「縁の力」 ― 2021年11月21日 08時52分26秒
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起こることはすべてあらかじめ決まっている――最近ますます感じることだ。これはインドの賢者ラメッシ・バルセカールの教えの基本の一つで、彼自身の言葉で言えば、「起こることになっていることは、誰が何をしても、それが起こらないようにすることはできない。反対に、起こらないようになっていることは、誰が何をしてもそれを起こすことはできない」
物事が「起こる・起こらない」を究極的に支配しているのは、ラメッシの言葉で言えば、「神の意志」であり、一般的なスピリチュアル系のなじみの言葉で言えば、「カルマ」であり、私はそれらの言葉よりはどちらかといえば、「縁の力」という言葉を好む。
「縁の力」をさらに説明すれば、それは仏教でいう「縁起」(「一切の物事は、様々な原因や条件付けが寄り集まって成立している」くらいの意味)の定義に近い。
すべては「縁の力」によって決まっている。そう理解できれば、あらゆることに関して気が楽である――少なくとも他人のことや世の中のことを放っておくことができ、自分が今やっていることに集中できる。
最近の時事に関して、「縁の力」を特に強く感じたのは、皇室家の長女の方の結婚である。「親や世間がどれだけ反対しても、自分が決めたこの人と絶対に結婚する」という決意は、彼女の立場を考えれば、何か強力な意志(縁の力)が彼女に乗り移ってそう思わせていると、私には感じられた。
あらゆる人間関係の中で、親子関係が何よりも重要である日本社会においては、10代、20代の人間にとって、親の力はかなり絶大である。だから、自分の進路や恋愛・結婚を親に反対されて、親子間の軋轢、対立、不和が、日本全国どこでも起こっている。
「親の力」も広義に定義すれば、もちろん「縁の力」に入るが、細かく言うなら、「親の力」は「血縁的縁の力」ともいうべきもので、恋愛・結婚はそれ以外の「人間関係的縁の力」で、スピリチュアルに関することであれば、「スピリチュアル的縁の力」と呼ぶべきものかもしれない。
進路や恋愛・結婚に関する親子の対立も、現代に限ったことではなく、私が若い頃でさえも同じ状況であった。私の家も含めて、親が子供の進路や恋愛・結婚に反対することはあまりにありふれた定番の出来事だったので、しだいにそれは一種の通過儀礼(大人になるために通過しなければいけない障害くらいの意味)なのかもしれないとさえ、私は考えるようになった。
子供の立場に関して言えば、もし親が反対したくらいで、自分がやりたいと思うことをやめることができるなら、たぶん、それはやめたほうがいいものだろう。親の反対という障害を乗り越えられないとしたら、自分の進む道(職業選択であれ、恋愛・結婚であれ)に待ち受けている様々な障害を乗り越えることはできないだろうからである。
では、親の立場の人たちは、成人した子供の進路・恋愛・結婚に関してどう考えればいいのだろうか? 以前親の立場の方に、「子供がすることに反対してはいけませんか?」と尋ねられたことがある。もちろん、反対してもまったくOKである。むしろ正直に誠実に、「〇〇の理由で、私は反対です」と、自分が反対する理由を子供に伝えたほうがいい。ただし、重要なポイントは、「正直に誠実に感情的にならずに」、自分の考えを伝えることである。
親の意見・考えを聞いても、子供が親からの財政的精神的援助が一切なくても、自分が進みたい道を進むと決意するなら、もうそれを誰の力でも止めることはできないと覚悟したほうがいい。
反対に、親が反対する理由を聞いて、子供が親からの財政的精神的援助がなければ、自分にはこの道は無理だと判断すれば、子供はあっさりとあきらめることも多い。
私の家の場合は、親に大大大反対された私の姉妹の一人の結婚は今日まで無事続き、スピリチュアルな道を親(特に母親に――母は、スピリチュアルとはいかがわしいものであり、そんな道に関わったらまともに生活できない人間になってしまうと考えていた)に反対された私も、この年齢まで普通に生きて(生かされてき)たので、まあまあ「縁の力」はよかった結果になったとは思う。
下記のサイトに、前にも紹介した鴻上尚史さんの悩み事相談で、「俳優になりたい大学生の子供に反対する親の悩み」が掲載されている。彼の回答は、演劇業界を生き抜いてきた彼自身の経験にもとづくもので、とても的確である。もしこういう問題で悩んでいる親の立場の方や子供の立場の方がいれば、参考になるかもしれない。
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