところ、内心はかなり困って(笑)しまった。なぜかというと、まず第一に彼のあの難しい英語を翻訳する自信がない、それから、出してもたぶん売れないだろうということがわかっていたからだ。

しかし、彼の前で、「あなたの本は日本ではたぶん売れないと思うので、出せません」と、断るわけにもいかず、最終的には彼の年齢を考えて、彼が生きている間にぜひ彼の本の日本語版を出したいという私の中のもう一つの正反対な気持ちが勝ち、もう信じられないスピードで本を出す話が決まった。



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ダグラス・ハーディング(2)To Be and not to be, that is the answer.2016年06月28日 07時36分52秒

前回書いたように、ダグラスの本を出すことがすぐに決まり、帰国後すぐに翻訳を始めたもののとても自分には手に負えそうにないと感じ、この人ならできるかもと思って、ある翻訳家に翻訳を依頼した。ところが断りの返事がきて、 それで「自分でやるしかない」 と覚悟を決めて取り掛かることにした。

 ダグラスとの縁はその後も続き、翌年はダグラスとキャサリンの自宅で夏のワークショップが開かれ、今度はイギリスへ出かけていった。彼らに会うという目的の他に、イギリスを見たいという気持ちもあった。前年のアイルランドは初めて行ったヨーロッパの国で、アイルランドの街を少し歩き、ヨーロッパの町並みの美しさに魅了されて、他の国も行ってみたいと思ったからだ。

自宅でワークショップなんてどんな広い家かと予想したが、ダグラスとキャサリンの家はダグラス自身が最初の結婚生活を送り、自分で設計した平屋づくりのこじまりとした家だった。ダグラスの書斎でもある広いリビングは壁一面が本棚になっていて、古今東西のスピリチャルな本がずらりと並んでいた。その広いリヴィングに20人から30人くらいの人が毎日集まり、1週間近いワークショップをやった。遠くから来ている人は、車の中で寝たり、広い庭にテントをはったり、リビングに寝袋で寝たり、私は近くのダグラスの友人に家に泊めてもらった。食事や買い物はみんなで当番で担当し、なんだか大学生の合宿のようで楽しかった。

自宅でのダグラスは、さらによりくつろいでいる感じがあり、実験を主導しながら、ときには演劇調になって(彼はシェークスピアの演劇を愛していた)髪を振り乱して、mad scientist(狂った科学者)のようになって、みんなが笑い転げたりすることもあった。 

 それから、翌年から二年続けて、日本に招待して、東京、大阪、京都でワークショップをやった。この時代のスピリチュアルな雰囲気からいって、彼の教えはほとんど理解されないだろうとは思ったが、それでもまた彼の年齢を考えて、日本に招待するなら今しかないという決断だった。

予想どおり、本は超絶的に売れず、ワークショップ自体は人は集まったものの、ほとんどの参加者たちにただ、?????を残しただけのようだった。そういった参加者の一人がそれから10年以上たったある日、私に電話をしてきてこう言った。「私はインドの非二元の教えに深く傾倒していたんで、ダグラス・ハーディングのワークショップにはものすごく期待して参加したんですよ。何かすごい経験ができるんじゃないかと思って。ところがつまらない実験ばかりで、退屈して、怒りがわいて、二日目は欠席したのです」。確かにワークショップの二日目に来ない人はけっこう多かった。

それからその人は続けてこう言った。「ところが、最近、ある団体で修行をしていたとき、突然、ダグラス・ハーティングの実験のことを思い出して、家に帰って、本を読んだら、何とダグラスの言っていることがようやくわかったんです!あのとき二日目を欠席して、もったいなかったと思ったけど、でも仕方ないですね」。
 
この人のように、ワークショップのときには???の人が、それから数年後とか10年後とか20年後に実験の意味を思い出す人もたまにいる。おそらくそれがダグラス・ハーディングがこのワークと実験にかけた希望であり、そのときは多くの人たちに嫌われ、多くの人たちを困惑させ、退屈させるにもかかわらず、実験の目に見えない影響自体は非常に長く生きている可能性がある。

さて、その後もダグラスとのご縁は続き、私は「ダグラス・ハーディングのワークショップとヨーロッパの街歩き」 というスタイルの旅&娯楽がとても気に入り、その後も機会があるたびにヨーロッパへ出かけたものだ。 ダグラスの追いかけになって(笑)、人生で初めて追いかける対象を見つけ、タレントや歌手を追いかける人たちの気持ちを理解した。そしてこれはたぶん愚かしい娯楽であった。

ダグラスはいつも「ダグラスではなく、皆さんは自分自身を見てください」とワークショップのときに口を酸っぱくして言うのだが、ついダグラスを見るのが面白くて、見てしまうのだ。だんだん親しくなって、冗談も言い合えるようになり、キャサリンの手料理がおいしいせいか、会うたびに彼のお腹が大きくなるので、彼のお腹を軽く叩いては、「ダグラス、またお腹が一段と成長しましたね」とか、からかったりしたものだ。若い頃の彼は、写真から見るにどこか近寄りがたい天才の雰囲気があるが、私が会った頃の彼は好好爺という感じで、私にとっては自分の祖父のような人だった。

