北京オリンピック観戦2008年08月29日 11時23分32秒

普段はほとんどスポーツを見ないが、4年に一度のオリンピックのときだけ、まじめにスポーツを観戦する。感情を入れあげて見ていると疲れるので、適当に勝ち負けを予想しながら平静に見るのが、私流のスポーツ観戦である。

この夏のオリンピックを見ていた中で、私の印象に一番残った日本選手が、女子柔道63キロ級で優勝した谷本歩実選手だ。その一本勝ちの柔道は見ていて楽しかったが、私が一番印象深かったことは、試合前の彼女の表情である。緊張感はもちろんあるのだろうけれど、どの試合の前も何かすごく楽しそうで、ワクワクしている感じがあった。決勝戦のあと、「デコス選手とやりたかったので、決勝戦はうれしくて笑みがこぼれた」という彼女の談話を聞いて、試合前のあの表情に私は納得した。

たぶん想像するに、オリンピックの代表に選ばれたほとんどすべての選手は、選ばれたときから、試合が終わるまで、オリンピックに出る重圧・緊張とオリンピックで戦える喜びの両方が、心身の中でせめぎあっている状態にある。

その重圧・緊張があまりに重すぎると、そのせいで体調不良・ケガが起こりやすいだろうし、でも、スポーツの試合は「戦い」であるので、緊張感がなさすぎても戦えないし、退屈でもある。したがって、適度な緊張と適度な喜びがほどよくあるというバランス状態にあるとき、スポーツ選手はもてる力を最大に発揮できるのではないかと私は思っている(スポーツ以外の場面でも同じことが、言えるかもしれない)。

が、現実には、このバランス状態を作り出すことが容易ではないことは、重圧・緊張に負けてしまう選手が多いことを見れば、よくわかるし、コーチや監督自身も重圧・緊張に負けている場合も多いようだ。

いずれにせよ、「まじめに練習」だけでは、試合に勝てないのも事実で、

練習と実力
ストレス・マネジメント(いかに重圧を喜びに変えるか)
運(今回のオリンピックの運、当日の運=その競技の神様に微笑んでもらうこと)

の3つの要素がうまくリンクしたときに、試合での成功があるのだなあと、様々な競技を眺めながら、感じていた。