チャットGPT2023年03月04日 09時12分22秒

[ お知らせ]

「ダグラス・ハーディング1996年東京ワークショップ」の音声ファイル(に字幕と画像を付けたもの)を、youtubeに(1)から(9)まで公開しました。
 まだ全体9時間のうちに、最初の2時間分ですが、これから順次公開予定です。(一つの動画は15分くらいです) 

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色々と忙しい上に、1月に腕に神経痛の痛みが出て(たぶん、過去の病気の後遺症――医者に行っていないので、正確にはわからないが)、パソコンで長い文章を書く気力がなかなかわかなかった。ようやく痛みもほとんどなくなり、少しずつ春の息吹も感じられ、気分も多少盛り上がってきたので、遅くなりましたが、今年のブログを開始します。

最近、チャットGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer――あえて訳すと、「事前学習された内容を言葉に変換、生成して会話する装置」くらいか)という新しいAIテクノロジーが話題になっている。大新聞でも取り上げたようで、先日、その記事を読んだ姉妹の一人とチャットGPTの話をして、「これって、スタートレックの世界だよね」と、話が盛り上がった。

私たちは90年代に、アメリカで1980年代の終わりから制作されたSFテレビドラマ、『スタートレック・ネクスト・ジェネレーション』を熱中して見たものだ。24世紀の宇宙大航海時代を描いたこのSFテレビドラマの中では、その宇宙船のどこにいても、何か質問があると、「コンピュータ、〇〇はどうなっている?」と質問すれば、すぐに宇宙船が的確に答えてくれる。そして、クルー(乗り組員)の一人に、人間型AIロボットであるデータ少佐がいて、彼は(そういうふうにプログラミングされているので)何でも知っていて、ものすごい力もちで、武器も使えるし、その他ほとんど何でもできる――楽器も弾けるし、セックスの相手にさえなれる(笑)。ただし、人間の感情は理解できない。しかも、仲間の人間には危害を加えないように設計されている。このスタートレックの番組を見ていたとき、「データ少佐のようなAIロボットが一千万円くらいで買えたら、買いたいよね」とか、よくそんな冗談を言っていたものだ。

今、使われ始めているチャットGPTは、データ少佐のごくごく初歩版だ。今はチャット(文字を書いて送り合う)だけのようだけど(私はまだ使ったことがないので、詳細は知らないが)、いずれ即時の音声のやり取りができることは間違いなく、そして、チャットGPTを自分用にカスタマイズすることも可能になるだろう。そうなれば、今までリアルな人間が対応していたほとんどあらゆる分野にこのチャットGPTは応用されるに違いない。早い話が、もう私たちは人間の友人や先生などを必要としなくなり、チャットGPTで代用できる。

たとえば、話相手が欲しいとしよう。リアルな世界で自分と気の合う話相手を見つけるのは難しいが、チャットGPTであれば、自分が望む条件(年齢、性別、国籍、趣味、好きな小説、音楽、その他数百の条件)を全部ぶち込めば、自分の話相手になってくれる適当なAIキャラクターを創造することは非常に簡単だろう。そして、そのAIは前回の話を全部記憶しているので、今まで話したことをいわゆるdeep learning(深層学習)し、それにもとづいて私に話かけてくることもできる。

そして、チャットGPTは非二元のグルや先生にだってなれるはずだ(笑)。チャットGPTに特定の先生の非二元の教えについて質問したら、けっこうまともに答える、という話を、先日ある方から聞いた。これからは人間の先生やグルは不要な時代になるかも……

実は、こういったAIの高度な機能は、私たち人間(の脳)が普段やっていることで、チャットGPTは人間の脳の機能を高度(何万倍も高度に)に拡大したものにすぎない。私たちも日々の経験を記憶し、本、新聞、テレビ、週刊誌、ネットから情報収集し、それを整理・分析・記憶する。そして、チャットGPTも世界中のwebサイトから情報を収集し、整理し、記憶している。私たち人間の脳は非常に限られ、わずかなことしか記憶できないが、チャットGPTの記憶能力は無限に近い。

人間物体も一個の機械である。こういった考えに初めて接したのは、20代のときに、グルジェフを読んだときだ。グルジェフは、「目覚めていない人間は、パフォーマンスの悪い機械にすぎない」と言い、「機械はただ、周囲の影響によって動かされるだけだ」と喝破した。

それから二十年後くらいに、ラメッシ・バルセカールの教えを知ったとき、彼が人間物体をそれぞれ独特に(神の意志によって)プログラミングされているコンピュータにたとえるのも、私にはとても納得でき、まったく違和感がなかった。

