家族関係の「苦」 ― 2020年06月17日 11時29分22秒
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コロナ感染が広がる中、世界的に共通して起こったことの一つが、家庭内暴力・虐待の増加というレポートを読んだ。考えてもみれば、外の世界で「密」を避けましょう、ということになれば、家庭内がいつもより「密」になるのは避けられず、野生動物も家畜も人間も、「密」、つまり、密集状態になれば、よりストレスがたまるのは、当然である。
もし家庭に、精神的肉体的に暴力的な動物園の住民(笑)がいる場合、コロナ以前にもあった潜在的問題が、こういったストレス集中によって、外側に露呈して、ひどくなれば、世間を驚かすような殺傷事件にまで発展することがある(「動物園の住民」とは、知性・理解の程度が動物段階という意味です)。
今日は、数カ月前に読んだ、ある悩み相談を例に、家庭内の深刻な人間関係(この相談は、母親対娘の関係)を放置することが、どれほど深刻な事態になりうるのかについて書いてみたい。
その悩み事相談のタイトルは、「15歳になる娘の全てに興味が持てない」で、回答者は鴻上尚史さんという方(たぶん演劇関係の人)です。
相談の内容を要約すると、
1.15歳の娘を、生まれたときから嫌いで、どうしても愛情を感じない。
2.彼女は普通の子で、自分も精一杯よい母親を演じている。
3.それでも、彼女の中に嫌いなことを見てしまい、それが耐えがたい。
4.自分も同じような嫌いな部分をもっているが、自分のことは嫌いではない。5.娘に対する感情が憎しみに変わりつつあり、それは娘も感じていると思う。
6.娘のせいで、日々憂鬱で、夫への愛情も冷めつつある。
7.カウンセリングを受けたり、人に相談することはしたくない。
8.でも、娘を憎む気持ちをなんとかしたい。
とまあ、ざっと書けば、こういう内容である。これは相当深刻であり、ご本人もそれに気づいているからこそ、人に相談したくないと言いながら、投稿したのだと思う。
鴻上さんの回答も要約すると、
1.「娘を愛せない」という悩みは、特別ではない。
2.「娘の嫌なところと、自分の嫌なところは似ている」とあなた(相談者)は書きながら、一方で、「娘は嫌いだけど、自分のことは嫌いではない」と言うのは、不思議な感じである。
3.たぶんあなたは、本当は自分が嫌いなのだけれど、自分を嫌う代わりに、代理で、自分よりも弱い立場の娘さんを嫌っているのではないかと思う。
4.あなたは、娘と自分を自己同一化している。
5.このまま、この問題をほっておくと、何かもっと大きな問題が家庭内に起こるかもしれない。
鴻上さんの分析と回答は的確であり、早い話、「カウンセリングやセラピーを受けたほうがいいですよ。このままでは、もっと大変な状況になりますよ」という結論であり、私もそれに同感する。彼の文章の中で、「娘を愛せないという母親からの相談は今までも受けたことがあるが、息子が愛せないという相談は受けたことがない」というところは笑えた。
娘が嫌いだ、娘とは合わないと言ったり、思ったりする母親には、私もたくさん出会ったことがあるが、いまだかつて「息子が嫌いだ、息子と合わない」と言った母親に出会ったことがない。この相談者のように、ほとんどの母親は息子を溺愛している(笑)。その一方、母娘関係は、人が思うほどわかりやすくも、簡単でもない。
母娘関係がうまくいっている人たちでさえも、いつもうまくいくわけでもなく、そこには多大な「苦」をはらんでいる。うまくいっている人たちでさえ、多くの場合、一度はお互いを激しく否定する経験をすることがよくある。母娘関係とは何なのか、以前のブログに書きましたので、ご参照ください。
2012年9月8日「シズコさん」
鴻上さんの回答に書いていないことで、付け加えれば、この相談者がそれほど自己否定(自己嫌悪)するのは、自分の母親(あるいは父親)からも子供の頃、存在を否定されて育ったのかも、と想像する。そして、彼女が「わかりません」とか、「相談はしたくない」と言っているのは、もしその幼少時の記憶のようなものを全開してしまったら、耐えられないようなものを見てしまうのではないか、と恐れているからだと感じられる。
幼少時のトラウマをもつ人も特別ではなく、多くの人が幼少時のトラウマを抱えているが、ほとんどの人は一生、それを見ないまま、生きて死ぬのである。私自身は、20代の頃から、スピリチュアル、心理学、セラピー的なことに多く関わってきて、「自分のマインドを客観的に見る」などということは、ほとんど常識的なことに思ってきたが、世間一般では心理学、セラピー、カウンセリングさえ、まだそれほど一般的ではない。
ほとんどの人が自分のマインド・感情と同化して、それを客観的に眺めることができない。私はその状態を「動物段階」と呼んでいる。そして、動物段階の人は、問題の原因と責任をすべて外側に求めるという顕著な特徴がある。
でも、この相談者は今こうして勇気を出して、投稿し、そして少なくとも、「自分と娘は嫌なところが似ている」と、冷静に分析できるところまで、知性・理解が進化したとも言えるので、あとは、鴻上さんのアドバイスを聞いて、次なる進化への一歩を踏み出す勇気が出るかどうか、である。
もしこの母親がこのまま問題を放置したら、どういうことが起こりうるか、私が教育関係の仕事と人生の中で見聞したことから、起こりうる可能性のあることを書いてみると、
1.娘が理性的な子供の場合、さっさと自分のほうから親を見限って、親からなるべく早く離れようとする。つまり、高校を卒業したら、遠くへ就職か、進学して、親からできるだけ離れる。
2.感情的な娘の場合、自分を愛さない母親に復讐したくなり、悪い大人たちと付き合い出し、不良になって親をうんと困らせ、「よい母親」という世間の評判と仮面をはがしてやりたくなる。
3.エネルギーが内側にこもる娘の場合、どうやっても親を喜ばすことができず、親の期待に応えられない自分に罪悪感を感じ、自傷行為、うつ病、そして最悪は自殺。
4.母親・娘関係の悪化が、他の家族にも多大な影響を与え、家庭不和、最悪は家庭崩壊。
子供を育てた経験のある方、あるいは現在育てている方は、よく知っているように、子育てほどお金と労力のかかるプロジェクトはない。だからこそ、そのプロジェクトが成功するように、つまり、お互いにいっしょにいる時を平和に楽しめるようにすることは、非常に重要なことだと思う。さもないと、それほどの労力とお金を使ったあげく、老年になって、「苦」だけがお互いに残ったら、悲しい話だ。が、私はそういう老人たちをたくさん見てきたし、日本全国にその「苦」を抱えて晩年を送っている老人がたくさんいる。
特に日本は、親子関係の束縛が、欧米などに比べて、非常に強いという印象を私はもっている。だから私は、親子関係のトラウマ、あるいはその他の幼少期の深刻なトラウマなどをクリアにしておくことを、皆さんにはいつも強くお勧めしている。もし親子関係の「苦」に真剣に取り組み、それを解明すれば、その中には多大な光も見出すことができると確信しているからだ。
反対にそういった家族関係の「苦」を長年放置すると、世間が「まさか、あの人が」、「まさか、あの家庭で」と、驚く事件になる可能性がある。子供が親を殺すなんて、遠い他人事だと私も思ってきたけど、数年前、身近でそういう事件を聞いて、本当に驚いた。
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