そんなふうにご縁は続き、最後にお会いしたのは、彼が亡くなる半年前、自宅を訪問したときだ。その頃は彼はもう車椅子生活でほとんどしゃべらず、車椅子の上で本を読んでいるか、リビングから遠くの風景を眺めているか、昼寝をしているか、という生活を送っていた。人間的な記憶がかなり欠落して、もう私を見ても、誰かわからなくなっていた。 それでもキャサリンが、「スピリチュアルな話ならできると思う」と言うので、これが最後の機会だと思い、私が長年キリスト教の教義で疑問に思っていることを、思い切って質問してみた。彼はその質問を理解し、その場でペンをとって、紙の上にイラストまで書いて説明してくれた。

以上、簡単に私とダグラス・ハーディングとその教えとの出会いについて書いてみた。何事にも飽きっぽいし、特定の一つのことに長く熱中したことがない私にとっては、ダグラス・ハーディングの教えと彼自身とのご縁は異例中の異例だ。だいたい若い頃から、面倒なことやお金が儲からないことは基本やらない主義のはず(笑い)が、どんどんそれとは正反対の方向へ行くのは、エゴ的に見ると悲劇だ。だからなおさらそれは私の個人的意志ではないのだと確信している。
 
お金も人気も出ないにもかかわらず、私が彼と彼の教えを愛しているのは、いくつかの自分でも納得できる理由がある。

まず彼のワークに関して言えば、非常にシンプルで、これをやるのに時間とお金がかからず、先生さえも必要ではない。スピリチャルなワークでこれは非常に重要なことだと思っている。なぜなら、やるたびにお金と時間がかかるものを人は長く続けられず、そして長く続けなければ、何事も自分でその効果を感じるようにはならないだろうからだ。そして、やるたびに指導者が必要なものも、非常に制限がかかる。ダグラスと一緒に実験をやるのは非常に楽しかったが、でも別に彼がいなくても、実験はどこでもいつでもできる。しかも彼が生きていた間は、ワークや実験に関して、どんな質問でも答えてくれた。

それから彼のワークと彼との縁が続いた二番目の理由は、ダグラス自身と彼を取り巻く雰囲気にあった。彼は自分をスピリチャルなグルや教師として扱われることを何よりも嫌っていて、だからまわりの人たちもみな彼を尊敬し、愛してはいたが、友人ダグラスとして気楽に付き合っていた。彼は自分のまわりに階級制を作らず、だから彼のワークショップでは、初めて実験に参加した人も何十年実験をやっている人も、ダグラスもキャサリンもみな同じ立場で、みな初心者として実験を楽しんでいた。彼のまわりにはいつも自由と平等と友愛の雰囲気があった。

階級制ということに関していえば、エゴほど階級制を愛しているものはない。もし皆さんが世俗社会を見たら、そこは階級社会である。人間のエゴは平等を語るが、本当は平等を嫌っているというのが、真実だ。人よりも出世したい、人よりも好かれたい、人よりもお金を稼ぎたい、人よりも美しくなりたい、人より有名になりたい、人よりも幸せになりたい。このように誰も、人よりも少しでも「よりよい」立場になりたい、つまり自分が生きている社会や集団の階級を上りたい、これがエゴを駆り立てる衝動である。

しかし、真正のスピリチュアルな教えは、あらゆる人の根本的平等を最初から保証する。その平等は「そうであれば素晴らしい」とか「そうであるべき」という道徳的な観点から出てくるものではなく、現実の観点から出てくるものである。つまり、一人ひとりはどれほど違って見えようとも、エゴがどれほど平等を嫌っていても、世俗世界の階級的立場がどれほど高かろうが、低かろうが、霊的修行をどれほどやっても、やらなくても、あらゆる人はすでに(この「すでに」という言葉を強調するが)霊的にはみなまったく同じ本質をもっている、言い換えるなら、まったく同じ源泉から生きている--これが究極の現実で真実だからだ。これがダグラス・ハーディングが生涯、百万回も語り続けていることであり、今回のTo Be and not to be , that is the answerでも衰えない情熱でそれを語っている。

が、階級制のない教えは人気がないのも事実だ。なぜなら、階級と達成感を愛するエゴにはアピールしないからである。ダグラスは、私とは違う観点で、「頭がない方法」  の人気のなさをTo Be and not to be , that is the anwer の中で自分でも分析している。ダグラス・ハーディングの教えに限らないが、非二元の教えはシンプルでかつ同時に非常に困難でもある、というのが長年にわたってこの教えと関わった実感である。

それでも私の場合がそうであったように、個人の意志とは関係なく、縁のある人たちは「頭がない方法」 を学び、その道を探求するものだと私は確信している。


ダグラス・ハーディングのDVD販売に関しては下記へ

次回は、ダグラス・ハーディングの話は一回お休みして、先日見に行った(聴きに行った)もう一人の元気な90代のおじいちゃんの話を書く予定です。


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