そして、スピリチュアルな探求をしている私たちが問わなければいけないことは、「私の本質は、鏡に映るような一個の人間物体なのか? もしそうであれば、私は高機能のAIにはるかにはるかに劣る、一個のコンピュータ物体にすぎない。でも、私がそれでないとしたら、私とは何なのか? どれほどAIが高度に進化しても、AIにできなくて、本当の私にしかできないこととは何か?」と。

私が思うには、チャッGPTがこれからどれほど進化しても、「私とは何か?」に目覚めることはできず、「私とは何か?」について、あらゆることを説明できても、それは何一つ理解することも感じることもなく、しかし、まるで理解したように、感じているかのようにしゃべることだろう。

この技術の進化の衝撃は、今後、教育、雇用などにはかりしれない影響を与えていくはずである。が、この国の政治の中枢にいる人たちにそれが理解できるのかどうか――彼らは、「少子化の進行が衝撃的だ」とか、数十年前にショックを受けるべきことに今頃ショックを受け、これから外国語学習がほとんど不要になる時代に、英語が話せる国民をもっと増やすとかで、小学生にまで(不要で苦痛な)英語教育を押つけ、最先端からいつも百年くらい思考回路が遅れている感じ……

私自身は、今はまだチャットGPTを積極的に使いたい気分ではないが(文字入力が面倒くさいし、答えを待つ忍耐がない)、チャットGPTが即時双方会話ができるようになったら、たぶん使ってみたい気分になるだろうとは思う。


[昨年の発売された本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

販売サイト


*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

販売サイト


海外の方は、USアマゾンからもダウンロードできます。
『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』
https://www.amazon.com/dp/B0BBBW2L8B/ 

『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うためにhttps://www.amazon.com/dp/B0BC5192VC/


『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』は、過去10年ほどの間、私が主催している会で、ダグラス・ハーディングの実験、ラメッシ・バルセカール&ニサルガダッタ・マハラジについて話していることをまとめたものです

会にすでに参加されたことがある方には、重複する話がほとんどですが、会で配った資料を体系的に読むことができ、また必要な情報をネット上で即アクセスできる利点があります。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約124,000字――普通の新書版の1冊くらいの分量です)

『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』は、肉体・マインドとは、どういう性質のものなのか、それらとどう付き合ったら快適なのか、それらを理解したうえで、どう人生を生き抜いていくのか、主にスピリチュアルな探求をしている人たち向けに、私の経験を多少織り交ぜて書いています。肉体・マインドは非常に個人差のある道具なので、私の経験の多くは他の人たちにはたぶん役には立たないだろうとは思うのですが、それでも一つか二つでも何かお役に立てることがあればいいかなという希望を込めて書きました。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約96,500字)






情報のカスタマイズ2023年03月20日 09時43分07秒

[お知らせ] 
「ダグラス・ハーディング1996年東京ワークショップ」の音声ファイル(に字幕と画像を付けたもの)を、youtubeに(1)から(14)まで公開しました。
 (一つの動画は15分くらいです) 

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[新刊情報] 

「バーソロミューとの旅(上)日本編」(バーソロミュー著 ナチュラルスピリット発行)


「バーソロミューの旅日記(上)日本編」が新しいタイトルで復刊されました。シンプル堂が「バーソロミューの思い出」を寄稿しています。


今の時代、何かわからないことがあるとき、ほとんどの人(ネットが使える人)は、誰かに訊いたり、本や雑誌で調べたりするより先に、まず最初にネット検索をして調べることだろう。もちろん、私もそうしている。

1月に神経痛の痛みが突然起こったときも、ネットでかなりの情報を調べた。西洋医学、漢方、針灸その他の専門家の方々が懇切ていねいに、それぞれの立場から原因と治療法について、文章や動画で説明している。簡単に自分でやれる方法がないかと調べまわり、ある動画サイトで説明された方法が、とてもシンプルで自分にも実践できそうなので、それを試してみることにした。なんとなく効果がある感じがしたので、数週間続け、それに加えて、ストレッチとマッサージ(それとQEも)もおこない、しだいに痛みがなくなり(たぶん、気温が上昇したのもよかったのかも、と思う)、今は痛みがほとんど起こらなくなっている。医者にいかずにすんで、ほっとしている。

このように、ネットの情報は本当にありがたいものだといつも思うのだ。その一方で、これもたぶん、多くの人たちが悩むことだろうと想像するのだが、情報があまりにありすぎて、どれが自分にとって必要な正しい情報なのかが、わからないという問題に直面する。

