「きっと、うまくいく」2014年06月22日 08時31分12秒

きっと、うまくいく」――ある方に、「とても面白い映画です」と熱心に勧められて、先日、見たインド映画のタイトルだ。 見る前は、3時間を超えるインド映画と聞いて、あの歌って踊りまくるボリウッド映画を3時間も見る体力・気力が自分にあるかどうか自信がなかったけれど、見始めたら、これがまた楽しい。あっという間に3時間が終わり、音楽もすごく気に入ったので、翌日にもう一度見たくらいだ。

日本でもヒットしたそうなので、ご存じの方も多いかもしれないが、インドの超難関工科大学の男子学生寮を舞台にそこに学ぶ三バカ(映画の原題は、3 idiots= 三バカ)学生が起こす騒動と彼らの10年後を描いた作品だ。
 
三バカの一人はランチョーという名前の実はハチャメチャな天才で、彼は仲間から「ランチョー導師(グル)」と呼ばれ、知恵とユーモアでいつも難局を切り抜けていく。彼はことあるごとに、「自分の好きなことをすればいい」とAal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)  と仲間に説くが、なかなか理解されない。周囲に理解されないばかりか、彼を嫌う保守的な学長に三人一緒に目のかたきにされ、あわや退学寸前まで追い込まれてしまう。

 この映画を見て、若い頃、両親と激しく喧嘩した日々を思い出した。「自分の好きなことをすればいい」VS「子供は親の期待通りに生きるべきだ」の対立は、インドにかぎらず、日本に限らず、今という時代に限らず、あらゆる時代のあらゆる国の若者が抱える普遍的葛藤である。この作品には、大学生の自殺というインドの社会問題も織り交ぜてあるが、日本でも就活がうまくいかなくて自殺する大学生がいるという話をどこかで読んだことがある。どれだけの若者が親や周囲の期待に応えられずに、苦しんでいることだろうか……

私もランチョー導師同様に、今も昔も自分にも他の人にも、「自分の好きなことをすればいい」と気楽に言うが、ただ  「自分の好きなことをすれば」Aal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)なのかどうかは、保証のかぎりではない。好きなことをしていても、見た目うまくいかないこともたくさんあるし、お金がまわらない時期もあるし、精神的に苦痛な時期もある。だから、実は、「自分の好きなことをすればいい」は、ものすごくハードルが高いメッセージであることも理解している。

それでもやっぱり「自分の好きなことをすればいい」とあえて言うのは、映画の中で学生の一人が似たようなことを言っていたように、「他人の言うとおりにして失敗すれば、あとで人を憎むけど、自分の好きなことをすれば、人を憎まずにすむ」からだ。 

死に際の「人生の後悔」についての調査によれば、後悔のNo1は、「自分らしく生きなかったこと」で、「何かをやって後悔している」人よりも、「何かをやらずに後悔している」人のほうが、はるかに多いそうである。だから、「自分の好きなことをすれば」、人生への後悔が減り、(人には憎まれるかもしれないが)人を憎まなくてすむという意味では、確かにAal Izz Wel(=All is well=すべてはうまくいく)である。

さて、ラメッシが亡くなってからインドへの思いと熱もすっかり冷めてしまったが、「きっと、うまくいく」を見てヒンズー語の音楽を聴いていたら、インドへの郷愁にひどく駆られてしまった。そして、インドに滞在していたときに「中毒」していたマサラドーサを突然に思い出し、どこかへ食べに行こうと思いたった。インドまで行くのは無理そうだけど……。

[イベント]

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