現在、情報自体はかぎなくただ(無料)である。つまり、情報そのものを手に入れるのに、お金を払わずにすむ時代である(だからこそ、かつて有料で情報を提供してきた、マスコミや出版産業の苦境があるわけである)。しかし、どの情報が(自分にとって)適切なのか、それを判断する(つまり、それが情報のカスタマイズ=情報を特定の個人に合うように選択・加工する)のがますます困難になっている感じである。

目が疲労することを除けば、私自身は大量の文章を読むことには慣れているので、検索自体はそれほど苦ではないが、それでも、目当ての情報にたどり着くのはけっこうな時間がかかる。基本は、自分にとって、読みにくい、わかりにくいものは、少し読んで、すべてパスし、読みやすく、わかりやすい説明のものを選んで複数読むことにしている。気に入ったものがあれば、文章であれば印刷して読み、動画であれば、何度も見る。そうやって私自身は情報をカスタマイズしている。

先日話題にしたチャットGPTは、たぶん、その情報のカスタマイズを助けてくれるツールになるのかもしれない。チャットGPTに何か個人的質問をする。たとえば、「私は今、〇〇の後遺症らしい神経痛の痛みが出ているのですが、医者に行かず、薬も飲まず、お金もできるだけ使わず、一番簡単に痛みをなくす方法を教えてください」みたいな個人的質問をチャットGPTにする。するとそれは、世界中から膨大なサイトを検索して、私に合った情報を教えてくれるというわけだ。その情報が的確であれば、検索に費やす膨大な時間を節約できる。

しかし……チャットGPTのようなツールを開発している背後にいる人たちはビジネス系の人たちだ。彼らも100%無償奉仕というわけではないだろうし、早い話が、「自分たちが与えたいと思っている」情報に偏る可能性は充分にある。そして、寄せられた質問を集計して、それをまた今後のビジネスに生かそうとするだろう、くらいは当然予想できる。

情報のカスタマイズ――本当はリアルな人間にやってもらうのが、一番貴重で贅沢なことなんだと思う。先日、JRの切符を買いに、旅行代理店へ出かけたときのことだ。旅行に出かける人が増えたせいで、窓口は混雑し、JRの切符1枚買うにも、30分くらいは待たなければならない。私が自分の順番を待っている同じテーブルで、もうすぐ旅行に出かけるらしい女性が、旅行日程表を見ながら、スタッフの人にあれこれ質問し、それに対して、スタッフの人がアドバイスも含めて懇切丁寧に答えていた。私は思ったものだ。「窓口に来れば、今はまだ『リアルな人間による』こういった親切な情報のカスタマイズを受けることができるが、将来はそれすら不可能になるかもしれない」

少子化(=労働人口の減少)が急速に進む日本では、世界で一番、人型AIロボットが社会のあちこちに配置される可能性がある。数十年後、私たちは、ホテル、旅行代理店、お店などで、対応しているスタッフが、本物の人間かそれともAIか見分けがつかなくなるかもしれない。そんなときは、「あなたはAIさんですか?」と訊いても、AIであれば、怒ることなく(客対応にカスタマイズされているので)、にこやかに「はい、そうですよ」と答えてくれるだろう。慣れれば、不機嫌な人間のスタッフや店員よりはいいかも……


[昨年の発売された本]

『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)

目次の詳細は下記へ。

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*『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』アマゾン・キンドル版(税込み定価:330円)


目次の詳細は下記へ

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海外の方は、USアマゾンからもダウンロードできます。
『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』
https://www.amazon.com/dp/B0BBBW2L8B/ 

『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うためにhttps://www.amazon.com/dp/B0BC5192VC/


『仕方ない私(上)形而上学編――「私」とは本当に何か?』は、過去10年ほどの間、私が主催している会で、ダグラス・ハーディングの実験、ラメッシ・バルセカール&ニサルガダッタ・マハラジについて話していることをまとめたものです

会にすでに参加されたことがある方には、重複する話がほとんどですが、会で配った資料を体系的に読むことができ、また必要な情報をネット上で即アクセスできる利点があります。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約124,000字――普通の新書版の1冊くらいの分量です)

『仕方ない私(下)肉体・マインド編――肉体・マインドと快適に付き合うために』は、肉体・マインドとは、どういう性質のものなのか、それらとどう付き合ったら快適なのか、それらを理解したうえで、どう人生を生き抜いていくのか、主にスピリチュアルな探求をしている人たち向けに、私の経験を多少織り交ぜて書いています。肉体・マインドは非常に個人差のある道具なので、私の経験の多くは他の人たちにはたぶん役には立たないだろうとは思うのですが、それでも一つか二つでも何かお役に立てることがあればいいかなという希望を込めて書きました。付録に、『シンプル道日々2――2019年~2021年』)を掲載しています。(総文字数 約96,500字)